1999年4月21日発売
若手奏者には“精一杯頑張ってます”的な演奏が多いが、テイラーは余裕を持ってエンタテイナーに徹している。だからこそ聴き手も、その軽くてしなやかな音楽にゆったりと身を委ねることができるというわけ。選曲&演奏に彼のシックな嗜好を感じさせる。
早くも私的な99年度のベスト・アルバムの一枚に選んだビルト・トゥ・スピルの新作。例によって瑞々しいポップ・メロディと、有機的に絡み合ったトリオ・バンド・サウンドの素晴らしさは別格。わざとらしさのないギター・ポップの魅力を凝縮した傑作。★
全世界で大ヒット中のアルバム『ビリーヴ』からのセカンド・シングルと「ビリーヴ」の2曲を各4ヴァージョンずつ収録。シェールのヴォーカルをも音の素材の一つとして見事料理してしまったDJ陣の本領は、各リミックスで十二分に発揮されていて痛快。
ジョン・ホール、ローウェル・ジョージとも親交のあった謎の多い女性シンガー・ソングライターのセカンド。幻の名盤として知られるこのアルバムもとうとうワーナーの名盤探検隊シリーズでCD化された。ナイーヴで芯のある彼女の歌声を一流のミュージシャンが支える。
キングストン・トリオに在籍していたことでも知られるジョンのソロ3作目。フォーク・カントリーを下敷きにしながらのこの豊穣なサウンドは、70年代アメリカの精神的豊さそのものだ。いい曲を書きいい歌を歌い、いいレコードを作る。祝世界初CD化!
現代オルガン界の大局様、マリー・クレール=アラン健在の1枚。(1)は彼女にとって3回目となる録音で、力のほとばしる熱演が精彩を放つ。この作品に助言を与えたデュリュフレや彼女の兄ジャン・アランの作品も収めた充実のラインナップだ。
メンバー交代を繰り返しつつ最高水準を保ち続ける男性12人のヴォーカルEns、シャンティクリア。当盤は来日時に好評を博したタヴナーの「村の婚礼」をはじめ、古今東西のワールド・ワイドなテイストをふんだんに散りばめた曲集だ。癒されたい人にも。
バイオレント・ミニマル。ポリリズムでメカニカルに畳みかけるリフ。低域のマッシヴで挑発的な動き。あえてザラリ耳障りに歪ませた響き。雷やサイレンの音。そして横溢するブルーに不機嫌な気分。“大都市”のイメージの紋切り。しかし衝動抗いがたい。
これは熾烈な協演である。ドヴォルザークの音楽に郷愁と安穏を聴こうとしている人はちょっとした心構えが必要だろう。シフの鋭い斬り込みに煽られてパノハQのテンションが加速度的に高まっていく様子は非常にエキサイティングだ。熱く鮮やかな演奏。
今日の日が終わろうとする、そんな黄昏時にふと耳にしたくなる一枚。メランコリーなメロディ、映像的な詩。74年発表の4作目。ヒット・メイカー作家として名声を得る一方、味わい深い自演作品を何枚も出している。中でも本作は叙情的な魅力にあふれている。