2004年5月21日発売
ダンディズム・ナンバーを作らせたら逸品の松本隆・南佳孝コンビによる名作「冒険王」を彷彿させるタイトル曲(佐川急便CM曲)がいい。さらに「サンクチュアリ」「モンロー・ウォーク2004」などで、南佳孝が還ってきたと実感させるヴォーカルを聴かせる。
デトロイト発、3人組パンク・ブルース・バンドが2002年に発表した2作目。60年代のストーンズやガレージ・パンクを彷彿とさせつつ、そのまた根っこのブルースまで掘り出してみせる図々しさと、周到な構成力がバランスよく噛み合った痛快な一枚。★
英国の5人組バンドが67年に発表したデビュー盤にボーナス・トラック4曲を加えた。彼らといえば「青い影」。バッハの作品にインスパイアされたオルガンのイントロが印象的な曲だが、ほかの曲もクラシカルなフレーズが随所に聴かれる。フェイドアウトに時代を感じるが古さはない。
前身バンド、パラマウンツのメンバーで録音された70年発表の4作目。全体的な統一感はないが、ブルース・ベースのヘヴィなサウンドとドラマティックな展開を巧みに融合した(8)をはじめ、1曲ずつのクオリティは高い。未発表テイク8曲を追加収録。
斬新な歌声に圧倒される93年発表のデビュー作。ニューヨークに進出する前、カンザスシティ時代の録音で、共演者も同地のミュージシャンがほとんど。弾き語りは達者、スキャットはダイナミック、ブルージィな歌声も最高と、カーリンの魅力がすでに全面的に開花している。
2004年5月にリリースされたアルバムも好評だった女性シンガーの94年作。ここではスタンダード中心の選曲だが、テンポの速い曲での安定感、バラードでの繊細な表現力、それに即興での高い音楽性を感じる展開と、申し分のない実力を堪能できる。それに誠実な歌唱も変わらぬ魅力。
テクニックと歌唱力抜群のアリソンが持てる力を存分に発揮した意欲作。(1)や(6)で聴かせる大胆なスキャットは痛快この上ないし、(7)の叙情味にあふれた表現力には思わずはっとさせられる。シンプルだが変化に富んだ伴奏も彼女の魅力を倍加させる聴きもの。
ジョン・コルトレーンの『バラード』に捧げた作品で注目を浴びたカーリン・アリソン。これは96年のコンコード第4弾だ。ジャズ・スタンダードをはじめ、ビリー・ジョエル、ジャヴァン、ボニー・レイットなど幅広い選曲。安定した歌唱、多彩な解釈で聴かせる。
グラミー賞ノミネート経歴もある正統派ジャズ歌手の5枚目のリーダー作。スタンダード曲からボサ・ノヴァの名曲までを鮮やかに歌いきった。ユニゾンするスリリングなスキャットが魅力的。ゲストにランディ・ブレッカーとゲイリー・バートン。
いきなり始まる仏語の(1)を聴くとアルバムを間違えたかと思う。仏語とポルトガル語、郷愁を誘う二つの言語が次第に溶け合って、“気持ちのいい部屋”を作り出してくれる。トラディショナルなジャズ・ヴォーカルとは違う陽気な世界。