2006年5月発売
五代目古今亭志ん生の長男で、志ん朝の兄でもある馬生の名演集シリーズだ。生前の馬生の高座は、辛気臭く感じられたが、いま聴くと意外と抜けている感じである。待ったなしと約束で始めた碁で仲違いしてしまう「笠碁」、新宿の廓女郎と馴染み客の化かし合いでの馬生の口調が、弟・志ん朝を思い出させる。芸風は異なっても、やはり兄弟と思わせる。町内の連中が、飛鳥山に出かけて賑やかな花見でひと芝居演じようとする「花見の仇討」の、グズグズになっていく過程が可笑しい。真夏にミカンを食べたいという若旦那ために、ミカンを探す粗忽な番頭さんの噺「千両みかん」。「品川心中」では、珍しくサゲまで演っている。殿様に見初められた町娘が男子を出産し、ぐうたらな兄・八五郎の噺「八五郎出世(妾馬)」。錦のふんどしを締めた与太郎が女郎買いに行く「錦の袈裟」。
巧妙で近代的な語り口で新たな芸風を切り開いた伝説の上方浄瑠璃名人。彼が残した貴重なライヴを復刻したアルバム。昭和26年大阪の四つ橋で行なわれた舞台の模様が収録されている。
江戸時代末期から幕末にかけて流行った三味線弾き語り曲の端唄。いわゆる当時の流行歌である端唄の名曲20作品を収録したアルバム。“江戸のいきといなせ”を歌い分けたひばりの歌声は見事だ。
渋谷系を代表するデュオ、ピチカート・ファイヴの企画アルバム。小西康陽と親交の深いDJやミュージシャンが、彼らの音源をエディットし、ミックスした遊び心満載のCUT UP盤。
河村隆一にとって初となるカヴァー・アルバム。“LOVE”をテーマに1960〜90年代までの名曲を、自身がセレクト。色気のある彼のヴォーカルと往年の名メロディが、これまでとは違った世界観を繰り広げる。
地元前橋を中心に定期的なコンサート活動を行なっている夫婦ユニット。彼らのインディーズ活動20周年を記念したマキシ・シングル。“平凡であることの嬉しさ”を美しくも力のあるメロディで聴かせてくれる。
82年に『カミノ・デル・ソル』で颯爽とデビューしセンセーションを起こしたユニットが、その続編として制作したアルバム。コンセプトは、フランスのエレクトリック・ボッサとクラブ・ミュージックの統合。おしゃれなサウンドを創造している。カヴァーも粋だ。
日本に数多く存在する、雨をモチーフにした楽曲の中から、しっとりと優しいヴォーカル曲を集めたコンピレーション。憂鬱な雨の日には、このアルバムで和んでみてはいかが?
NHKの『熱唱オンエアバトル』で話題となった男性デュオのデビュー・アルバム。チープな打ち込みサウンドで、80年代アイドル・ポップへの熱き想いに満ちた楽曲を展開する。周囲の空気とは無縁に“わが世界”を描ききる潔さをどう評価するかがポイント。
とても瑞々しいシューマンとブラームスだ。決して深刻さや神経質な表情を見せない。あくまで優しくてしなやかな立ち居振る舞い。素直でありながら芯の強さを失わないのもヘルマンの特質だろう。日本の音楽ファンが好むタイプの女流演奏家と言えそうだ。
スウェーデン出身で、メロディメイカーやプロデューサー、リミキサーなど幅広く活躍するラスマス・フェーバー。日本でも信奉者の多い彼の全シングルほか、代表曲を収めたベスト的アルバム。
2006年で四十路を迎えることが影響してか、ジョン・レノンに影響を受けた自作自演歌手としての素地が、このシングルにきて素直に反映されたよう。とはいえ奥田民生に比べると、やるせなさはひかえめ。この“永遠の少年”ぽさがファン的にはいいんでしょうね。
昭和30年代のビクターの都会派と言われた歌謡曲路線を作ったプロデューサー的な作曲家、吉田正の曲をクラシック・オーケストラで演奏する組曲に編曲したシリーズの5作目。合唱組曲付きで、団塊世代の合唱ファンにとっては歌いたくなる懐かしい歌だろう。
2005年恒例のクラブ・コンサートを収録した作品。リチャード・ボナ(el-b)との共同プロデュースにより、渡辺貞夫の世界が一段と陽気で暖かいものとなって伝わってくる。それにしても何とヒューマンなサウンドなのか。ラストのソロでクール・ダウン、渋い!