2009年4月発売
70年代後半〜80年代にかけて圧倒的な人気を誇ったTBS系音楽番組『ザ・ベストテン』のオフィシャル・コンピレーション・アルバム。メジャー・レーベル5社連動企画による84〜85年編で、当時の輝かしい楽曲が蘇る。
制作・出演
シモーネ・ヤング / ハンブルク・フィルハーモニー管弦楽団 / ファルク・シュトルックマン / ペーター・ガイヤール / ヤン・ブッフヴァルト / ユルゲン・ザッハー / ラディスラフ・エルグル / ワーグナー / ヴォルフガング・コッホジンマン、ノリントン路線を踏襲した小型、軽量、快速路線のベートーヴェン。細部の追い込み方はこの二者以上とも言えるもので、なかなかにピリリと辛い。オノフリのような自分勝手でもなく、プレトニョフのような思いつきでもない、真摯な演奏だ。
この曲の第3楽章の響きにこれほど多様な表情が潜んでいたのかと認識が洗われる。殊更な仕掛を弄しているわけではない。敬虔崇高な構えを作らず、沈着に耳を働かせて響きの色や質感の違いを引き出すことで、遥かな想いが巡りゆく未見の音の姿が浮かび上がる。★
作曲家、編曲家、オーケストラ指揮者の顔を持つ音楽家、ウーゴ・モンテネグロの69年作(日本初CD化)。ビーチ・ボーイズの「グッド・ヴァイブレーション」にはじまり、得意の映画音楽を含む多彩なポピュラー・ソングの数々を、魅力的に料理している。素材の良さを活かす一流のシェフだ。
ジャンルを越えて活動していた沢井忠夫を中心とした邦楽奏者たちと、日本ジャズ界の名プレイヤーたちによる異色のバッハ名曲集。どんな楽器やアレンジをも呑み込んでしまうバッハの懐深さと、録音時から約40年を経た今日でも面白く聴ける着想の妙に感嘆することしきり。
カントリー系の伝説的なギタリスト、チェット・アトキンスの68年発表作。改造した“オクターブ・ベース・ギター”を駆使しながら、ジャズ・スタンダードやヒット・ソングを取りあげた。多重録音して大半を一人で録音したようだ。独特なテクを楽しめる。
80年代にアイドル的な人気も得た女性ジャズ歌手と、カルロス菅野率いる広角型ラテン・ジャズ・バンドが和気あいあい、素直に重なった共演作。きらびやかで弾力ある重厚サウンドのもと、ちょいハスキーな歌声が気持ち良さそうに泳いでいる。好企画作。
アメリカのオーディション番組『アメリカン・アイドル』で優勝を勝ち取ったロック・アーティスト、デヴィッド・クックのデビュー・アルバム。彼が敬愛するクリス・コーネルらとともに製作した、ハードなロック作だ。
小室等、及川恒平、四角佳子の3名から成る“まるで六文銭のように”が、小室の娘・こむろゆいの加入で“六文銭'09”として活動を開始。アコギ2本と歌のみという構成で、フォーク・ソング研究会を思わせる真摯な歌を聴かせる。「出発の歌」はやはり名曲。
1970年〜99年の作品を網羅したベスト・アルバム。「結婚しようよ」「落陽」といった初期の名曲から、「全部だきしめて」などの近年の作品まで収録。昔を懐かしむ団塊の世代にも、初めて吉田拓郎に触れる若い人にも最適な一枚だ。
ハウス界の新プリンセス、加賀美セイラのファースト・アルバム。COLDFEET、MAKAI、田中ユウスケ(Q;indivi)、note nativeほか豪華クリエイター陣が集結したハイ・クオリティな仕上がりで、「結婚行進曲」を取り入れた「The Wedding」など、ハウスの枠に留まらない遊び心も楽しい。
大野雄二自身が立ち上げたレーベル、LUPINTICからのリリース第2弾。存分に洗練された聴きやすいサウンドなるもアレンジは緻密。泥臭さを払拭した「Tennessee Waltz」がその好例。いやもっと好例はラストの「瞳がほほえむから」。ゲストの今井美樹のヒット曲すらスタンダード化してしまっている。
まだ20代ながら、不思議と70年代の空気感も持っている彼女の、ソロとしては『風はびゅうびゅう』(2008年)に続く4作目。自由で、伸び伸びとした表現力があって、彼女が歌い、ピアノを弾き始めると、歌の主人公や景色が勝手に動き出すような感覚になる。