2009年発売
通奏低音などの入らない、リコーダー2本だけで繰り広げられる優美なバロックの世界。名手の山岡と、その弟子で幅広く活躍する向江の息はぴったりと合い、しなやかな音楽を作る。すべてはフラウト・トラヴェルソの作品だが、リコーダーに置き換えられることで華やかになった。
堤にとって3度目の同作品の全曲録音。「以前よりもバロック的なものに近くなった」とは本人の弁だが、骨太な構成や、ゆったりとした呼吸感がもたらす懐深さといった持ち味を損なうことなく、見事に新境地を切り拓いている。第5番はA線をGに下げる変則調弦を採用。
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マイスター・ミュージック独奏を含む多様な編成でリコーダーの響きの魅力を満喫すると同時に、この楽器が活躍したルネサンスからバロックの佳品を幅広く集めて、時代の音、様式の違いによる音の表情の変化も楽しめる聴きどころ満載のCD。山岡のウデのほども申し分なく、仕掛け十全。
注目は[21]収録の「火焔太鼓」で、1952年4月、61歳と油の乗り切った時期の録音。志ん生十八番中の十八番のネタだが、この音源はSPからの復刻を別にすれば最も古いもので、元気いっぱい、瑞々しい語り口だ。それ以外は66年録音の[22]収録の「佃祭」と[23]収録の「お直し」を除き、倒れる直前の61年の音源で間の取り方=押し引きの妙がたまらない。陰惨な噺を見事に笑いに転化した[21]の「黄金餅」、奇想天外な発想をそれとは感じさせない「二階ぞめき」、独特のフラが究極まで活かされた[22]の「替り目」など、全盛期の志ん生が味わえる。
つぶやくような独特の語り口と人間の喜怒哀楽を描き、通好みの噺家として知られる可楽のアルバム。「味噌蔵」は、鳴り物入りで三階節を歌うなど陽気な仕上がり。「子別れ(上)」は、得意な酔っ払いの描写が冴えている。昭和31年、59歳という全盛期の録音。
物腰が柔らかく、丁寧で明るい口調で、時として金馬を思わせた柳枝(明治38〜昭和34年)の最晩年である昭和31〜34年の音源で、初商品化や初CD化の音源ばかり。いかにも柳枝と思わせる噺の甲府から出てきて豆腐屋の婿になる「甲府い」、空き巣に入って酒を馳走になる泥棒の「締め込み」と間抜けな泥棒が出てくる噺の「花色木綿」、爆笑が続く「野ざらし」では客席の陰でクルマのクラクションが鳴っていたりする。仕返しに女房連を坊主にする「大山詣り」などを聞かせる。今では珍しい噺も演じている。
“郷みん’S”"は澤瀉秋子(唄、津軽三味線、三味線、太鼓)と椿正範(津軽三味線、唄)、松浦奏貴(踊り、太鼓)の郷土の民謡を今に伝えたいという20歳代の民謡界の若手たち三人によるユニット。聴いているうちに松浦が「安来節」を踊る姿を観たくなる。
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日本伝統文化振興財団福原徹は篠笛から能管まで自在にこなすバリバリの邦楽の笛方である。彼は主に長唄や古典を中心に活躍するが、作曲もする。本盤には自作品とバッハの編曲も織り交ぜる。とりわけ囃方(はやしかた)の楽器によるアンサンブル曲は新境地を切り開く印象で面白い。
おもに1950年代西海岸で活躍、90年代には日本も二度訪れたことのあるウィリアムソンが、77年に残したソロ・ピアノに未発表曲を追加した完全版。敬愛するハンプトン・ホーズにも迫る繊細で華麗なプレイで、随所に70年代らしい雰囲気も漂わせる。追加曲はすべて彼のオリジナル。