著者 : ヘンリー・ジェイムズ
ヨーロッパにおける、アメリカ人女性の無垢で奔放な生を描き、〈国際テーマ〉の名作として文名を高めた短編「デイジー・ミラー」。画家とモデルと絵画の関係を寓話的に描き出す〈芸術もの〉の短編「ほんもの」。ヘンリー・ジェイムズの小説的リアリティの特性が浮かび上がる珠玉の2篇。
イギリス郊外に静かに佇む古い貴族屋敷に、両親と死別し身を寄せている眉目秀麗な兄と妹。物語の語り手である若い女「私」は二人の伯父に家庭教師として雇われた。私は兄妹を悪の世界に引きずりこもうとする幽霊を目撃するのだが、幽霊はほかの誰にも見られることがない。本当に幽霊は存在するのか? 私こそ幽霊なのではないのか? 精緻で耽美な謎が謎を呼ぶ、現代のホラー小説の先駆的な名著。
没後100年が過ぎ、なおその文学的先駆性と言語表現の豊饒さで魅了するヘンリー・ジェイムズ。中短篇から選りすぐった傑作選。 モーヴ夫人 五十男の日記 嘘つき 教え子 ほんもの 解説 行方昭夫 年譜 行方昭夫
難解な作家だと言われるヘンリー・ジェイムズだが、ここに収められた作品は、いずれもジェイムズが比較的若い頃に発表したものであり、物語を読む楽しさを再発見させてくれるものばかりである。あまり語られることのなかったジェイムズのストーリー・テラーとしての一面に触れることができる英米文学研究者必読の書。 オズボーンの復讐(一八六八) [李 春喜] ブリソー氏の恋人(一八七三) [李 春喜] ファーゴー教授(一八七四) [李 春喜] ローズ・アガサ(一八七八) [中村善雄] ロングスタッフ氏の結婚(一八七八) [村尾純子] 監訳者あとがき [李 春喜]
“アメリカ的なもの”と“ヨーロッパ的なもの”の対立を扱い、一躍ジェイムズの文名を高めた「デイジー・ミラー」。その解釈をめぐって議論百出の感のある、謎に満ち満ちた幽霊譚「ねじの回転」。“視点人物”を導入した最もポピュラーな中篇二篇を収録。新訳。