著者 : 吉川凪
允国は学徒兵に志願し長年の苦難に耐えてきた西姫を打ちのめす 日本の敗色濃厚な戦争で朝鮮も焦土と化すのか 戦争の暗雲は平沙里にも漂っている。母の家を逃げ出してきた南姫は心身ともに病んでいた。 成煥の祖母は成煥の出征を知って失明してしまう。 允国は戦地に出発し、還国はひどくやつれた母の姿に衝撃を受ける。 李府使家の民雨も日本で行方をくらました。 もはや親日派すら何の力もなく、禹介東は面事務所を解雇され、ハイ雪子には悲惨な結末が待っていた。 他方、栄光は仁川に良絃を訪ね束の間の逢瀬に喜びを得るが、二人の未来を信じられない。 麗玉はソウルに来た翔吉に自らの決意を伝え、緒方は父親と名乗れないまま荘次と満州への旅に出る。 女学校四年生になった尚義は日本人教師の理不尽な振る舞いに敢然と立ち向かう。 第五部 第四篇 純潔と膏血 二章 毒牙 三章 青春の香気 四章 万里の道を行き来して 五章 平沙里の闇 六章 夜鳥とススキ 第五部 第五篇 光の中へ! 一章 対決 訳注 訳者解説
窮乏する時代にも互いを思いやる心がある 西姫も親族も強く望む允国との結婚に良絃はついに決断を下す 18巻 あらすじ 日本の敗色は今や隠しようがなく、朝鮮でもすべての物資が欠乏している。 キリスト教徒の一斉検挙で投獄された麗玉は釈放されたものの、その凄惨な姿に明姫は衝撃を受けた。 栄光への愛と、兄嫁との葛藤に苦しむ良絃は医師となって家を出た。 晋州で寮に入り高女に通う尚義は、天皇主義者の教師に反発する内向的な少女に成長している。 統営では趙俊九が醜い様で生涯の幕を閉じ、モンチは周囲の心配をよそに子持ちの寡婦媌媌花に求婚する。 任明彬は静養のために智異山を訪れ、輝は徴用を避けて山に戻った。独立運動に関わる若者も山に逃れてきたが、過激なことを企んでいるのではないかと海道士は警戒の目を向ける。 第五部 第三篇 底なし沼 一章 消息 二章 山へ 三章 媌花一家 四章 赤と黒 五章 愛の彼岸 六章 昔の芝生 第五部 第四篇 純潔と膏血 一章 山は紅葉しているけれど 訳注 訳者解説
残忍な男によって、目の前で妻と娘の命を奪われたユ・ミョンウ。犯人は捕まらず、未解決のまま15年を迎えた。犯人が古書に異常な執着を持っていることを見抜いたユ・ミョンウは、犯人をおびき出すために古書だけを扱う〈記憶書店〉を開店した。そこに現れた4人の怪しい客。「この中に犯人がいる」と確信し、調査をはじめるが……。 家族を失った怒れる男のかつてない復讐劇が、いま始まる。
「人」から始まり「人」で終わる連作詩集 言葉遊びで描く喜びと悲しみ 「会う時はアンニョンでいたくてアンニョン 別れる時はアンニョンではいられなくてアンニョン 待つ人が路地にいた。 待つ時までいた」(「待つ人」より) 言葉遊びに気を取られているうちに周囲の時空が歪み始め、 自分がいつの間にか韓国の、あるいは日本にも共通した 生きづらい世の光景を眺めていることに気づいて愕然とする。 そして、この詩人はただものではないらしいと、 改めて認識するだろう。 ──訳者解説より オ・ウンの詩集『僕には名前があった』には、 都市で暮らすいろいろな人が集まっていた。 その日常の身近な言葉で綴られた詩はエッセイのようでもあり、 また突如少ない字数で語られる人の一代記のようでもある。 どの人にもどこか心当たりがあり、目を瞑って適当に本を開いて読めば、 それは占いかおみくじのようでもある。 ユーモアのある言葉の中でそれぞれの人はみな、存在の岐路に立っている。 ──友田とん (書評「都市で暮らし、行き交う人びとに言葉遊びで想像を膨らませる」より) 人 よく考える人 望ましい人 凍りつく人 待つ人 持つ人 落ちた人 読む人 いい人 昔の人 都会人 手を離す 決心した人 散歩する人 よろける人 一流学 偉い人 恋人 凝視する人 行ってきた人 線を引く人 オレンジ色の少年 猶予する人 一九五八年戌年生まれ 計算する人 無人工場 三十歳 うるさい顔 糸車は元来、文来 三回言う人 あと一歩 人 付録 しない 水滴効果 解説 言葉遊びで描く喜びと悲しみ
休戦直後の混乱の最中 あの深い中庭のある家で 避難民も夢を追っていた 朝鮮戦争休戦の翌年、小学校を卒業したばかりの〈僕〉は、各地からの避難民で溢れる大邱で暮らすことになった。混乱した社会で生きる人々の哀歓が〈僕〉の周囲で起きるさまざまな事件とともに生き生きと描かれている。 発表から三十余年を経て、今なお読み継がれるロングセラー。 .............................................. 「CUON韓国文学の名作」はその時代の社会の姿や 人間の根源的な欲望、絶望、希望を描いた 20世紀の名作を紹介するシリーズです 主な登場人物 第一章 第二章 第三章 第四章 第五章 第六章 第七章 第八章 第九章 第十章 作家の言葉 訳者解説
韓国における女性作家の草分け 朴景利による大河小説『土地』第五部始動! 韓国の国民的大河小説であり、たびたびドラマ化もされている朴景利作『土地』は、朝鮮半島・日本・旧満州の近代史を経糸に、その時代に翻弄される様々な人々の日常から生まれる愛と恋・葛藤・悲しみ・喜び・苦難を横糸に織り成す、全五部・20巻の壮大なタペストリーです。 今回の16巻から始まる第五部では、1940年から1945年まで、朝鮮が日本の敗戦により植民地支配から解放されるまでの日々が描かれていきます。 16巻 あらすじ 同郷の友であり同志であった寛洙が牡丹江で病死したことで、吉祥は自分の生き方を見つめ直す。 主治医だった朴医師の死に衝撃を受けた西姫は、心の奥底に秘めていた思いに気づく。二人は互いの存在が束縛であったことを初めて認め合う。寛洙の死は家族を再会させ、新たな絆をもたらした。 還国は家庭を持ち新進気鋭の画家となり、李家に戸籍を移した良絃は女医専に学んでいる。西姫は允国と良絃について意外なことを言い出す。 日本は日中戦争の泥沼から抜け出せず、物資が不足して生活は不便になるばかりだ。朝鮮語の言論は弾圧され、志願兵、創氏改名など新たな制度で朝鮮の人々はますます生きづらくなっている。 第五部 第一篇 魂魄の帰郷 一章 新京の月 二章 踊るコウモリたち 三章 蟾津江の岸辺で 四章 モンチの夢 五章 観音菩薩像 訳注 訳者解説
ヤバイやつらが続々襲来! どうする人類? 「驚かないで! ぼく、ほんとに弱いの。殺したりしないでね」。命乞いする落ちこぼれ妖怪に、「プルスマ、プルスマナス」と呪文をつぶやく謎のエイリアン。さらには人間からダシをとりたい妖怪世界の料理人から、あがり症の新米悪魔まで。ヤバイやつらがゾクゾク襲来! どうする人類? ◆表題作「世界でいちばん弱い妖怪」 人間界に落ちてきた妖怪は、警官に取り囲まれるなり、開口一番、救いを求めた。「ねぇ待って! 撃たないで! 一発で、ぼく死んじゃう」。妖怪には足がない。歩けない。震えながら取引をもちかける。「君たちがぼくを生かしてくれるなら、ぼくも自分の妖術で人間を助けることができるよ」。妖怪に食べられると肛門から出るころには若返るという。実際に妖術が成功すると、若返りを求めて人びとが列をなした。人類と妖怪の共存だ。しかし約1万人が青春を取り戻したころ、のみこまれた人が死んでしまう事故が起こり…… くすっと笑えて、時々ドッキリ、最後に沁みるショートショート18編。 人気イラストレーターのクイックオバケの挿画もたくさん入って、ページをめくるだけで楽しめる。朝読やすきま読書にもオススメです。 【編集担当からのおすすめ情報】 ◆異端のショートショート作家キム・ドンシクとは何者? 1985年韓国生まれ、釜山育ち。学校が嫌で中学校は1年で辞め、ソウルの鋳物工場に10年勤務する。将来の夢もなく、小説とは無縁の半地下生活を続けるなか、2016年、退屈しのぎでネット掲示版にショート・ショートを投稿すると瞬く間に人気者に。突如現れた無名作家は、韓国文学界をも揺るがした。その後、東方神起・チャンミンがインスタで紹介したことで、幅広い層のファンを獲得。これまでに書いた作品は約900編にのぼる。本作品にて日本初上陸! 著者まえがき 黄金人間 世界でいちばん弱い妖怪 スマイルマン アリ人間、キリギリス人間 タトゥー 目をつぶりたい人たちの世界 六本の矢 釣り上げられた奇妙な物体 プルスマ、プルスマナス 額に手を当てろと言うエイリアン 財産を隠せない世界 新米悪魔との取り引き 部品を求める妖怪 南極に行きたい妖怪 ダシを取る妖怪 ウンコのできない妖怪 世界でいちばん美しい妖怪 お客さんをどこに送るべきか
<b>「1935年に『鄭芝溶詩集』が出版された時、 朝鮮の詩は大きな転機を迎えた。 近代と現代を敢えて分けるなら、 ここから現代詩の時代に入ったと言っていいだろう」</b> (訳者解説より) 同志社大学在学中、北原白秋にその才能を称賛された鄭芝溶は、やがて母国の言葉で近代人の感情を繊細に描いた『鄭芝溶詩集』(1935年)で韓国詩壇を熱狂させ、尹東柱など多くの人々に影響を与えた。 代表作以外に、留学時代の思い出を綴ったエッセイも収録した詩選集。 『鄭芝溶詩集』( 詩文学社、1935)より 『白鹿潭』( 文章社、1941)より 未収録詩篇 韓国語エッセイ 日本語作品 散文詩 エッセイ 訳者解説 鄭芝溶年譜
智異山周辺で独立運動が新たな局面に入ろうとしている 吉祥の帰還で物語はどう動くのか 14巻 あらすじ 吉祥が出獄する直前、西姫は東学の流れを汲む運動の資金として新たな土地を提供した。智異山周辺での活動を再開した寛洙は官憲に居場所を知られる危険が生じ、釜山を離れる前に娘を連れてカンセの家に行く。 緒方次郎、柳仁実、趙燦夏の三人は晋州の崔参判家に吉祥を訪ねた足で、統営郊外の学校に行き、教師となった明姫に会う。悲惨な結婚生活からは逃れたものの、明姫は心の平穏を得られずもがいていた。 仁実と緒方は愛し合っていることを確信しながら、その関係に混乱するばかりだ。金持ちになったが親や本妻を粗末に扱う斗万に、父は意外な通告をする。日本で働いていたヤムはやつれきって平沙里に帰ってきた。 第四部 第二篇 帰去来 六章 誕生祝い 七章 寂寥 八章 母と子 九章 二人の女 十章 縁のない衆生 十一章 洗濯場 十二章 生き残るには 第四部 第三篇 明姫の砂漠 一章 姉妹 二章 ヤムの帰郷 三章 対面 四章 興味深い人物 五章 愛 六章 汚れなき愛国者 七章 父と娘 八章 晋州への旅 九章 儒者と農民、武士と商人 十章 明姫の砂漠 第四部 第四篇 仁実の居場所 一章 輝の葛藤 二章 初夜 訳注 訳者解説
2021年12月、著者 金恵順が東アジアの詩人を表彰するスウェーデンの文学賞「Cikada Prize」を受賞しました! ===================================== 死の次に訪れる時間のなかで すすり泣くリズムたち 「あなたは既に死の中に生まれています」 光州民主化抗争やセウォル号事件など権力の暴力や怠慢によってもたらされた死、そしてすべての無念な死に捧げた「死の自叙伝」49篇と長詩「リズムの顔」。 韓国フェミニズム詩の旗手金恵順が奇抜なイメージ、スピード感、時にグロテスクですらある力強さを存分に発揮し2019年に<詩壇のノーベル賞>と称されるカナダのグリフィン詩賞をアジア人女性として初めて受賞した詩集。 残された者の痛みを抱く詩人は、死後の物語を追いかける。 わたしたちの生は、不完全な死だと告げながら。 三角みづ紀(詩人) 死の自叙伝 リズムの顔(『翼の幻想痛』より) 『死の自叙伝』あとがき 『死の自叙伝』訳者解説
<b>光が問い詰める 嘘をつくな お前はどちら側なんだ</b> 夜道に突然現れ、助けを求めてきた謎の男。 精神病院の医師は男のトラウマの原因を究明できると豪語するが、雑誌編集長の「私」は、男の書いた小説から朝鮮戦争の陰惨な記憶を探るー。 独裁政権下の韓国を舞台に人間の本質を追求し描いた李清俊の初期代表作。 うわさの壁 訳者解説 著者・訳者プロフィール
獄中の吉祥を案じる西姫と還国に平穏は訪れるのか 新しい局面の予感で第三部が幕を閉じる <12巻 あらすじ> 還国と共に西大門刑務所で吉祥に面会した西姫は、その帰途、釜山で盲腸炎になり手術を受けた。晋州から駆けつけた朴医師はなぜか取り乱している。その晋州ではソリムの縁談が周囲に波紋を広げ、彼女に思いを寄せていた還国と舜徹も心を乱す。 独立運動に関わる錫と寛洙は執拗に警察に追われ、満州や沿海州の運動家たちも身動きが取れない。 龍井を訪れた恵観は周甲と別れてあてどない旅に出る。 平沙里では紀花が痛ましい最期を迎え、娘の良鉉は西姫の元で還国・允国の妹として暮らす。 朝鮮を離れている良鉉の父相鉉は、明姫に意外な手紙を送る。 龍が世を去り、息子の弘は龍井に移り住む決意を固める。 第三部 第四篇 長い旅路 十五章 殺害 十六章 眠っているような 十七章 カフェ 十八章 奇人か 第三部 第五篇 若き鷹たち 一章 煩悩無限 二章 手を握って言ったこと 三章 馬車を待ちながら 四章 酒癖 五章 好々爺 六章 民族改造論 七章 一羽の白い鳥 八章 裏切り者 九章 同乗 十章 名匠 十一章 若者たち 十二章 誤算 十三章 手紙 十四章 龍の死 十五章 満州行き 十六章 指示 十七章 愛 十八章 結婚 十九章 ひよこ 二十章 若い鷹 訳注 訳者解説
呉圭原の詩と詩論は、韓国詩壇にとって常に驚異だったーー 年代ごとの代表作から辞世まで70作を収めた詩選集 「漢江の奇跡」と呼ばれた高度成長期。韓国の人々が豊かな生活を夢見ていた時、呉圭原は奇抜な表現で資本主義の虚妄をついた。 ウィットとユーモアで時代を軽やかに駆け抜けた詩人の軌跡を追う、日本オリジナルの詩選集。 詳細な年譜付き。 『明らかな事件』(1971) 『巡礼』(1973) 『王子ではない一人の子供に』(1978) 『この地に書かれる抒情詩』(1981) 『時には注目される生でありたい』(1987) 『愛の監獄』(1991) 『道、路地、ホテルそして川の音』(1995) 『トマトは赤い いや甘い』(1995) 『童詩集 木の中の自動車』(1995) 『鳥と木と鳥の糞そして石ころ』(2005) 『頭頭(ずず)』(2008) 辞世 訳者解説 年譜
もしも隣人が異星人だったら? もしも並行世界を行き来できたら? もしも私の好きなあの子が、未知のウイルスに侵されてしまったら……? 切なさと温かさ、不可思議と宇宙への憧れを詰め込んだ、韓国SF短編集全15編。 同性愛、フェミニズム、差別と情報統制ーーマイノリティからのまなざしを受け止めつつ、人々の挫けぬ心を繊細に描く、「いま」と未来の物語。 宇宙飛行士を志す「私」は、夜な夜な母と囲碁を打ちながら、そのための勉強と準備を着々とすすめていた。しかし試験から帰ったその日、交通事故に遭い……。(「宇宙流」) 馬山沖には、亡者の残滓が水面に浮き上がって見える場所がある。ある日台風のニュースで、行方不明者リストの中に昔好きだった女の子の名前を見つけたヒョナは……。(「馬山沖」) スジョンの住む部屋の隣には、ガマガエルのような見た目の〈彼〉が住んでいる。 ある日ひょんなことから、その〈彼〉をお茶に招くことになり……。(「となりのヨンヒさん」) 【目次】 第一部 となりのヨンヒさん デザート 宇宙流 アリスとのティータイム 養子縁組 馬山沖 帰宅 となりのヨンヒさん 最初ではないことを 雨上がり 開花 跳躍 第二部 カドゥケウスの物語 引っ越し 再会 一度の飛行 秋風 【著者について】 チョン・ソヨン ソウル大学で社会福祉学と哲学を専攻。 大学在学中、ストーリーを担当したマンガ「宇宙流」が2005年の〈科学技術創作文芸〉公募で佳作を受賞し、作家としてのスタートを切った。 小説執筆と併行して英米のフェミニズムSF小説などの翻訳も手掛けている。 2017年には他の作家とともに〈韓国SF作家連帯〉を設立し、初代代表に就任した。 社会的弱者の人権を守る弁護士としても活動中。 【訳者について】 吉川凪(よしかわ・なぎ) 大阪市生まれ。新聞社勤務を経て韓国に留学し、仁荷大学国文科大学院で韓国近代文学を専攻。文学博士。 キム・ヨンハ『殺人者の記憶法』(クオン)の翻訳で、第4回日本翻訳大賞を受賞した。 著書に『京城のダダ、東京のダダーー高漢容と仲間たち』など、訳書にチョン・セラン『アンダー、サンダー、テンダー』、崔仁勲『広場』(以上クオン)など多数。
若い世代に軸を移し、物語は進行していく <10巻あらすじ> 崔参判家の屋敷を取り戻した西姫は、つらい思い出ばかりだった平沙里に、ようやく姿を現した。その秋夕の日、チャングや鉦の音は往時を思わせたものの、かつて祭の中心だった村人たちは老い、あるいは既に世を去っていた。 中学校の入学準備のため長男・環国について上京した西姫は、ソウルの街角に吉祥の面影を追い求めたが、ついに再会はかなわない。 龍は身分の差を乗り越えて、息子の弘を金訓長の孫娘と結婚させる。 妓生・紀花(鳳順)は、誰にも告げずに相鉉の子を産んでいた。 一方、任明彬の妹・明姫のように新教育を受けた「新女性」たちも自らの生き方を模索し、それぞれに思い悩んでいた。
朝鮮半島にある二つの国家。朝鮮戦争停戦後、釈放捕虜となった李明俊は、腐敗した南に留まることも硬直した北への帰還も拒み、第三国行きを希望するがーー。 分断された社会の本質に迫り、その対立の狭間で葛藤し続ける人間を描いた、世紀を越えて読まれるロングセラー小説。 作家のことば 「広場」 訳者解説
今注目の作家チェ・ウニョンの短編集第1作、待望の邦訳 高校の文化交流で日本から韓国へやってきたショウコは、私の家に1週間滞在した。帰国後に送り続けられた彼女の手紙は、高校卒業間近にぷっつり途絶えてしまう。 約十年を経てショウコと再会した私は、彼女がつらい日々を過ごしていたと知る。 表題作のほか時代背景も舞台も異なる多彩な作品を収録。 いずれの作品の登場人物も哀しみ、苦しみを抱えながら他者と対話し、かかわることで、自らの人生に向き合おうとする。 時と場を越えて寄り添う7つの物語。 ショウコの微笑 シンチャオ、シンチャオ オンニ、私の小さな、スネオンニ ハンジとヨンジュ 彼方から響く歌声 ミカエラ 秘密 作家の言葉 作家と作品について
<7巻あらすじ> 周囲の冷たい視線を退けて吉祥を夫にした西姫は、故郷に帰るためなら親日派と見られても平気だ。 しかし、独立運動に憧れる吉祥の気持ちが離れていくことに苦しむ。 朝鮮では九泉も関わって、東学の残党を糾合した独立運動が画策されるが、先行きは見えない。 恵観和尚は、技生・紀花となった鳳順を伴い、独立運動の現状を確かめるために間島にやってきた。懐かしい人々と再会した鳳順は、流れた歳月を思い心乱れる。 一方、吉祥は金頭洙と名乗る密偵が巨福であると確信し、ついに直接対面する。 ソウルでは趙俊九の財産を巻き上げる策略に、西姫の意を受けた龍井の孔老人も加わっていた。 第二部 第三篇 夜に働く人々 十章 男たち 十一章 元の住みか 十二章 白丁の家族 十三章 常奴に生まれて 十四章 同行 第二部 第四篇 龍井とソウル 一章 妙香山の北辺の墓 二章 夫婦 三章 襟巻きの女 四章 彼らの再会 五章 日は暮れて 六章 執念は西姫の孤独 七章 会いたかった人たち 八章 うろたえた周甲 九章 発病 十章 父と子 十一章 廃屋のごとく 十二章 夜道で 十三章 情 十四章 通り雨の恋 十五章 対面 訳注 第一部のあらすじ・主な登場人物 平沙里周辺の地図 訳者解説
<6巻あらすじ> 西姫は吉祥と結婚することを考えていた。しかし吉祥は、会寧にいる子連れの若い寡婦と結婚するつもりだと言う。真偽を確かめるため、西姫は吉祥と会寧に行ってその寡婦に会い、帰りに事故で負傷する。一方、西姫に完膚なきまでに拒絶された相鉉は朝鮮に戻り、妓生になった鳳順(紀花)と再会する。 平沙里を出た村人たちのその後は、いずれも楽ではない。九泉(環)、恵観和尚、吉祥と親しかった寛洙は独立運動に身を投じている。苦難の時代に、それぞれ自らの道を切り開こうとする人々の姿が、壮大なスケールで描かれる。 第二部 第二篇 夢の中の帰馬洞 八章 心臓を裂いて捧げましょうか 九章 九万里長天に舞う鳥よ 十章 風雲 十一章 履物は足に合わなければ 十二章 会寧訪問 十三章 流れ者 十四章 襟巻き 十五章 夢の中の帰馬洞 十六章 走狗の輩 十七章 わなにかかる 第二部 第三篇 夜に働く人々 一章 乞食坊主 二章 舟 三章 山清市場の殺人 四章 開化党の反開化論 五章 帰郷 六章 チョカニ家 七章 後家と妓生 八章 出発 九章 情炎 訳注 第一部のあらすじ・主な登場人物 訳者解説
崔参判家の実権を握った趙俊九は、法外な小作料を取り立てるなど、その横暴さは目に余るものとなった。日露戦争に勝利した日本が朝鮮の主権を侵食し、日本の有力者につながる俊九の勢いは増すばかりだ。 崔参判家の跡取り娘の西姫は、俊九に反撃できない鬱憤から吉祥、鳳順にしばしば八つ当たりする。 鳳順は吉祥への思いを募らせるが、吉祥はその思いを受け入れられない。幼い頃から固い絆で結ばれていた三人の間には、微妙な亀裂が広がる。 祖国存亡の危機に重なる西姫の窮状に、彼女を支えてきた人たちは俊九に反旗を翻した。追われる身となった彼らと共に、西姫は新天地を目指す覚悟を決める。 第一部 第四篇 疫病と凶作 十六章 情が多過ぎても狂うのだろうか 十七章 愚かな反骨と邪悪な理性 十八章 蟷螂の斧だと言っていたけれど 十九章 酒宴の風景 二十章 旅立つ人々 第一部 第五篇 去る者、残る者 一章 黄泉の三途の川 二章 花靴 三章 脚の取れたたんす 四章 乱行 五章 過客 六章 乙巳保護条約 七章 日陰に差す日光 八章 春の草と冬の木 九章 乞食が伝えた言葉 十章 往年の東学将軍 十一章 対面 十二章 あばら屋の歌い手 十三章 夜に泣く女 十四章 帰ってきた潤保 十五章 義挙 十六章 悪は悪を忌避する 十七章 かすかな希望がぶらんこに乗る 十八章 故国の山河を捨てる人たち 訳注 イラスト図版 崔参判邸の見取り図 訳者解説 監修、訳者略歴