著者 : 吉村達也
一人の銀行員がマンションの一室でゴリラに刺し殺された。血の海となった惨劇の現場には、書きかけの日記が。しかし、被害者の自筆による日記は、その日に限って横書きで記されていた。渋谷署のベテラン巡査部長夏目邦雄は、その謎にこだわった。被害者は、なぜ日記を横書きにしたのか。やがて、犯人から新たな殺人を示唆する奇妙なクロスワードパズルが送り届けられた。本文のレイアウトそのものが事件を解くヒントになっている、前代未聞の横書きミステリー登場。
箱根空間美術館の庭園に、黄金色に輝く巨大な円筒が屹立していた。美術館15周年記念として創られた立体芸術作品〈ニュートンの密室〉-。高さ15メートル、直径8メートルの円筒で、内部から上を仰ぐと円形の青空が見える。その披露パーティ当日、女性芸術家が円筒内部で惨殺された。それは万有引力に逆らわなければ到底不可能な殺人と思われた…。
奇妙な首吊り死体だった。その男は口にティッシュを詰め、コマのように回転していた。新潟県警は不自然さは残るとしながらも、自殺として処理。が、ポケットから発見された〈ピタゴラスの時刻表〉と題された紙片に込められた殺人者の意図には気づかなかった。“新潟・東京・米原”の3点を結ぶ地名と時刻が記されたその紙片こそ、1年後に始まる惨劇の予告だった…。
勇壮な木落としで知られる日本三大奇祭のひとつ、信州諏訪大社の御柱祭。祭のハイライトの木落としで、巨大な御柱が暴走した!折しもその日、東京大田区の諏訪神社境内で男の変死体が発見される。境内の御神木には御柱祭の儀式に使用される鳥のかたちをした薙鎌が打ちつけてあり、男の髪には赤い風車が2本差してあった…。警視庁捜査一課の志垣警部は、和久井刑事と共に事件の洗い直しを開始する。被害者の靴から採取された土を手掛かりに2人は信州へと旅立った。次第にその姿を現わす驚愕の事実。大好評第3弾。
「花咲村」での凄惨な事件は一応の収束をみたが、父、耕之介の残したメッセージは、次なる事件の到来を予言していた。推理作家である朝比奈耕作の作品のテレビドラマ化の話がもちこまれたのだ。舞台は伊豆諸島の南端、青ヶ島。そこには、深い緑に囲まれた鳥啼村があった…。ドラマ化の打合わせに出かけた朝比奈は、プロデューサー、柿沼正二の変死体を発見した!ますます深まる謎また謎。好評シリーズ第二弾。
戦後一代で財を成した大富豪・美宗門康則は、本宅を関西の超高級住宅地芦屋市六麓荘に、妄宅を東京田園調布に構え、それぞれ西のお屋敷、東のお屋敷と称した。6月6日午後8時30分、西のお屋敷で、美宗門家の双子の娘の一人・美果が殺された。ベッドは血の海で、一かたまりの髪の毛と血に染まったパジャマがあるだけで、死体は消えていた。同時刻、東のお屋敷では、姉の美和が全裸で尼僧のように髪を剃られた凄惨な姿で発見された。誰が何のために、このような手のこんだ猟奇的演出をしたのか。大トリック&どんでん返しの妙。精神分析医・氷室想介の苦悩と名推理。好評シリーズ書下ろし第3弾。
白いブルーバードの中で男が3人殺されているー携帯電話から通報を受けた神奈川県警のパトカーが現場に急行した。だが、車内には血の跡が残されているだけだった。1分半もたっていない間のことである。一方3人の死体を目撃したヨコハマ自動車の社員・杉本千鶴は、6年前のある“できごと”に怯えた。千鶴をはげまし、死体消失のトリックに挑むOL捜査網。
「4つの村から神が来る花咲、鳥啼、風吹、月影『四神』たちの崇りなり我、秘密を知り過ぎたり」。10年前の夏、謎の首吊り自殺を遂げた父、耕之介が残したメッセージが、朝比奈耕作を不可解な事件へと導いた。郷土史家の耕之介が30年前に訪れていた鳥取県の山深き寒村、花咲村。舞い散る桜の花に覆いつくされた神秘的な山里で、身も凍る伝説が現実となってゆく…。錯綜する情念のはざまで朝比奈は、自らのルーツと父の影を追い求める。謎が謎を呼ぶ「惨劇の村」5部作第1弾。著者渾身の大河連作ミステリ。
山頂から滑走してきたソリの上に、人間の首が!開校初日のスノーバード・スキー・スクールは大混乱に陥った。が、それは精巧にできたロウ人形だった…。悪質なイタズラに胸騒ぎを覚えた副校長・平田均の予感は的中する。突然の吹雪、インストラクター・秋山の発狂、首と胴が離れた幽霊の出現…。〈このスクールは呪われている〉不気味な噂が囁かれた時、首を切断された生徒の死体が発見された。雪に閉じ込められた山荘を恐怖が覆い、やがて第2、第3の殺人が…。気鋭が仕掛けた大型トリックの妙。
ニューヨークの空港に着いた47歳の福岡竜男は、入国審査官を前に青ざめていた。カタコトの英語しか話せない彼にとって、海外赴任は拷問以外の何ものでもなかった。が、社の命令である。最低3年間は頑張ろう…。これが悲劇の始まりだった。はたして英語ノイローゼに陥り、半年で帰国した彼を待っていたのは、アメリカ人が絡んだ前代未聞の連続殺人だった…。長編本格推理小説。
世田谷区成城、高級住宅の自室で、若い女性が顔をつぶされて殺された。被害者は、長野県の成金大財閥の総帥・松平将史の長女、琴子だった。無残な死体の側には、クリスタルの将棋盤が置かれ、何故か盤上には詰将棋が…。第一発見者で松平家のお抱え運転手、平田均は、友人の推理作家・朝比奈耕作に助けを仰ぐが、残忍な殺人鬼の毒牙は美人姉妹に次々と襲いかかるのだった。大胆なトリックと息をのむサスペンスが激しく交錯する、スーパー・ミステリー。大好評、名探偵・朝比奈耕作シリーズ第二弾。
「金曜日、家庭教師が殺される」-事件は予告どおりに起きた。最初の犠牲者は、サイパンのプールで、冬物の三つ揃いのスーツ姿で発見された。なぜ常夏の島で、しかも礼儀正しい死体で発見されたのか…。死体発見者の家庭教師・軽井沢純子は、この難解な例題を解くべく行動を開始したが、彼女を待っていたのは、等々力渓谷で発見された不思議な死体だった…。
ある日、一本の悩み相談がラジオ局に寄せられる。だが、その電話の女性は、すでに数週間前に殺されていた。その殺人事件を捜査陣は『目』で追う。放送局のディレクター青木聡美は、死者からの人生相談の謎を『耳』で追う。犯人を追う目と耳の追撃戦。
営業部長の妻がロックされた団地七階の自宅で頚骨を折られて死んでいた。つづいて総務部長の娘が謎の自殺を。そのうえ宣伝部副部長が浴槽から溺死体で発見された。関係者がみなヨコハマ自動車の社員か家族であり、殺人現場がいずれも密室風であることから、社内に戦慄が走った。そこでOL探偵団が結成されたが、姿なき殺人者の手は彼女たちにものびてくる。
かつて、これほど凄惨な殺され方をした少女がいただろうか。-毒殺、絞殺、撲殺、刺殺、溺殺、同時に5通りの方法で殺されたのだ。その少女は『シンデレラ計画』というタレント誕生コンテストで1位になり、アイドルの座を約束されていた。精神科医の名探偵・氷室想介と警視庁捜査1課・田丸警部は、前代未聞の五重殺の謎に挑む。だが、あざ笑うように、『シンデレラ計画』の関係者が毒殺、絞殺、撲殺…と順番に少女が殺されたのと同じ方法で1人ずつ殺害されていく…。意表をつく大トリックと戦慄のサスペンス。圧倒的評判の大型新鋭が書き下ろした新感覚の本格推理傑作第2弾。
110番通報で文京区千駄木のマンションへ急行した警視庁捜査1課・田丸警部は、衝撃をうけた。若い女性が、全裸で両手を縛られ、片足に赤いハイヒールをはいて首を吊っていた。受話器が放り出されている。田丸が拾うと、電話は繋がっていて転井沢署の刑事が出た。なんとその場所も首吊り現場だった。しかも、被害者は全裸で両手を縛られ片足にブーツをはいた若い男性だった。精神科医・氷室想介が、巧妙に仕組まれた完全犯罪、同一犯人による、東京-軽井沢同時首吊り殺人に挑む。抜群のテンポ、絶妙のストーリー展開、あふれる新感覚。度肝を抜く大トリック、推理界期待の大型新鋭が世に問う書下ろし新本格推理傑作。
『週刊A』の編集長が就任13日目に車で事故死。次の編集長も13日目でサーカスを見学中、ライオンに食われた。社内にパニックが起きる。その直後、怪文書が届いた。犯人が動き出したのだ。と、三番目の後任も衝撃から自殺を。策に窮した社長が自ら編集長を買って出た。運命の13日が近づいてくる。推理界待望の新鮮パワーが爆発。
南野マリン、24歳。警視庁捜査一課の美人刑事。“キラー通り殺人事件捜査本部”からアシスタントに応募して、デザイン事務所ARTWORKに潜入する。凶器のナイフが、ここで製作されたものだったからだ。ガイシャの長谷洋子は作詞家の卵。喉をかき切られ、髪にリボンが結えられていた。事務所のマリンに連絡が入る。「たいへんです、またキラー通りでやられました」。新人刑事森和也からだ。「今度のガイシャの髪にもリボンが」。そしてマリンを誘うチーフの久世からのプレゼントにもリボン…。美人デザイナー杉本麗、京極麻衣。原田正一、川上透。スタッフの行動をマークしながらマリンは捜査を続ける。キラー通り一帯は今夜も厳戒シフトが敷かれている…。