著者 : 奥田英朗
加藤陽子、保阪正康、養老孟司激賞! 各紙誌上でも大絶賛! 敗戦、占領、抑留、青春、友情、再起ーー 希望よ、新たな時代の寵児たれ。 昭和100年・戦後80年記念刊行 昭和史三部作、物語はついに太平洋戦争の真っただなかへ。 たった七日間しかなかった昭和元年に生まれた四人が、 互いの運命を交差させながら、 新たな時代を切り拓く! 太平洋戦争が勃発した。 竹田志郎は、父に伴って渡米したが、そこで自分だけ捕虜となってしまう。ようやく帰国した後は日本の捕虜収容所の通訳となるも、目にしたのは看守の虐待が横行するずさんな実態だった。 矢野四郎は、父の死後、親譲りの素行の悪さで少年院に入れられる。だが、出院後次第に悪化する戦況をうけ予科練に入ることを決意。戦友と共に人間魚雷「回天」で出撃を期する。 森村ノラは、ひょんなことから亀戸の喫茶店を任されることに。友人と闇米を買いに農村部へいったり、教会で預かった孤児たちを軽井沢へ疎開させるなど、母親譲りの活力で奔走する。 五十嵐満は、戦中は映画俳優として活躍。さらに、新国家建設を標榜する張学士らの組織〈リバティ〉に加入。だが、敗戦後に組織はあっけなく瓦解。タップダンスを武器に、旅芸者・藤田と捕まっては脱走を繰り返す。
大正15年(昭和元年)12月25日未明、東京・麹町の陸軍少佐・竹田耕三の元に、待望の長男が誕生した。〈志郎〉と名付けられた子供は、日本中が大正天皇崩御の悲しみに暮れる中で、一家の新たな希望となる。 同日、北陸・金沢では、矢野一家の親分・矢野辰一が、賭場での諍いの落とし前をつけに、敵対する一家に乗り込んだ。帰宅した辰一を待っていたのは、懇意の社長から預かっていた女工の出産と死だった。辰一は孤児を〈四郎〉と名付け、自分の手元で養育することに。 一方その頃、東京・神保町で進歩的な婦人雑誌「群青」の編集者として働く森村タキが、社会運動家との間に女子を出産。『人形の家』にあやかり〈ノラ〉と名付けたその子を、身勝手な父親から引き離し、女手一つで育てることを決意する。さらに同年の大晦日、野心を胸に中国・大連へわたった五十嵐譲二は、主宰するジャズ楽団の年越しパーティ中に妻から出産の報告を受ける。出生した男子を〈満〉と名付け、昭和元年最後の夜に最高の演奏をする。 昭和100年、戦後80年に生まれる、壮大な昭和史サーガ三部作。 第一部は、親世代の視点を中心に、大正天皇の崩御から太平洋戦争開戦までを描く。
直木賞受賞、累計290万部の人気シリーズ17年ぶりに復活! 低視聴率にあえぐワイドショーのスタッフの圭介は、母校のつてで美人精神科医をコメンテーターとしてスカウトしようとする。が、行き違いから伊良部とマユミが出演することに。案の定、ふたりは放送事故寸前のコメントを連発するが、それは暴言か、はたまた金言か!? コメンテーター ラジオ体操第2 うっかり億万長者 ピアノ・レッスン パレード
同一犯か? 模倣犯か? 群馬県桐生市と栃木県足利市を流れる渡良瀬川の河川敷で相次いで女性の死体が発見! 十年前の未解決連続殺人事件と酷似した手口が、街を凍らせていく。 かつて容疑をかけられた男。取り調べを担当した元刑事。 娘を殺され、執念深く犯人捜しを続ける父親。 若手新聞記者。一風変わった犯罪心理学者。新たな容疑者たち。 十年分の苦悩と悔恨は、真実を暴き出せるのかーー 人間の業と情を抉る無上の群像劇×緊迫感溢れる圧巻の犯罪小説! 【著者プロフィール】 奥田英朗(おくだ・ひでお) 1959年岐阜県生まれ。雑誌編集者、プランナー、コピーライターを経て、 1997年『ウランバーナの森』で作家デビュー。 2002年『邪魔』で大藪春彦賞、2004年『空中ブランコ』で直木賞、 2007年『家日和』で柴田錬三郎賞、 2009年『オリンピックの身代金』で吉川英治文学賞を受賞。 『ナオミとカナコ』『向田理髪店』『ヴァラエティ』『罪の轍』『コロナと潜水服』など著書多数。
ある理由で家を出た小説家が、葉山の古民家に一時避難。生活を満喫するも、そこで出会ったのは(「海の家」)。早期退職の勧告に応じず、追い出し部屋に追いやられた男性が、新たに始めたこととは(「ファイトクラブ」)。人気プロ野球選手と付き合うフリー女性アナウンサー。恋愛相談に訪れた先でのアドバイスとは(「占い師」)。五歳の息子には、新型コロナウイルスが感知できる?パパがとった究極の対応策とは(「コロナと潜水服」)。ずっと欲しかった古いイタリア車を手に入れ乗り出すと、不思議なことが次々に起こって(「パンダに乗って」)。コロナ禍の世界に贈る愛と奇想の奥田マジック。紙の本にだけ、作中の登場曲が楽しめるSpotifyのプレイリスト付き!!
みんな、なにかに困ってる。微妙な空気を絶妙に描き出す、奥田英朗の貴重な作品集! 「退社して独立」を上司に告げた日の夜、帰宅すると妻がしていたこととは? A.荷造り B.エクササイズ C.廊下のワックスがけ →こたえは「おれは社長だ」にて。 夫婦での帰省中、なぜか車にヒッチハイカーを乗せる妻。乗った男が失礼で、腹を立てる夫だが、妻は今度は見知らぬ老婆を乗せて……(「ドライブ・イン・サマー」)。娘が外泊したいと言い出した。きっと彼氏とだ。母はどうするべきなのか(「セブンティーン」)ほか、山田太一氏、イッセー尾形氏との対談も収録。 「わたしのいろいろが詰まった一冊です。どうぞお楽しみください。 奥田英朗」
刑事たちの執念の捜査×容疑者の壮絶な孤独ーー。犯罪小説の最高峰、ここに誕生! 東京オリンピックを翌年に控えた昭和38年。浅草で男児誘拐事件が発生し、日本中を恐怖と怒りの渦に叩き込んだ。事件を担当する捜査一課の落合昌夫は、子供達から「莫迦」と呼ばれる北国訛りの男の噂を聞くーー。世間から置き去りにされた人間の孤独を、緊迫感あふれる描写と圧倒的リアリティで描く社会派ミステリの真髄。
かつては炭鉱で栄えたが、すっかり寂れ、高齢化ばかりが進む北海道苫沢町。理髪店を営む向田康彦は、札幌で働く息子の「会社を辞めて店を継ぐ」という言葉に戸惑うが……。(表題作)異国からやってきた花嫁に町民たちは興味津々だが、新郎はお披露目をしたがらなくて──。(「中国からの花嫁」)過疎の町のさまざまな騒動と人間模様を、温かくユーモラスに描く連作集。
どこにでもいる平凡な家族のもとに訪れる、かけがえのない瞬間を描いた6編を収録。『家日和』『我が家の問題』に続くシリーズ最新作。笑って泣いて、読後に心が晴れわたる家族小説。(解説/大矢博子)
その夏、軽井沢でジョンに起きた奇跡。伝説のデビュー作、20周年記念新装版! 1979年、軽井沢。世界を熱狂させたポップスター・ジョンは、妻と愛する息子との静かな隠遁生活を楽しんでいたーーはずだった。猛烈な便秘に襲われるまでは。不安を抱え小さな医院に通うジョンが遭遇した不思議なできごと、そして奇跡。ユーモア溢れる喪失と再生の物語。人気作家のデビュー作に「二十年後のあとがき」を加えた新装版。 その夏、軽井沢でジョンに起きた奇跡。 奥田英朗、原点にして伝説のデビュー作、20周年記念新装版! 「自分史上もっとも企みに満ちた小説は、意外なことにデビュー作でした」 奥田英朗 1979年、軽井沢。世界を熱狂させたポップスター・ジョンは、妻と愛する息子との静かな隠遁生活を楽しんでいたーーはずだった。猛烈な便秘に襲われるまでは。不安を抱え小さな医院に通うジョンが遭遇した不思議なできごと、そして奇跡。 あの世とこの世。ユーモア溢れる喪失と再生の物語。 人気作家の伝説のデビュー作に「二十年後のあとがき」を加えた新装版。 ウランバーナの森 文庫版へのあとがき 二十年後のあとがき
人気作家陣が「少年」をキーワードに紡いだ短編作品9本を収録したアンソロジー。家族や友人との関係に悩む繊細な心情や、背伸びするいじらしさなど、少年の魅力がぎゅっと詰まった1冊。(解説/壇蜜)
奥田英朗、荻原浩、原田マハ、窪美澄という実力派の直木賞・山本賞作家に、新鋭の中江有里を加えた、豪華執筆陣によるアンソロジー。テーマは“恋愛”。 28歳の彩子は、付き合って3年の恋人が相談もなく会社を辞めたことにショックを受ける。女友達は条件のいい男を紹介してくれ、彩子は恋人との別れを考え始めるが……。(奥田英朗「あなたが大好き」) 16歳の僕は、夏を海で過ごすためにばあちゃんの家に来た。夕暮れの砂浜で、その人は子守歌を歌っていた。……とても悲しそうな声で。(「銀紙色のアンタレス」) 1969年、中学生だった僕と彼女は50年後に一緒に宇宙に行く約束をした。その年まであと4年のいま、彼女は病院のベッドの上にいる。(荻原浩「アポロ11号はまだ飛んでいるか」) 生まれも育ちも京都の善田は、半年前に妻を亡くし、会社を追われ、タクシー運転手となった。ある日、ボストンから来た老婦人をタクシーに乗せ京都を案内することに……。 (原田マハ「ドライビング・ミス・アンジー」) 両親が離婚したミサトは、クラブを経営する母親行きつけの美容院のシャンプーボーイと、偶然海の家で会うが……。(中江有里「シャンプー」)
望まない職場で憂鬱な日々を送るOLの直美は、あるとき、親友の加奈子が夫・達郎から酷い暴力を受けていることを知った。その顔にドス黒い痣を見た直美は義憤に駆られ、達郎を排除する完全犯罪を夢想し始める。「いっそ、二人で殺そうか。あんたの旦那」。やがて計画は現実味を帯び、入念な準備とリハーサルの後、ついに決行の夜を迎えるが…。
「奥田英朗はぜんぶ読んでる」という人にも、じつはまだ読んでいない作品がある!かも。単行本初収録の短篇をはじめ、現在入手困難となっているアンソロジーの短篇、唯一のショートショート、数少ない貴重な対談などを収録。コアなファンからちょっと気になった人まで、レアな奥田英朗を楽しめるスペシャル作品集! <短篇> 「おれは社長だ!」 「毎度おおきに」 「ドライブ・イン・サマー」 「セブンティーン」 「住み込み可」 「夏のアルバム」 <ショートショート> 「クロアチアvs日本」 <対談> イッセー尾形氏ほか
【文学/日本文学小説】北関東のある県で中学2年生の男子生徒が転落死した。事故か? 自殺か? それとも──。その背景には陰湿ないじめがあった。町にひろがる波紋を描くことで、地方都市の精神風土に迫る。朝日新聞連載時から大きな反響を呼んだ大問題作の文庫化。
どうやら自分たち夫婦には子どもが出来そうにない(『虫歯とピアニスト』)。同期との昇進レースに敗れ、53歳にして気分は隠居である(『正雄の秋』)。16歳になったのを機に、初めて実の父親に会いにいく(『アンナの十二月』)。母が急逝。憔悴した父のため実家暮らしを再開するが(『手紙に乗せて』)。産休中なのに、隣の謎めいた夫婦が気になって仕方がない(『妊婦と隣人』)。妻が今度は市議会議員選挙に立候補すると言い出して(『妻と選挙』)。どこにでもいる普通の家族の、ささやかで愛おしい物語6編。
「侮ったら、それが恐ろしい女で」。高校まではごく地味。短大時代に恐るべき能力を開花させる。手練手管と肉体を使い、店員を振り出しに玉の輿婚をなしとげ、高級クラブのママにまでのし上がった、糸井美幸。彼女の道行きにはいつも黒い噂がつきまといーー。その街では毎夜、男女の愛と欲望が渦巻いていた。ダークネスと悲哀、笑いが弾ける、ノンストップ・エンタテインメント!
小生、東京オリンピックのカイサイをボウガイしますーー兄の死を契機に、社会の底辺というべき過酷な労働現場を知った東大生・島崎国男。彼にとって、五輪開催に沸く東京は、富と繁栄を独占する諸悪の根源でしかなかった。爆破テロをほのめかし、国家に挑んだ青年の行き着く先は? 吉川英治文学賞受賞作 「東京だけが富と繁栄を享受するなんて、断じて許されないことです。誰かがそれを阻止しなければならない。ぼくに革命を起こす力はありませんが、それでも一矢報いるぐらいのことはできると思います。オリンピック開催を口実に、東京はますます特権的になろうとしています。それを黙って見ているわけにはいかない」--本文よりーー