著者 : 本城雅人
児童誘拐殺害事件で大誤報を打ち、中央新聞社会部を追われ、支局に飛ばされた関口豪太郎。あれから七年。埼玉東部で、小学生の女児を狙った連れ去り未遂事件が発生。犯人は二人いたとの証言から、豪太郎の脳裏に“あの時”の疑念がよぎる。終わったはずの事件が再び動き出す。第38回吉川英治文学新人賞受賞作
十二年前の落馬事故ー。その真相を知るために、息子・和輝も騎手となり、かつての父の好敵手で、不動のトップ騎手・平賀と同じ厩舎に入った。父は、本当は平賀に殺されたのではないか…。新人競馬担当記者・仁美とともに事故の謎を追う中で、平賀のある秘密に気づいた和輝は、自らの身にも迫る危険を感じ取る。亡き父と息子の絆に涙する、長編ミステリ。
幼い頃から共にボールを蹴ってきた修平、文雄、靖春の3人の人生は、高校3年のインターハイでのひとつのプレイをきっかけに一転する。-22年後、現役のプロサッカー選手として未だ戦い続ける修平の前に文雄が姿を現し、警察官となった靖春は警戒を強める。文雄はサッカー賭博をシノギにしており、中国の黒社会との付き合いも噂される捜査対象者だった。修平のキャリアを守るため、文雄を調べ始めた靖春は、やがて、22年前に端を発する殺人事件に辿り着く。逃れられない過去に苦しみながらも、人生に立ち向かう男たちを描く激情と働哭のクライムノベル。
プロ野球を引退したばかりの元スラッガー、宇恵康彦。彼が監督に就任したのは三年連続最下位の「新潟アイビス」だった。上を見れば、すぐに監督をクビにする若きオーナー。下を見れば、キャンプ中に若手を引き連れ朝帰りするベテラン投手。仲間であるはずのコーチたちにも諍いが…。問題だらけの球団にルーキー監督が挑む!
独特の色気を湛えた商品で人気を博し、ロンドンに店を構える靴職人・斎藤良一。強引に事業拡大を進める彼の元に、不気味な修理依頼が舞い込む。それは幽霊の靴なのか?十三年前の父の死に、不審を抱く若き靴職人の知略が、斎藤のどす黒い野心の前に立ちはだかる。人間の深淵を描く、異色ダークミステリー!
惨敗したW杯から3年。苦戦する日本代表を立て直すため、新たな監督探しを託された望月は、かつてマスコミのリークで契約に失敗した過去を持つ。サッカー協会、記者、代理人、選手ー複雑な思惑が渦巻くなか、タフな交渉を続ける望月だが、妨害の裏には驚くべき黒幕がいた。迫真のスポーツサスペンス!
落ち目になったカリスマシェフのイタリアン、職人の結束の綻びに揺れるオーダーシャツテーラー、強引な買収危機に瀕した老舗ホテルー。“高級”で売る業種をターゲットにした気鋭ファンドのボス藤浪と新人古武士は、「人生を豊かにする贅沢」のみを買う。だが、窮地の企業を救う彼らの前に因縁の男が立ちはだかる。
球界のスター・浪岡龍一の八百長疑惑を追う刑事の半澤は、かつて甲子園の決勝で目にした投球への違和感を、今も燻らせていた。一方、執拗な取材を続ける記者・四之宮は、遂に浪岡を追い詰めるのだが。貧しい漁村からのし上がった不世出の投手は、黒か白か?衝撃のラストに息をのむ、圧巻のミステリー!
東洋新聞はIT企業からの買収宣告を受けた。経営権が移れば、記事はウェブファーストに移行し、宅配数の少ない営業所は閉鎖。海外特派員制度もなくなる。そのIT企業の会長を裏で操る権藤は、かつて東洋新聞にいた記者だった。社会部デスクの安芸は、パソコン音痴で、飲み会の店も足で探す。斜陽産業で魂を懸けて働く安芸たちは、徹底抗戦を決意する。だが時代の流れは止められない。記者魂を懸けた最後の攻防戦がいま始まる。『ミッドナイト・ジャーナル』の著者による一気読みエンターテイメント。
「おまえのバットはEDじゃ〜」厳しい野次の中、二千本安打を目指すベテラン四番打者の覚悟(「塀際の魔術師」)。万年ビリ球団の経営を任される二世オーナーの決意(「永遠のジュニア」)。微妙な判定をめぐりコラムニストと対決する堅物アンパイアの信念(「人生退場劇場」)。人生笑って前に進んだもんが勝ち!球界を舞台に、苦境に立たされた七人の胸のすく逆転劇を描く痛快連作短篇集。
怪物スカウトの堂神は、他球団Gを逆指名している学生の強行獲得に乗り出すが、真の狙いはGの弱みを握ることだった(「ドラフト一巡目 指名拒否」)。獲得すること、選ばれることが勝利とは限らない。プロスカウト達の息詰まる攻防と、翻弄される選手らの命運に光をあてた傑作6編。
「被害者女児死亡」-世紀の大誤報を打ち、飛ばされた3人の記者。7年後、児童連続誘拐事件が発生する。さいたま支局の関口豪太郎はかつての事件との関連性を疑い、本社の遊軍記者・藤瀬祐里は豪太郎の応援に合流し、整理部員となった松本博史は冷めた目で静観する。警察も、目撃者も、記者も上司も嘘をつく。しかし豪太郎は、絶対に諦めない。記者歴20年の著者が書き下ろす感動の社会派エンタメ!!
毎年、ドラフトで隠し球を指名するのが『堂神マジック』だ。その怪物スカウトに見習いとしてついた純哉は、次々出される不可解な指示に翻弄される。競合球団を出し抜き、幻手を寝返らせるための想像を絶する手練手管。奪い合いと騙し合い、壮絶な駆け引きに満ちた世界を描いた白熱のエンターテインメント!
横浜中華街、国慶節前夜。中国籍の男が殺された。彼は31年前に獅子舞仲間2人と消息を絶ち、さらに同時期に警察官も失踪していた。殺人と過去の事件を結ぶのは、かつて中華街を統べた男と、見えない国境に阻まれた恋。日中関係激変の時代、少年たちはどこへ消えたのか。今なお爪痕が残る街で刑事が謎に挑む。
東西スポーツ野球部のデスク鳥飼は、「影のGM」と噂されるほど優秀な記者だが、露骨で下品な言動と、なりふり構わぬ取材ゆえ、社内外でも敵の多い人物だ。強烈な個性で周囲を巻き込む、異能の記者“トリダシ”とは、はたして何者なのか。『球界消滅』で、その先見性とストーリーを、各方面の書評で絶賛された著者が、満を持して自らの記者体験をもとに、臨場感溢れるスポーツ紙の現場を描く連作短編。
ニューヨークで無気力な留学生活を送る恭平と篤郎のもとを、意外な人物が訪ねてきた。メッツの日本人ピッチャー、進藤だ。チーム内の窃盗事件解決のために、クラブハウスボーイとして潜入しろという。選手たちの世話に追われる二人だが、プロの世界を垣間見、メジャーリーガーの思いに触れるうちにー。文庫版書き下ろしを一編加えた青春ミステリ。
高級品を扱う店を次々と買収するボス・藤浪と、その下で働く若者・古武士。二人はまず店に乗り込み、藤浪が帳簿を確認し、古武士が店で実際に働く。かつて贅沢だったイタリアンが変わった理由、オーダーメイドシャツ工房に隠れた女性職人たちの人間関係、倒産危機に瀕するアンティークウォッチ店の目利き店主の企み、一脚数十万の木製椅子のデザイナーと職人の絆ー職人との交流を持ち続ける著者がすべてを注ぎ書き下ろす、一流の人々の生き様。目から鱗の買収劇!
弱小球団、横浜ベイズの副GM大野は、独自のセイバーメトリクス理論で、チームを見事に立ち直らせる。だが、一方で、球界全体を揺るがす途方もない計画が進行、大野はその渦中に投げ込まれる。もし、プロ野球が4球団に統合されてMLBに吸収合併されたら?豊富なデータに裏打ちされた戦慄のシナリオ。