著者 : 本城雅人
26年前、パ・リーグのペナントレースを制した阪和バーバリアンズ。6回2死まで0封された後、満塁ホームラン3本が飛び出して9点差をひっくり返すという史上稀に見る逆転試合をきっかけに、リーグ優勝、そして日本一へと駆け上った。その後の低迷期を経てこの夏、来季の新監督に抜擢されたのは、当時4番を務めた夏川誠だ。大阪毎朝放送がレジェンドと呼ばれたメンバーたちのインタビューと再現試合で構成する特別番組を企画。取材を取める中で、10人目のレジェンドともいえるマネージャーの存在が浮かび上がる。ところが、あの試合中に盗難事件があり、疑われたマネージャーは退団、そののち非業の死を遂げたという…。チーム思いのマネージャーがなぜ盗難を行ったのか?主要メンバー9人の中に、嘘をついた人物がいるのではないか?そして仲間を裏切った愚か者は誰なのかー。吉川英治文学新人賞作家が贈る、企みに満ちた長編ミステリ。
二十年ぶりのリーグ優勝を目前にするプロ野球・横濱セイバーズ。その快進撃の立役者である投手コーチ二見里志は、抑えの新田隆之介らの疲労管理に頭を悩ませ、リリーフ陣を酷使したがる辻原監督と衝突が絶えない。そんな里志のもとに、突然の訃報が届く。里志の現役時代の恩人であり、ある“罪”の発覚以来、球界を追放されていた盟友・檀野晋が亡くなったという。当初、自殺と思われていた事件は殺人と発表され…。
日西新聞に中途入社して政治部に配属された国枝裕子は編集局長からの特命を帯びていた。それは上席編集委員の木澤行成をメディアから退場させること。木澤は民自党総裁選の投票を操り、国会議員の不祥事を揉み消し、政治家の弱みを握り、30年以上も政界を動かしてきた。新聞記者でありながらキングメーカーとして暗躍していることをもはや看過できない。昭和の負の遺産を若き女性記者が断ち切る時が来た。元新聞記者の著者だからこそ描けた痛快永田町エンタメ小説。
ベテラン騎手の元春は、6年ぶりにG1レースで優勝する。馬主との喧嘩別れや減量苦を経ての復活だった。しかしネットで誹謗中傷され、それを書き込んだと思われる亡き後輩の妻を訪ねると、その夜、彼女はマンションから転落死する。ほぼ同時刻、元春は自宅で車の盗難未遂にあい、さらに数日後には空き巣に入られた。自分はいったい何に巻き込まれているのか?そして彼女の死は事故か、自殺か、あるいは殺人なのかー。
「競馬は9回の落胆と1回の喜び」--ノースヒルズ 前田幸治見果てぬ夢、至高の頂へ。キズナ、ワンアンドオンリー、コントレイル……人馬一体で悠久の未来へと疾走する、感動のノンフィクションノベル!挑戦者の孤独と憂鬱、そして怒り。逆境を越えて、ビジネスでも競馬でも勝つためのアイディアが詰まった一冊。--サイバーエージェント代表取締役 藤田晋正解も方程式もない、競馬の真の面白さがここにある。あのダービーの感動が克明に蘇りました。--JRA騎手 武豊「前田さんは運がいいですな。毎年のようにG1を勝たれるんですから」 「いえ、たまたまですよ」と幸治は謙遜するが、腹の中で思ったことは違う。 ──なにが運がいいだ。俺はこれまで失敗と落胆を繰り返し、めげずにやってきた。この果てしないトライ&エラーの結果を、運の一言で片づけるな。 失敗から学び、辛い時こそチーム全員で手を取り合って前へ進む。諦めずに進化と変革を目指す者だけが、この世界を生き抜くことができるのだ。幸治には、体でそれがわかっていた。
時代を先取りするカリスマ経営者として有名な、IT大企業の会長・釜田芳人から直々に、自叙伝の代筆の依頼を受けた上阪傑。余命六カ月だという釜田とは、かつて三冊の著作を代筆した後に支払いトラブルとなり、実に十一年ぶりの再会だった。病床にある釜田を訪ね、一日一時間の約束で取材を進めていくと、これまでどこにも明かしてこなかったエピソードが出てくるのみならず、今までの本の内容に嘘があったことがわかってくるー。この依頼の裏に果たして何があるのか…。吉川英治文学新人賞受賞者が、“出版界の闇”に鋭く切り込む、驚愕のミステリ。
医療事故の責任を若い医師がとらされる現実、看護師たちの密かな怒り、病院に蔓延る権力闘争、法案成立にしがみつく厚労技官、そして病院経営に隠された闇…。毒だらけの日本の医療界に、孤高の外科医がメスを入れる。
彼らに残っていたものは、もはや後悔だけだった。19年前に世間を騒がせた、天才ギタリストの「伝説の死」。その美しい旋律に掻き消された慟哭の真相とはー。濃密な人間ドラマと哀切を極める結末。ミステリー小説の白眉!
夢は大きく、ダービー制覇!家族経営の零細牧場「あかり野牧場」で生まれた一頭の馬は、「北の大地に灯りがともれば」と、キタノアカリと名付けられた。中央競馬デビュー以来、圧倒的着差をつけて連勝し、いよいよG1に挑む。広大な町の狭いコミュニティーは、アカリの話題で持ちきりだった。大牧場が席捲するG1戦線で、世代7000頭超の頂点に立つことなどできるのか?牧場を営む家族、馬産地の仲間たち、崖っぷちの騎手…多くの想いを背に乗せて、希望の灯りがターフを駆ける。一頭の馬が人の心を揺り動かし、夢舞台へと駆り立てる。
長年勤めた会社を早期退職し、ウェブニュース会社の設立メンバーとなった“不動のエース”元夕刊紙記者・不動優作。だが不慣れなネット環境と人材不足から、発足早々サイト運営は行き詰まる。しびれを切らした出資者兼若手IT社長から、不動たちは「週に一本でいい、一週間バズり続けるスクープを取れ」と命じられてしまう。ネットの素人集団がイチかバチかで挑む、起死回生の一手は「フェイクニュース」!新聞やテレビ、大手マスコミが語らない真実。出来たばかりのネットメディアだから。俺たち忖度なし!
大手ゼネコン鬼束建設の新井は、国内外で数々の工事を成功させてきたが、3年前の談合事件以降、現場を外され閑職に追いやられていた。そんななか、日本初の統合型リゾート(IR)の工事責任者を任され、汚名返上のチャンスと意気込む新井だったが、かつての部下、根元からの不穏な電話に不安を覚える。同じ頃、中央新聞の那智は、伝説の調査報道記者と呼ばれ、病に倒れた伯父が残した謎の建設工事資料の解明に取り組んでいた。次第に明らかになるゼネコンの闇と、政財界を巻き込む大きな陰謀。国家プロジェクトとなったIR建設をめぐり、新たな事件が起ころうとしていたー。
躍進著しいIT企業インアクティヴによる、東洋新聞買収宣告。マスコミの寵児となった会長の轟木は、世論を味方に、役員を切り崩しにかかる。“ウェブファースト”を掲げ、新聞の価値を根底から揺さぶる彼らが、本当に買おうとしているものは何か?社会部デスク安芸と部下たちの、記者魂を懸けた死闘が始まる。
死体を埋めれば誰にもバレないー野に放たれた殺人者の罪を明らかにし、寂しき行方不明者の捜査をして30年。愛憎も哀しみも嫌らしさも、この鬼刑事の執念が掘り起こす。社会派ミステリーの旗手が挑む初の本格警察小説。
チェルノブイリ原発事故から1年ー1987年(昭和62年)4月、東洋新聞の記者・土井垣侑が特派員としてモスクワに降り立った。当時のソビエト連邦はペレストロイカ政策が進められていたが、記者はソ連政府の管理下でしか取材をすることができず、しかも本社からは当局を刺激しないよう「特ダネ禁止」を言い渡されていた。そんな状況に不満を抱いた土井垣は、独自ネタを拾おうと精力的に街へ繰り出す。だが、ソ連政府は一記者にまで監視の目を光らせていて…。
ユーロポール連絡員・村野隼介の任務はサッカー八百長賭博の摘発。そして、ひとりの少年を救い出すこと。かつての恩師が殺された。八百長に加わり、逃亡した元アカデミー生を救出に行った末の惨劇だった。亡き師に報いるため、村野は欧州サッカー界の闇に切り込んでいく。危険な任務に就く熱き捜査員たち、汚れた金で私腹を肥やす悪党ども、利用される無垢な選手たちーそれぞれの思いが交錯し、クライマックスに慟哭必至のサスペンス長編!
失踪したスポーツ医師が残した一冊のノート。そこには、日米野球界の英雄・津久見浩生の薬物使用が示されていた。高潔な元スター選手のスキャンダルに日米メディアの執拗な追及が始まる。疑惑を否定せず、最愛の妻にも沈黙を貫く彼の真意とはー。真相を追うフリースポーツ記者、裏工作を企む巨大代理人企業。人間の強さと弱さの極限を描いた熱くスリリングなエンターテインメント長編。
スポーツ紙で働く記者・笠間に、販売部への辞令が下った。記者職への断ち切れない思いを抱えながらも、それまでの人脈を活かし、販売部でも存在感を発揮し始める。だが会社の根幹を揺るがす事件を解決した矢先、悲劇が彼を襲うー。一方、新聞社で忙しく働く父との関係に悩む長男の翔馬と次男の翼。彼らの人生もまた、大きな岐路に立たされる。
「親しき仲にもスキャンダル」を信条とし、取材対象者へ独特の感性で切り込み数々のスクープを抜きまくってきた伝説の週刊誌記者が、女性宅への不法侵入と窃盗の容疑で逮捕された。窃盗容疑は否認するなか、取り調べ中に語った「友を待つ」という一言の真意とはなんなのか?その言葉の意味と彼の行動の目的を調べ始めた後輩記者たちは、十年前のある官僚との因縁に原因があることに気づくー。