著者 : 芥川龍之介
藪の中で、一人の男の死体が見つかった。だが、関係者の証言はそれぞれ食い違い、果たして真相はどこにあるのだろうか。芥川龍之介の名作が、和のモチーフを独特な感性で描く大迫力の作品で人気を集めるイラストレーター・おくによって、鮮やかに現代リミックス。人気シリーズ「乙女の本棚」の第40弾が登場。小説としても画集としても楽しめる魅惑の1冊。
数々の名作を遺した文豪たちの最後の傑作を読む!なぜ彼らが文豪と呼ばれるのかがわかる傑作小説アンソロジー。それぞれの生涯を読み解く年表/代表作紹介/人物相関図/ゆかりの地など。文豪の仕事と人間像がわかるガイド付き!
もし『不思議の国のアリス』を日本の文豪が翻訳したら? そんな夢のような構想が現実となったのが、1927年刊行の『アリス物語』。 芥川龍之介と菊池寛による訳文は、アリスや不思議の国の登場人物たちがいきいきとユーモラスに描かれ、今なお色あせない魅力にあふれています。本書は、原書にあったいくつかの不足な点を補い、注釈や解説を付加して甦らせた『完全版 アリス物語』。アリスや芥川・菊池ファンの方はもちろん、『不思議の国のアリス』をはじめて読む方にもおすすめできる一冊です。 ◆はじめに ◆完全版 アリス物語 一章 兎の穴に落ちて 二章 涙の池 三章 コーカスレースと長い話 四章 兎が蜥蜴のビルを送り出す 五章 芋虫の忠告 六章 豚と胡椒 七章 気違いの茶話会 八章 女王の球打場 九章 まがい海亀の物語 十章 海老の四組舞踏 十一章 誰がお饅頭を盗んだか 十二章 アリスの証言 ◆注釈 ◆解説 本書の成り立ち ◆あとがき 文豪たちのアリスーー “お饅頭”はどこからやって来た?
「謎解き」と「解かれざる神秘」芥川龍之介がこだわった二重の意味のミステリ。犯罪、探偵、風刺、幻想、神秘、そして心の声が現代仮名遣いによって甦る!
視界に半透明の歯車が回っている「僕」の美しくも奇怪な心象風景を綴った小説「歯車」。自らの一生を「月」「械」「剥製の白鳥」「敗北」など、五十一項目でモザイク的に表した「或阿呆の一生」。これらの遺稿のほか、「良心とは厳粛なる趣味である」など、短い警句の中に独特のユーモアと哀感が滲む芥川版箴言集「侏儒の言葉」、遺書「或旧友へ送る手記」など、三十五歳で自死を遂げるまでの最晩年の小説や評論を厳選収録。
今年八つになる良平は、鉄道の敷設工事で行き来するトロッコが面白くて仕方がない。ある日、見知らぬ若い男達とともにトロッコを押す機会を得た良平だったが……「トロッコ」。倅を亡くしたお住は、毎日畑へ出て男まさりに稼ぐ嫁、お民に敬意を感じている。しかし、いつしか「稼ぎ病」に取り憑かれたお民の存在がお住を苦しめるようになり……「一塊の土」。表題作の二篇をはじめ、芥川の転機となる中期の21篇を収録。 トロッコ 報恩記 仙人 庭 一夕話 六の宮の姫君 魚河岸 お富の貞操 おぎん 百合 三つの宝 雛 猿蟹合戦 二人小|町 おしの 保吉の手帳から 白 子供の病気 お時儀 あばばばば 一塊の土 注釈 作品解説 三好行雄 年譜
地下墳墓のミイラに前世の無限連鎖を見出す「木乃伊」。応仁の乱の乱世に材をとった歴史小説「雪の宿り」。妖術により不老不死となった芸妓の綺譚「喜寿童女」。巧緻な文体で純なる魂の美をえがくキリシタン物「きりしとほろ上人伝」。怪談会を舞台にした「百物語」。他全63編。
金持ちの息子、杜子春が財産を使い果たし途方に暮れていると、見かねた仙人に大金を授けられる。しかし、金の有無で態度を変える人間に嫌気がさし、仙人へ弟子入りを志願した。そんな彼に課された条件はたった一つ。「決して声を出さないこと」。虎や蛇、地獄での責め苦にも、決して口を開かない彼だったが…。青年が平凡に生きる喜びを見つけるまでを描く「杜子春」ほか、「女」「南京の基督」など全十七篇を収録。
これまで高校国語教科書に掲載されたことのある短編を中心に編んだ、芥川龍之介の作品集。教科書に準じた注と図版がついて、読みやすく分かりやすい。理解を深める名評論と、付録として「羅生門」や「地獄変」のもととなった説話も収録。あわせて読むといっそう味わい深い。
中世幻想譚の精華たる謡曲から、童話や探偵小説、そして戦後文学を代表する人々まで多彩な幻視者たちの文学を集大成。現実を超えた世界を追求する作家たちの鮮烈な軌跡を、識者によるオールタイム・ベストをもとに選ばれた名作佳品21篇によって跡づける。
地獄変の屏風絵を画くために娘に火をかける異常の天才絵師が描いた「地獄変」、映画「羅生門」で一躍世界に名を馳せた「藪の中」などの表題作のほかに、「道祖問答」「六の宮の姫君」「二人小町」などを収める。王朝物とよばれるこれらの作で、芥川は古い物語の中の人物を見事に近代に蘇らせた。