著者 : 菊地よしみ
私立探偵ジョン・カディの目に映った地方都市ナッシャーバーは、悪臭ただよう漁港と薄汚れた工場からなる死んだような街だった。この街でカディは、依頼人の死が本当に自殺だったのかを調べるつもりでいた。死亡した依頼人は、ナッシャーバー警察の腐敗を暴こうとする、若く野心的な女性新聞記者だった。彼女は地元の警官がポルノ業者から賄賂を受けとって違法な幼児ポルノを目こぼししていることを聞きつけ、記事にしようとしていた。だが、それを教えてくれた情報屋が何者かに殺されたことから、彼女はカディに、男を消したのが警察のしわざであると立証してもらおうと考えたのだった。はたして女性記者の疑惑は正しく、彼女自身も自殺に見せかけて警察に殺されたのか?ボストンの知性派探偵カディが単身さびれた地方都市にのりこみ、その暗部を暴きだす、シリーズ最新作。
カリフォルニア州の風光明媚な町カーメルで、死体が続けて二体発見された。いずれも、自動車の中で排気ガス自殺をしたものと見なされたが、元鑑識捜査官のディウィット部長刑事は、他殺と判断していた。邪悪な妨害を受けながらも、執念の捜査を続けるディウィットは、遂に犯人を突きとめる。だが、彼は知らなかったー。この時から、本当の闘いが始まることを。意想外の展開で魅了する傑作サスペンス。全米ベストセラー。
ヴェトナムから移住して成功をおさめた実業家レは、深夜ひとりで自分の所有するマリーナに出向いた。立ち退きを拒否するマリーナの船上生活者のひとりから呼び出されたのである。だが、桟橋で彼を出迎えたのは、一発の銃弾だった。レ殺害の容疑は、レを呼び出したヴェトナム戦争の退役軍人にかけられた。だが、本人は犯行を頑強に否認しつづけていた。容疑者の公選弁護人からの依頼で調査をひきうけたブラントステッターは、事件の起きた晩に東洋人二人組がマリーナから逃げていくのを目撃した人物を見つけ出した。その目撃者の話によると、しばらくまえにヴェトナム料理店で四人のヴェトナム人を射殺したのも、それとおなじ二人組だったという。はたしてふたつの事件に関連はあるのか?東洋人二人組とはいったい何者なのか?ヴェトナム人社会の複雑に絡みあった絆に秘められた謎にブランドステッターが挑む、待望のシリーズ最新作。
この男は蛇に似ている-これが、はじめてロイ・マーシュと顔をあわせたときに私立探偵ジョン・カディのうけた印象だった。ロイと離婚訴訟中の妻ハンナが夫を恐れるのも無理はなかろう。カディはそのハンナから頼まれて、彼女のボディガード役として離婚協議の席にたちあったていたのだった。話し合いは、ハンナから家の所有権を求められたロイが激昂し、そのまま物別れに終わった。だが、ロイはおとなしくひきさがっているような男ではなかった。ハンナの家に忍びこむと、幼い娘のかわいがっていた子猫を虐殺したのである。娘を巻きこんだ卑劣なやり口に怒りをおぼえたカディは、ロイと対決すべく彼の家へのりこんでいったが…。夫の暴力の影に怯える母と娘をまもるべく、ボストンの知性派探偵がたちあがる。待望のシリーズ最新作。
新館〈ファン・ワールド〉の大オープニング祭を四日後にひかえた巨大ショッピング・センター、ヤンキー・グリーン・モールの建設現場で、何者かに仕掛けられた高性能爆薬が爆発した!ヤンキー・グリーンの保安主任ジェイコブズは爆破犯人を追うが、狡猾な犯人は壁や天井の裏側を縦横に走るパイプやシャフトの中に潜み、その影すらつかませない。超高度な保安システムの死角をついて進行してゆく、狂気の爆破計画とは?
爆破犯人を捕らえられぬまま、ついに新館〈ファン・ワールド〉の大オープニング祭は幕を開けた。ジェイコブズの厳重な警戒の裏をかいて保安指令室に侵入した爆破犯人は、保安コンピュータを操作して全出入口を封鎖し、閉じ込めた大群衆を人質に取る。〈ファン・ワールド〉を支える主柱に埋め込まれた爆薬が爆発するまで、あと一時間。果たしてジェイコブズは起爆装置を止めることができるか…。緊迫のサスペンス巨篇。
ヨットと自転車レースを愛するロック・ミュージシャンのジェイ・ベッカー。自動車事故を起こし、多額の借金を抱えこんだ彼は、謎めいた美女マレーネにヨットのコーチをする仕事を引き受けた。だがその日から、彼は邪悪な陰謀の中に巻き込まれていく。マレーネの背後で糸を引くもの、それはアメリカの軍事機密を盗み出し、他国へ売り渡そうと図る国際的な犯罪組織だったのだ!血と暴力の世界に投げ込まれた男の決死の闘いと、その裏で展開するFBI,CIAと犯罪組織の息詰まる攻防ー鮮烈なアクションとロマンスを織り込んで描く冒険サスペンス。
エイズに感染したホモセクシュアルの男たちが、次々と何者かに刺殺される-刺殺死体が保険調査員ディヴ・ブランドステッターの自宅で見つかったドリュー・ドッジも、そのショッキングな連続殺人事件の犠姓者の一人と思われた。だが、ドッジの死体の傍になぜか自分の名刺が置かてれいたことが気になったデイヴは、調査を開始した。ドッジは、その陽気であけっぴろげな人柄ゆえか、出資者に恵まれ、土地開発事業団を主宰していた。だが、病に倒れてからは資金繰りに苦労し、また、何者かの影に怯えていたという。ドッジ殺しは、連続殺人の一環なのか、それとも、彼の事業が絡んだ単独の事件なのか?デイヴは他の刺殺事件にも調査の手を伸ばし始めたが、次に狙われたのはデイヴ本人だった…!
ヴァレリー・ソマーズ、10歳になったばかりの可愛いブロンドの少女。8カ月前母親のミシェルとイタリアへ旅行したとき、ポンペイの遺跡でとつぜん消えてしまった。行方知れずだった少女がついに見つかった-何者かがソマーズ家に郵送してきた《ニンフェット》という雑誌の中で。アムステルダムで出版されている子供ポルノの雑誌で、見るもおぞましい恰好のヴァレリーの写真が載っていた。私立探偵フランク・デナルドは、憔悴しきった母親ミシェルの依頼をうけ、悪魔のような連中の手から何とかしても少女を生きたまま連れもどすべく、敢然とヨーロッパへ飛び立った。手に汗にぎるスピーディな展開とヒューマンタッチで描く、社会派アクション・ハードボイルド!
全身に煙草の火を押しつけられ、性器を切られた無惨な死体-警察はホモの猟奇殺人と考えていたが、死体の左手の小指が折れているのを見た私立探偵ジョン・カディは、戦友アルは拷問されて殺されたのだと確信した。ガディは友の仇を討つべく調査を始めた。アルの“敵”は何者なのか?彼がわざわざボストンまで来ていたのはなぜなのか?カディは手掛りを求め、アルの故郷ピッツバーグへ飛んだ。精力的に調査を続けるその行手にやがて差すベトナム戦争の影-カディは自らの過去をも振り返りながら、さらにペンタゴンまで探り始めた。だが、危険がすでに背後に忍び寄っていようとは、彼には知る由もなかった。やさしくもタフなボストンの探偵カディの、命をかけた復讐行を描く待望の第二弾。私立探偵小説大賞受賞。