ジャンル : ノンフィクション > 文庫(ノンフィクション)
かすみとの偶然の出会いは、過去の恋に縛られていた僕の人生を大きく動かした。あれから二年、転職した僕の前にひとりの男が訪ねてきた。そして、かすみとその妹ゆかりを思い出させずにはおかぬこの男が、信じられない話を切り出した。物語は、驚愕のエンディングが待つside-Bへ。今日と明日をつなぐ五分間の隙間を破り、魂震わす極限の愛が生まれる。
若き会社社長の麻生陶子は、誰もが憧れる存在。だが、その美貌とは裏腹に、「完璧な人生」を手に入れるためには、恋も仕事も計算し尽くす女だ。そんな陶子には、彼女を崇拝し奴隷の如く仕える妹の久恵がいた。しかし、ある日から、二人の関係が狂い始め、驚愕の真実が明らかになっていく…。『女神』の著者が「女の心理と狂気」で描く現代サスペンスの傑作。
16歳の明帆は同級生の藍子と付き合っている。だが二人はすれ違ってばかりで、明帆は藍子の幼なじみの少年・陽に近づいていく。ある日、藍子のアパートが火事で全焼し、藍子も焼死体で発見される。不可解さを感じ、真相を探る明帆と陽だがー。「死んでほしゅうない。おまえに生きていてほしい。おれは、おまえを失いたくないんや」友情でもなく、同情でもなく、仲間意識でもない。少年たちの絆と闇に迫る、著者渾身の物語。
沖縄には、神様が静かに降りてくる場所があるー。心ここにあらずの母。不慮の事故で逝った忘れえぬ人。離婚の傷がいえない私。野生の少女に翻弄される僕。沖縄のきらめく光と波音が、心に刻まれたつらい思い出を、やさしく削りとっていく…。なんてことないよ。どうにかなるさ。人が、言葉が、光景が、声ならぬ声をかけてくる。なにかに感謝したくなる滋味深い四つの物語の贈り物。
平安時代の女性の日記。父の任地である東国で育った作者は京へ上り、ようやく手に入れた憧れの物語を読みふけった。女房として宮家へ出仕するものの、すぐに引退し結婚。夫は包容力も財力もある人だったが、20年に満たない結婚生活ののち、死別。その後は訪れる人もまれな寂しい生活を過ごす。13歳から40年におよぶ日記に描かれた、ついに思いこがれた生活を手にすることのなかった一生が、今の世にも胸に迫る。
両親をテロで失い、心を凍らせたままイスラエルの情報機関モサドに入局したレイチェル・アザリアス。モデル顔負けの容姿に、並外れた頭脳と身体能力。わずか数年で、成功率100パーセントの暗殺者“カリプソ”へと変貌を遂げた彼女だったが…。実在の人物をモデルにした女性エージェントの苛酷な運命を軸に、情報界に生きる男たちの国家の存亡をかけた闘いを描く長編。
ロスアンゼルス生まれの都会派探偵・左文字進は、十津川警部とともに西村作品の名キャラクターとして多くのファンを魅了してきた。そして本作ー。左文字の親友である若き私立探偵・川村が射殺される。川村の死の直前、共にいた女とは…。次々と起こる殺人を繋ぐ糸は何か?追跡行の途次、忽然と姿を消した左文字の愛妻・史子。都会の闇に蠢くハイテクを駆使した姿なき殺人者を前に窮地に陥る左文字。西村京太郎が生んだ華麗なるキャラクター、私立探偵・左文字進が、またも読者を虜にする長編推理小説、待望の文庫化。
東日本連合会春日組大幹部の韮崎誠一が殺された。容疑をかけられたのは美しい男妾あがりの企業舎弟…それが十年ぶりに警視庁捜査一課・麻生龍太郎の前に現れた山内練の姿だった。あの気弱なインテリ青年はどこに消えたのか。殺人事件を追う麻生は、幾つもの過去に追いつめられ、暗い闇へと堕ちていくーベストセラー「RIKO」シリーズから生まれた究極の魂の物語、ついに文庫化!上巻に本書サイド・ストーリー『歩道』を書籍初収録。
美少女ナオミの若々しい肢体にひかれ、やがて成熟したその淫蕩なまでの底知れぬ魅力のとりことなった譲治。奔放なナオミは譲治の背に跨って部屋中をめぐる。女の魔性に跪く男の焦燥と惑乱と陶酔を描く谷崎文学の傑作。
三十年住んだ武蔵野の地を離れ、妻とふたりで都心へと居を移した「私」。ゆっくりと確実に変化していく日常と、家族の形。近づいてくる老いと沈殿していく疲れを自覚しながら、相変わらず取材旅行に駆けまわる毎日だ。そんなとき、古い友人の悪い報せが「私」を大きく揺るがせる…。『岳物語』から二十余年。たくさんの出会いと別れとを、静かなまなざしですくいとる椎名的私小説の集大成。
私は彼女の事を何も知らなかったのか…?大学へ通うために上京してきた春海は、京都からきた麗子と出逢う。お互いを干渉しない約束で始めた共同生活は快適だったが、麗子はやがて失踪、跡を追ううち、彼女の二重、三重生活を知る。彼女は名前、化粧、嗜好までも替えていた。茫然とする春海の前に既に死体となったルームメイトが…。
一八九五年、下関における日清講和条約の調印。清朝打倒を決意した孫文は、同志とともに広州で最初の武装蜂起を企てる…。「大同社会」の実現を目指して、世界を翔る若き革命家の軌跡。膨大な資料から真実を読み取り、最後まであきらめなかった姿勢と無私の精神にあふれた孫文の実像が甦る歴史小説の神髄。『青山一髪』を改題、待望の文庫化。
度重なる蜂起の失敗。しかし宮崎滔天ら多くの日本人と中国人留学生に支えられ、王朝の終焉に向けて孫文は革命運動の炎を燃やし続ける…。孫文と同志たちの革命と青春を描く歴史長編。膨大な資料から真実を読み取り、孫文の実像に迫る歴史小説の神髄。『青山一髪』を改題、待望の文庫化。
子持ちの女将が切り盛りする料理屋に居候の安兵衛は、実は旗本の三男坊。気ままな暮らしぶりから、極楽とんぼと呼ばれているが、ひとたび剣を抜けば、遣い手に。義理人情に厚く、嫌と言えない安兵衛は、毎度持ち込まれる難題に奔走して…。
歯を食いしばり一日を過ごす。星を数える間もなく眠りにつく。都に献上する銅をつくるため、若き国人は懸命に働いた。優しき相棒、黒虫。情熱的な僧、景信。忘れられぬ出会いがあった。そしてあの日、青年は奈良へ旅立った。大仏の造営の命を受けて。生きて帰れるかは神仏のみが知る。そんな時代だ。天平の世に生きる男と女を、作家・帚木蓬生が熱き想いで刻みつけた、大河ロマン。
話があるんですー父の葬儀の翌日、一人の若者が訪ねてきた。新潟県警鬼の一課長と呼ばれた父にとって唯一の未解決案件を再捜査しろというのだ。奇しくも時効は葬儀の当日であった。遺品の備忘録に綴られる捜査への飽くなき執念、不審な元同僚、犯人と名指しされた男、そして謎の記号ー父が遺した事件を追って雪の新潟を鳴沢、疾る。
若くして成功した夫との新しい生活。だが予期せぬ妊娠に中絶という答を出した時から、夏樹果波の心に異変が起こり始める。自分の中に棲みついた別の女ー精神の病か、それとも死霊の憑依なのか。治療を開始した夫と精神科医の前には想像を絶する事態が待ち受けていた。乱歩賞作家が描く、愛と戦慄の物語。
ある時代、電話がなんでもしてくれた。完璧な説明、セールス、払込に、秘密の相談、音楽に治療。ある日マンションの一階に電話が、「お知らせする。まもなく、そちらの店に強盗が入る……」。傑作連作短篇!
再会を誓い、ルーンは世界の果ての壁を目指して南へ、フィリエルは北極の塔へ。吟遊詩人に導かれ、それぞれの危険すぎる旅がはじまったー「氷の都」で彼らを待ち受けるのは、「真昼の星」を目とする賢者。女王の血を引く少女の勇気が、今、世界を変える!傑作長篇ファンタジー、ついに完結。