ジャンル : 外国の小説
オーラはずぶ濡れの下着姿で、異国の皇太子カリムの前にいた。皇太子は負債を返せなくなった彼女の牧場を買いに来たのだ。並はずれて凛々しい男性に、こんな姿を見られるなんて。屈辱感に震えつつも、オーラは着替えて契約の話し合いに臨んだ。ところがカリムは彼女に年齢を尋ね、22歳という答えを聞くと驚くようなことを言った。「僕の婚約者になってくれ」毎日泥と汗で汚れてばかりの、ろくにデートの経験もない私が?オーラが真っ赤な顔であわてていると、皇太子は冷笑した。「君と結婚するつもりはない。恋人らしいことをするつもりもだ」
なぜ、アレクサンドロスがここにいるの?パリのホテルに足を踏み入れたカリーは目を疑った。優しかった初恋の人は、いまや冷酷な海運王になっていた。アレクサンドロスは傾いたカリーの叔父の会社を後押しし、資金援助も約束した上で、交換条件を突きつけたーカリーに強引に結婚を迫ったのだ。彼は私を愛してなどいない。ただ、罰を与えたいだけ…。7年前、17歳だったカリーはアレクサンドロスに想いを伝え、キスをせがんだ。そのせいで彼が大切な物を失うとも知らずに。これが唯一の償いになると信じて、カリーは花嫁になると決めた。
ただの料理人が雇い主に恋心を抱く? 身分違いもはなはだしいわ! 夕暮れの田舎道で、フロリナは高級車に乗った父娘と出会った。 背が高くハンサムな男性と、かわいらしい女の子。 それからひと月後、父娘は村の屋敷を買い取り、引っ越してきた。 病みあがりの父をかかえて生活に追われているフロリナは、 料理の腕を買われ、その屋敷で働くことになる。 週末を田舎でのんびりと過ごす医師の主人、 サー・ウィリアムのために心をこめて食事をつくるーー それが彼女のささやかな喜びになった。 雇い主の彼から見れば、フロリナはただの使用人にすぎないし、 彼は再婚相手も決まっていたのだけれど。 大柄で落ち着いた医師への想いはつのるばかり。でも美人で意地悪な婚約者を前にして、ヒロインは初めての恋をそっと胸にしまうのでした。英国の田園地方の雰囲気を楽しめるうえ、ヒロインが腕をふるう料理やお菓子も味わえる、ベティ・ニールズの傑作です!
私の心は、空白のノート。 わが子の存在さえ、知らない。 事故で1カ月も昏睡状態にあったメイブは、記憶を失っていた。 退院した彼女を迎えたのは、夫のダリオ・コスタンツォ。 世界的大企業の創業者一族の御曹司で、とびきりのハンサムだ。 自家用ジェットで飛んだ静養先は楽園のように豪華なヴィラで、 メイブはともに過ごすうち、ダリオに強く惹かれていった。 こんなにもすてきな大富豪が、わたしの夫だなんて……。 ダリオは彼女を気遣い、情熱的に見つめても、触れようとはしない。 もし記憶が戻ったら、本当の夫婦に戻れる? 子どもを作れるかしら。 だがまもなくして、メイブにとって衝撃的な事実が明らかになる。 二人にはすでに赤ん坊がいた。夫はそれを、ひた隠しにしていたのだ! ダリオと一緒に過ごすものの、寝室は別。“本当の夫婦”としての実感がないまま、メイブは彼の誠実さや類いまれなる魅力にみるみる心を奪われていきます。衝撃の展開をスパイスに、切なさと情熱を織り込んだロマンスを描いて人気の、C・スペンサーの珠玉作!
悪い伯爵のままでいて。 叶わぬ恋に落ちてしまうから。 「君はそうとう変わった小娘だ。自覚はあるのかい?」 伯爵に見つめられ、オリビアは逃げ出したい衝動を懸命にこらえた。 物憂げな黒い瞳と漆黒の髪。危険な魅力にあふれた強烈な存在感。 彼がシンフル・シンクレアーー罪深きシンクレア伯爵と呼ばれるのは、 名字の語呂合わせと黒い噂のせいだけではないらしい。 オリビアは勇気をかき集め、ある私的な調査に行きづまったこと、 その調査で先代伯爵の汚名を晴らせる可能性があることを説明した。 一笑に付されながらも必死に協力を仰ぐオリビアだったが、 ふいに伯爵は身をかがめ、彼女の柔らかな唇に指をすべらせた。 「帰ってくれ。夜の楽しみを台無しにした償いをさせたくなる前に」 おびえて逃げるように帰ったオリビアに、後日伯爵は協力を申し出ます。ともに謎を追ううちに冷酷非情なはずの彼の優しさに触れ、心ならずも強く惹かれていくオリビアでしたが……。人気作家L・テンプルの真骨頂、愛と癒やしのノンストップ・リージェンシー!
貧しくも女手一つで懸命に幼い娘を育てるエリー。ある雪の夜、家の前に見知らぬ男性が倒れていた。記憶喪失の彼を看病するうち、いつしかエリーは彼を愛するように。しかしそれも彼の素性が明らかになるまでのこと。まさか、彼の正体が伯爵とはつゆ知らず…。(『雪のプロローグ』)。もとはレディでありながら家庭教師に身をやつすセーラの前に、思いもよらない人物が現れたー公爵の弟にして“サファイア王”と呼ばれるほど富を築いた大富豪レヴィールだ。かつては愛し合ったのに、セーラを捨て去った男との6年ぶりの再会。彼女の心は複雑に揺れた。だが今、一介の使用人と上流階級の来客という身分の壁に阻まれ、セーラは彼と自由に話すことさえままならないのだった。(『サファイアの魔法』)。男爵の娘ベスは生涯独身を通すと決めている。自分勝手な人間の多い貴族社会にはもううんざりだから。そこで、父が決めた意に染まぬ婚約者をかわすため、幼なじみの貴族ジャックに求婚者のふりをしてほしいと頼み、偽りの婚約劇を繰り広げることに。実のところ、ジャックはベスを本当の妻にするつもりでいるとは思いもせずに。(『クリスマスは伯爵と』)。リージェンシー・ロマンスの名手たちが贈る、愛の奇跡がきらめくクリスマス短篇集!
まさかセバスチャンが、重要な取引先の社長だったなんて…。デザイナーの卵のジェシカはセビリアにある会社を訪れ、服作りに最高の素材と出合うが、社長が誰かを知って愕然とした。豪壮な館に住むスペイン伯爵のセバスチャンとは、従妹の恋の不始末を巡って激しい言葉の応酬を繰り広げたばかりだった。彼は、話をするため伯爵邸を訪れたジェシカを従妹だと思い込み、金目当ての性悪女と、一方的に罵ったのだ。商談の席でも侮辱を続ける相手の頬を、ジェシカが思わず平手で打つと、セバスチャンは気高い顔に軽蔑と怒りの色を浮かべ、言い放った。「我が一族に手をあげた者は、必ず報いを受けるぞ!」
これはひとときのシンデレラ契約。 夢見る永遠の愛は、叶わない。 仕事を失ったうえ恋人にも裏切られ、キティの心はぼろぼろだった。 そんななか、友人と立ち上げた引っ越し会社に思わぬ依頼がーー 依頼人は由緒正しき准男爵家の新当主セバスチャン・デルフォント。 ロンドンの高級住宅街にある屋敷へ移り住むのだという。 黒髪に精悍な顔だち、たくましくて長身の彼を一目見た瞬間、 キティは心を奪われてしまった! そして丁寧な仕事ぶりが認められたのか、 爵位の継承を広く知らせるための仕事もすることになる。 6週間の契約でセバスチャンが催すパーティを手伝ううち、 いつしかキティは彼の“恋人”として寄り添える日を夢見るように……。 人気急上昇中のキャンディ・シェパードが描く、好感度の高いヒーローと不遇な人生に耐える健気なヒロインのシンデレラ・ロマンスです! 身分違いの恋心をひた隠しにするキティですが、つらい過去を打ち明けて弱みを見せたのを機にセバスチャンと急接近し……。
私以外、だれも知らないーー この子の本当の父親を。 数カ月の休暇のあと、看護師のルーシーは仕事に復帰した。 その初日、彼女は信じられない話を耳にする。 コナーが小児科長として病院に戻ってきたというのだ。 なによりも仕事を優先し、恋人だったルーシーを捨てていった彼。 医師としてさらに出世するためアメリカへ渡ったはずなのに、 なぜ今になって戻ってきたのかしら……? その答えは、ルーシーが恐れていたとおりだった。 コナーは、別れたあとで彼女が密かに産んだ娘に会いに来たのだ! そして、娘の正式な父親になるためならなんでもすると言い放つ。 ルーシーは不実な彼を信じられず、なんとしても娘を守ると心に誓った。 心揺さぶる感動作を多く生んだジェニファー・テイラーの、切なくて情感豊かな“シークレットベビー・ロマンス”です!
★★★2021年に韓国で話題を呼んだ、 生き方エッセイ待望の日本語版!★★★ ■「タイミングよく逃げることが人生を救う。深い共感と共に読みました」--ベストセラー作家キム・スヒョン(代表作『私は私のままで生きることにした』)推薦! ■2021年優秀出版コンテンツ(韓国)に選定 ■逃げることと、あきらめることはまったく違う。心地よく生きるために、逃げる技術を携えよう! 著者は韓国で数々のベストセラーを生み出してきた編集者のユン・ウル、そしてイラストは「イラストを描いた理由は、この作品が好きだからです」と語る、著作累計170万部突破、代表作『私は私のままで生きることにした』(ワニブックス)の著者でイラストレーターのキム・スヒョン。 仕事や家庭、人間関係、夢、恋愛で私たちが「幸せではない」と感じるとき、著者が提案するのは耐えることでも、闘うことでもなく「逃げること」。 逃げることはあきらめでも、ましてや卑怯でもない。 それは人生という海で、自分のものではない波を見送ること。そして自分の波が来たらすかさずそれに乗り、望む方向へとまっすぐ進む勇気ある行動。 「〇〇しなくてはならない」「がまんが必要」「自分はこうあるべき」という思いを手放し、心地よい日常へと逃げる方法を著者の経験、そして小説や哲学から語るエッセイ。 自分が自分を好きでいられる、そんな生き方のヒントが見つかる! 【CONTENTS】 ・プロローグ 弁明を大義名分に変える「逃げる」ための技術 ・第1章 自分との約束ほど大切なものはない ・第2章 人間の最大の武器、意志力の使い方 ・第3章 想像力は逃げることに役立つか ・第4章 終わった恋を確実に終わらせる方法 ・第5章 運命のままに生きろという言葉の罠 ・第6章 正解はない。つねに修正と補完を繰り返すだけ ・第7章 どんなアイデンティティーを持って生きるのか ・第8章 自分から逃れて他人へと向かう冒険に旅立つこと
悲しみとは、生の躍動ーー。人の尊厳に迫る、このうえなく静かな長篇小説。ミリオンセラー『ある一生』で国際ブッカー賞候補となったオーストリアの作家が、小さな町の墓所に眠る死者たちが語る悲喜交々の人生に耳を傾ける。たゆまぬ愛、癒えない傷、夫婦の確執、労働の悦び、戦争、汚職、ならず者の悲哀……。失意に終わる人生のなかにも、損なわれることのない人間の尊厳がある。胸を打つ物語。
アフガンの女性作家たちによる23の短篇集 書くことがこんなにも強靭な抵抗になるなんて。 この炎のような短篇集を読み、語り合うことで、彼女たちの命懸けの戦いにくわわろう。--柚木麻子 早急に、世界に届けられなければならない声がある。 そしてその声は、物語の力を借りて、何より強いものとなる。--西加奈子 どんなに過酷な現実が目の前にあっても私たちは描く。 ペンを持っている間だけ心は自由に空を飛べるから。--窪美澄 抑圧・蹂躙され口を塞がれた女性たちがペンを執り、鳥の翼のように自由に紡ぎ出した言葉の数々。女性嫌悪、家父長制、暴力、貧困、テロ、戦争、死。一日一日を生き抜くことに精一杯の彼女たちが、身の危険に晒されても表現したかった自分たちの居る残酷な世界と胸のなかで羽ばたく美しい世界。 アフガニスタンの女性作家18人が紡ぎ出す、心揺さぶる23の短篇集。 【編集担当からのおすすめ情報】 本書は、2022年2月に英国で刊行されたアフガニスタンの女性作家18名による23の短篇集の邦訳版です。紛争地域の作家育成プロジェクト〈UNTOLD〉による企画編集で、3年前からイギリスとアフガニスタンでやりとりをしながら、「小説を描きたい」という女性たちを広く募り、一冊へとまとめ上げました。アフガニスタンでは2021年夏にタリバンが政権を奪還し、女性への抑圧も急激に強くなりました。女生徒たちは教育の機会を奪われたまま、女性は全身を覆うブルカの着用を義務づけられ、単独での遠出を禁じられるという、21世紀とは思えない状況が続いています。そのような中で、本書の著者のうち数名は、身の安全のため国外への避難を余儀なくされています。 ここに集められた短篇は、死や暴力、激しい女性憎悪や差別と隣り合わせの重い日常を描いたものも少なくありません。また日本に暮らす私たちとは価値観も異なり、簡単には理解出来ないこともあります。 それでも、想像を絶する過酷な毎日を強いられる彼女たちが紡ぎ出す言葉には、誰もが激しく胸を揺さぶられるのではないでしょうか。時には本を閉じたくなることもあるかもしれません。それでも、自分たちの日常とかけ離れた世界が描かれているからこそ、一人でも多くに読んでほしい、知ってほしい一冊です。
行き場のない青年の鬱屈した現実を描き、イツハク・ラビン首相暗殺を予見したと評される表題作のほか、ユダヤ人の聖地を海岸に移設する顛末譚「嘆きの壁を移した男」、2048年にヒトラーとアンネ・フランクのアンドロイドが遭遇する「もうひとつのラブストーリー」など、エトガル・ケレットと並び、イスラエル屈指のストーリーテラーと評される作家の短篇を精選した日本語版オリジナル短篇集。過酷な過去と現実を生きる若者たちの諧謔とペーソスに満ちた優しき世界。
◆ラテンアメリカ文学不滅の金字塔がついに邦訳! 一家に君臨するホセ・エウヘニオ大佐と喘息持ちで鋭敏な感性を持つ長男ホセ・セミー、熱帯の光に満ち満ちた日々の中で、オラーヤ家とセミー家にもたらされる生のよろこびとふりかかるあまたの苦難、痛苦な愛と非業の死ーー典雅で混成的なクリオーリョ文化が濃密に漂う革命前のキューバ社会を舞台に、五世代にわたる一族の歴史を、豊穣な詩的イメージとことばの遊戯を駆使して陰影深く彩り豊かに描いた、20世紀の奇書にして伝説的巨篇。 【目 次】 パラディーソ * 『パラディーソ』を読むために 旦敬介 飛散してゆくイメージーーレサマ=リマの『パラディーソ』をめぐって 旦敬介 ホセ・レサマ=リマ主要著作 『パラディーソ』の構成 『パラディーソ』家系図 パラディーソ * 『パラディーソ』を読むために 旦敬介 飛散してゆくイメージーーレサマ=リマの『パラディーソ』をめぐって 旦敬介 ホセ・レサマ=リマ主要著作 『パラディーソ』の構成 『パラディーソ』家系図
ストリッパーとしてオハイオ州コロンバスのゲイエティ劇場に出演していたジプシー・ローズ・リーは、旧知の興行主H・I・モスに誘われ、親友のジージー・グレアムとともに、彼がオーナーを務めるニューヨークのオールド・オペラ劇場に移籍する。華やかな舞台の裏で繰り返される、踊り子同士のいがみあいや喧嘩、口さがない悪口、踊り子とコメディアンとの恋愛沙汰、警察による手入れ、と移籍先での毎日は騒がしい。そんな中、新しいトイレのお披露目を口実に楽屋で開かれたパーティの席上で、皆から嫌われていた踊り子のロリータ・ラ・ヴェルヌが、Gストリングを首に巻きつけた状態の遺体で発見される。自身にも嫌疑を向けられたリーは、恋人のビフ・ブラニガンとともに調査を始めるが、やがて第二の殺人が! 一癖も二癖もある人間が出入りし、生々しい人間関係が渦を巻く猥雑を極めたバーレスクの世界を舞台に繰り広げられる、アメリカン・バーレスクの伝説的スターによる異色のミステリ、ここに開幕! クレイグ・ライス代作説を徹底究明した前説だけでもミステリ・ファンはMUSTの一冊。 ◆女性読者の皆様、「ストリッパー」という惹句を目にして敬遠するなかれ。本作は、ボーヴォワールが『第二の性』を著す以前の1941年に、アメリカの知的で自立した女性の生きざまというフェミニズム・テーマを、声高でなく面白おかしく描いた文学的価値もあるミステリ良作なのです。(山口雅也) 装訂・シリーズロゴデザイン=坂野公一(welle design) 【炉辺談話】 『Gストリング殺人事件』(山口雅也・酔眼俊一郎) Gストリング殺人事件
「〈新訂版コナン全集〉(東京創元社)」を基に、訳者・中村融氏が全面改稿、新たに新資料も加え、全4巻にてお送りする『愛蔵版 英雄コナン全集』、第2巻となる「征服篇」には、中短の5編に加え、ハワードのデビュー作「槍と牙」、ラヴクラフト宛の書翰をまとめた「野蛮と文明」など、新資料を収録。 【収録作品】 ザムボウラの影/鋼鉄の悪魔/黒い予言者/忍びよる影/黒魔の泉 〈資料編〉トムバルクの太鼓(梗概)/トムバルクの太鼓(草稿)/槍と牙/闇の種族/キンメリア/ハイボリア時代の諸民族に関する覚え書き/野蛮と文明ーーハワードのラヴクラフト宛書翰より
死んでいたはずの男が地下の墓所で目を醒ます。男は名前を含め記憶のほとんどを失っていた。埋葬者たちは男の復活を予期し、墓場に閉じ込めようと目論むも、墓荒らしの侵入で封印が解かれたようだ。暗闇の中、転がっていた墓荒らしの死体が動き出す。男は無意識に左手から銀色の光を放ち、墓荒らしを葬り去る。すると男の中で何かが呼び覚まされたーーそうだ、おれは魔術の達人だったはずだ! 目の前に広がるのは夜の砂漠。天の星は男の死後はるかな時間が経過していることを示す。男は外壁に刻まれた文字「フェーラノス」を自分の名前を決め、嵐の予感が漂う砂丘へ、壮大な旅路への一歩を踏み出したーー。