ジャンル : 外国の小説
アーノルド・ゼックからの警告を無視したネロ・ウルフに迫る危機。探偵助手のアーチー・グッドウィンを翻弄する恐るべき罠。徐々に存在感が高まる巨悪と大胆不敵な天才探偵の直接対決が刻一刻と迫る〈アーノルド・ゼック三部作〉の第二作を初邦訳! 二度目の告白 訳者あとがき
《記憶をなくした男と三人の女性たちのドラマ》 第一次大戦に出征した夫クリスの帰りをロンドン近郊の屋敷で待つ妻キティと、いとこのジェニーのもとに、みすぼらしい身なりの女性がクリス負傷の知らせを持ってやってくる。病院に収容された彼は砲弾ショックで過去十五年間の記憶を失い、ひたすらかつての恋人に会いたいと望んでいた。訪ねてきた女性こそがその元恋人マーガレットだったのだ。やがてクリスが戦地から帰還し、彼をめぐる三人の女性たちの葛藤に満ちた心理ドラマが始まる。過去の幸福な記憶に浸るクリスと、十五年後の現実を生きつつも彼に寄り添うマーガレット。記憶喪失の治癒を願うキティ。それらを見守るジェニー。彼らにとっての真の幸せとは何なのか。戦争と階級制度の問題、ケアの視点からも再評価される英国モダニズム小説の名作。併録の短篇「終わらない結婚生活」は、強い女性に対する〈男性性〉の不安を戯画的に描いて鮮烈な印象を残す。
太平洋戦争時、日本軍の侵攻に抵抗するフィリピンの住民たちが自由のために戦う中、一人の少女が神話的想像力によってエンパワメントを歌い求めるーーフィリピン系アメリカ人女性作家ブレイナードの半自伝的なマジックリアリズム小説にして歴史証言の文学。本邦初訳。
J・ロバート・レノン氏は、アメリカ・コーネル大学で教鞭をとる教授でありながら、精力的に創作活動を続ける現役作家である。これまでに数々の長編小説と短篇集を発表し、その独自の文体と鋭い洞察力によって、アメリカ文学界で高い評価を受けてきた。今回、私が翻訳を手がけたのはレノン氏の3作目の短編集 Let Me Think(2021)である。71編の作品が収められたこの短編集は、原著において1頁19頁の掌編であるが、どの作品も、日常の中に潜む不条理な真実を機知に富んだユーモラスな文体で描き出している。 レノン氏の物語の魅力は、平易でありながらも奥行きのある文章にある。登場人物たちは、誰もが共感できる「ごく普通の人々」であるが、その行動や思考の背後には、人間関係のもつれや、現実と意識の間に広がる深い闇が見え隠れする。 レノン氏の前作の短編集 See You in Paradise(2014)では、14編の作品が「いま・ここ」とは異なる時空との接触を描き、読者を幻想と現実の狭間へと誘った。本作Let Me Thinkにおいても、レノン文学の核心である「多層的な現実」が、軽妙な語りと奇抜な発想によって鮮やかに描き出されている。 今回の短編集は、一見、無意味に思える短文の寄せ集めのように見えるが、読み進めるほどに、私たちの生きる現実が決して一様ではなく、無数の意識の集積であることに気づかされる。氏の作品は、単なる娯楽作品ではなく、私たちが生きるもう一つの現実を照らす「一つの思考実験」である。そのことは、日本を代表する翻訳家・柴田元幸氏が、レノン氏の作品をいくつか紹介されていることからも覗える。氏の文学的価値は高く、アメリカ文学史に名を刻む現代作家の一人であることは間違いない。 私は2022年9月、レノン氏が勤務するコーネル大学を訪問し、学部生、大学院生、教授陣に向けてLet Me Thinkの日本語翻訳の意義を解説してきた。その場には、世界的な文学理論家で、現在、コーネル大学名誉教授であるジョナサン・カラー氏も同席されており、カラー氏も、レノン氏の作品を激賞されていた。カラー教授からは、レノン氏の作品を翻訳する私の仕事に対して心のこもった励ましの言葉をいただいた。カラー氏の激励を裏切ることのないよう、これからもレノン氏の作品を日本の読者に届けていきたい。
刊行100年の2025年に 9人の論者がさまざまな視点から『グレート・ギャツビー』を読み解く 1925年に『グレート・ギャツビー』が刊行され、日本でも徐々に受容されてきた。9つの論考をとおして『グレート・ギャツビー』が長く読みつがれる魅力や時代背景、校正による内容の変遷など、深く、楽しく小説を読み解く鍵を見つけることができる。 長年、多くの読者を惹きつける小説を堪能するための手引きとなる1冊。 巻末には、原文のテキストについての解説や、翻訳をはじめ、日本で入手できる研究書、映画化作品を網羅した資料集、フィッツジェラルドの年譜、小説のあらすじ、研究メモなどを掲載している。 【目次】 はじめにーー『グレート・ギャツビー』刊行100年 杉野健太郎 『グレート・ギャツビー』と三つの経済体制 上岡伸雄 1925 ギャツビーの年 宮本陽一郎 ギャツビーの乗り物再訪 竹内康浩 ダブル・ヴィジョンの可能性ーーニック・キャラウェイのナラティヴ/ジェンダー・ストラテジー 諏訪部浩一 ギャツビーの眩い笑みーー『グレート・ギャツビー』の「大きな欠陥」と親密性 浅羽麗 『グレート・ギャツビー』におけるニックの「幼さ」と「メランコリー」 藤生真梨藻 『グレート・ギャツビー』と戦争PTSD--なぜギャツビーは「ザ・グレート」なのか 野間正二 ニュー・ヒューマンとしてのギャツビーーー『グレート・ギャツビー』における自己と世界と生の肯定 杉野健太郎 書き換えられたジェイ・ギャツビーーー「マニュスクリプト」と『トリマルキオ』から『ギャツビー』を読む 浅川友幸 アペンディクス 『グレート・ギャツビー』のテクスト(浅川友幸)/研究メモ(森木順子・野間正二・藤谷聖和)/エッセイ「ギャツビーと私」(藤谷聖和・杉野健太郎・森木順子) 巻末資料 主要登場人物/あらすじとセグメンテーション/主要資料/F・スコット・フィッツジェラルド年譜/地図/索引 執筆者紹介
2024年国際ブッカー賞最終候補作、 ついに邦訳刊行! 鉄道員一家四代の百年の物語 韓国現代文学の重鎮であり、毎年ノーベル文学賞候補にあがるほど世界的評価の高い著者が、構想から執筆まで 30 年をかけた集大成となる長篇小説。2024年国際ブッカー賞最終候補作となり、世界中から注目を集めた。世界22か国語で刊行が決まっている 。 日本による植民地支配期に、川崎重工で作られたマテニ(マテ2型)は、朝鮮半島に導入されると主に山岳地帯の多い朝鮮北部で運行された。「マテ」は山岳型機関車を意味する、マウンテン型の日本式略称。マテニ10号は朝鮮戦争当時、北進していた南側(大韓民国側)によって接収され、開城ー平壌の路線で運行されていた。 本書の構想は、著者が1989年に北朝鮮を訪れた際、かつて鉄道機関士として大陸を行き来していた老人に出会い、話を聞いたことから始まった。 近代の到来、そして日本による植民地支配の象徴であった鉄道。本書は、闘う産業労働者たちと鉄道員一家四代の、朝鮮半島における百年の物語である。 イ・ベンマン、イ・イルチョル、イ・ジサンの鉄道労働者三代と、今の時代に煙突の上で「高空籠城」しているイ・ベンマンの曾孫であり工場労働者であるイ・ジノの物語が大きな柱を構成する。 三代の物語の中でも、イ・イルチョル、イ・イチョル兄弟の物語は、植民地期の労働運動と独立運動をリアルに描き、スリリングな展開で読者を引き込む。兄イルチョルは鉄道従事員養成所を出て、当時は珍しい朝鮮人機関士になり、父イ・ベンマンの誇りとなった。一方、弟イチョルは父ベンマンと同じ鉄道工作廠に勤めていたが解雇され、本格的に独立運動に身を投じ、投獄されるなど、苦難の道を歩む。また、日本の鉄道員や警察、大学教授など多数の日本人が登場し、日本の近現代史をも照らしだす。 物語の中で目を引くのは 女性たちの活躍だ。特にイルチョルの妻は、過去に義弟であるイチョルと共に労働運動をしていた新女性としての知性と卓越した予知能力で家族に襲いかかる苦難にも賢明に対処し、家族をいたわり、一家の中心的存在となる。 全18 章から成り、10章以降が下巻。朝鮮半島から満洲へとのびゆく鉄道、離散の運命、分断を越えてつながりあう家族ーー。 鉄道員一家をめぐる膨大な叙事を通して、 植民地期から解放前後、そして 21 世紀の現在を絶妙に行き来し、韓国の近現代史を描き切った。同時に、これまで韓国文学史に欠落していた産業労働者たちの真の物語を本書で打ち立てた。 植民地期、また分断の時代の朝鮮半島における近代の歪み、その底辺と周縁に生きる者につねに眼差しを向け、独裁政権に抵抗の声をあげ、海外亡命、国内収監の経験も持つ著者は、リアリズムであると同時に、生者の声のみならず死者たちの声も響きわたる表現手法を本書で模索している。作品中に響きわたる複数の声は、 社会の周縁で声を奪われていた者たちの声である。
2024年国際ブッカー賞最終候補作、 ついに邦訳刊行! 鉄道員一家四代の百年の物語 韓国現代文学の重鎮であり、毎年ノーベル文学賞候補にあがるほど世界的評価の高い著者が、構想から執筆まで 30 年をかけた集大成となる長篇小説。2024年国際ブッカー賞最終候補作となり、世界中から注目を集めた。世界22か国語で刊行が決まっている 。 日本による植民地支配期に、川崎重工で作られたマテニ(マテ2型)は、朝鮮半島に導入されると主に山岳地帯の多い朝鮮北部で運行された。「マテ」は山岳型機関車を意味する、マウンテン型の日本式略称。マテニ10号は朝鮮戦争当時、北進していた南側(大韓民国側)によって接収され、開城ー平壌の路線で運行されていた。 本書の構想は、著者が1989年に北朝鮮を訪れた際、かつて鉄道機関士として大陸を行き来していた老人に出会い、話を聞いたことから始まった。 近代の到来、そして日本による植民地支配の象徴であった鉄道。本書は、闘う産業労働者たちと鉄道員一家四代の、朝鮮半島における百年の物語である。 イ・ベンマン、イ・イルチョル、イ・ジサンの鉄道労働者三代と、今の時代に煙突の上で「高空籠城」しているイ・ベンマンの曾孫であり工場労働者であるイ・ジノの物語が大きな柱を構成する。 三代の物語の中でも、イ・イルチョル、イ・イチョル兄弟の物語は、植民地期の労働運動と独立運動をリアルに描き、スリリングな展開で読者を引き込む。兄イルチョルは鉄道従事員養成所を出て、当時は珍しい朝鮮人機関士になり、父イ・ベンマンの誇りとなった。一方、弟イチョルは父ベンマンと同じ鉄道工作廠に勤めていたが解雇され、本格的に独立運動に身を投じ、投獄されるなど、苦難の道を歩む。また、日本の鉄道員や警察、大学教授など多数の日本人が登場し、日本の近現代史をも照らしだす。 物語の中で目を引くのは 女性たちの活躍だ。特にイルチョルの妻は、過去に義弟であるイチョルと共に労働運動をしていた新女性としての知性と卓越した予知能力で家族に襲いかかる苦難にも賢明に対処し、家族をいたわり、一家の中心的存在となる。 全18 章から成り、10章以降が下巻。朝鮮半島から満洲へとのびゆく鉄道、離散の運命、分断を越えてつながりあう家族ーー。 鉄道員一家をめぐる膨大な叙事を通して、 植民地期から解放前後、そして 21 世紀の現在を絶妙に行き来し、韓国の近現代史を描き切った。同時に、これまで韓国文学史に欠落していた産業労働者たちの真の物語を本書で打ち立てた。 植民地期、また分断の時代の朝鮮半島における近代の歪み、その底辺と周縁に生きる者につねに眼差しを向け、独裁政権に抵抗の声をあげ、海外亡命、国内収監の経験も持つ著者は、リアリズムであると同時に、生者の声のみならず死者たちの声も響きわたる表現手法を本書で模索している。作品中に響きわたる複数の声は、 社会の周縁で声を奪われていた者たちの声である。
世界は、なぜこれほど暴力的で、同時に、なぜこれほど美しいのか? 著者自身が構成を編み上げた、ノーベル文学賞受賞後初の作品がついに刊行。光へ向かう生命の力への大いなる祈り。 ・ ・ 「最初から最後まで光のある本にしたかった」 ーーハン・ガン ・ 「人間性の陽溜まりと血溜まりと。その二つが常に隣り合っていて、どちらかへ行こうとしたらもう一つも絶対に通らなくてはいけない。ハン・ガンの小説にはそんなところがある」 ーー斎藤真理子 ・ ・ ノーベル文学賞受賞記念講演「光と糸」全文、創作についてのエッセイ、5編の詩、光を求めて枝葉を伸ばす植物をめぐる庭の日記、そして著者自身による写真を、著者自らが編んだ、ハン・ガン自身によるハン・ガン。 ・ ・ 過去が現在を助けることはできるか? 死者が生者を救うことはできるのか? ーー本文より ・ ***** ・ 目 次 ・ 光と糸 いちばん暗い夜にも 本が出たあと 小さな茶碗 ・ コートと私 北向きの部屋 (苦痛に関する瞑想) 声(たち) とても小さな雪のひとひら ・ 北向きの庭 庭の日記 もっと生き抜いたあとで ・ 訳者あとがき ・ *****
彼女が「レシタティフ」を「実験」だと言うなら、本気でそれを意図しているのだ。その実験の被験者は読者であるーー 施設で同室になったトワイラとロバータは、白人と黒人の二人組で「塩と胡椒」と呼ばれていた。 月日が経ち、二人はダイナー、スーパー、デモ集会、レストランで四度再会する。 二人が共有する記憶と彼女たちについて、何が正しいのだろうか? ノーベル文学賞作家、トニ・モリスンが唯一書き残した実験小説。 大好評「I am I am I am」シリーズ第五弾。解説:ゼイディー・スミス 二人の少女はこの世の誰も知らないことを知ってたーー質問をしないこと。信じなきゃいけないことは信じること。 ずけずけと訊かずに広い心で接するのは、気遣いでもあった。 あなたのお母さんも病気? ううん、一晩中踊ってるの。 ふうんーーそして、わかった、といううなずき。(本文より) レシタティフ 「実はあの中にちゃんとした人間がいた」ゼイディー・スミス 訳者あとがき
〈青天會〉が瓦解し、香港黒社会で龍捲風率いる〈龍城幫〉の脅威はいなくなった。だがある日突然悲劇が訪れ、龍捲風は親友にかわりその甥・信一を育てることを決意する。信一と龍捲風のかつての日々を描くシリーズ外伝を函入り・特典盛りだくさんの特装版で!
ーーおれは彼女に、 「ヒバリ」という文字と、希望をもらった。 文字の読めない移動生活者の少年と、 学校で浮いている孤独な少女の出会い。 美しい挿絵で彩られた、 カーネギー賞受賞作家の心揺さぶる物語! ジムは、両親や親族とトレーラーハウスで集団移動しながら暮らす“パヴィー”の少年。 アイルランドの小さな集落で、定住者である “バッファー”の学校に通いはじめるが、偏見(へんけん)や差別にさらされ、不良たちから理不尽(りふじん)な暴力を受ける。そんな中、ジムは周囲から浮いているバッファーの少女、キットと親しくなる。他人に流されず、芯の強いキットにジムは惹(ひ)かれていくが、彼の病弱ないとこが不良たちに襲(おそ)われる事件が起きてしまい──。 苦しみや孤独を抱えた少年と少女の出会い、 揺れ動く気持ち。『ロンドン・アイの謎』 『すばやい澄んだ叫び』の著者による繊細な一編を、気鋭のイラストレーターが鮮烈な挿絵で彩った、心に響く物語!
謎解き×ロマンスミステリー、待望のシリーズ第2巻! 亡き大富豪トバイアスが仕掛けた暗号を解いたものの、エイブリーが相続人になった理由は謎のまま。そんな中、トバイアスが遺したあらたな謎解きゲームが出現する! 複雑に入り組んだホーソーン家の血統の謎があきらかになると同時に、エイブリーの出生に大きな秘密が隠されていることがわかり……。スリルとアクションが魅力の、謎解きミステリー第2巻! 最強タッグのパワーできっと全巻読みたくなる! 代田亜香子さんによる、読みはじめたらとまらない中毒性あふれる翻訳と、丹地陽子さんによる、本作の世界観を完璧に具象化した美麗イラストは第2巻でも健在! 本シリーズの最強タッグのパワーで、全巻読破必至です! 「相続ゲーム」ファン急増中!? 書店員様からの推しコメントも続々! 第1巻「相続ゲーム エイブリーと億万長者の謎の遺産」に寄せられた書店員様からのコメントを抜粋してご紹介! 謎解き・サスペンス・胸キュン、 どれか一つでも好きな要素があれば、絶対にはまります。 大垣書店コンテンツ事業部 川合千秋さん ページをめくるたびに、深まる謎と秘密が折り重なっていく、 レガシー・ゲーム・ミステリー! 紀伊國屋書店福岡本店 宗岡敦子さん 求める答えを探すように気が逸り、 ページをめくる手が止まらなかった。 未来屋書店大日店 石坂華月さん あっという間に引き込まれるスタートから飽きを感じさせない展開のスピード感。 分かりやすい表現だが先の展開はこちらの予想を超えてくる。 くまざわ書店 調布店 柴崎莉沙さん 恋模様も含め人間関係に目が離せない シンデレラロマンスミステリー 元 明林堂書店南宮崎店 河野邦広さん 謎めいたイケメンたちに翻弄されるエイブリーにハラハラ。 敵対しながらも惹かれてしまうじれったいロマンスが楽しい。 レビュアー O.Hさん
豪州発シスターフッド&エンパワメント小説 過去の苦しみは現在の苦しみに絡まり繋がり、 時代が変わっても少女たちの味わう苦悩は同じ。 しかし未来だけは誰にも分からない。 そこに希望がある。 ーー王谷 晶氏 推薦!! 装画 オカダミカ 装幀 albireo Inc. 〈一万本の面倒、とあなたの父は言った。 そう言ったとき、父は笑っていた。友達と話しながら。それはあなたの髪のことだったが、あなたの人生のことでもあった。女の子に生まれたからには不幸ばかりだとわかっている、すべてのまだ生きていない人生のこと。父がそう言ったのは、あなたが十四歳になったばかりのときだった。〉(本文より) 現代の豪州の町ダーウィン、14歳のバードは育児放棄され、家でふたりきりになった母の恋人からの耐えがたい視線にさらされていた。今は病院のベッドにいるが過去の記憶が無い。 昔のヒマラヤでは、14歳のバードが父親の借金のかたに望まない結婚を強いられている。それぞれの時代でバードは「そこ」から逃げ、やがて5人の少女たちとその絵にまつわる謎に行きつくーー。 オーストラリアでもっともエキサイティングな女性作家が、少女の選択と時空を超えたシスターフッドを幻想的に描く、傑作エンパワメント小説。 【編集担当からのおすすめ情報】 〈マーガレット・アトウッドやホリー・リングランドのファンに贈る、オーストラリアでもっともエキサイティングな新進作家のひとりによる、希望と回復力についての忘れがたい小説〉 〈どんな犠牲を払おうとも自分の意志で生きようと決意した少女を描いた、傑作にして深く感動的な小説。『BIRD』は、希望、回復力、繋がる力、そして最も根源的な絆を描いた忘れられない物語です〉 (原著出版社アシェット・オーストラリアの書誌紹介文より) ふたつの時代、それぞれの苦難に抗おうと必死に生きる少女バード。彼女の尊厳を踏みにじる大人たちと、一方で彼女に寄り添い連帯しようとする女たち。オーストラリアの新進女性作家による、時空を超えたシスターフッドに胸が熱くなる、幻想的なエンパワメント小説です。バードと同年代の10代から、かつてバードのような少女だったバードの親世代まで、年齢や性別を超えて読んでほしい作品です。 帯の王谷晶さんの推薦文、オカダミカさんによる美しく力強い装画にもご注目ください。
ここではない、どこかから電話が鳴る。ポール・オースター最後の長篇小説。S・T・バウムガートナーは九年前に先立った妻アンナの不在を今も受け容れられずにいる。書斎で彼女のタイプ原稿を読み耽り、物忘れがひどいなか、ルーツの地ウクライナを旅したときの摩訶不思議な出来事を書き残す。そんな彼に恩寵が……来るべき日を意識していたとしか思えない、オースター作品のエッセンスが宿る名作。
誰にだってある。このままではいけないと、ふと運命を変えたくなるときが。あまりにも不運な男は、ある日、「人生のギヤ」を切り替えようとする。「ボブ」と名乗る娘の思春期に悩み、仕事にも疲れ切ったシングルマザーは、酒に逃げるのをやめることにする。少女時代、親友との友情のために映画出演をやめた女性は、ふとあることに気づく。完璧には程遠い人生を受け止めて生きる愛すべき人々を描く連作短編集。
陥落を前にしたコンスタンティノープル、現代アメリカの図書館、未来の宇宙船。異なる時空を生きる人々が古代ギリシャの物語により繋がっていく。どの時代も避けられぬ絶望の中で物語は希望を灯しーー『すべての見えない光』作者が、語り継ぐ力を讃えるサーガ
魏・蜀・呉、三国の興亡を描いた『三国志』には、「桃園の誓い」「三顧の礼」「出師の表」「泣いて馬謖を斬る」など心打つ名場面や 「水魚の交わり」「苦肉の策」「背水の陣」など名言や現代にも通じる格言も数多く登場する。 曹操、劉備、孫権、孔明、関羽、張飛、趙雲、周瑜、司馬懿など個性豊かで魅力的な登場人物に加え、 官渡の戦い、赤壁の戦い、五丈原の戦い等、歴史上重要な合戦も多い。英雄たちの激闘の系譜、名場面・名言が図解でコンパクトにすっきりわかる『三国志』の決定版! ※2019年7月刊行(ISBN978-4-537-21710-0)の価格改定です。 まえがき 第一部『三国志演義』の物語 一〜二十五 第二部 『三国志』から『三国志演義』へと変貌を遂げる物語 一〜十二
現代小説のひとつの到達点 ハリケーンの上陸が迫るニューヨーク、ブルックリン。詩人である語り手の〈僕〉は、前年に発表した小説デビュー作の長編で思いもよらぬ評価を受けていた。このほど『ニューヨーカー』誌に掲載された短編を組み込んで二作目の長編を書くと約束すれば、六桁強の原稿料が前払いでもらえるという。その一方で、〈僕〉の大動脈は解離の可能性があると診断され、また親友の女性、アレックスからは人工授精のために精子を提供してほしいと頼まれていた。ニューヨークの街を遊歩したり、テキサス州マーファで芸術家としてレジデンス生活を送ったりしながら長編の構想を練るなかで、〈僕〉は自分がかつて雑誌を編集していたときに著名な詩人たちとの間で交わしたやり取りを偽造して小説に取り込む可能性を探るのだがーー『ニューヨーク・タイムズ』紙が選ぶ二十一世紀のベスト百冊に選出された、ベン・ラーナーの飛躍作。
本邦初全143作品の完訳刊行開始!未完を含む全作品を作家のプラン通りに配列し収録。十九世紀フランスを通して「人間」を描き抜いた巨人バルザックの世界が、初めて明らかになる。
ノーベル賞作家でありラテンアメリカ文学を牽引した巨匠による、 喜劇と悲劇、そして音楽と本と祖国への愛に満ちた人間賛歌。 クリオーリョ音楽の研究者トーニョが出会った、世界で最も美しいギターの音色。そしてその奏者であるラロ青年の夭折。それらはリマ近郊でつつましく暮らすトーニョの人生をすっかり変えてしまった。彼について、そしてこの国の音楽について本を書かなくては! 使命感に燃えるトーニョだが、その熱意は様々な人を巻き込んでいき……。 2025年4月に逝去したペルーの巨匠、その最後の小説。 【著者プロフィール】 マリオ・バルガス=リョサ Mario Vargas Llosa 1936年、ペルーのアレキパに生まれる。20世紀後半の文学を代表する作家のひとり。 1959年に短篇集『ボスたち』でデビュー。初の長篇『都会と犬ども』で注目を浴び、生涯にわたってセルバンテス賞など数々の受賞歴を誇る。2010年にはノーベル文学賞を受賞した。 著書に『緑の家』『ラ・カテドラルでの対話』『フリアとシナリオライター』『世界終末戦争』『密林の語り部』『チボの狂宴』『楽園への道』『ケルト人の夢』『激動の時代』など多数。 2025年4月13日に逝去。本書は著者が生前に刊行した最後の小説となった。 【訳者プロフィール】 柳原孝敦 (やなぎはら・たかあつ) 1963年鹿児島県名瀬市(現・奄美市)生まれ。東京外国語大学大学院博士後期課程満期退学。東京大学大学院人文社会系研究科教授。著書に『ラテンアメリカ主義のレトリック』(エディマン/新宿書房)、『テクストとしての都市 メキシコDF』(東京外国語大学出版会)。訳書にアレホ・カルペンティエール『春の祭典』(国書刊行会)、ロベルト・ボラーニョ『野生の探偵たち』(共訳、白水社)、セサル・アイラ『文学会議』(新潮社)、フアン・ガブリエル・バスケス『物が落ちる音』(松籟社)など。 【原題】 Le dedico mi silencio