小説むすび | ジャンル : 外国の小説

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理性と感性理性と感性

近代イギリス長編小説の頂点とうたわれる6作品のうち、最初に出版されたもの。 理性的で感情を表に出さない姉エリナと、自分の感情に正直な妹マリアン。 それぞれが困難な恋愛に苦しみつつたどり着いた幸福への道とは。 「200年経っても色褪せない」天才作家による人間ドラマの傑作。 オースティンの作品は、すべて平凡な田舎の出来事を描いたものであり、求めた題材の範囲は非常に狭く、いずれも登場人物は名家の娘と牧師や軍人などの紳士で、この男女が紆余曲折を経てめでたく結婚して終わる。 オースティンは「田舎に3、4の家庭があれば小説にもってこいの材料だ」、と述べているが、そこでの人間の姿を徹底的に描き尽くしており、人間性の不変さを示し、心理写実主義の先駆ともされている。 一連の作品は、英文学古典の一つとして高く評価されていて、初級の講義から各国の学会での高度な研究に至るまで多くの大学でオースティンの作品が取り上げられている。 バースのゲイ・ストリートには現在、ジェーン・オースティン・センターがあり、様々な資料を展示する他、 研究・啓蒙活動が行われている。 「君の心の庭に忍耐を植えよ、その草は苦くともその実は甘い」は彼女の言葉である。 *2016年以降に流通している10ポンド紙幣の肖像画に、ジェイン・オースティンが採用されている。

シャドウプレイシャドウプレイ

【アイリッシュ・ブックアワード受賞】 この劇場にはジョナサン・ハーカーもいれば、 ミナという名の幽霊もいる そして劇場支配人ブラム・ストーカーの 胸には妖しい吸血鬼の影が…… 『吸血鬼ドラキュラ』誕生の物語 1800年代後半、のちに『吸血鬼ドラキュラ』を生み出すことになる若きブラム・ストーカーは、人気俳優であり劇場経営者でもあったヘンリー・アーヴィングに雇われ、ライシアム劇場の支配人となっていた。仕事に忙殺される慌ただしい毎日だったが、ストーカーの無意識の中で『吸血鬼ドラキュラ』の小説が形をなしていくにつれ、ドラキュラの存在が影絵の芝居(シャドウプレイ)のように現実に影を落とし始める。劇場では、ジョナサン・ハーカーという名前の男が働き、屋根裏にはミナという名の幽霊が出る……。 アイリッシュ・ブックアワード受賞。ストーカー、アーヴィング、そして一座に加わった名優エレン・テリー。個性的な三人の人生を、虚実織り交ぜたドラマティックな筆致で描く『吸血鬼ドラキュラ』誕生秘話。 ■目次 第一幕 永遠の愛 第二幕 俺たちの身体から血は流れないのか? 第三幕 ブラッドフォード到着 終  章 一九一二年四月十二日金曜日  覚え書き、参考文献、および謝辞  訳注、または『ドラキュラ』への扉  ドラキュラ、シェイクスピア、古きロンドンーー訳者あとがきに代えて

モンティチェロ 終末の町でモンティチェロ 終末の町で

【内容説明】 鳴り響くアメリカ国歌、銃声。逃げ惑う住民が辿りついたのは元大統領邸宅(モンティチェロ)だった……。近未来アメリカを舞台に、トマス・ジェファーソンと奴隷の間に生まれた女性を先祖に持つ女子学生が、暴徒化した白人至上主義者から逃れ、因縁の場所で運命と対峙する表題作をはじめ、全6編を収録したデビュー作品集。バージニア州シャーロッツビル周辺を主な舞台に、人種差別や経済格差の問題等、さまざまなテーマを内包する中編(表題作)1本と短編5本を収録。本書は、全米批評家協会賞ジョン・レナード賞最終候補、ニューヨーク・タイムズ紙2021年ベストフィクション10冊に挙げられた。2022年リリアン・スミス図書賞受賞。 (原題 My Monticello) 【著者略歴】 ジョスリン・ニコール・ジョンソン(Jocelyn Nicole Johnson) バージニア州レストンに育つ。ジェームズ・マディソン大学で美術と教育の学位を取得し卒業。公立小学校の教師として視覚芸術を指導。デビュー作となる本書で、リリアン・スミス図書賞、バージニア図書館フィクション賞を受賞。PEN/フォークナー小説賞のロングリスト、全米批評家協会賞ジョン・レナード賞最終候補等にも選ばれた。

小さくも重要ないくつもの場面小さくも重要ないくつもの場面

いくつもの秘密は家族をどこへ連れていくのか 『マグヌス』で知られるフランスの著名な小説家が、互いの関係を模索する再構成家族の姿と秘密を詩的に描いた中篇小説。 幼い頃から母のいないリリは、赤ん坊の頃の自分の写真を見て、自分はいったいどこから来たのか、母はどこへなぜ行ってしまったのかと疑問を抱いてきた。父の再婚により、新たに四人の兄姉ができるが、継母ヴィヴィアンや異母兄姉との関係を模索しながらも心からは馴染めずにいた。 ある日、家族そろって出かけたピクニックで写真を撮るため、子どもたちはぎゅうぎゅうに身を寄せ合った。それが悲劇につながるとは知らずに……。 やがて兄姉たちがそれぞれの道に進んでいく一方、リリはどこへ向かえばいいのかわからず、左翼グループと共同生活をしてみたり彫刻に打ち込んでみたりするものの、どれも長続きせずさまよう。 タイトルが示すとおり、小さいがひとつひとつが何らかの働きや意味をもつ多くの出来事の連なりで構成されている。リリは愛する人を見つけ、自分の居場所にたどり着けるのか。知りたかった秘密は明らかになるのか。喪失を抱えながらも、時の重なりを感じ、自己や他者と向き合うことの尊さを静謐に描く。

スターリングラード(中)スターリングラード(中)

20世紀の『戦争と平和』、戦争を貫くヒューマニズム 『人生と運命』(みすず書房)の読者が待ち望んだその前編となる全三巻。人情味あふれる物語が居間のランプに照らされ、戦場の火炎に炙られる。市民と兵士に、さらにはドイツ兵にも同情の視線が注がれたポリフォニックな群像小説。 本書は1942年4月のヒトラーとムッソリーニ会談から、主人公の一人クルイモフがヴォルガ川を渡ってスターリングラードへ入る9月まで、5カ月未満の物語だ。冒頭、コルホーズ労働者が召集令状を受け取る心理描写の細やかさは、本書の典型的特徴だ。「老練な赤軍の将軍、新米の民兵、恐怖におののく主婦を描くとき、グロスマンは分け隔てのない思いやりと敬意をこめてペンをふるう」。そして「スターリングラード駅防衛戦の描写は『イーリアス』に匹敵しよう。グロスマンが描く、24時間以内に確実に死ぬことを知っている若者たちの内面描写は真に迫っている」。 本書は、英国のロシア文学翻訳家チャンドラー夫妻の校訂による、検閲・削除された原稿の追加を含む改訂英訳版(2019年)からの邦訳となる。

ほら話とほんとうの話、ほんの十ほど[新装版]ほら話とほんとうの話、ほんの十ほど[新装版]

鬼才の魅力を多彩な短篇で 『ラナーク』『哀れなるものたち』で知られるスコットランドの伝説的鬼才の短篇集が、待望の復刊! ファンタジーとリアリズム、笑いと哀しみ、アイロニーとウィットが混淆する饒舌な語りに思わず舌を巻くが、目に飛び込んでくる異彩を放つイラストも、作家自身の手になるもの。アリ・スミスをして「現代のウィリアム・ブレイク」と言わしめたグレイの多彩な魅力が存分に詰め込まれているのが本書なのだ。 学校を牢獄のように感じる〈わたし〉が、外へ出る想像上の〈ドア〉を恩師から授かる「ミスター・ミークル」。窒息するような現実から逃れようとする夢や欲望が、本書では多様なジャンルを横断しながら変奏される。コンピュータが導入された会社内でのちぐはぐぶりを皮肉った「内部メモ」。軟派で洒落者の鼻持ちならないイングランド人の男を揶揄した「あなた」。おしゃべりな歯医者に治療される不安と恐怖が迫る「トレンデレンブルク・ポジション」。なぜ靴下にガムがくっついているのか、その原因を綿密に理論化して可笑しい「時間旅行」。囲い込まれた世界に嫌気がさした男が、夢のような新しい移住先で体験する破滅の寓話「新世界」など──粒ぞろい短篇をほんの十ほど。

ある晴れたXデイにある晴れたXデイに

日常に忍びこむ幻想。 歪で純粋な人間心理。 みな、あとから気づく。 あの奇妙な一撃がすべてを変えた、と。 『その昔、N市では』に続く 全15作の日本オリジナル短編集! 非行の果てに死んだはずの養子に怯え、戸締まりを厳重にする妻。夫との会話から見えてくる真実とは……(「雪解け」)。知らぬ間に手脚に痣や傷が増えていく会社員の女性。親指の付け根を切ってしまっても気づかず、すねを拳骨で打ってもまったく痛みを感じない。自己観察を続ける彼女の生活は、どんどん異様になっていき……(「火中の足」)。広告塔に大きな写真が貼られ、新聞でも連日報道された、行方不明の少年を探すことに取り憑かれた女性は、その少年を見つけたのだが……(「幸せでいっぱい」)。町が消え、家も、学校も、図書館も、なにもかもがなくなる。みんないなくなり、あとは地を這う人間の残骸がいるだけ。--世界が滅亡するXデイが気がかりで、ある母親はその日に起こるはずのことについて詳細な手記を執筆する……(「ある晴れたXデイに」)。 日常に忍びこむ幻想。悲劇と幸福が結びついた人生観。歪で奇妙な家族たち。 戦後ドイツを代表する女性作家による、『その昔、N市では』に続く全15作の傑作短編集! ■目次 「雪解け」 「ポップとミンゲル」 「太った子」 「火中の足」 「財産目録」 「幸せでいっぱい」 「作家」 「脱走兵」 「いつかあるとき」 「地(じ)滑(すべ)り」 「トロワ・サパンへの執着」 「チューリップ男」 「ある晴れたXデイに」 「結婚式の客」 「旅立ち」    訳者あとがき

情熱は罪情熱は罪

この子を宿した一夜は絶対に忘れない。 たとえ彼は忘れ去ってしまっていても。 ある嵐の夜、ライザは血のつながらない義兄ロークと結ばれた。 クルージングに出た船上で、激情に駆られてのことだった。 だが、直前にマストから落ちて脳震盪を起こしていたロークは、 断片的に記憶を失い、翌朝には彼女と結ばれたことを忘れてしまう。 義妹への潜在的な罪の意識からか、以来、彼はライザに冷たくなった。 あの一夜の思い出に胸を焦がしても、報われることはないんだわ。 耐えかねたライザは書き置きも残さずに家を出たーー身重の体で。 5年後、無事に生まれた息子を育てながらロンドンで自活する彼女の前に、 突然、以前と変わらぬ非情さを漂わせたロークが現れる! しかも彼は、幼い息子を、ほかの男性の子供だと信じこんでいて……。 親同士の再婚により義理の兄妹となったヒーローとヒロインによるドキドキのシークレットベビー物語をお届けします。大スター作家ペニー・ジョーダンらしく人間の心の裏表を巧みに描いた名作です。

路地裏をさまよった伯爵夫人路地裏をさまよった伯爵夫人

〈奥様が帰宅されました〉 伯爵は手渡された紙を、握り潰したーー ロンドンの路地裏の下宿屋に暮らすパーディタは、 3カ月前に市場町で旅一座に拾われ、経理や衣装管理の仕事をしている。 じつは彼女にはそれ以前の記憶がない。“パーディタ”も仮の名だ。 ある日、仕立屋で用事を済ませ、急ぎ自宅に足を向けたつもりが、 なぜか下宿屋ではなく大きな屋敷に帰り着いてしまった。 「お、奥様」驚き顔の執事に中へ招き入れられ、彼女は混乱した。 奥様って……? 私は何者でもない、名もなき路地裏の住人だけれど。 しかし、どこか見覚えのある部屋に通されてしばらくすると、 怒った男性ーーエピング伯爵が雷のごとく飛び込んできて言い放った! 「君への要求はただ1つ。私たちの子供がどうなったかを話すことだ!」 伯爵の顔を見たとたん、彼が夫だとわかったパーディタこと、エピング伯爵夫人メアリー。“私たちの子供”と聞いて、自分に子供がいたのかと彼女は驚きますが、怒濤のごとく押し寄せた感情に心が乱れ……。リージェンシー・ロマンスの大スター作家による傑作!

ふたりのアンと秘密の恋ふたりのアンと秘密の恋

記憶喪失の娘と貴公子の恋は、 春の花咲く日だまりの庭でーー。 「きみの名は?」名門貴族ジェームズ・オルドハーストに尋ねられ、 ベッドに寝かされた娘は必死で答えた。「わたしは、アン……」 嵐の夜、ずぶ濡れで行き倒れになっていたところを彼に拾われたが、 彼女は名前以外のいっさいの記憶を失っていた。 心身ともに弱り果て、不安ばかりが募るなか、 何くれとなく世話をしてくれる優しくてたくましいジェームズに、 アンはいつしか特別な想いを寄せていた。 彼は誰もが結婚したいと憧れる、社交界随一の魅力的な貴公子。 出自不明のわたしなんかと関わったら、彼の名誉に傷がついてしまう! 密かに身を引く決意を固め、アンは屋敷からひっそりと姿を消した……。 ジェームズのために身を引いたアンは、本能的に親族の屋敷にたどり着いた翌朝、記憶を取り戻します。しかし今度は、ジェームズと過ごした1週間の記憶が抜け落ちているのでした。名士の令嬢として脚光を浴びるアンは、社交界でジェームズと運命の再会を……。

独りぼっちで授かった奇跡独りぼっちで授かった奇跡

私の望みは2つだけ。赤ちゃんを産むこと。 愛を教えてくれた男性に愛されること。 最近の体調不良の原因が妊娠と知って、ヴィエナは愕然とした。 医者から“妊娠できない”と言われていたのはなんだったのだろう? でも子供の父親ーー富豪ジャスパーはこの知らせを歓迎しないはずだ。 私は数日一緒に過ごしただけの、ただのベッドの相手だから。 でも、男らしい彼は私を大切にしてくれた。そんな人は初めてだった。 悩んだ末に、ヴィエナはジャスパーに赤ん坊ができたと告げた。 ジャスパーがすぐに子供の父親になりたいと言ったのはうれしかった。 けれど、彼が続いて口にしたのは“義務”という言葉ばかりだった。 私がいちばん欲しいのは愛なのに、愛のない結婚が答えなんて……。 大胆かつ緻密な構成を得意とする、大スター作家D・コリンズ。孤独の中、愛を求めて傷ついてきたヒロインは兄の結婚によってできた義兄に恋をしますが……。今作がお気に召したら、スター作家J・アシェンデンのR-3874『○○○○○○○○○○○○』もぜひご一読を!

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