小説むすび | ジャンル : 外国の小説

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ダンシング・ガールズダンシング・ガールズ

『侍女の物語』前夜のアトウッド 世界的作家アトウッドの初期短編集が待望の復刊。キャンパスで繰り広げられる奇妙な追跡劇(「火星から来た男」)、記者が陥る漂流の危機(「旅行記事」)、すれ違いから若い夫婦が深める孤独(「ケツァール」)、悩める医者の卵がある少女に向ける感情(「訓練」)、下宿屋で巻き起こる異文化をめぐる騒ぎ(「ダンシング・ガールズ」)など──アトウッドのぞくぞくするような「巧さ」が詰まった七編を収録。あからさまにではなく、ほんの少しだけ垣間見せるというやり方で、日常に潜む違和や世界の綻びが、複雑と混沌のままに示される。  「ことに「キッチン・ドア」で描かれる、形のない、だがはっきりと肌で感じる破滅の予兆は、のちの『侍女の物語』や〈マッドアダム〉三部作のディストピア世界の前日譚と見ることもでき、世界のあちこちで不穏な狼煙の上がる二〇二五年に読むと、これを訳した当時よりずっと生々しい実感をともなって迫ってくる。およそ五十年前に書かれたにもかかわらず、これらの物語は少しも古びていない、どころか読むたびに「今」の物語として更新されつづける。そのことに何よりも驚きを感じる」(「復刊によせて」より)

どこかで叫びがどこかで叫びが

恐怖が、再定義される── 『ゲット・アウト』の監督・ジョーダン・ピールが送る 黒人作家たちによる恐怖の最前線 【ローカス賞、ブラム・ストーカー賞、英国幻想文学大賞受賞/世界幻想文学大賞最終候補作】 『ゲット・アウト』『アス』『NOPE/ノープ』で世界に衝撃を与えた映画監督・脚本家ジョーダン・ピールが編集を手がける、全編書き下ろしによるブラック・ホラー短篇集。 本アンソロジーに収録された19の作品では、奴隷制度の記憶、公民権運動のトラウマ、移民としての分断されたアイデンティティ、そして現代社会の見えざる暴力など、超自然の恐怖だけでなく、アメリカ社会に深く根を下ろした不正義や歴史的暴力といった“現実”の〈悪夢〉が描かれる。 作家陣には、N・K・ジェミシン、ンネディ・オコラフォー、レベッカ・ローンホース、タナナリーヴ・ドゥーら国際的に高く評価される作家たちが名を連ね、新進気鋭の書き手も多数参加。また、ジョーダン・ピール自身による序文も収録されている。 ローカス賞、ブラム・ストーカー賞、英国幻想文学大賞を受賞したほか、Esquire、CrimeReads、シカゴ公共図書館の「年間ベストブック」にも選出された。 また、英・ガーディアン紙は「今年最高のアンソロジーであるだけでなく、時代を超えて語り継がれる一冊」と絶賛している。 ブラック・ホラーの最前線を記録する、必読のアンソロジー。 あなたがまだ見ぬ恐怖が、ここにある── 序文 ジョーダン・ピール 01「不躾なまなざし」N・K・ジェミシン(押野素子訳) 02「〈目〉と〈歯〉」レベッカ・ローンホース(ハーン小路恭子訳) 03「彷徨う悪魔」キャドウェル・ターンブル(ハーン小路恭子訳) 04「ベイビー・スナッチャーの侵略」レズリー・ンネカ・アリマー(柴田元幸訳) 05「片割れ」ヴァイオレット・アレン(ハーン小路恭子訳) 06「人魚(ラシレン)」エリン・E・アダムズ(ハーン小路恭子訳) 07「乗ってきた男」タナナリーヴ・ドゥー(柴田元幸訳) 08「芸術愛好家」ジャスティン・C・キー(ハーン小路恭子訳) 09「圧」エズラ・クレイタン・ダニエルズ(今井亮一訳) 10「暗い家」ンネディ・オコラフォー(福間 恵訳) 11「ちらつき」L・D・ルイス(坪野圭介訳) 12「世界一最強の女魔術師(オビア・ウーマン)」ナロ・ホプキンソン(今井亮一訳) 13「ノルウッドの動乱」モーリス・ブローダス(今井亮一訳) 14「死者の嘆き」リオン・アミルカー・スコット(押野素子訳) 15「しるしを刻む木のそばで、一羽の鳥がさえずる」ニコール・D・スコニアーズ(福間 恵訳) 16「あるアメリカの寓話」チェシャ・バーク(坪野圭介訳) 17「あなたの幸せな場所」テレンス・テイラー(福間 恵訳) 18「かくれんぼ」P・ジェリ・クラーク(今井亮一訳) 19「オリジン・ストーリー」トチ・オニェブチ(柴田元幸訳) 訳者解説 『どこかで叫びが』におけるブラック・ホラーの意匠 ハーン小路恭子 著者・編者略歴 訳者略歴

そっと呼ぶ名前そっと呼ぶ名前

あなたにとって、“そっと呼びたくなる”名前は何ですか?  2人の男性の間で揺れ動く、女性の心を赤裸々に綴った大人のための恋愛小説。 イム・キョンソンは、書くものに合わせて姿を変えていく作家だが、 愛の光と影に対する探求には、一貫した激情を抱いており、読んでいる私たちの心も一緒に揺さぶられる。 ずっと一緒にいる家族への愛も、惹かれずにはいられない恋人への愛も、 美しく複雑で、到底要約できない側面をそのまま描き出す才能に、ただただ感心してしまう。 ーーチョン・セラン(小説家) 建築士として働く30代のスジンは、長年付き合っている先輩との関係に悩んでいる。そんな中、偶然出会った年下の男性から情熱的な愛を向けられ、次第に心が揺れ動いていく。3人の男女が織りなす「大人の愛」についての物語。20代、30代、そして40代の、それぞれの登場人物が示す、純粋で切ない愛に胸を締めつけられるはず。 性格も年齢も育った環境も異なる3人が、人生にどう向き合っていくかという姿も描かれ、「人を愛しながら生きていく」ということを深く考えさせられる。愛することの本質に触れる一冊。

ヴァージニア・ウルフ『ダロウェイ夫人』を読むヴァージニア・ウルフ『ダロウェイ夫人』を読む

著者

秦邦生

出版社

水声社

発売日

2025年9月19日 発売

ジャンル

『ダロウェイ夫人』出版百周年! 1923年6月半ばのある一日の出来事は、百年後を生きるわたしたちの日常に意外なほど似ているのではないか。パンデミック、トラウマ、人種、ジェンダー、都市空間、トランスナショナル、マルチバース、気候変動……孤立した意識に共感の息吹をもたらすべく、モダニズム文学を現代的に精読する まえがき 小川公代 序 百年後の『ダロウェイ夫人』 秦邦生 現代の小説 ヴァージニア・ウルフ(秦邦生訳) 「そこに彼女がいたから」--『ダロウェイ夫人』における愛と現前 ジリアン・ビア(柳澤彩華訳) 「六月のこの瞬間」--ダロウェイの日からの一世紀 ポール・サンタムール(西脇智也・古城輝樹訳) 読書する時空間ーー『ダロウェイ夫人』の読者たちを読む 中井亜佐子 ダロウェイ夫人と存在の偶然性ーー「向かいの家の老婦人」の謎について 田尻芳樹 仮面としての衣服ーーファッションから見た『ダロウェイ夫人』と『オーランドー』 小川公代 ヴァージニア・ウルフの「魔法の庭園」--『ダロウェイ夫人』における樹木たちの生死 秦邦生 別の時間とこの人生ーー『ダロウェイ夫人』を『エブエブ』『歳月』とともに読む 河野真太郎 都市とモダニズムーー英語圏現代文学における『ダロウェイ夫人』の残響 星野真志 トランスナショナルな書物史ーーエンプソン、宮本百合子、左川ちかによるウルフの受容 松本朗 『ダロウェイ夫人』をこれからも日本の大学で読むためにーーフェミニズムの差異・交差性・人種 松永典子 [インタヴュー] ヴァージニア・ウルフと韓国文学 斎藤真理子(聞き手・小川公代) [インタヴュー] ヴァージニア・ウルフと松田青子文学について 松田青子(聞き手・小川公代) [作品] 同胞を愛した男 ヴァージニア・ウルフ(片山亜紀訳) 文献案内ーー〈あとがき〉に代えて 秦邦生

空、はてしない青 上空、はてしない青 上

致命的な心の傷を、人はいかにのりこえうるか? ささやくような美しい声で、答えてくれる物語。 (川上弘美 / 作家) 旅をするとき、人は同時に、命を見つめているのではないか。 (西加奈子 / 作家) この“旅”の体験と記憶は、いつまでも失われない。 自分もいつかは“最高の旅”を誰かとしてみたい。 人生に終わりはないのだ。 (小島秀夫 / ゲームクリエイター) あらすじ 「若年性アルツハイマーと宣告された男性、26歳。人生最後の旅の道連れ募集」。エミルは病院と周りの同情から逃れるため、旅に出ることにした。長くても余命2年。同行者を掲示板で募集したところ、返信が届いた。「高速道路の三番出口で待ち合わせしよう。こちらは、つばの広い黒い帽子にゴールドのサンダルに赤いリュック。どう?」。現れたのはジョアンヌと名乗る小柄な若い女性。自分のことは何も語らない。2人はとりあえず、ピレネー山脈に向けキャンピングカーで出発することにした。それは、驚くほど美しい旅の始まりだったーー。 爽やかな筆致で描く、命と愛、生きる喜びについての感動大長編。

空、はてしない青 下空、はてしない青 下

最後の日に。最愛の人と。 致命的な心の傷を、人はいかにのりこえうるか? ささやくような美しい声で、答えてくれる物語。 (川上弘美 / 作家) 旅をするとき、人は同時に、命を見つめているのではないか。 (西加奈子 / 作家) この“旅”の体験と記憶は、いつまでも失われない。 自分もいつかは“最高の旅”を誰かとしてみたい。 人生に終わりはないのだ。 (小島秀夫 / ゲームクリエイター) どこまでも続く青い空と海。エミルとジョアンヌは、南フランスの陽光きらめく中を旅していた。猫のポックとの出会い、海辺での穏やかな日々、ジョアンヌのマインドフルネスの教え。時にぎこちなく、時に深く心を通わせながら、2人と1匹は静かに時を紡ぐ。しかし、旅は穏やかなだけではない。進行する病と薄れゆく記憶はエミルをゆっくりと蝕んでゆく。残されたわずかな時間の中、互いの存在を支えに進むキャンピングカーは最期の目的地へ。失うことの痛みと、それでも生きることの輝きを描く、愛と再生の旅路。 爽やかな筆致で描く、命と愛、生きる喜びについての感動大長編後編。

亀たちの時間亀たちの時間

イタリアの新星 フランチェスカ・スコッティ、初の邦訳 舞台はイタリアと日本。 ずっと終わらないことなんて、ない 夫婦、恋人、親友、家族……、 ふとした出来事をきっかけに かけがえのない関係が崩れ、終わっていくシーンを 静かに描きだす15篇のショートストーリーズ。  ウエイトレスがやってくる。コーヒーと温めたタルトの香りがする。一匹の犬が吠える。ウエイトレスは飛びあがり、わたしも飛びあがる。わたしは粉々になったカップを見る。太陽に焼かれた板のあいだを黒い液体が流れていく。わたしがあなたのほうを向き、あなたを呼ぼうと腕をのばしたとき、あなたはもうそこにはいない。空になったあなたの椅子がわたしを怯えさせる。わたしは立ちあがり、あたりを見まわす。あなたはいない。(「ルナ」より) [収録作品] ルナ 次の駅 亀たちの時間 喉が渇いていて、いま水を飲もうとしている者の平安 びっくりパーティ ナカノさん 鯨のひげ 朝ごはんで 貝殻の島 誕生日 《ピッコラ・ジェラテリーア》 パンダ動物園 面接 ショーの終わり 月の暦

ロンドンのサム 生意気な子供たち、中世の若者たち、そして巨大なズボンロンドンのサム 生意気な子供たち、中世の若者たち、そして巨大なズボン

ロサンゼルスからロンドンに移り住んだサムはアメリカの生活との違いに戸惑いを覚え、しかし、次第にロンドンで数々の発見をしてその魅力に惹かれていきます。そして新しい友人たちができて幸せを感じるようになります。 ロサンゼルスで映像制作会社を経営する著者は、世界61カ国を旅し、息子とともに経験した異文化体験から、この物語を作り出しました。アメリカで出版された評判の児童書の日本語版です。 第1章  何も合わない。 第2章  サム・アイ・アム 第3章  ランチのパイ 第4章  サムのアクセント 第5章  上からの眺め 第6章  中世の若者たち 第7章  戦争からのアヒル 第8章  晴れた日曜日 第9章  ホームシック 第10章 近くと遠くの友達 第11章 ゴー・エイプ 第12章 お茶とマンガ 第13章 勝利のダンス 第14章 特別な贈り物 第15章 ショー・アンド・テル(見せて、話して) 第16章 新しい冒険

逃げだした愛人逃げだした愛人

お金より大切なものがあることを、 小さな天使が教えてくれた。 ロンドンの玩具店に入るなり、アンは驚きで言葉を失った。 4年前に引き裂かれた、唯一の肉親である幼い甥とでくわしたのだ。 姉とギリシア財閥の次男との間に生まれた甥は、 生後まもなく両親が事故死したため、アンに引き取られた。 だがある日突然、財閥の長男ニコスが訪ねてきて、 100万ポンドの小切手と引き換えに、強引に甥を連れ去ったのだ。 もう二度と会えないと思っていたけれど、たとえひと目でも あの子の幸せそうな笑顔を見られて安心したわ。 そんなアンの心中も知らず、ふたたび訪ねてきたニコスは、 今度は彼女を愛人にすべく、一緒にギリシアへ来るよう強いて……。 ジュリア・ジェイムズが描く、ハーレクイン・ロマンスの王道! 極上のドラマティックなシンデレラ・ロマンスをお楽しみください。ヒロインは金目当ての悪女なのだと思い込んでいたヒーロー。やがて彼女の純粋さに惹かれ、自分のものにしようと目論みますが……。

お針子王女の結婚お針子王女の結婚

お針子のわたしが本当は王女?! だからって、愛なき結婚なんて……。 針仕事が得意で顧客のためにドレスを作っているルイーザは、 亡き両親のように大恋愛をして結婚することを夢見ている。 ある日、彼女のもとに、セバスチャンと名乗る男性が現れた。 黒髪に黒い瞳、形のいい唇、地中海系の肌の色をして魅力的……。 見知らぬ男性にたちまち惹かれるなんて、わたし、どうかしているわ! ルイーザのときめく密かな恋心をよそに、彼が衝撃の事実を告げる。 「きみは地中海の王国シャルムーの王女なんだ」 国王の亡き一人息子が生前に民間人と極秘結婚をし、娘をもうけたーー その娘がルイーザだという! しかも、王位継承順位第1位の王女だと。 彼女が発見されるまでは、セバスチャンが第1位だったのだが……?! 自分が生まれる前に死んだ父のことはよく知らなかったルイーザ。ただ、父方の親族は、母を葬儀に参列させず酷く扱ったことだけは聞いて快く思っていませんでした。そんな国のプリンセスになんてなりたくない! でも、セバスチャンに愛なき結婚を提案され……。

孤独なナースの恋孤独なナースの恋

知らせれば彼はきっと戻ってくる。 でもそれは、小さな命のためだけに。 15歳で両親を失った看護師クララは、仕事で忙しい毎日だ。 そんな彼女の職場に、イギリスから医師のティモシーがやってきた。 引き締まった体にすてきな笑顔、誰をも惹きつける容貌のみならず、 有能で、優しくて思いやりがあり、気取らない人柄が魅力的だ。 ある夜、ティモシーは「最初に謝っておく。憎まれるのも覚悟だ」と言い、 クララの唇を強引に奪った! 彼への怒りはすぐにときめきに変わり、 いつしかクララは身も心も捧げていた。3カ月後に彼はここを去るのに。 でもこの恋のために、ティモシーはとどまってくれるかもしれない。 だがクララの密かな願いも空しく、彼は非情にも去っていったーー 彼女のおなかに、わが子の命が宿っているとも思わずに。 USAトゥデイのベストセラー作家キャロル・マリネッリによる感動のシークレットベビー物語を、《至福の名作選》よりお贈りいたします! 早くに両親を亡くし、恋も思うようにはいかず心を痛めるヒロインに、幸せになってほしいと願わずにはいられません。

教授のそばで教授のそばで

もう、なんて失礼な人なの! なのに目で追ってしまうのはなぜ……。 両親亡きあと、住み慣れた家を失い、職探しを始めたジェマイマ。 病弱な母に代わって家事をしてきたため資格など何もなかったが、 幸運にも、ある老婦人のつき添いになることができた。 慣れない仕事はつらく、雇い主の甥の大学教授アレクサンダーから とるにたりない存在と思われているのも腹立たしい。 それなのに、なぜか願ってしまうーー彼がほほえんでくれたら、と。 しかしアレクサンダーの近くにはいつも美しい女性がいた。 ある日、その美女から“ねずみみたい。女性としての魅力に欠ける”と 言われたジェマイマは恥ずかしくて赤面した。彼はどう思ったかしら? ふと教授のほうを見ると、何やら考え深げな彼と目が合い……。 自分に自信のないジェマイマですが、そのじつ芯の強いヒロインで、“相手が誰であれドアマットのように踏みにじられるつもりはない”と心に思ったりします。そんな彼女が人生で初めて恋した相手は、会うたびに失礼な態度をとる年上の教授で……。1982年の名作。

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