ジャンル : 外国の小説
シリーズ第1巻「ボヘミアの醜聞」は、表題作のほか、「赤毛連盟」「花婿失踪事件」「ボスコム谷の惨劇」「独身の貴族」の5篇は「シャーロック・ホームズの冒険」シリーズ1の収載作品である。 ホームズシリーズ一作目となる人気作「ボヘミアの醜聞」。不可解な謎と意外な解決方法で、ホームズ作品の佳作の一つといわれている「赤毛連盟」等。ホームズシリーズ一作目から順に収載している。短編が多く、展開もスピーディーで読みやすい一冊。 ボヘミアの醜聞 赤毛連盟 花婿失踪事件 ボスコム谷の惨劇 独身の貴族
今日はアマの演劇がナショナル・シアターで上演される初日。黒人として女性として日々受ける差別に立ち向かってきたアマが、50代になってついに栄光をつかんだのだ。記念すべき今宵、家族や友人たちが集う。演劇界を共に生き抜いてきた戦友、母の希望とは異なるがしっかりした自分の意見を持つ娘をはじめ、不遇をかこつ者、努力して社会的成功を手にしたエリートなど、時代も背景も多様な12人のキャラクターが、人生を振り返っていく。子ども時代のレイプ、小さな町での差別、子どもを抱え必死に働いてきたこと、エリートとなった娘との不仲、実の両親を知らないことなど、みな人知れず心に傷を抱えている。大切なのは共にいること。人生、捨てたもんじゃない。笑って泣かせ心揺さぶる真実の物語。英国黒人女性たちが、乗り越えてきた苦難をウィットに富んだ斬新な文体で語り、共感を呼んだ傑作長篇。作家はナイジェリア人の父とイギリス人の母のもとロンドンで生まれ、本書が7作目の小説。 「強くてしなやか、ユーモアがあって、優しくて皮肉屋 そして臆することなく真実を教えてくれる最高の女友達のようなこの小説を、好きにならないわけがない!」西加奈子(作家)
ノイシュタット国際文学賞受賞者であり、ロシア・アヴァンギャルドの研究者としても知られるクロアチア語作家ウグレシッチ。惜しくも最後の長篇となった本作は、いわゆるオートフィクションに分類されうるもので、作者を思わせる語り手は、1920年代から現代まで、ロシアからイタリア、クロアチア、イギリス、アメリカ、そして日本まで、トリックスターとしてのきつねさながらに、テクストの中を自在に駆けていく。作家とはだれか、物語とはなにか、事実と虚構、記憶、女性、戦争、越境、ナショナリティ……、あらゆる文学的主題を語る糸口となるのは、ボリス・ピリニャークの日本を扱った短篇「物語がどのように生まれるかの物語」だ。実在する文学作品や作家のみならず、存在しない文学作品や作家をめぐって縦横に展開するその語りのなかで、さまざまな周縁的存在の声が回復されていく。文学が物語を伝播する媒体なのだしたら、人間の生もまた「物語」というウィルスに冒されたテクストなのかもしれない。だが文学は同時に、物語に抗わんとするだろう。文学への愛とアイロニーに満ちた、語り手の鋭くも誠実な思考の軌跡をともに辿るかのような体験をぜひ。
韓国で43万部のベストセラー。 約20年愛され続けるマスターピース小説。古家正亨氏、推薦。 【韓国らしい、でも韓国ドラマ的ではない、主人公たち】 舞台はラジオ局。ヒロインは31歳の人見知りの構成作家。 担当番組の新ディレクターがちょっと風変わりな人物で……。 秋のソウルで不器用な恋が色づき始める。 『天気が良ければ訪ねて行きます』のイ・ドウ、邦訳第2弾。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー コン・ジンソルはFMラジオ局で働く構成作家。改編にともない、番組の新ディレクターとなったイ・ゴンと仕事をすることに。局内での評判は悪くないが、初顔合わせの段階からペースを狂わされ、人付き合いの苦手な彼女は当惑する……。丁寧な情景描写、人物の内面を繊細に描く文体で「ゆっくり大切に読みたい本」と韓国で評されるイ・ドウの処女作、ついに刊行。ソウルの地名が多数登場し、読むと街を散歩したくなる小説でもある。 ★古家正亨氏、推薦 (ふるや・まさゆき MC/DJ/韓国大衆文化ジャーナリスト) 「懐かしいソウルの風景。自然と思い浮かぶ、慌ただしいスタジオでのやりとり。“30代の大人”が繰り返される日常に求めたもの。ラジオ局を舞台に“言葉”の担い手が不器用に、静かに紡ぐ、セピア色にときめくラブストーリーに胸打たれた」 著者イ・ドウ書き下ろし「日本語版に寄せて」収録
図書館に収蔵され、書架に住むE・A・スミスは、推理作家の生前の記憶を持つ〈複生体〉。母親と暮らす愛らしい少女に貸し出された彼は、何年も前に姿を消した彼女の父親探しを頼まれる。そんななか彼は自身の古い〈版〉の死体を発見する!? 巨匠の未完の遺作
過去をすべて消しても生きていけるだろうか? 私だけが知らなかった、私のもう一つの物語 幼い頃の記憶。火事に見舞われた小さな町で、亡くなった悲しみに犬を飼う人々。死んだ兄。森の中に隠れて暮らす女性。いなくなった父。母の秘密。夫のスクラップブックと、消えた女優。現在と過去が交錯し、思わぬ真実が立ち上がってくる。 ーーーーーーーー ソン・ボミの作品には「消える」人たち、特に女性たちが多く登場する。 私たちはみな日常の中で、自分の意志とは関係のない、外的な要因によって生活が180度豹変することが多々ある。そうやって日常が崩壊してしまったあとも、依然として人生は続いていく。私たちはどのように生きていけばよいのか。これは訳者としての私の関心事でもあるのだが、『小さな町』はそういう疑問から始まった作品としても読めるのではないだろうか。(略) 「私」はすべての真実が明らかになったとき、過去と向き合うことにした。それはもうこれ以上、「消える」ことを望まないという意味でもある。多くの女性たちが自ら選択したものの前であっけなく崩れていく中で。すべては運命だと受け止めた母は、後悔のない人生を送ったのだろうか。母が、そして消えた女性たちが、本当に守りたかったものは何だろう。「私」はこれからどのような選択をして生きていくのだろうか。 (訳者あとがきより) <あらすじ> 病床の母から繰り返し聞かされた、幼少期をすごしたあの小さな町の記憶。そこでは火事で多くの人が亡くなり、私の兄もそのとき死んだのだという。ある日、家出してたどり着いた森の中の家には、女性が隠れ住んでいた。それを機に母と親しくしはじめた彼女が起こした騒動をきっかけに、私の家族は壊れてしまう。 最期まで語られなかった母の秘密。記憶をたどる中、父との再会で告げられた思いもよらない真実とは……。 一 反作用 二 至上命令 三 無神論者 四 交換 五 また別の女 六 ステキなしきもの 七 僕たちは失敗したんだ 八 死人に口なし 訳者あとがき
窮乏する時代にも互いを思いやる心がある 西姫も親族も強く望む允国との結婚に良絃はついに決断を下す 18巻 あらすじ 日本の敗色は今や隠しようがなく、朝鮮でもすべての物資が欠乏している。 キリスト教徒の一斉検挙で投獄された麗玉は釈放されたものの、その凄惨な姿に明姫は衝撃を受けた。 栄光への愛と、兄嫁との葛藤に苦しむ良絃は医師となって家を出た。 晋州で寮に入り高女に通う尚義は、天皇主義者の教師に反発する内向的な少女に成長している。 統営では趙俊九が醜い様で生涯の幕を閉じ、モンチは周囲の心配をよそに子持ちの寡婦媌媌花に求婚する。 任明彬は静養のために智異山を訪れ、輝は徴用を避けて山に戻った。独立運動に関わる若者も山に逃れてきたが、過激なことを企んでいるのではないかと海道士は警戒の目を向ける。 第五部 第三篇 底なし沼 一章 消息 二章 山へ 三章 媌花一家 四章 赤と黒 五章 愛の彼岸 六章 昔の芝生 第五部 第四篇 純潔と膏血 一章 山は紅葉しているけれど 訳注 訳者解説
【内容紹介】 アウシュヴィッツ強制収容所を生き抜いたアルジェリア系フランス人の水泳選手、アルフレッド・ナカッシュの伝記物語。 主人公のアルフレッドは、トップアスリートとして素晴らしい成績を残し、さらにはアウシュヴィッツに収容される壮絶な経験をしたあとにも世界新記録を出すという偉業を成し遂げているが、フランスにおいても現在の人々の記憶にしっかりと残っているわけではなかった。本作はそんなアルフレッドに光を当てた作品となっている。 極限状態にあっても、他者を思いやり分かち合おうとするアルフレッドの姿は、打ちのめされた人たちの気持ちを救い勇気を与え、自身も、そうすることによって癒され慰められていく。 「泳ぐこと」を生きる希望として収容所を生き抜いたアルフレッド・ナカッシュ。 この物語が描いているのは、ナチズムの闇に埋もれた知られざる英雄の真の姿である。 【目次】 一九二八年夏、アルジェリア、コンスタンティーヌ 10 一九四四年二月、シレジア地方、アウシュヴィッツ 14 一九二九年五月、シディムシド・プール 20 一九三〇年四月、コンスタンティーヌ 24 一九三〇年七月、ポール 27 一九四四年一月十日、トゥールーズからパリへの列車 30 ピチポイ前の最終段階 35 第六十六輸送列車 45 アウシュヴィッツ、最初の日 49 一九三一年九月、位置について、用意…… 55 シェイクの音楽にのって 60 一九四四年五月、幻影 64 一九三三年一月、飛躍 70 一九三四年春、ポール 82 水の王 88 一九三五年四月、テルアビブの企て 93 アウシュヴィッツ、屋根裏部屋の中で 95 一九三五年十二月 98 一九三六年三月、パリ 100 一九三六年八月、ベルリン 104 一九三六年十二月、対決のとき 108 一九三七年十月 111 一九三七年十二月、パリ 112 獅子鼻とずる賢そうな目 121 アウシュヴィッツ、一撃 130 一九四〇年六月、パリ 139 一九四一年一月 143 トゥールーズ、ドルフィンズ 146 アウシュヴィッツ、兄弟の名において 152 一九四一年六月、北アフリカのふるさとへの帰還 155 アウシュヴィッツ、死よりも速く泳ぐ 160 世界記録 168 アウシュヴィッツ、分配 173 一九四二年、夏 176 一九四三年、トゥールーズ 185 アウシュヴィッツ、医療棟 193 トゥールーズ、一九四三年十二月二十日 198 フォランの沈黙 205 一九四四年四月、フリースポーツ 208 一九四四年七月 両腕を左右に伸ばして 213 一九四四年十月、共和党日刊紙『レコー・ダルジェ』 217 クリスマス、一九四四年、アウシュヴィッツ 219 撤退 222 小さな兵士 224 それはダメだ、ヴィクトール…… 227 一九四五年四月十一日 239 世界と再びつながる 241 小さな手帳 248 最後の勝負 255 エピローグ 258 あの人たちはどうなったのか? 262 作者覚書 272 訳者あとがき 274 Glossary 278 参考文献 284
美しき街への痛切な愛を謳う傑作トルコ文学 イスタンブルの地下牢獄の一室に、学生のデミルタイ、温厚なドクター、気難しい床屋のカモが閉じ込められていた。苛烈な拷問を待つあいだ、彼らは互いに物語をして時を過ごす。そこに激しい拷問を受けたばかりの老人キュヘイランが加わる。彼は幼い頃から父が影絵で物語ってくれたイスタンブルに憧れていた。彼らはまるで疫病を避けて家に閉じこもり物語をし合った『デカメロン』のように物語り合い、空想の世界でお茶を飲み、煙草を味わう。やがて彼らの過去が少しずつ明らかになり、と同時にそれぞれがまた拷問へと連れだされていく…。 2018年EBRD(欧州復興開発銀行)文学賞受賞。東西が溶け合う美しい街と、その地下で彼らを襲う残酷な現実ーークルド系トルコ人の作家がイスタンブルへの痛切な愛を謳う傑作トルコ文学。 【編集担当からのおすすめ情報】 ノーベル文学賞受賞作家オルハン・パムクをはじめ、『乳しぼり娘とゴミの丘のおとぎ噺』のラティフェ・テキン、『レイラの最後の10分38秒』のエリフ・シャファクなど、世界的に評価され活躍する現代トルコ文学の作家たち。本作『イスタンブル、イスタンブル』の著者ブルハン・ソンメズは日本初紹介となりますが、本国トルコをはじめヨーロッパでも高く評価されている作家です。 クルド系トルコ人のソンメズ氏は、1980年の軍事クーデターの混乱のなかイスタンブルで法律を学び、人権弁護士として活動していましたが、その活動中に警察に襲撃されて瀕死の重傷を負い、その後英国へ亡命しています。現在はトルコと英国を行き来しながら作家活動をしていますが、その半生を経て生まれたイスタンブルの街への痛切な思いが、この小説に込められています。 一言たりとも読み逃したくないほど濃密な文章、苛烈な拷問のなかで囚人たちによって語られる物語の美しさと哀しさ。きっと特別な読書体験になることと思います。ぜひ、現代トルコ文学の底力をその目で確かめてください。
古代・中世の日本において、書物を読み、解釈し、伝えていくことは、限られた人びとにのみ許される特権的な営みであった。 特に中国大陸ないしは朝鮮半島経由で伝えられた漢籍(漢語で書かれた書物)は、国家を支える政治や法、さらには思想や文化体系を伝える最先端のものとして重要視された。 中国の文化全般を学ぶことを目的としたこれらの学問ー漢学ーは、国家の制度のなかにも位置付けられ、それを担う家では、書写・刊行された諸種の漢籍を入手し、独自の学問を形成していった。 書物に残された注釈の書き入れ、来歴を伝える識語、古記録や説話に残された漢学者の逸話など、漢籍の読書の高まりをいまに伝える諸資料から古代・中世における日本人の読書の歴史を明らかにする。 貴重資料の図版収録点数総50超! ******************************************* 本書ではじめてフルカラー公開する資料 『清涼山伝』 『文選集注』巻七断簡 『文選集注』巻百十一断簡 金澤文庫本『文選集注』巻六十一残簡 「佐保類切」『施氏七書講義』断簡 「佐保類切」『施氏七書講義』残簡 「道徳経切」『老子道徳経』断簡
寂しい夜は我が子を抱きしめて思う。 この孤独を、愛する彼に温めてほしいと。 サディは3歳の双子の男児を育てるシングルマザーとして、 ヨハネスブルグで孤軍奮闘の日々を送っていた。 4年前、ロンドンで出会った富豪のアンガスと一夜を過ごしたあと、 彼女は連絡先をなくしてしまい、数カ月後、妊娠に気づいた。 名前しか知らないせいで、彼のことはさがしようがなかった。 二度と会えないとわかったときは、どれだけ泣いたか知れない。 そこへ突然、遠い外国にいるはずのアンガスが彼女を訪ねてくる。 記憶にある以上に魅力的な彼に、サディの胸は騒いだ。 だが彼は双子が写った写真を突きつけ、説明を求めてきて……。 R-3754『富豪は愛も魔法も信じない』に登場していたシングルマザーに興味津々だった方、お待たせしました! ヒロインはヒーローと再会し、惹かれる気持ちが再燃します。しかし彼は子供のことは望んでも、ヒロインを生涯の伴侶として考えてはいませんでした。
以前の冷たい夫と、今の穏やかな夫。 教えて、どちらが本当のあなたなの? 10カ月前にヨットから落ちて行方不明だった夫が見つかった? 探偵からの連絡を受け、すぐさまギリシアへ飛んだイミーは、 夫のゼフに会うなり仰天した。嘘でしょう? あの冷酷だった海運王が、こんな優しい笑顔を見せるなんて。 ゼフは妻の存在はもちろん、すべての記憶を失っていた。 じつはイミーとゼフは3年契約の偽りの夫婦だった。 仇敵の娘であるイミーを強引に娶った彼は、妻に指一本触れず、 ずっと蔑んできた。彼女に残された希望は契約満了後の離婚だけ。 だがゼフにキスされた瞬間、イミーは不覚にもときめいて……。 名ばかりの花嫁としてヒーローに贈られたヒロイン。戸惑いながらも互いに惹かれ合う気持ちを抑えられず、ついにある晩、ふたりは本当の夫婦に。そんな矢先、ヒーローの記憶が戻り始めて……。マヤ・ブレイクの個性が光る、珠玉の夫婦再生ロマンスです!
愛されていないとわかっているのに、 あなたの誘惑を拒みきれなくて……。 ケイトは妹とふたり、片田舎でひっそりと暮らしている。 4年前、亡き母の親友の息子で大富豪のニコラスと結婚したが、 艶聞を耳にして深く傷つき、家を出て別居しているのだ。 彼にとって結婚はただの隠れ蓑。本当に愛していたのは、 社交界の華と謳われる人妻だったなんて……。 ある日、反抗期の妹が家を飛び出して行方がわからなくなり、 ケイトが狼狽していると、家の前に見覚えのある車が停まった。 ニコラス! なぜここにいるの? 彼は悠然と妹の無事を告げ、自分が後見人になると申し出た。 だがその見返りは、ケイトが妻として彼の元に戻ることだった! クラシックな世界観とドラマティックな作風で人気のヘレン・ビアンチン。彼女の隠れた名作をお贈りします。身勝手な夫を憎みきれず、苦悩するヒロインの心情が胸に迫ります。まるで蜘蛛の糸に絡めとられたような結婚生活のゆくえは……?
大富豪の彼は知りもしない。 私がまだ清純なままだと。 「弟を破滅させた君と、僕は結婚しようと考えている」 義兄クルスの蔑むような眼差しに、トリニティは凍りついた。 2年前、スペイン大富豪クルスのメイドだったトリニティは、 彼の弟リオから息子たちの世話をしてくれと頼まれた。 母のない双子があまりにも哀れでリオと名ばかりの結婚をしたが、 いま奔放な夫は急逝し、彼女が子供たちの後見人に指名された。 クルスは信じているーー悪女の私が弟をたぶらかして死なせたと! 愛する双子を奪われたくない一心で、彼女はクルスの言葉に従った。 乱れる胸の奥で、いまだにうずく彼への想いをもてあましながら。 双子もクルスも愛するがゆえ、果てしない苦しみを背負ったトリニティ。スペインの古城で積年の想いが溢れ出し、ついにクルスと夢の一夜を過ごしたものの……。数奇な運命に弄ばれた孤独なヒロインの初恋を甘美に描いたアビー・グリーンの名作をお見逃しなく!
わたしは日陰にいるのが分相応。 そう自分に言い聞かせるけれど……。 NYの語学教師リアーンは、母や姉妹と今季最大のパーティへ。 名うてのイタリア大富豪アレッサンドロ・ロッシが主催者だという。 美しい漆黒の髪に彫りの深い顔立ちの男性に足を踏まれたリアーンは、 それがアレッサンドロであることに気づいて心臓が早鐘を打った。 だが彼の興味を引いたのは、明るく社交的な妹のほうで……。 壁の花となったリアーンが独りテラスにいたとき、真夜中の鐘が鳴った。 ふと、会場から駆け出していく妹を見つけて外へ捜しに行くと、 階段のところにアレッサンドロがガラスの靴を持って立っていた。 その靴は妹が落としていったもの。切なさをこらえるリアーンに、 アレッサンドロが言った。「彼女を見つけるのを手伝ってもらいたい」 HQイマージュでトップを争う大人気作家ケイト・ヒューイットの新作が2年ぶりに登場! いつかおとぎばなしのように王子が現れるのを密かに夢みる日陰の姉リアーンと、愛や結婚を信じず誰とも恋愛しないと決めているアレッサンドロのラブストーリーです。
わたしは誰? あなたは誰? この胸の愛を、信じていいの? どうしよう……自分の名前すら思い出せないなんて! 病院で目覚めた彼女は、クレアという名前であること、 交通事故で頭を強打して記憶を失ったことを看護師から説明された。 だが何より彼女を不安にさせたのは、左手の薬指に光るダイヤの指輪。 もしかしてわたしは誰かと婚約しているの? そこへ、背の高いハンサムな男性が訪ねてきた。 タイラスと名乗る裕福そうな彼は、クレアの婚約者だという。 クレアはタイラスの豪華な大邸宅で静養することになり、 思い出せなくとも彼への愛情は日々育っていった──その朝までは。 突如として記憶を取り戻した彼女は絶句した。彼は……誰なの? もしも愛した相手が婚約者ではなく、別人だったら……? 記憶のラビリンスとも言うべき謎めいた展開に引きこまれる、大人気作家ジェシカ・スティールが円熟期に生んだ大ヒット作をお届けします!
子爵の花嫁のふりをする私ーー ベールを脱げば、ただの灰かぶり。 マーサは幼い頃、上流階級にのし上がりたい父方の祖父から “不義の子”の烙印を押され、邪魔とばかりに屋敷を追い出された。 今は農場でかいがいしく羊の世話をする毎日を送っている。 そんなある日、祖父の手元に残された異母妹が、 さる子爵と政略結婚させられそうになっていることを知る。 だが妹には別に恋人がいて、子どもまで身ごもっているらしい。 姉妹は外見がそっくりなので、婚約披露の舞踏会から結婚式までの1週間、 マーサに時間稼ぎをしてもらっている間に駆け落ちしたいと妹は言う。 妹の幸せを願い、マーサは身代わり花嫁として祖父の屋敷へ向かったーー 新郎の子爵ザカリーと会い、一目で激しく心を揺さぶられるとも思わずに。 姉妹の違いは髪の色だけ。赤毛のマーサは妹と同じ濃い褐色に髪を染めると、妹のメイドを伴って一路祖父の屋敷へ。婚約者ザカリーはまるでヴァイキングのようにたくましく聡明な男性でした。こんなにすてきな人がなぜ、評判のよくない成り上がり者の孫娘などと結婚しようとしているのか不思議に思うマーサでしたが……。
21歳のジェネヴラは、10年間入れられていた修道院から呼び戻された。たとえ母が貴族でも父を知らぬ婚外子では縁談などないと思っていたが、このたび、急に結婚させられることが決まったのだ。夫となる人物が老人であろうが醜かろうが受け入れるしかないーそう覚悟したジェネヴラだったが、いざ会ってみると、相手は金髪の男爵で鷲を思わせる勇壮な騎士セント・オーバン卿だった。彼が唇に笑みを浮かべた瞬間、純情なジェネヴラは恋に落ちた。この人のために生涯を捧げたい。あの微笑みを何度でも見たい。しかし結婚生活が始まると、セント・オーバン卿は新妻を避け続けた。すばらしいのは夜だけと知って、ジェネヴラは当惑するしかなかった…。