出版社 : ハーパーコリンズ・ジャパン
シャーロットは、画家だった父の遺作展覧会で、若きイタリア人実業家のジェイク・ダマートと出会った。遺作となった裸婦画のモデルは、父の若い愛人で、ジェイクの妹だったのだが、シャーロットが知るはずもない。自分がジェイクにとって、憎き男の娘であることなど露知らず、シャーロットはその謎めいた魅力に強く惹かれていった。誘われるままバカンスに同行し、ジェイクに身も心も捧げたが、休暇が終わると、彼からの連絡はぱたりと途絶えた。わたしは弄ばれたんだわーシャーロットは打ちのめされた。体の中に息吹いたばかりの小さな命が、愛の証ではなかったことに。
半年前、ヴェロニカは結婚式当日に花婿のせいで大怪我をし、婚姻を無効にされたうえ、ごみのように捨てられた。不幸のどん底で脳裏に浮かんだのは、継父のやさしい顔だった。すがる思いで継父の家を訪れた彼女を待っていたのは、「父は半年前に亡くなった」という、息子コールの言葉ー。16歳のころ、ヴェロニカは義兄に熱い想いを寄せていたが、なぜかひどく疎んじられ、いつも冷たくあしらわれていた。時を経て男らしさを増したコールは、まさに大人の男だった。目を奪われているヴェロニカに、彼は蔑みもあわらに言った。「放蕩娘のお帰りか。どうせ父の遺産が目当てなんだろう?」
サヴァナはギリシア人の夫に嫁いだが、結婚生活は散々だった。夫は自らに問題があることを棚に上げて息子が生まれないと責め、何人もの愛人を作ったあげく、そのうちの一人と事故死した。亡くなったその女性は、よりにもよって夫の従兄の妻ーギリシアでも名高い大富豪レアンドロスの妊娠中の妻だった。かつてレアンドロスはあるパーティで出会ったサヴァナに、まさか従弟の妻とは知らず一方的にキスをしたことがある。恐ろしくハンサムな彼は、冷たくサヴァナを見据えると、妻と跡継ぎを失った責任を負うよう迫った。「君には、僕と結婚して、僕の息子を産んでもらう」
ずっとずっと永い間、あなたを待ち続けてきたーー ロマンス界の女王リンダ・ハワードが描く、世紀の恋。 タロットカードに描かれた絶世の美女、レナーー命を吹き込まれながらも、何 千年ものあいだ狭い世界に閉じ込められてきた彼女だが、ある日助けを求める 誰かの声に呼ばれ、気づいたときには人間の世界に。そこには母親を目の前で 殺されて犯人から逃げてきたという、怯えきった幼い少年がいた。このまま放 っておけずレナは少年と行動を共にすることに決めるが、そんな二人の前に現 れたのが、5日以内にレナを連れ戻せと厳命を受けた、冷酷と悪名高い傭兵ケ イン。レナは反発しつつも、彼の冷たい漆黒の瞳からなぜか目が離せず……。
巧みなストーリー展開と知的なユーモアは唯一無二。 MIRA文庫初登場のL・サンズが贈る、珠玉のヒストリカル! シャーリーは男装し、双子の妹を連れて非情な後見人から逃げ出した。道中、 二人は若き伯爵ラドクリフと出会う。彼はまだ幼さの残る“兄妹”に同情したら しく、ロンドンの屋敷に匿ってやると申し出てくれたが、彼との旅には予想も しない困難が待ち受けていた。そんなに軟弱では妹を守れない、と彼は手取り 足取りシャーリーに射撃を教え、2部屋しかない宿では当然のように1部屋を妹 に与えて「我々は相部屋だ」と言う。ハンサムな伯爵を間近に感じるたび心臓が 飛び出しそうになるシャーリーは、彼の戸惑いには気づくはずもなく……。
カーリーは夫ステファノの浮気に耐えきれず家を出たが、 その直後、妊娠していることに気がついた。 それから7年、娘のアンーマリーは今や何よりも大切な存在だ。 だがキャリアも積み、ささやかな幸せをかみしめていた矢先、 娘の病気が発覚して莫大な費用が必要となってしまった。 一刻も早く手術を受けさせたいと焦るカーリーは、 顔も見たくないはずのステファノを訪ねる決意を固める。 彼は子どもの存在を知ったらどんな反応をするかしら? そして私は……彼と再会したらどうなってしまうのだろう?
幼くして両親を亡くしたダイナの後見人となったのは、名門銀行家一族の若き当主、ジェイソン・デブレルだった。二十歳になったダイナは、ジェイソンにプロポーズされる。こんな内気な私に…。ダイナは夢見心地で「はい」と言った。だが、婚約発表パーティが催されたハロウィーンの夜、ジェイソンの求婚が愛からではなく、同情だったことを知る。ダイナは逃げ出そうとしたが彼に見つかり、その夜、怒った彼はなかば無理矢理に、ダイナを自分のものにした。翌朝、ダイナは家を出た。彼の子を宿したとは知らぬまま。
マギーは20年前、道端に捨てられているところを保護された。以来、里親のもとを転々とし、不遇な子供時代を過ごして成長した。ある夜、マギーが勤務先のコーヒーショップで床磨きをしていると、護衛たちを大勢引き連れた尊大な男性がいきなり入ってきて、コンスタンティン国王レザだと名乗り、マギーを鋭く見つめた。いったい何の騒ぎ?驚き怯える彼女にレザが厳かに口を開いた。マギーはじつは彼の隣国の、暗殺された国王夫妻の娘だというのだ。そして彼女を腕にかき抱くと、蠱惑的な笑みを浮かべ宣告した。「君は生まれたときに僕と婚約した。それが君の運命だ」
「どういうこと、レオ?本気のはずがないわよね」サミーはレオが差し出した婚約指輪を見て、そうきいた。彼はプロポーズしているの?よく知りもしない、隣人の私に。レオは世界的企業を経営する億万長者。私は地味な小学校教師。いぶかるサミーに、レオは途方もない偽りの婚約話を持ちかけた。亡き弟の娘の親権を取るために、社会的信用が欲しいのだと。代わりに、彼女の病弱な母が抱える住宅ローンを全て支払うと。そして、本物の恋人には絶対になりえない、君が適任だと…。密かに憧れたこともある人の残酷な申し出に、サミーは震えた。
愛を信じない偽りの夫を、 まさか愛してしまうなんて……。 なんてすてきな人なの……。仕事で異国に赴いたエマは、 仕事相手の孫だというニコライに一目で心を奪われた。 彼はニューヨークに住む有名な大富豪だが、 大切な祖母のため、20年ぶりに故国に帰ってきたのだという。 彼の圧倒的な魅力の虜となったエマは純潔を捧げてしまうが、 翌朝、残酷な現実に打ちのめされる。名刺を残し、彼は消えていた。 2カ月後、妊娠したエマはニコライを訪ねて事実を告げるが、 彼から放たれた言葉はあまりに冷たいものだった。 「この困った状況の解決には結婚しかない。つまり経済的援助だ」 話題のレイチェル・トーマスが今回挑むのは、悲しい過去を抱えたヒロインとヒーローの愛なき結婚の物語。母に捨てられ、幼い妹を支えながら懸命に生きてきたヒロインが、小さな命を守るためだけの結婚を通して、真の愛に目覚めていく様子が丁寧に描かれます。
私はただの繭。赤ちゃんを産んだら、 からっぽになって去るだけ……。 天涯孤独のアリナのお腹には今、小さな命がすくすく育っている。 でも、その子と彼女に血のつながりはない。 度重なる流産の末とうとう子宝に恵まれなかった友人夫妻のために 代理母を買って出たのだが、不幸な事故で夫妻はこの世を去ったのだ。 悲しみのなか、アリナは亡き友の兄で大富豪のイーサンを訪ね、 お腹の子の保護者になってほしいと頼む。 赤ちゃんには、本当の親族に愛され幸せになってもらいたいから……。 だが、イーサンの答えはアリナの予想をはるかに超えていたーー この代理母契約のことを知る者が他にいないとわかるや、彼は言った! 「だったら、この子供は僕ら二人の子供にしよう」 イーサンが提案しているのは便宜上の結婚。そこに愛はなく、永遠に続くわけでもない。けれども、一緒に過ごすうちにどんどん彼に惹かれていく自分を止めることができなくて、アリナはその切ない愛に苦悩して……。孤独に生きてきたシンデレラヒロインの物語!
イタリア公爵の跡継ぎヴィンチェンツォと公爵家の使用人の娘ジェンマ。身分違いの恋とは知りながら将来を誓い合った二人だったが、ある夜突然、ヴィンチェンツォはさよならも言わずに姿を消した。息子の失踪に怒り狂った父公爵に母娘ともども城から追い出され、ジェンマは愛しの人と住む場所を一度に失った悲しみに苛まれた。10年後、公爵が他界し、城がさる実業家に買収されると知り、過去にけじめをつけるために、彼女はあえて城の求人に応募する。すると驚くべきことに、実業家の正体は…ヴィンチェンツォだった!彼の銀の瞳に再び心を奪われかけた瞬間、ジェンマは思い出したー母から繰り返し教えられた、愛は階級差を超えられないということを。
名前も身元も定かでない娘が、 伯爵の心に留まるはずもなく……。 嵐が迫るなか、ずぶ濡れの娘は夜道を当てもなくさまよっていた。 寒さと疲れで事切れる寸前、通りがかりの伯爵ジョナサンに救われ、 彼女は近くの牧師館へ運ばれたが、自分の名前も出自もわからなかった。 牧師夫妻は彼女を仮に“ベス”と呼び、親戚として共に暮らし始めるが、 一部の上流階級からは怪しまれ、冷遇されてしまう。 ああ、わたしを助けてくれた優しいあの人にまた会いたい……。 自分の名前は忘れても、彼のことは一生忘れられない。 そんなベスの願いは叶うこともないまま半年が過ぎたころ、 夢にまで見たジョナサンと再会を果たすが、彼の挨拶に色を失った。 「はじめまして。自己紹介させてもらえないか?」 記憶喪失に陥ったベスはひけめを感じながらも伯爵への想いを募らせますが、半年ぶりに会ったジョナサンは彼女のことをまったく覚えていないうえに、彼は上流階級にふさわしい花嫁を娶ることを求められていて……。悲しい定めに翻弄される娘を劇的に描いたリージェンシー。
無口で無表情な伯爵は、 困窮する娘の身柄を要求した! 嘘よ! 私があの伯爵に買われたなんて。 おじが賭事で作った借金を肩代わりする見返りに、 冷徹と名高いコールドベック伯爵は私との結婚を要求した……。 激しく動揺するキャサリンの耳に、力強いノックの音が響いた。 「コールドベックです。あなたとお話ししたい」 伯爵はキャサリンに反論を許さず、その日のうちに式を挙げ、 2日後には彼女をヨークシャーの領地へ連れ去った。 そのときのキャサリンは夢にも思わなかった。 自分を買った夫に、狂おしいほど恋い焦がれる日が来ようとは。 いっさいの感情を封じた冷淡な伯爵と、孤児たちを救いたいと願う心豊かな乙女。対照的なふたりが夫婦となって、どんな結婚生活が始まるのか? 甘く切ない想いが交錯する、リージェンシーの名作。
こんなに優しくしてくれるあなたが、 誰も愛せない冷酷なひとだというの? 自動車事故に遭い、病院で目覚めたエイプリルは愕然とした。 自分の名前も、過去もまったく思い出せない。 見舞いに訪れた黒髪のハンサムな男性ーーセスのことも。 胸がこんなにどきどきするのはなぜ? 彼は……私の恋人? だが、セスは有名ホテルチェーンの経営者で、初対面だと告げた。 彼の弟がエイプリルの同乗者で、事故で命を落としたのだが、 直前にホテルの一つを譲る契約を結んでいたらしい。 入院中、ずっと彼女の体調を気遣い、優しく接してくれるセスに エイプリルは日々癒やされていった。まさか彼がホテルを取り戻すため、 自分を誘惑しようと企んでいるとは夢にも思わず……。 愛を信じない非情なホテル王セスに、ひと目で惹かれてしまったエイプリル。一方のセスは、彼女が色仕掛けで亡き弟のホテルを手に入れたと疑い、彼女の記憶喪失さえ演技だと思い込んでいて……。
私は彼を欺いているーー この世でいちばん愛しい人を。 家政婦のセイディは雇い主の命令で、愛するザカリーの住む町を訪れた。 罪なほどセクシーな町の英雄ザカリー・ガトリンと激しい恋に落ち、 別れも告げずに姿を消して5年になるが、今も彼は夜ごと夢に現れる。 本当はやりたくない。ザカリーの身辺を嗅ぎまわるなどという仕事は。 でも、病気の妹の高額な治療費を稼ぐ方法はほかにない。 だから、雇い主であるザカリーの異母弟に協力するしか道はないのだーー 遺産相続を阻むためにザカリーの汚点を探れ、という卑劣なことでも。 高鳴る鼓動を抑えこみ、勇気を振り絞ってザカリーを訪ねたセイディは、 冷ややかな黒い瞳に一瞥された。「ここは君のいる場所じゃない」 それでも愛の残り火は燃えあがり、セイディは思いがけず妊娠するが……。 決死の思いで再会した初恋の人は、近寄りがたい成功者となっていて……。どこまでも不遇で健気なヒロインと、どこまでもゴージャスでセクシーなヒーロー。数奇な運命に弄ばれた二人のドラマチックなラブストーリーです! 『天使を抱いた氷の富豪』関連作。
ギリシア富豪の屋敷でナニーとして働くケイトは、 ある日、尊大な当主ダモンに驚くべき提案をもちかけられた。 「ぼくと結婚してくれないか? もちろん寝室は別で」 耳を疑うケイトに、彼は説明した。 結婚する気はさらさらないが、母に結婚を急かされ困っている、 姪のナニーであるきみが相手なら母も納得するだろう、と。 折しも気の進まない結婚を父に迫られていたケイトは、 1年の期限付きという条件で、彼の提案を受け入れることにする。 だが挙式後、バハマへの新婚旅行を強制されてしまったケイト。 まさか彼と衝動的に情熱を交わすことになるとは夢にも思わず……。 〈ロマンス・タイムマシン〉と題してその年の名作をお贈りする企画、1996年の今回は、大人気テーマの1つ、ナニーがヒロインの物語。傲慢富豪ダモンの頼みで、形だけの夫婦を演じるはずだったのに、突然、嵐のような情熱にのみこまれてしまい……。愛なき結婚生活に悩みだすヒロインの、せつない恋のゆくえは?
19歳のデイヴィナは、プロポーズされて夢見心地だった。 その男性が、彼女の姉と通じていると知るまでは。 裏切りに打ちのめされたデイヴィナは故郷を捨て、ロンドンに出た。 2年が経ち、いまは大企業の重役ジェイクの秘書を務めている。 彼はハンサムな独身とあって、恋人はいつもとびきりの美人だ。 ある日、デイヴィナのもとに姉から結婚式の招待状が届く。 相手は元婚約者だった。傍目にも明らかなほどうろたえた彼女は、 ジェイクから問いただされたとき、つい心の内を漏らしてしまう。 彼はしばらく何か考えていたが、暗く光る目でデイヴィナを見ると、 こう言ったのだ。「僕が結婚式に付き添うーーきみの婚約者として」 S・アレクサンダーは80年代に4作だけを残した幻の作家ですが、今作の初版は、同日に刊行されたC・モーティマー、B・ニールズ、J・デイリーといった人気作家を大きく引き離してトップの売上を誇った作品でした。幻のロマンスをどうぞ。
パーティでケータリングをするサマンサに、男性が声をかけてきた。マシュー!ハンサムな彼はイギリスとギリシアの血を引く、船舶会社アポロニアス・コーポレーション後継者という有名人だ。彼は、祖父の誕生日パーティの手伝いをしてほしいのだという。仕事の話にしては、まなざしや態度が親密すぎる気がしたが、彼のような男性がわたしなんかに興味を持つはずがないと、サマンサは恥ずかしくなり、慌てて仕事を請け負った。まさかそのパーティが、ギリシアの美しい孤島で催され、その間ずっと、マシューと寝食をともにすることになるとはーそしてそれこそが彼の思惑だったなど、彼女はまだ知らなかった。