出版社 : ハーパーコリンズ・ジャパン
ポピーの初恋相手は、いとこのクリスだった。幼いころは、彼の兄ジェームズが大好きだったが、思春期になり、優しいクリスに淡い恋心を抱くようになると、それに気づいたジェームズは、ひどく冷たく、意地悪になった。大人になり、ポピーの初恋はクリスの結婚で無残に散った。ほどなくして上司でもあるジェームズの出張に同行したポピーは、あるささいなきっかけで、彼の腕に抱かれてしまう。思いがけず、クリスには感じたことのない情熱をかきたてられ、ポピーはみずからジェームズを求め、純潔を捧げた。その一夜で身ごもってしまうとは、思いもせずにー。
トスカーナのワイナリーを父親と切り盛りしていたマルシアは、元婚約者に資金を持ち逃げされ、絶望のどん底に突き落とされた。経営難に陥ったワイナリーを家屋敷ごと買い取り、引っ越してきた新オーナーは、アメリカの大富豪トレイス。マルシアは1年間、彼の下で働くことになった。ワイナリーの付属品として買われたも同然の状況だったが、自分のせいで家族が失業し、住む家を追われたという罪悪感から、マルシアは身を粉にして働き、夜はトレイスに料理もふるまった。しかしある夜、ふいに唇を奪われた瞬間、否応なく気づいてしまう。ひとつ屋根の下で暮らすには、彼は魅惑的すぎるということに。
看護師のクリスティはスペイン人の夫アレッサンドロと別居中。ハンサムで有能なドクターである彼を愛しているけれど、彼が仕事ばかりで家庭を顧みないことに耐えられず家を出たのだーまだ愛があるのなら、追いかけてきてくれると淡い期待を抱いて。しかし彼が現れるのを待つうち、一緒に連れてきた子供から家族全員で過ごしたいとせがまれ、やむなく家へ帰ることにした。みずから戻るのは本意ではなかったものの、夫との久々の再会に、クリスティは胸を高鳴らせた。だが、アレッサンドロは彼女の荷物を客用の寝室へ運ぶと、冷たく言い放った。「ここが、きみの部屋だ」
海軍で輝かしい戦果を残した後に負傷して帰郷した、第10代ライブンホール伯爵マックスは、世を儚んでいた。ある日、領地を馬で駆けていると、奇妙なものが目に入った。男物のズボンに包まれた尻がもぞもぞ動き、しきりに何かを掘っている。何やつ、盗賊か?鋭い声で呼び咎めると、男ははっと顔を上げた。眼鏡越しに見開いた大きな丸い目、麻のシャツの開いた胸元ー女か?「伯爵さま、どうか怒らないで。古代遺物を発掘したいだけなんです」エフィは近くに住む天涯孤独の若い女性で、歴史が好きなのだと言う。失せろと命じたが、彼女は夜中にこっそり領地に入ってきているようだ。女性が夜に一人では危険だ!マックスはつい手を差し伸べてしまいー。
質素を好む厳格な叔父に育てられ、その教えを忠実に守るアネリス。ある日、彼女にはセントジョン侯爵という後見人がいるとわかり、住み慣れた村からロンドンに出て、レディ教育を受けることになった。屋敷に着き、現れた侯爵を見て、アネリスは息をのんだ。村で偶然知り合って、ついに心を奪われた王党派の人。世にも美しい瞳のあの方が、わたしの後見人だったなんて!叔父によれば、贄沢を好む王党派は皆、悪魔ーサタンの弟子だという。そんな考えも、アネリスの恋心を消し去ることはできなかった。やがて魅惑的なレディに変身した彼女は華やかな宮廷生活に飛び込む。しかし国王たちの注目を引くも、愛する侯爵だけは彼女に厳しくて…。
あと5年。それがマリに残された時間だった。余命宣告を受けた彼女は賑やかなNYを離れ、いつかくる“その日”を待ちながら、独り静かに暮らしていた。そんな6月のある朝、身なりのよい紳士が気球に乗って現れた。彼の正体は、NYの大富豪実業家、アンガス・オニール。裏手の広大な土地を買ったという彼はマリの新しい隣人となり、惹かれ合った二人は一緒に過ごすときが多くなった。やがてマリはアンガスに求婚されるが、頑なに拒み続けるーみずからの儚い運命のことは言えないままで。
ジョディの父が、ギリシア名家の女性と再婚した。多感な少女は義理の兄となった御曹司ステリオスに憧れ続け、18歳のとき、ついに兄妹の一線を越え、純潔を捧げた。だがそれを知った家族はジョディだけを責め、勘当したのだ。4年後、ジョディはいとこの結婚式のために帰省する。ステリオスは彼女の存在が式をぶち壊しにすることを危ぶみ、自分の屋敷に閉じ込めようとするが、突然の嵐で一帯が停電。暗闇の中、二人はあの夜を再現するかのように体を重ねてしまう。逃げるようにギリシアを去った彼女のお腹には、新しい命がー。
大企業の御曹司ラファエロと、屋敷の庭師の娘グローリー。5年前、若い二人は自分の差など気にせず愛し合っていた。だが彼の父親に、息子と別れなければ家族を破滅させると脅され、グローリーは泣く泣く一人屋敷を去るしかなかったー何も知らないラファエロに裏切り者だと恨まれながら。そして今、彼女はすがる思いでラファエロを訪ねた。弟が屋敷で騒ぎを起こし、窃盗の疑いまでかけられているのだ。弟を訴えないで。できることはなんでもするから…。そう懇願するグローリーに、ラファエロは冷淡に告げた。「なんとかしてやろう、きみが体を差し出すなら」
冬のさなか、病床にあったメグたち三姉妹の母親が亡くなった。家を売って、お金は姉妹で分けましょうという長女の提案に、ロンドンで華やかに暮らす末の妹も大賛成。家を守り、母の看病に明け暮れた次女のメグは気が重かったけれど、自己主張が苦手で、ひと言も反論できないままだった。ところがいざ売りに出してみると、なかなか買い手がつかない。誰もこの家を買わないかもしれないわーそんな期待が芽生え始めた時、長身でハンサムな医師ラルフが現れた。魅力的な彼に思わず胸をときめかせるメグだったが、彼は母のために家を探していると言って、彼女に目もくれず…。
メリッサは暴漢に襲われ、隣家の跡取り息子ディエゴに救われた。それを機に二人は結ばれて夫婦となったが、この結婚はメリッサの罠と信じ込む彼と、その家族の仕打ちに耐えられず、彼女は妊娠を告げぬまま姿を消した。5年後、事故で瀕死状態に陥ったメリッサは、面会に来た夫に言い張った。「息子はあなたの子じゃない」と(『もう一度抱きしめて』)。孤児として育ったフェイスは運命の人との出会いを待ちわびていた。だから、誘拐犯から彼女を救ってくれたワースに純潔を捧げたのだ。“2カ月後のクリスマスに町の広場にあるツリーの下で会おう”そう約束して別れたが、当日、いくら待てどもワースは現れない。フェイスは絶望に打ちひしがれたーお腹に宿る、彼の子とともに(『星降る夜の出来事』)。レオン!アラーナはギリシア大富豪との予期せぬ再会に驚愕した。5年前、たった半年だったけれど、貧しかった彼女に夢のような愛と贅に満ちた日々を与えてくれた人。でも最後には誤解がもとで、ひどく罵られながら彼のもとを去ったのだった。今もまだ冷たい彼の瞳に、アラーナは震えた。もし彼に息子の存在を知られたら…(『愛人の秘密』)。切なく胸に迫る、シークレットベビー&再会愛。
遅すぎるプロポーズは虚しいだけー王子が欲しいのは息子だけなのだから。もうすぐ5歳になる息子を連れて街へ出かけたエマは愕然とした。5年半前、彼女を不用品のように捨てた相手がいたのだ。コンスタンチン!美女との噂が絶えないミルス王国の王子。1年付き合った末、彼は許婚がいるからと一方的に別れを告げた。その後妊娠に気づいたエマは、厳格な両親に家を追いだされ、強盗に全財産を奪われ、コンスタンチンには連絡すら拒否されて、住み込みで働きながら一人で必死に我が子を育ててきたのだった。「その子は僕の子だな?」こちらを睨みつけ、彼が詰め寄った。お願い、私の宝物を奪わないで。エマは息子を胸にかき抱いた。
なんて逞しい人。まるで海の神ね。無人の浜で出会った男性は、コーラに、「ここは僕の秘密の避難所なんだ」と言った。そこは彼女が一人になりたいときに行く隠れ場所でもあった。翌日、コーラの実家が営む小さなホテルに、その男性が現れた。彼が沖合に浮かぶ豪華クルーザーの持ち主のストラトだと知り、コーラは驚愕する。ギリシア屈指の実業家がなんの用かしら?「僕と、1カ月で世界中を回るクルージングを楽しまないか?」昨日会ったばかりの、ハンサムな大富豪と?そんなの無理よ!だが、経営難の実家のホテルを助けてやると言われてしまい…。
身分違いの関係が行き着くのは、またしても悲劇なの…?アンジェリクはタラシア王国の王宮で働いていたとき、傲慢で奔放な王子ヴァレンタインに見そめられ、純潔を捧げた。ほどなく若い二人の関係は噂になり、激怒した彼の父の命令で、アンジェリクは王宮から追放されたのだった。10年後、彼女は今や王国となったヴァレンタインと再会する。富と権力と名声をほしいままにしてきた彼だが、病気のせいで子供の作れない体となり、退位すら考え始めているという。そんな彼から王宮で1カ月暮らさないかと提案されたとき、彼女は腹立たしくも悟る。彼への想いがまだ消えていないことを。
いわれのない誤解をされても、まだ愛しているのは、息子の父親だから?4歳の息子を一人で育てながら貧困にあえぐリアナは、昔の美しい面影は見る影もなく痩せ細り、疲れ果てていた。ついに過労で倒れ、病院に担ぎ込まれた彼女の前に現れたのは、ギリシアの大富豪で息子の父親、アレクシス・ペトラキスだった。5年前に一夜を共にし、翌朝、侮蔑の言葉を吐いて消えた人ーああ、でも彼はついに私と息子を助けに来てくれたのね!だがアレクシスは、リアナが薬に溺れ育児放棄していると聞き、初めて存在を知った息子を、救い出しに来たのだった。彼は息子を保護し、リアナもギリシアへ伴ったー乳母として。
スカイは闘病中の母に代わり、祖父の葬儀に参列した。祖父とは、母が17歳で家を追い出されたきり、会ったこともなかった。だが遺言で、広大な館とダイヤのネックレスが遺されたことがわかる。ただし、そのネックレスは150年以上も前から行方不明で、2カ月以内に見つけないと遺産はすべて寄付されてしまうという。スカイは遺産を相続して母の治療費に充てようと、ネックレスを捜す決心をし、手がかりの人物に会いに行く。ブノワ・シャランダールは、若き富豪でプレイボーイのようだが、スカイはまさか彼を愛することになるとは思いもしなかった。ましてや、自分たちが150年前の悲恋を繰り返すことになるなんて。
仕事しか愛せない男性を、なぜ、愛してしまったの?出張に行った恋人のケインから、3週間なんの音沙汰もない。従順な恋人を演じてきたリサだが、もはや我慢の限界だった。ケインはとてもハンサムで女心をそそる危険な男性だ。けれど会社経営者の彼にとって大切なのはあくまで仕事。まるで添え物のように扱われるリサは、深く傷ついていた。彼が私に求めているのは、ベッドでの慰めだけなの?意を決してついにリサが別れを告げると、ケインは言った。「僕が君を愛していると言ったら、どうする?」嘘に決まっているわー私が何より求めているものを知っていて、そんなことを言うなんて。ケインのずるさが、リサは苦しかった。
断るべきよ、だって絶対無理だわ…。兄のフィアンセ役を演じてほしいと、親友に懸願され、ジェンナは悩んでいた。なぜなら親友の兄で放蕩富豪と名高い、とてつもなくセクシーな大企業CEO、ドリュー・マドックスこそ、ジェンナが学生時代にひとめ惚れして以来、忘れられない男性だから。彼の緑の瞳に見つめられると、どんな女の子もたちまち虜になった。そんな彼と、いつもパーティの壁の花だった私が釣り合うわけないわ。でも結局、親友の頼みを断りきれず、ジェンナは承諾した。そしてドリューのオフィスで、彼と再会するー妖しく輝く彼の瞳。ロビーに押し寄せたカメラの前で、二人は熱いキスを交わして…!?
ノーラはその日人生のどん底にいた。飼っていた猫を亡くし、仕事をクビになり、いくら悲しくても話を聞いてくれる家族も友人もいない。頭をめぐるのは後悔ばかり。「私がもっといい飼い主だったら」「両親にも亡くなる前にもっと親孝行ができていたら」「恋人と別れなければよかった」「故郷に戻らなければよかった」生きている意味などもうないと、ノーラは衝動的に自らの命を絶とうとする。だが目覚めたとき、目の前には不思議な図書館が佇んでいたー。2020年Goodreads Choice Awardフィクション部門受賞。
リオは11歳で天涯孤独となり、牧場主のサムに引き取られた。その後も、酒癖の悪かった亡き父の醜聞を十字架のように背負い、人々に白い目を向けられるなか、サムだけは彼女の味方だった。なのに、その息子ケインはいつもリオを厄介者扱いした。彼女が密かに彼を愛していることなど気づきもせずに。今、唯一の理解者だったサムが病のため死を目前にしている。恩人との別れを考えるだけでリオは胸を締めつけられた。しかもケインが跡を継げば、わたしは追い出される運命…。そう覚悟したリオを、ケインはある晩抱きすくめ、唇を奪った。激しい情熱、そして不可解な怒りと、軽蔑を瞳に宿して。