出版社 : ハーパーコリンズ・ジャパン
エリザベスは夜会で魅力的なサー・リチャードに再会し、言葉を失った。親に決められて、少女の頃から密かに憧れる彼の許嫁となったが、16歳のとき、彼に愛されていないことを知って結婚を断ったのだ。今、麗しい淑女に変身したエリザベスに、彼は目を奪われている。けれど、彼女の心は喜びよりも、不安でいっぱいだった。じつは1年前、軍人の看護をしていたとき、偶然彼と出会っていた。傷ついて一時的に視力を失ったリチャードに素性を隠したまま尽くし、救いを求める彼の腕を拒めず枕を交わしたのだったーああ、どうか今あなたの目の前にいる私が、あの愚かな看護師“メアリー”だと、気づかないでください…。
考古学博士のエヴァは、一人旅の途中で事故に遭い、目覚めたときには1週間分の記憶を失っていた。そして2ヵ月後、妊娠していることに気づいたー美しいドレスを着て舞踏会に出席した自分の写真以外、小さな命を授かった一夜の手掛かりは何も残っていないというのに。まったく自分らしくない行動とその結果に戸惑いながらも、エヴァは子どもを独りで産み育てる決心をした。そんなある日、エヴァが歴史ある子爵邸で発掘の指揮を執っていると、実家に立ち寄ったというすばらしく魅惑的な男性ハリーが現れた。彼はエヴァを見ると顔色を変え、傲慢ともいえる態度をとって…。
「町の向こう側の子か。御用聞き用の出入り口を使うべきだ」仕立ての仕事をする母の使いでメリック邸を訪れたマーゴの胸に、密かに憧れていたジョーダンの言葉が突き刺さった。裕福な家に生まれた彼と、そうでない自分ーそれを痛烈に意識させられ、17歳のマーゴの心は深く傷ついた。注文の品を届けに来ただけなのに、こんなふうに言われるなんて…。彼女の淡い恋はその日、無残に砕け散ったのだった。ところが7年後、看護師となったマーゴに皮肉な運命が降りかかる。以前よりはるかに魅力を増したジョーダン・メリックが、彼女の働く病院に、上級外科医としてやってきたのだ!
突然、家を訪ねてきたイタリア富豪を見て、マヤは凍りついた。サムエーレこそ、1年半前の雪の日にほんの一瞬会ったきり、彼女がずっと忘れられなかった男性だったからだ。彼はマヤを見るなり、金めあての女と決めつけてののしった。そして、赤ん坊はどこにいると迫ってきた。彼女はあわてた。とにかく、サムエーレにあの子は渡せない。そのとき子供の泣き声がして、彼が強引に家へ押し入ってきた。富豪はどうしても赤ん坊を自らの手で育てたいらしく、脅しにも屈しないマヤも一緒に自身の城へ連れ去ってしまう!
ともに児童養護施設で育った、病気療養中の親友に懇願され、アイビーは卵子提供をして、代理母となった。だが親友は急死、おなかの子だけが残された。ドナーは無慈悲と噂される砂漠のシーク、ナジールだという。悩んだ末、アイビーは身重の体で彼を訪ねることにする。現れたのは、威厳に満ちたブロンズ色の肌の屈強な体格の男性。なぜか子供に執着する彼に結婚を申し込まれ、驚くアイビー。「イエスと言うまで、きみはここから生きて出られない」おなかの子と生きのびるためには、彼に従うしかないの?
いまいましいタキス・サマラス!リサはベッドで枕を叩いた。姉の結婚式で、リサは新婦の付添人、タキスは新郎の付添人で、初対面なのに強く惹かれ合った。少なくともリサはそう感じた。長身で逞しい彼は、ギリシアでホテルチェーンを率いる富豪。恋人は作らない主義と公言してはばからない彼は、リサがヴァージンだと告げると、信じず去っていった。そんなタキスのことなどきっぱり忘れたはずだったーある夜、チャリティパーティで再会するまでは。彼は鋼のようなグレーの瞳で見つめて言う。「君と最高の一夜を共にしたい」
嘘よ…サフランは信じられない思いでニコを見つめた。ニコはサフランが生まれて初めて心惹かれた男性。その彼があろうことか犯罪グループの一味で、サフランを誘拐して人質にとったのだ。誘拐犯の一味は凶暴だったが、ニコだけはなぜか優しかった。死の恐怖に怯えるなか、サフランのニコへの想いは愛に変わる。一味の一人に乱暴されそうになったとき、サフランは誓った。このまま死ぬのはいや。愛する人にすべてを捧げたい…。だがニコと結ばれた直後、彼はサフランを狙った銃弾に倒れー。
アンナは実業家ニコスの完璧な秘書で、密かに彼を愛してもいた。二人は抜群のチームワークで事業を拡大していったが、それも、一夜の過ちからアンナが妊娠するまでのことだった。彼はアンナを辞めさせ、別の女性を秘書兼愛人に据えたのだ。たまりかねたアンナは彼の屋敷を飛び出し、故郷ロシアへ飛んだ。そして生まれた息子の存在。それだけが彼女の心の支えだった。だが、ニコスがそのまま母子をほうっておくはずもない。前触れもなく現れ、彼は言った。「息子を渡してもらおうか」一度は愛したニコスの冷たいまなざしに、アンナはおののきー。
まだ幼い愛娘を誘拐され、打ちひしがれていたサラは、シチリア大富豪の夫ニコラスとの3年ぶりの再会に動揺した。出会った瞬間に恋に落ち、結婚したときは幸せの絶頂だった。けれど、頑固な義父はイギリスから来た花嫁をよそ者として嫌い、息子の目を盗んでは、周囲も巻き込んでサラにつらく当たった。そして事実無根の浮気の罪を着せ、ついに彼女をいびり出したのだ。ニコラスの子を身ごもったとサラが知ったのは、別居してからのこと。今、夫は黄金の瞳に、なおも妻への不信と怒りの念を浮かべている。彼にとって、あの子は屈辱の印。邪魔だったから、さらったんだわ!そう疑う妻に、彼は告げた。「“きみの”子をさらってなどいない」
天涯孤独のサリーは幼いころから里親のもとを転々として育ち、誰からも養子にしてもらえなかったことが深い心の傷となっていた。そんな彼女は18歳のとき、最愛の恋人トムに一方的に捨てられ、無惨に終わった恋を忘れるため、異国へと旅立った。いつか彼と温かい家庭をと夢見ていたのに、またひとりぼっち…。7年後、故郷に戻って助産師として働くことになったサリーを、避けては通れぬ試練が待っていたー敏腕ドクター、トムとの再会が。どれほど憎もうとしても、愛しい彼。でも、これ以上傷つきたくない。何年も練習してきたとおり、彼女が冷たくよそよそしい態度で接すると、それがトムの傲慢なハートに火をつけ、容赦ない誘惑が始まった!
年金暮らしの両親のため、少しでも家計の助けになればと、診療所の受付係として働き始めたマチルダ。雇主のドクター・ラヴェルは魅力的な男性だったが、彼女は思った。母にさえ不器量と言われる私では彼を惹きつけられない。だから、この想いは隠そう、と。案の定、ドクターは地味な受付係などまるで見えない様子で…(『片思いの日々』)。ローレンは自らの運転中に事故で愛娘を失って以来、心が塞ぎ、すれ違いから会社社長の夫ザックと別居。でも、まだ彼を愛していた。心から。本当の別れを考えては切なさに胸を締めつけられるローレンだったが、ある日、突然弁護士に呼ばれて事務所に赴くと、ザックと鉢合わせした。まさか、とうとう彼は離婚を決意したの…?(『星降る夜の奇跡』)。故郷を離れてシカゴで孤独に暮らすクリスティのもとに、匿名で薔薇の花束とメッセージが届いた。ストーカーの影におびえていた彼女は警察に通報するが、駆けつけた刑事の姿を見て、思わず目を疑った。なんとそこには、かつて彼女が初めて恋し、破れた相手スコットが、すっかりたくましい大人の男性となって立っていたのだ!(『危険な薔薇』)。新たな人生をつかむシンデレラたちの感動ロマンス!
高校を卒業後、経済的な理由で大学進学をあきらめたチャリティは、速記とタイプを習い、今はロンドン市内の病院で秘書を務めている。彼女の収入をあてにする家族と暮らす平凡な日々の中、内科医長のワイリーライアン教授のことが、心の片隅で気になっていた。院内の事情通たちも、彼の私生活についてはほとんど知らない。住まいや、結婚しているかどうかさえ。でも、チャリティは知っていた。以前、教授に手紙のタイプを頼まれた際、彼がまだ独身とわかったが、それを誰にも話さず、自分の心の中だけにとどめておいたのだ。そんなある日、チャリティは教授に引き抜かれ、彼の診療所の秘書となる。舞い上がったのもつかのま、彼が近々婚約するという噂を耳にし…。
未婚の母から生まれたタティは一族の恥とさげすまれ、おじ一家から使用人同然の扱いを受けながら暮らしていた。今日はいとこのアナの結婚式だが、タティは花嫁から、自分が逃げ出すあいだの身代わりになってと強引に頼まれる。美しいいとこが結婚するのは、アルハリアの王太子サイーフ。そんな大役を野暮ったい私が?すぐに見破られてしまうわ。案の定、別人と気づかれ、激怒したおばに叩かれそうになる。止めに入った凜々しい花婿を見たときは、助かったと思った。ところが式はそのまま続き、タティは王太子妃にされてしまう!
イベントプランナーのカランドラはふとしたことから、スペイン富豪のアレハンドロと一夜を共にし、妊娠してしまう。プレイボーイに惹かれ、純潔を捧げたことを悔やみつつも、身ごもったことを伝えると、意外な反応が返ってきた。「ぼくは生涯結婚する気はないが、子どもの面倒は見る」しかも、妊娠で仕事を辞めた彼女の苦しい懐事情をほのめかし、彼の下で働かないかと言うのだ。莫大な報酬を提示して。アレハンドロの子を宿しながら、彼の妻でも恋人でもなく、彼の仕事を成功させるための駒となったカランドラは…。
メロディは生まれつき盲目で、非情な貴族の父親に疎まれてきた。このままでは今にも家から追い出されかねない。メロディの窮状を見かね、地中海の国の王妃となった姉が、国王の弟グリフィンとの縁談をお膳立てしてくれた。そうすれば、メロディは冷酷な父のもとを離れられるし、グリフィンも放蕩王子という悪評を拭い去ることができるから。初対面の時から陽気な王子に密かな想いを抱いていたメロディ。ところが、結婚式とそれに続く舞踏会が終わって初夜に臨む前、彼は言い放った。「後継ぎは必要ないから、体の関係も必要ない」
シャーロットの働く美術館では、ギリシア彫刻展を控えていた。そのスポンサーが、まさかデイモン・ラトゥサキスだったとは!デイモンは、美しい容貌と巨万の富を持つギリシア人実業家で、かつてシャーロットに愛の手ほどきをしてくれた恋人だった。だが身に覚えのないことで責められ、別れたのだ。美術館主催のパーティの夜、二人は4年ぶりに再会する。父親と同じ目をした娘のことだけは、隠し通さなければー不安に震える彼女の緊張をよそに、デイモンは再び誘ってきた。高額の手当と引き換えに、愛人にならないか、と。
失恋の傷を癒やしに別荘へ出かけたヴァーニーは仰天した。なんと主寝室のベッドにたくましい男性が寝ていたのだー兄の雇い主で、実業界の大物レオン・ボーモントが!常にスポットライトに照らされ、美女とマスコミに追われる彼に、兄がしばらくここで身を潜めるよう勧めたのだろうか。「誰だ、君は?ここで何をしている?」苛立った口調で彼がきく。そう、もちろんレオンはヴァーニーのことなど知らない。兄の立場を考えれば、彼の機嫌を損ねないほうがよさそう…。「わ、私はあなたの世話をするよう雇われた、家政婦です」とっさに口をついて出た言葉が、二人の関係を思わぬ方向へ導きー。
マーニーは勤務先の病院で医師のハリーと再会した。数年前、短期間だが別の病院で一緒に働いていたのだ。当時、プレイボーイと名を馳せていた彼は、マーニーのことを覚えてすらいなかった。今の彼も相変わらずハンサムで凛々しいけれど、双子の子育てに追われるシングルファーザーだという。彼は生真面目なマーニーを煙たがり、二人は何かとぶつかるが、同僚の葬儀の夜、慰め合うように一夜を共にしてしまう。亡き妻を今も愛する彼との間に、未来は望めないのに…。そんな矢先、感染症に罹った双子をマーニーが世話することになる。
「おなかの子の父親はぼくだというのか?ありえない!」世界的複合企業の社長、ジュン・リーに妊娠を告げたとたん、黒い瞳に冷たく見据えられ、アイビーは呆然とした。あの夜、情熱に陰る黒い瞳で愛を囁いた彼とは別人のようで、すばらしい夢の一夜には想像もしなかった、辛い現実だった。けれど彼女は涙をこらえて言った。子供は私一人で育てると。すると彼の豪邸に連れていかれ、父子鑑定を受けることに。自分の子に違いないと知るや、彼にプロポーズされたが、アイビーは拒んだ。彼とは住む世界が違いすぎる。でも…。