出版社 : 中央公論新社
ああ、夢は、どうしてこんなに美しいのだろう。 叶わないとわかっていても、こんなにも心を掴んで離さないのだろうーー うちに秘めた夢を明かし、散り去る彩輝晶。残るは二つ、光と闇を宿すそれぞれの輝晶は語る。人々の夢を担い、光神サマーアを打ち砕いたアライス。太陽姫と呼ばれる彼女が、ずっと隠してきた目映いまでに純粋な願いを。そして叶わぬまま抱き続けるツェドカの狂おしい想いを。本篇堂々完結! 中公文庫『夢の上 夜を統べる王と六つの輝晶 3』を改題し、書き下ろし番外短篇「輝晶の欠片 最初の夢」を新たに収録。
六十代の主婦・雅美は、大谷選手が書いたマンダラチャートを真似て、マス目を埋めてみる。 もし、人生をやりなおせるならば、「女性が胸を張って生きられる世の中にしたい」。 そう記した途端、雅美はマンダラチャートに飲み込まれ、中学生に戻ってしまう……。 同じくタイムスリップした、かつての憧れの人・天ヶ瀬とともに、昭和の古くさい価値観を変えようと、奮闘する雅美だが……。
働くってことは、生きるってことだ。 「東京バンドワゴン」シリーズの著者が贈る、 高校生たちが大人の階段を上る青春群像。 〈カラオケdondon〉の奥まった一室。そこはお客に貸さない部屋。通称〈バイト・クラブ〉のための部室だ。 ここの部員になるための資格は、【高校生の身の上で「暮らし」のためにバイトをしていること】。 ファミレスにガソリンスタンド、バッティングセンターなどなど。稼いだお金の使い途は学費だったり生活費だったり、将来のためだったり。 お金はなくても、ここには私たちなりの「青春」がある。 でもある日、そんな日常を一変させるような事件が起こるーー。
「自分で決めたーー選択したことだから。 すべては、僕のふるさとである魔王領のためだから」 圧倒的勢力で魔王城に押し寄せる〈人族大同盟機構軍〉。魔族と人族の最終決戦が迫るなか、魔王領総帥・小野寺剛士17歳の決断とは!? 長篇ミリタリー・ファンタジー第三弾。
老舗・桜山ホテルで、憧れのアフタヌーンティーチームで働く涼音。 甘いお菓子を扱う職場の苦い現実にヘコみながらも、自分なりの「最高のアフタヌーンティー」企画を作り上げることができた。 そして、最初は対立していたシェフ・パティシエの達也との距離も変化していく。 ーーそこから3年、涼音に大きな変化がおとずれ……。
父が脳出血で倒れた。 折り合いの悪い父・時次郎と、この10年連絡すら取り合っていなかった42歳の篠崎明日美。実家からは勘当されとっくの昔に母に逃げられている時次郎にとって、一人娘である明日美は唯一の身内である。変わり者の父は16年前から「まねき猫」という立ち飲み屋を営んでいるが、医師には「回復後も麻痺が残る」と言われ、店に立ち続けるのは難しそうだ。「まねき猫」を閉めるしかないと考えていた明日美だったが、時次郎の友人で店の回転資金として300万円貸しているという「宮さん」によると、返済に関しては「『まねき猫』が続くかぎり無期限」ということらしく、簡単に閉店するわけにはいかず……。 『妻の終活』の著者が贈る最新の人間ドラマは「父の終活」!? 果たして、明日美の選択はーー。
本当は怖い落語×驚愕のどんでん返し! 著者渾身の作家生活30周年記念作品 その噺を聞いてはいけない 男たちを地獄へ引きずりこむ闇の落語会 落語会へ行くと、客は自分だけ。盲目の落語家が語る「もう半分」で、誰も知らないはずの秘密が暴かれる(「モウ半分、クダサイ」)。 若い美人と浮気を楽しむはずが、大切なものを失う羽目に。「後生うなぎ」のように川へ投げ込まれたのは?(「後生ハ安楽」) 「どくろ柳」の稽古が進むにつれて、おぞましい記憶がよみがえる。噺に導かれ、行き着く先は……?(「キミガ悪イ」)
幽晦との境界がーー破れている。 内部の薄明が昏黒に洩れている。 ならばそこから夜が染みて来る。 生まれてこのかた笑ったこともない生真面目な浪人、伊右衛門。疱瘡を病み顔崩れても凛として正しさを失わない女、岩ーー四谷怪談を江戸の闇に花開く極限の愛の物語へと昇華させた第25回泉鏡花文学賞受賞作。「巷説百物語」シリーズ・御行の又市の物語はここから始まった。 〈解説〉高田衛 〈対談〉高田衛×京極夏彦「生きている怪談」
珊瑚海海戦の敗退によって明らかとなった空母機動部隊が抱える弱点、すなわち通信能力の不足と攻撃に対する脆弱さを一挙に解決するべく、戦艦「大和」を前線に送り出した。 この英断により、第一機動艦隊はソロモン海にて米艦隊に圧勝する。 連合艦隊はすぐさまニュージョージア島に前進、米豪分断作戦は成功するかに思えた矢先、米軍がガダルカナル島に上陸したとの情報が。 ラバウル基地から空爆を仕掛けるとともに、重巡「鳥海」率いる第八艦隊、さらに戦艦「金剛」「榛名」を主力とする第二艦隊も出動するが、米軍の飛行場建設阻止には至らない。 ついに第一航空艦隊あらため第三艦隊にも出撃命令が下り、戦艦「大和」は再び空母を率いて南洋へ向かうーー。 「ソロモンは彼らにとり、死守しなければならない重要拠点なのだ」
故郷を滅ぼされ、復讐のため後宮へ上がったハウファは、不死身の光神王を倒す法を求め、文書館の地下深くに隠された建国の秘史に至る。やがて彼女は神宿の御子を産むが、同じ日に第一王妃のもとにも王子が誕生していた……。多崎礼、もうひとつの革命の物語。 中公文庫『夢の上 夜を統べる王と六つの輝晶 2』を改題し、書き下ろし番外短篇「輝晶の欠片 伴走者の遺言」を新たに収録。
「お前様は絶対に英雄などではない。お前様はもっと巨大な存在だからだーー魔王領そのものだからだ」 魔王領総帥・小野寺剛士17歳が初めて指揮した城塞襲撃は成功を収めた。だが依然、劣勢は覆せない。守るための攻勢にーー剛士は敵国中枢への急襲作戦を発動する! 長篇ミリタリー・ファンタジー第二弾。
笛が鳴っている。 名前を呼ばれている。 逃げないと、 化物がやって来る……。 公園で〈笛吹き鬼〉をして遊ぶ六人の少女たち。 だが、奇妙な笛の音が鳴った時、一人、また一人と姿を消してしまう。 数年後、事件の当事者で、ホラー作家となった背教聖衣子がこの事件を調べはじめると、眠っていた「笛吹き鬼」も蘇るーー。 禍々しい信仰が残る地で続く、奇っ怪な事件。
幼い頃から、ピンクもリボンも恋愛も好きではなかった。 だから私は、世界から逃げ出したーー。 「やさしい死に方」を教えてくれるという喫茶店に集まった三人。 「女」であることへの違和感を押し殺してきた沙保。 家の関係で、ゲイであることを誰にも言えなかったミナト。 そして、なぜここにいるのかわからないほど、全てから自由に生きる律。 奇妙な共同生活の中で、沙保はこれまでの「当たり前」から解き放たれてーー。
大人だって道に迷う時あるよー。離婚を機に実家へ戻った詩織。彼女と息子・翔を支えるのは、折り合いの悪い母、寡黙な父、そして元夫と付き合い始めた親友だった。『あくてえ』で注目の著者、初の連作二篇!
22歳の初恋、永遠の2か月ー。高校も大学も中退したぼくは、カメラを手に都会の生き物を撮り歩いている。退屈な人と言われ続けた22年の人生は、少し生意気な明夜と出会い変わりはじめた。父親の不倫、姉の自殺未遂、そして「明夜には、もう係わらないでくれ」という男の出現。続発するトラブルに翻弄されながら真実に触れてゆく若者の2か月を鮮やかに描いた、純粋すぎるボーイミーツガール、群青色の秋。『ぼくと、ぼくらの夏』など、数々の傑作青春ミステリーを残し、惜しまれつつ亡くなった著者のリリカルな青春ストーリー、装いを新たに復刊。
豪華絢爛、大唐帝国を魔改造せよーーラッパー李白が、怪獣パンダが、キチン質の李世民が、空海が、三蔵法師が大暴れ! 日本と中国の8作家が織り成す、国境を越えた奇跡のアンソロジー 「本書の目玉はもう一つ。中国と日本のSF作家による競作にチャレンジしたことである。本格的な日中競作のSFアンソロジーが日本で出版されるのは今回が初めてと思われる。日本の作家に唐代SFが書けるのか。そんな心配は無用だ。(中略)この先には激動の歴史と数多の物語、そして現在と未来を燃料に、新しい世界に到達した珠玉の唐代SFが待っている。ぜひページをめくって、編者が自信を持ってお勧めする八作を堪能してほしい。」(「序」より) 【目次】 序 大恵和実 「西域神怪録異聞」灰都とおり 「腐草為蛍」円城塔 「大空の鷹ーー貞観航空隊の栄光」祝佳音(林久之 訳) 「長安ラッパー李白」李夏(大久保洋子 訳) 「破竹」梁清散(大恵和実 訳) 「仮名の児」十三不塔 「楽游原」羽南音(大恵和実 訳) 「シン・魚玄機」立原透耶 編者解説「八岐の園そぞろ歩き」 大恵和実