出版社 : 小学館
現役中学生能力者、迷える霊を成仏させます 望月冴子と一色恭夜は、特殊能力アリの中学生。冴子は自ら出現させた刀で「霊を斬って成仏させる」し、憑かれ体質の恭夜は霊と話すことで「霊を説得して成仏させる」ことができるのだ。そんなふたりにある日、かかりつけの病院から「院内に棲みついた霊を見てもらいたい」という依頼が舞い込んだ。問題の霊は、病院に搬送されてすぐ亡くなったおばあさんで、名前を町子というらしい。霊なのにやたらと元気で陽気な町子は、さっそく恭夜に憑依して「自分が小さいころ命を助けてくれた医者を捜してほしい」と語った。実は亡くなる直前、町子は運びこまれた病院内で、昔と全く同じ姿をしたそのお医者さんを見かけたらしい。それで、最後にどうしても彼にお礼を言いたくて、それが未練で成仏できないのだという。が、常識的に考えて。九十五歳で大往生したおばあさんの子ども時代の命の恩人が、今も若い姿のままで存在しているわけがない。しかし町子は、そのお医者さんに会うまでは、恭夜の身体から出ていかないと言うし……。特別な家に生まれた中学生コンビの、痛快&ほっこり霊障解決ストーリー第2弾!
僕と冬月は大学文芸部の同期。互いのために小説を書き合い、やがて互いに恋心を抱くように。ある日、冬月だけが大手出版社の小説新人賞を受賞。僕は醜くも嫉妬する。受賞の知らせの日は、彼女に告白しようとしていた日でもあったのに。そして二人のぎくしゃくした関係が何年も続き、冬月はある夜突然死んだ。その日、僕は彼女の誘いをむげに断っていた…。冬月への想いや後悔を持てあましたまま、彼女が最後に行きたがっていたカフェを訪ねると、冬月そっくりの少女がいて!?恋心と才能への嫉妬の狭間で、失った大切な愛を描く!小説に引き寄せられ、小説に引き裂かれた青春純愛物語。
父を亡くし、少年の頃の怪我がもとで足が不自由になったわたしは、母に気兼ねする内向的な性格になっていた。そして青春時代に、恩師とも言える神父の失踪と親しかった友人の自死を経験した。二つの喪失を抱えて生きるわたしの前に現れたのが、教え子である女子大生の真琴だった。心ざわめくわたしは、求められるままに真琴と山陰の神社や遺跡を巡る旅に出ることになった。それが、二つの喪失に関しての謎を解き明かすことになるとはー。波風の立たないように静かに暮らしていたわたしに、転機が訪れる。美しい文章で綴られた著者の最高傑作、遂に文庫化。
戦後の動乱期、横浜のドヤ街で当たり屋をしていた「テン」こと小柴俊太は、幼馴染の麻生寛司と偶然再会した縁で、料亭の下足番に雇われる。ある日、寛司の上司でムーンヒルホテルの次期社長・月岡光隆に見出され、彼の運転手を務めることに。やがて月岡の会社に就職した俊太は、“異物”と扱われながらも独創的なアイデアと度胸で次々と実績を挙げ、異例の出世をする。ところが、ある事件が発覚し、会社は上場廃止の危機に陥ってしまう。一連の騒動の背後には、思いもよらぬ人物の裏切りが…!?仕事に夢を持てるかどうかで、サラリーマンの人生は大きく変わるー!!
「魔王が父親なんて認めないわ!」 魔王。それがワシ、ガルトー・リューゼンの職業だ。妻と死別してからは、仕事一筋の毎日。今日も女勇者アンジェリカのパーティーを返り討ちにした。しかし、それがまさかあんなことになるとは……! 結論から言う。ワシは女勇者の母、レイティアと再婚した。つまり、女勇者の義理の父となったのだ。順風満帆な再婚生活を楽しみたいところなのだが、事はそう簡単にいかないらしい。 「魔王のあんたが、勇者である私の父親になるとか、意味わからないでしょ!」 「落ち着け女勇者……たしかに、こういうことをなかなか受け入れられない年頃なのだと思うが」 「うっさい! 黙れ魔王!」 「あらあら〜ふたりとも仲良くしなきゃだめよ〜」 こんな調子なのである。正直不安しかない。果たして、無事に温かい家庭を築けるのだろうかーーいや、築いてみせる! むしろ、それが魔王であり父であるワシの使命だ! 「……いつかお前に『パパ』と呼ばせてやるからな! 魔王の名にかけて!」 「だから、そういうのやめろって言ってんのよ!!」 これは、のんびり勇者母、思春期勇者、子育て初心者魔王が織りなす新米家族の物語。異世界式アットホームコメディ開幕☆ 【編集担当からのおすすめ情報】 『物理的に孤立している俺の高校生活』や『スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました』の森田季節がガガガブックスに登場!『小説家になろう』でも話題の異世界式日常系アットホームコメディに要注目です!
少女惨死、一億円消失。超絶誘拐ミステリー またもや一敗地に塗れた静岡県警。 静岡県浜松中央署管内で小学四年生の村木千夏ちゃんが誘拐された。犯人は、千夏の母・清美に身代金一億円を持って、浜松駅からタクシーに乗車するよう命じる。静岡県警は総力戦でのぞむが、身代金は奪われ、千夏は無残な遺体となって発見された。県警の日下悟警部補は、千夏への仕打ちから、村木家に強い恨みを持つ者の犯行ではないかと推理していた。 江戸川乱歩賞受賞作『誘拐児』、 WOWOWで連続ドラマ化の 『真犯人』を超える最高傑作登場! 【編集担当からのおすすめ情報】 大藪春彦賞候補作にして、 WOWOW連続ドラマ化の『真犯人』続編!
妖しい洋館が舞台のロマネスクな人間模様 大都会・東京の真ん中に静かに佇む洋館に心惹かれた「私」は、得体の知れない不動産屋に誘われるままにその館を訪ねることになる。 そこには幻想的な少女・霧子や近寄りがたい老主が住んでいた。身を固く包んで口さえ開こうとしない霧子に、私の興味は膨らんでいく。 主である霧子の祖父の依頼で、彼女の家庭教師として洋館に同居することになる私……。そこで、この一家の住人たちは数奇な運命に翻弄され始めるのだった。 「ある夕陽」で芥川賞を受賞した日野啓三が幻想的作風で新境地を開き、泉鏡花賞に輝いたロマネスク小説の傑作。
昭和20年代後半、文学への志を抱えながらも東大・経済に進んだ倉沢明史は検事である父の呪縛に抗いながら、己が人生を模索していた。朝鮮戦争・血のメーデー事件・米国によるMSA援助の見返りとしての日本の再軍備問題と、時代は熱い政治の季節ー。その一方で家庭教師先の人妻・麻子に胸を焦がし、自らの欲望に悶々とする。そして、失ったはずのかつての恋人・棗との再会。“内向の世代”を代表する作家・黒井千次が「春の道標」の後日譚として、彷徨する生真面目な青年の内面を繊細に描いた自伝的青春小説の完結編。復刻記念に著者のあとがきを特別収録。
極貧女子と考古学男子の発掘×事件、第二弾 福岡県の中央、あさくら市にある大学のキャンパスに通う田中灯里は、考古学専攻の貧乏女子学生。男前な古賀先輩にごはんをたかりながら、学費を稼ぐためアルバイトに精を出す毎日だ。 ある日、古賀先輩が敬愛する西枝教授から、研究室で発掘した遺物に“偽造の疑い”がかけられているという不穏な話を聞いた灯里。変なところで運がいい灯里は、スコップ片手の発掘現場でたびたび貴重なものを掘り当てては、人はいいが運は悪い西枝教授から大層うらやましがられていた。疑惑の遺物は、先日の灯里がかかわった発掘調査で掘り出されたもの。ところが、同じ年代の地層から出たふたつの棺の中に、それぞれまったく時代の違う人骨が納められていたという。灯里と古賀先輩は、あり得ない事態に困惑するが……。 発掘現場に隠されたやっかいな謎を、タフな女子大生・灯里と隠れ甘党な古賀先輩が解き明かす! 福岡スポットや名物グルメもたっぷりつまった、遺跡発掘×ミステリー第二弾!
御台様を追って純情侍、久能山東照宮へ! 文化十年(1813)、十一代将軍家斉の正室寔子の夢枕に、夜な夜な一寸法師が立って、「母様、わたくしを救って下さい」と囁いた。御台所はこれまで二人の男児を授かったが、長男・敦之(あつの)助(すけ)は三歳、次いで生まれた長丸(ちょうまる)は生後三カ月でこの世を去り、水子として葬られた。深夜、奥御殿をさ迷い歩く寔子。御台所の様子に異変が生じたと察知したお年寄り筆頭の今和泉は、過ぐる年、織田信長の残党・影母衣衆の魔の手から寔子を救った白野弁蔵に相談を持ちかける。弁蔵は表向き、提灯奉行という軽輩者だったが、その実、御目付神保中務から陰扶持を頂戴する直心影流の達人だ。しかも、去年の救出劇以来、弁蔵と寔子は密かに心を通わせる仲になっていた。叶わぬ恋に身を焦がす純情侍・白野弁蔵に、今和泉の頼みを断る謂れは微塵もない。探索の最中、性懲りもなく大奥に忍び入った影母衣衆を成敗したのもつかの間、思いもよらぬ事態が出来する。城中から御台所と今和泉が姿を消したのだ。長丸のお骨は神君家康公を祀る久能山東照宮にあった。弁蔵は、自分を親分と慕う鳶の朝吉と元辰巳芸者の君蝶を引き連れて東海道を西上し、駿河国に着到する。 【編集担当からのおすすめ情報】 「暴れん坊将軍」「遠山の金さん」の名脚本家が贈る 豪剣時代小説新シリーズ第二弾!
あの付添い屋が帰ってきた! 新章開幕! 第一話 春雷 秋月六平太は付添い屋をやめ、相良道場師範代を務めていた。ある日、飛騨屋母娘と舟遊びに出たところを破落戸に絡まれ、これを撃退。だが噂を聞いた口入れ屋に「隠れて付添い屋をしていたのか」と詰め寄られる。一方、十五歳になった穏蔵は八王子から江戸に出てきたが、肌に合わず奉公先を飛び出していた。 第二話 女医者 師範代を返上した六平太へ、中条流女医者かつ枝に付添う仕事が舞い込んだ。診療の帰り、外塀に貼られた姑獲鳥の札に、かつ枝は顔色を失った。そのころ、森田座の役者、河原崎源之助が行方不明になっていた。 第三話 鬼の棋譜 妙な男が市兵衛店を窺っているらしい。気になりながらも六平太は平岡宗雨の付添いへ出向く。将棋の才能に恵まれた宗雨だったが、態度が慇懃だと世間からの評判は悪かった。 第四話 一両損 穏蔵は甚五郎親分の下で働きたいという。二人を引き合わせた六平太は、音羽での騒ぎを耳にする。灰買いの女が集めた灰の中から高価な菩薩像が出てきたのだ。持ち主を探すため、六平太は町に噂話を流す提案をする。 【編集担当からのおすすめ情報】 シリーズ35万部突破、金子成人の大人気シリーズ、待望の新章スタート! 帯コメントは若村麻由美さん。 新シリーズ『脱藩さむらい』と書き下ろし二冊同時刊行!
香坂又十郎は、石見国、浜岡藩城下に妻の万寿栄と暮らしている。奉行所の町廻り同心頭であり、斬首刑の執行も行っていた。浜岡藩は、海に恵まれた土地である。漁師の勘吉と釣りに出かけた又十郎は、外海の岩場で脇腹に刺し傷のある水主の死体を見つける。浜で検分を行っていると、組目付頭の滝井伝七郎が突然現れ、死体を持ち去ってしまった。義弟の兵藤数馬によると、死んだ水主の正体は公儀の密偵だという。後日、城内に呼ばれた又十郎は、謀反を企んで出奔した藩士を討ち取るよう命じられる。その藩士の名は兵藤数馬であった。大河時代小説シリーズ第一弾!
心も体も変わる、ランジェリーラブコメディ 広告代理店に勤める32歳の國枝颯子は、うっかりノーブラで出勤したある日、慌てて駆け込んだランジェリーショップ「Toujours Ensemble(トゥージュール・アンサンブル)」で男性のフィッター・伊佐治耀に出会う。 「脚を組むくせがある」「夕食はいつも8時以降」「20歳の頃から5キロ以上太った」「2年以上、恋人がいない」--フィッティングをしただけで、伊佐治は颯子の生活習慣をすべて言い当ててしまう。いい加減な生き方を指摘された颯子は、自分を見つめ直すようになる。 ”女であること”を持て余している後輩の百田馨、旬を過ぎたスキャンダル女優の本城夕妃、女装の趣味があるクライアントの大狼社長、出産後のセックスレスに悩む同期の美鈴・・・・・・颯子をとりまく人々も、伊佐治のランジェリーの魔法によって少しずつ変わり始めてーー!? 一歩前に踏み出せずにいる女子たちに贈る、前代未聞のランジェリー・ラブコメディ!! 【編集担当からのおすすめ情報】 女優の石田ニコルさん大絶賛!! 「年齢を重ねるとともに、気持ちや体型、置かれている状況がどんなに変わっても、『私は私でいいんだ』と思わせてくれるランジェリーがあれば、人生はきっと大丈夫。唇に赤いリップを塗ったときのような、ポジティブで強い気持ちにさせてくれるはずだから。この一冊がいろんなステージで、迷い、悩んでいる女性たちの味方になってくれますように」(解説より)
今の日本に、こんなリーダーがほしかった! 昭和13年、青年実業家の瀬田修司は横濱に降り立った。関東大震災から復興した横濱は、ジャズが流れモガ・モボが闊歩する華やかな文化あふれる国際都市。折しも日中戦争が始まり、軍需景気にあやかりたい瀬田は、横濱一の大富豪である原三渓からの出資を得ようと、三渓について調べ始める。 実業家としての三渓は、富岡製糸場のオーナーであり「生糸王」の異名を持っていた。関東大震災では、復興の先頭に立ち私財をなげうって被災者の救済にあたった。また、稀代の数寄者として名を馳せ、茶の湯に通じ、「西の桂離宮、東の三渓園」と言われる名園を築いた文化人。前田青邨や小林古径など、日本画家の育成を支援……と、いくら調べても交渉材料となるような醜聞は見つからず、瀬田は苛立つ。 やがて「電力王」として知られる実業家、松永安左ヱ門に会った瀬田は、松永の仲介で三渓に会うことが叶う。 三渓園の茶室を訪れた瀬田は、そこで原三渓と話を交わしたことで、少しずつ考えを変えていく。 実は少年時代、瀬田には三渓にまつわる忘れ得ぬ記憶があった……。
「あのコの、トリコ。」映画ノベライズ! 「大好きな“あのコ”のために、ボクは変わるーー」 地味で冴えない男子高校生・鈴木頼は、幼なじみで初恋の“あのコ”・立花雫が通う東京の高校に転入する。女優を目指し真っすぐにがんばる雫と再会をし、あらためて恋をした頼は、あるきっかけからなんと雫の付き人をすることに。 時間をともにするうち、雫への頼の気持ちは膨らんでいくが、同じく幼なじみで人気俳優の東條昴が、そんな頼をけん制する。「お前は、絶対に俺に勝てない」--。 2018年10月5日より全国公開予定の映画「あのコの、トリコ。」ノベライズ! 主人公の鈴木頼を人気俳優・吉沢亮が、頼が一途に思いを寄せるヒロインの立花雫を新木優子が、そして、頼のライバルで超人気イケメン俳優・東條昴を杉野遥亮が演じています。 原作は2013年より「Sho-Comi」にて連載され、コミックスは累計発行部数100万部を突破(電子ダウンロード含む)。18年7月より待望の続編も連載開始された大ヒットコミックスです。 ドキドキの恋とキラキラな夢を追いかける、シンデレラ・ラブストーリー! 【編集担当からのおすすめ情報】 吉沢亮さんが演じる主人公の鈴木頼は、おどおどして頼りのない、冴えないメガネくんです。ですが、メガネをはずし、一度カメラの前に立つと、撮影現場の人間がはっと息をのむほどのオーラと美しさ。そんな幼なじみが、小さいころからずっと、一途に自分のことを好きでいてくれたら……。幼なじみのイケメン2人が、自分を取り合いしてくれたら……。つい、そんな幸せな妄想をしてしまう、かわいくってキュンキュンさせられるラブストーリーです。 映画には描かれていないシーンも! 雫と頼の間に立ちはだかる障壁が鮮明に描かれています。ぜひ、ノベライズもお楽しみください。
心の闇を解き明かす。優しくて怖い花物語 住宅街にひっそりとたたずむ、レトロな雰囲気の「さくら花店」。一見ごく普通のフラワーショップだが、花に呼ばれるようにしてここにやってくるのは、傷ついて病んでしまった心を抱え、人知れず苦しんでいる人ばかり。生まれながらに植物の声を聞くことができる店主の雪乃は、人々を癒して救おうとする花たちの願いを受け、その手助けをしているのだ。 ある日、幼馴染みの男の子と一緒に女子高生の静香が店にやってきた。美しく奔放な妹の誕生日祝いにと、白い百合を買い求める彼女。百合を配達しに静香の家に向かった雪乃は、庭に植えられた黒百合の様子を見て嫌な予感を抱くが……。 花に求められれば危険もかえりみず走り出してしまう雪乃。渋々ながらもそれを見守りフォローする、人嫌いでぶっきらぼうな樹木医の将吾郎。そして雪乃と同じ能力を持つ、悩める少年ヒロ。風変わりな夫婦と居候が、植物にまつわる事件と心の闇を解き明かす! 優しくて怖い花物語、第二弾登場。
都内の出版社に勤める栗原綾乃は、訳あって食の女神様「花比売」と運命共同体のような関係にある。綾乃の属する料理情報誌『食彩記』の編集者は癖のあるメンバーばかり。中でもルックスと家柄は最高だが中身が残念なイケメン・新藤悠弥は、やたらと綾乃に絡んでくる問題児だ。編集部内外で起こる食べ物絡みの事件を解決するため、綾乃は彼らと共に東奔西走。例えば、糖尿病治療入院中の編集長のために特製鰻重を開発、老舗和菓子屋を存続させるために名物饅頭を再現、経営不振の焼き鳥屋に起死回生の策を授ける、等々。綾乃の恋と仕事の行く先は…?
女医の及川夏未は、東京の大学病院での研究者生活に挫折し、北関東の地元に戻って来た。過疎化が進み、外国人労働者の増加が目立つ地元では、町おこしの目玉にと、地元産の食肉を商品化しようとする動きが進んでいた。そんな中、謎のウイルス感染死が連続して起こる。独自に調査を始めた夏未を妨害する出来事が次々に起こり…。感染源は何か、そしてその裏側に何があるのか!
あらたに真吾に迫りくる未亡人の甘い誘惑 昭和二十六年春。大学二年生になった真吾はある朝電車内で、下宿先の未亡人ちえと一緒になる。すし詰め状態の車内で、偶然か故意か、ちえの手が真吾のからだの一部分に触れてきた。いつもの控えめで貞淑なちえからは考えられない行動に驚く真吾だが、前年の秋に彼女の娘・小学生の雪子にもそれを触らせたことがあり、なんとも刺激的な気持ちになるのであった。実験目的で始まった女子学生・明美との関係は続いていた。だが出発点から大きく逸脱し、今や明美は真吾に夢中になってしまっている模様。明美の友人の知子から、重荷になる前に何とかするよう忠告されるも、今度はその知子の誘惑に乗ってしまう。そんなある日、かつての下宿先の娘アキが訪ねてくる。交際している男の粗暴な振る舞いについて相談しにきたと言うが、強引で奔放な性格は変わっておらず、夜の神社で求めてくる。さらに、旅館で働く中年のキクや、下宿先の隣人・新妻の千賀からも好意を寄せられてーー。己の好色性を自任する真吾の周辺はまさに春、さながら百花繚乱の様相を呈していた。