出版社 : 小学館
「ちょんまげぷりん」作者が熱く描く冒険譚 80年代。効果音や独特の節回しのナレーションなど、サービス精神に満ちた過剰な演出で秘境の地を探検する人気テレビ番組シリーズの撮影クルーたちは、幻の大蛇・ヤーガを求めて亜熱帯の地を彷徨っていた。 もちろん、架空のかたちでしか存在しないヤーガを「登場」させるべく、洞窟にて準備をしていたクルーの一人が、空になった薬莢などを発見。ほどなく、彼の地で現政府の打倒を試みるゲリラたちにより、クルーはあっけなく囚われの身となる。 しかし、彼らがやっていることを朧気ながら理解したゲリラたちは、お互い「バカバカしいまでに死にものぐるい」で片や番組作り、片や政府打倒に臨んでいることに気付き、共感を覚えて歩み寄りを見せる。そして、ゲリラたちの協力により、撮影は再開されるが、反対勢力の現政府軍の狡猾な罠が待ち構えていたーー。
自己満足で患者の傍にいるなんて偽善者よ。 栗原一止は、信州にある「24時間365日対応」の本庄病院で働く内科医である。医師不足による激務で忙殺される日々は、妻・ハルの支えなくしては成り立たない。昨年度末、信濃大学医局からの誘いを断り、本庄病院残留を決めた一止だったが、初夏には恩師である古狐先生をガンで失ってしまう。 夏、新しい内科医として本庄病院にやってきた小幡先生は、内科部長である板垣(大狸)先生の元教え子であり、経験も腕も確かで研究熱心。一止も学ぶべき点の多い医師だ。 しかし彼女は治ろうとする意思を持たない患者については、急患であっても受診しないのだった。抗議する一止に、小幡先生は「あの板垣先生が一目置いているっていうから、どんな人かって楽しみにしてたけど、ちょっとフットワークが軽くて、ちょっと内視鏡がうまいだけの、どこにでもいる偽善者タイプの医者じゃない」と言い放つ。彼女の医師としての覚悟を知った一止は、自分の医師としての姿に疑問を持ち始める。そして、より良い医者となるために、新たな決意をするのだった。 【編集担当からのおすすめ情報】 青年医師・栗原一止(いちと)に訪れた、最大の転機! 豪華キャストで映画化もされた大ベストセラー 二年ぶりの最新作にして、シリーズ第一部の掉尾を飾る 最高傑作ついに登場! 全五話からなる極上の物語をお楽しみください。
情趣溢れる街並み、思わず息をひそめて見た美術館の絵画、ふとした出会い、大切なひととの思い出、自分を見つめ直した夜…。旅の情緒と、旅先の人間模様が、心温まる描写とともに美しく繰り広げられる七編の物語。
書店員さん大注目作家・中田永一最新作! 長崎県五島列島のある中学合唱部が物語の舞台。合唱部顧問の松山先生は産休に入るため、中学時代の同級生で東京の音大に進んだ、元神童で自称ニートの美しすぎる臨時教員・柏木に、1年間の期限付きで合唱部の指導を依頼する。 それまでは、女子合唱部員しかいなかったが、美人の柏木先生に魅せられ、男子生徒が多数入部。ほどなくして練習にまじめに打ち込まない男子部員と女子部員の対立が激化する。夏のNコン(NHK全国学校音楽コンクール)県大会出場に向け、女子は、これまで通りの女子のみでのエントリーを強く望んだが、柏木先生は、男子との混声での出場を決めてしまう。 一方で、柏木先生は、Nコンの課題曲「手紙〜拝啓 十五の君へ〜」にちなみ、十五年後の自分に向けて手紙を書くよう、部員たちに宿題を課していた。提出は義務づけていなかったこともあり、彼らの書いた手紙には、誰にもいえない、等身大の秘密が綴られていたーー。 【編集担当からのおすすめ情報】 すでに多数の作品を出されているある有名作家の別名義・中田永一氏の最新作になります。中田氏は、08年に「百瀬、こっちを向いて」で、単行本デビューし、各紙誌の年間ベストテンでランキングするなど高い評価を得ています。
人気作家が挑む、3.11以後の物語 3月11日以前と以後で、世界は一変した。この圧倒的な現実を前にして、小説に何ができるのか。『亡国のイージス』の人気作家・福井晴敏氏が、はじめて「現実」に挑んだ『週刊ポスト』連載作品である。 東京に住む平穏な家族を、あの震災が襲った。エコ担当社員の主人公・野田圭介は、3.11以後、元防衛庁職員の父の不穏な様子や、ネットにはまる中学生の息子の心境の変化に戸惑い、翻弄されていく。大震災と原発事故に見舞われたこの国で、彼は家族の危機を乗り越えることができるのか。
話題の映画原作本、新装版で一般発売! 傭兵飛空士・シャルルは、流民上がりである自分が未来の皇妃ファナを本国まで送り届けるという荒唐無稽な指令に我が耳を疑った。圧倒的攻撃力の敵国戦闘機「真電」が、シャルルたちの搭乗する複座式水上偵察機「サンタ・クルス」に襲いかかるなか、ふたりは無事本国まで辿り着けるのか? そして、飛行中に芽生えたシャルルとファナの恋の行方はーー!? 蒼天に積乱雲がたちのぼる夏の洋上にきらめいた、恋と空戦の物語。 ライトノベルとして2008年に発売した直後から口コミで話題となり、2008年Amazonエディターランキング1位、2008年Amazon売り上げランキング6位、2009大学読書人大賞2位など、すばらしい評価を受け続け、ついに今秋アニメ映画として全国ロードショー。 『サマーウォーズ』『時をかける少女』などで名高いマッドハウスが制作をてがけているこの映画も大いに評判をよんでいます。
「お前んち、いっつもええ匂いするのう。」 「お前んち、いっつもええ匂いするのう。」 そう言った転校生のコジマケンが気になる緑は、まだ初恋を知らない十四歳。 夫(おじいちゃん)が失踪中のおばあちゃん、妻子ある男性を愛し緑を出産したお母さん、バツイチ(予定)子持ちの藍ちゃん、藍ちゃんの愛娘、桃ちゃん。 なぜかいつも人が集まる、女ばかりの辰巳一家。そして、その辰巳家に縁のある、謎の女性棟田さん。それぞれの“女”が抱える、過去と生き様とはーー。 二ヵ月連続リリース第一弾『こうふく みどりの』は、大阪のとある街を舞台に、様々な形の“女のこうふく”を描いた、西氏渾身の一作。 【編集担当からのおすすめ情報】 『こうふく みどり』『こうふく あかの』二ヵ月連続リリース記念 西加奈子氏×西原理恵子氏 特別対談収録!
復活した悲運の作家、幻のデビュー作。 『海炭市叙景』で奇跡的な復活を果たした悲運の作家、佐藤泰志のデビュー作が文庫化。山羊、栗鼠、兎、アヒル、モルモット…。バスに動物たちを乗せ、幼稚園を巡回する「移動動物園」。スタッフは中年の園長、二十歳の達夫、達夫の三つ上の道子。「恋ヶ窪」の暑い夏の中で、達夫は動物たちに囲まれて働き、乾き、欲望する。青春の熱さと虚無感をみずみずしく描く短篇。他に、マンション管理人の青年と、そこにするエジプト人家族の交流を描く「空の青み」、機械梱包工場に働く青年の労働と恋愛を描写した「水晶の腕」を収録。作者が最も得意とした「青春労働小説」集。 【編集担当からのおすすめ情報】 『海炭市叙景』に次ぐ佐藤泰志文庫化プロジェクト第二弾。この後も、佐藤泰志作品が文庫化される予定です。 移動動物園 空の青み 水晶の腕 解説:岡崎武志
山の楽しさ、厳しさ、美しさを知り尽くした男・島崎三歩。彼はいま日本アルプスで山岳救助ボランティアを続けていた。要救助者ありの連絡が入ると、三歩はすぐに現場にかけつけ、事も無げに遭難者の命を救う。そんな三歩が暮らす山に、北部警察署山岳救助隊に配属されたばかりの新人・椎名久美がやってくる。久美は、三歩たちの指導の下、厳しい訓練をこなしていくが、実際の救助となると未熟さや過酷な自然を前に、自信を失くし失意の日々が続く。そんなとき猛吹雪の山で多重遭難が発生。救助に向かった久美を待ち受けていたのは想像を絶する雪山の脅威だった。
享保九年(一七二四年)、神君・徳川家康の命日である四月十七日に、八代将軍・吉宗が久能山へ参詣することとなった。幕府の要人たちが準備に追われるなか、鉄砲方を拝命している旗本・井上義継の跡継ぎ小十郎が誘拐される。御用取次の加納久通は、尾張藩がこの策謀に絡んでいるとみて、目安箱改め方の竜巻誠十郎に調査を命じる。事件には誠十郎の父・竜巻順三と、ある「結社」が関係していた。尾張藩邸に潜入した誠十郎と相棒の勘次の前に、書院番頭にして究極の剣技といわれる小野派一刀流の使い手・嶋信綱が立ちはだかる。大好評シリーズ第一部ついに完結。
賢は大学で映画研究会に属している。四年生の賢が監督で映画を撮ることになり、ヒロインには同じ映画研究会の杉崎莉沙が選ばれる。莉沙も実は監督志望で、賢が書いた脚本をめぐって、ふたりは言い争いとなるが、撮影は進む。莉沙の最後のショットを残して、彼女が交通事故に遭い死んでしまい、映画は頓挫する。一年後、賢は莉沙にそっくりな女性を見かける。声をかけ話を聞くと、莉沙の双子の妹の洋子だった。賢は洋子を起用して残されたショットを撮影し、映画を完成させようとするが、一年ぶりに集まったメンバーは、そんな賢に途惑いの表情を見せるのだった。
十九歳、夏、陽光の中を笑い転げながら歩いている私たち。ハニーズ。はちみつたち。とくべつな四人。四十歳に近づいた今でも、私は「ハニーズ」と私の恋とを注意深く分けている。ふたつが混じりあわないように。結婚、離婚、家族、恋愛ー9篇の傑作を収録した魅惑の恋愛小説集。
今から一年前、誰かが私の人生に魔法をかけたー。その晩、左利きのイラストレーター鳥山敏治が帰宅すると、灯りの消えたリビングにはキャンドルの炎が何本も揺れ、そしてかたわらには妻が死体となって横たわっていた。そのとき電話が鳴る。受話器から聞こえてきたのは、まぎれもなく自分の妻の声だった。にわかに信じがたい出来事を機に、鳥山の日常は思わぬところから覆されていく。自分の人生は誰のものなのか?サントリーミステリー大賞読者賞に輝いた傑作が十余年の時を経て文庫化。謎が謎を呼び、人間の記憶の痕跡を鋭く抉る極上のミステリ。
西暦二一九九年、正体不明の敵・ガミラスが投下した無数の遊星爆弾によって地球は放射能で汚染されていた。人類の大半は死滅し、地球はまさに滅亡の危機を迎えている。そんな時、謎の未確認物体が地球に落下。現場で発見されたのは十四万八千光年離れたイスカンダルから届いた通信カプセルで、人類に宛てた重大なメッセージとともにイスカンダルへの道筋とそれを可能にする波動エンジンの設計図が示されていた。人類はすべての希望を託して、最後の宇宙戦艦ヤマトを建造。ガミラスとの戦闘で兄を喪った古代進も、遙かイスカンダルへと旅立つヤマトに乗り込む。
竹光侍とは、何者なのか? 神田界隈で、辻斬り事件が横行していた。 下手人と目されたのは、かたぎ長屋に住む浪人・瀬能宗一郎だった。 嫌疑を晴らすため、長屋の大家で元岡っ引きの与左衛門、そして旗本の御輿大三郎らと結託して、宗一郎は一計を案じる。 その一方、一巻の「狂剣」で対峙した凶剣士・木久地真之介が、執拗に宗一郎を追ってくる。果たして、その理由とは。 竹光差しの浪人・瀬能宗一郎。その出生の秘密に迫る松本大洋の人気コミック原作小説、堂々の第二弾刊行。