出版社 : 徳間書店
幕府隠密以上の権限を持ち、江戸参勤の大名の動静を探る《阿ノ一番》山瀬仁三郎こと不知火の仁吉の活躍で,宇土藩主細川元政抹殺を謀る家老らの奸計が明るみに出た。さらに、悪家老に殺されたはずの細川家の家臣・中江銀之助こと朱鞘浪人港伝次郎は紅蓮の炎と大捕物陣に囲まれ、壮絶な死闘を展開していた。その網の目の外で繰り拡げられる日本佐衛門と鼠小僧の対決の場へ急ぐ《阿ノ一番》-。長篇時代小説。
世情騒然たる幕末。官軍の横暴に業を煮やし彰義隊に加わった旗本・伴鉄太郎だが、彰義隊は壊滅、自らも手傷を負った。1868年、傷の癒えた鉄太郎は榎本武揚率いる艦隊に乗り組み、一路蝦夷へ。大暴風雨と寒さに耐え、ようよう箱館に辿り着いたものの、幕軍は五稜郭占拠わずか八カ月にして降伏。討死を免れた鉄太郎、士籍を返還して北海道開拓の道を選び、石狩に腰を据えることになった。長篇歴史小説。
宿下り中の大奥女中・お勝が殺された。その宵、お勝と逢った恋人の小柳進之助に嫌疑がかったが、目明し亀蔵は白と見た。だが何故か同心は進之助を犯人に仕立てようとし、小柳家でも進之助に自害を迫った。逐電した進之助を救けた大身旗本・本多内蔵介は、追従と腐敗の世をすね隠棲する身。事件の背後に田沼意次派の策謀と、大奥の勢力争いがあることを看破、真相究明に乗り出すが…。長篇時代小説。
キューバによる宣戦布告なき対アメリカ戦争、白い十字軍(クルサーダ・ブランカ)作戦とは?失踪した夫を求める人妻を助けるうち、またも邪悪な陰謀に巻き込まれた隆治、柊子、ミゲル。奥アマゾンに浮かぶ巨大基地を舞台に、怒りと哀しみが交錯する…。最新書下し長篇!
推理作家の朝見は、自作の映画化に立合うため、ロケ現場の法隆寺を訪れた。女優・薬丸淳子は熱のこもった演技で短剣を胸に突きたてた。ところが小道具の短剣は本物で危うく命を落としかける。薬丸と朝見は犯人を追及するうち恋に堕ちるが、その眼前で次々と奇怪な殺人が…。しかもその殺人は朝見の作品そのままに、なおかつ作品を上回るトリックと謎を秘めていた!奈良-和歌山-東京を結ぶ殺意の延長線上に浮かんだアイドル歌手・岡村有香の飛び降り自殺。殺人者の死を賭した挑戦とトリックの暗示するものとは…。
レコーディング・ディレクターの不死原徹は、元恋人・スーザンの依頼で、富豪ジプシー・アルのため、レコード制作にロスへやってきた。アルのヨットに向かう車を、突然何者かが狙撃。運転手が言った。アルの客はすべて狙われる、と。ヨットのキャプテンは、徹を狙うのはネオ・ナチだと言う。そしてヨットが爆破され、さらにスーザンが誘拐されてー。ジプシー音楽の謎と、ネオ・ナチの組織が絡み合う冒険アクション。
サンフランシスコ、八月の日曜。探偵免許停止中の〈私〉は、妻に去られた親友のエバハート警部補と彼の自宅でけだるい午後を過していた。玄関のベルが鳴ってエバハートが席を立った。と、銃声が二つ。エバハートが撃たれ、飛び出した私も左肩を撃たれた。警察の捜査でも、犯人は中国人だということ以外、手がかりはまったくなし。エバハートはなぜ狙われたのか?好評“名無しの探偵”シリーズ待望の新作。
大名、旗本、豪商の邸のみを荒し、貧乏人に恵むという義賊次郎吉。町方の必死の捜索にもかかわらず杳として正体を見せず、江戸八百八町の暗闇を翔ける。だが豪商蔦屋の奸計に、次郎吉は追いつめられた。老いの一徹、次郎吉を追う目明し勘右衛門、奇妙な友情で結ばれる浪人小谷新九郎、蔦屋に追いたてをくらいながらも次郎吉に声援する貧乏長屋の面々…。下町人情を背景に義賊の活躍を描く長篇時代小説。
ソビエトの対日工作員養成所-通称・日本村で徹底的に鍛えられたウラジミール・ハン。朝鮮人系ソ連人で、容貌は東洋人そのものの彼に、極秘指令が下った。ソウル五輪を破壊せよ!“北”の全面協力を得て、巧妙な手口で日本人商社マンになりすまし、単身ソウルに潜入したハン。彼の狙いは9月17日、開会式であった。厳戒体制の敷かれたソウルの、ほんのわずかな隙を突いて、ハンは着々と破壊工作を進行する。果して、華やかな祭典は、一転、大惨事の舞台と化するのか?大胆にして細心な、その恐るべき計画とは!?
凶器も遺留品も指紋、足跡などどれひとつ一致するものがない女子高校生連続殺人事件が頻発していた。被害者は、もったいないことに全員が美少女。向陽学園の高校1年生・朝生萌は、今日も殺人的な満員電車で痴漢の猛烈アタックに戦死寸前、「もう指なんか折れちゃえ!」。そう念じた瞬間、両手全指が360度回転的骨折の中年の男の絶叫があった。一体、どうなっちゃったの!?永井泰宇の初オリジナル、超常暴風美少女シリーズ開始。
いきなり後ろから袖をひっぱられ、脂粉の匂いを漂わせた、ちょっといい女に「市助さん、お前の女房のお春ですよ」と人違いされた八丁堀同心・若月雨太郎。雨太郎は途方にくれつつも山城屋という茶問屋の市助になりすます。“市助”が戻ってきた祝いの夜も更けて、いよいよお春と水入らずになったことから事件が勃発する…(「忘れた昔」)。下町の風物と人情を背景に繰り広げる、ゆっくり雨太郎シリーズ完結篇。
犬が木に登る?何気ない子供の話に、ぼくは興味を覚えた。先日、崖から転落死した少年が飼っていた犬が登ったという楠は、ぼくがかつて思いを寄せていた真知子の家の側にある。ぼくは以前、彼女の兄が犯した殺人事件を目撃し、それ以来彼女とは疎遠になっていたのだ。木に登る犬のことで久しぶりに会った彼女は、何かを隠しているようで…。推理作家協会短篇賞を受賞した表題作ほか9篇を収録。
俺は三十一歳、独身。背中に神経を配って、今まで生きのびてきた殺し屋だ。暴力団・安東組との抗争から、俺は高利貸の金森に雇われ、その事務所にむかう俺の車を二人組の乗ったトラックが猛スピードで狙ってきた。安東組に違いない。俺がやってくることを奴らに知らせた裏切者は誰だ!-「独り狼」他、組織暴力が蠢く暗黒の世界をたったひとりで生きる孤独な男たちを描く秀作8篇を収録。
人間界と魔界との休戦条約締結が、明日に迫ってきた。調印のため来日した魔道士J・マイヤートを護衛する“闇ガード”滝蓮三郎、妖艶な美女麻紀絵。だが、条約締結を阻もうと魔界の過激派が次々に“妖獣”を放ってきた。夜の東京を舞台に、闇ガードと妖獣の凄絶でエロティックな死闘が始まった…。滝と麻紀絵を待ち受けていた意外な使命とは何か?
戦災で失われた幻の縄文粘土板とそれに記された未解読文字に憑かれた若き考古学者・三村知之は、ゴールドヴァーグ研究所の副所長・ウースラとともに調査に向った折、大地震と大吹雪に見舞われた。そして、続く異常気象によって地球は氷床に覆われ、東京は飢餓と暴動の渦中にあった。三村が入手した〈ミノタウロス符号〉とは?人類の始原に迫る神話SF巨篇第一弾。
ジャズ・ピアニスト橘章次郎のもとに突然、米国の大実業家からジャズ・フェスティバルへの出演依頼状が届いた。その夜、六本木での演奏を終えた帰り、橘は美女に酒を誘われたが、待っていたのは屈強な男たちだった。美女も男たちも、密命をおびた内閣調査室のエージェントだったのだ。彼らの狙いは何か?橘を招いた米人大実業家の真意は?長篇アクション。
戦国時代、中国地方に絶大な力を誇っていた尼子一族も安芸の毛利元就の積年の恨みと執念によって永禄9年冬、ついに出雲の本拠月山城を攻め落とされ、若き主君義久らは安芸へ幽閉の身となってしまった。22歳の若輩ながら尼子十勇士と誉れ高い山中鹿ノ介幸盛は、父ともたのむ叔父立原久綱とともに上洛し、ひそかに主家再興の機をうかがうのだが。山中鹿ノ介、復讐の城とり戦争を描く長篇時代小説。