出版社 : 新潮社
サリンジャー家から追放され、裁判にも敗訴したローラは、オウエルの遺志を実現させようと立ち上がった。国際的金融王のウェスとの出会いがローラに、ホテル・ウーマンを確実に約束させていく。しかし、彼女はウェスの愛情に応じない。冷酷なまでのローラの権謀術数は成功し、オウエルの夢のホテルの所有を目前に窃盗事件が彼女を襲う。そしてポールとの再会に心が震えるローラ…。
いろいろ新しい宗教や信仰が、現在、さかんのようだが、それは、人間がつくった神で、祈ったからとて、何の力もない。他に神があるように説いて、信仰をすすめる者が多いが、それは、そう説く者の、私利、私欲によるもので、神とは全く関係ないので、愚かにも惑わされては、恥である…。神は、ただ大自然の親神しか、存在しない。書き下ろし長篇。
後白河院の策謀がうごめき、義経・頼朝が反目しあい、洛中に印地、凶徒、あやかしの者どもが跳梁する末法の世。おのれに幻術をかけ、愛しき百合根を殺した巫女を追う、古童子・阿古丸は、いつしか乱世の渦に呑みこまれていった…。京、熊野、鎌倉を舞台に血腥い風が吹きあれ、怪事、変事が続発する。伝奇小説の新境地をひらく傑作長篇。
イグニッションキーをひるねと、エンジンが吠え、ヘッドライトの両眼に灯が点ったー。ロータス・コーティナ、ヴァンデン・プラ・プリンセス1300、スカイラインGTB、キャディラック、ルノゥ5アルピーヌ、レインジ・ローヴァー、ダットサン510、フェラーリなど、14台の車には、同じ数だけのドラマがあった。様々なクルマと様々な人生が交錯する一瞬を鮮かに描いた14の傑作短編。
桜子とヤマトは、播州平野の小さな町で暮らす大学生。学生から社会人へのわずかに残された時間の中で、二人はあやふやな関係の答えを捜し始める。友達から恋人へ、たった30センチの距離を泳いでゆけない水槽の中の哀しい魚に心を託し、彼の本当の気持ちを探る桜子。三代続く女系家族の家で、自分らしく生きるために彼女が選んだ新しい道は…。22歳のせつないラヴ・ストーリー。
199*年、全体主義国家としてソ連は甦り、40年あまり前に立案されたユダヤ人追放計画を実行に移そうとしていたー。計画名は〈冬の宮殿〉。一方、元ナチス親衛隊将校はイスラム原理主義政権と結託し、ユダヤ人の完全抹殺という、かつて果たせなかった野望を遂げんとしていたー。計画名は〈ファル・ツィーオン〉。計画を察知したCIAは、元工作員サム・コールをモスクワに派遣する。
アリスンは演劇学校で女優を目指す20歳のニューヨーク娘。まるっきり違う人間になることが大好きな彼女に欠かせないものは、芝居とドラッグ、そしてセックスー。ボーイフレンドは山ほどいるけど、みんないいかげんだし、女友だちにも困らされてばっかり。やっとめぐり合えたディーンと純愛を育んでみようかなと思ったのに、やっぱりみんな、黙って見守ってはくれなかったー。
ウォール街の証券マン、ニックは、偶然巻き込まれた事故で突如“透明”になってしまった。透明になったら無限の自由が手に入ると思っているあなた、ちょっと待って下さい。透明な人生は決して楽ではありません。食事は?買物は?生活費は?でも見えても見えなくても、人は生きていかねばなりません。透明人間の苦難と哀しみの底から、不透明な現代が浮び上がってくる秀逸な作品。
安全なねぐらを求めてニューヨークの街をさまようニックの背後から、彼を万能のスパイとして利用しようとする秘密情報機関の魔手が迫る。透明人間には、仕事をし、食事をし、自宅で寛ぐというごく当り前の生活も許されないのか?それどころか、恋人と目を見つめあうことさえ不可能なのだ。苛酷な現実を、創意工夫と旺盛なチャレンジ精神で克服していく、透明なヒーローに拍手を。
古代マヤ文明展が引き金だったー。人類学者ケイトが「神への愛のため、生贅の首を斬り、背中の皮を剥ぐ」儀式について、メトロポリタン美術館で講演した同夜、儀式通りに殺人が起こった。偶然、この講演を聴いていたローク警部補は、生贅に指名されたケイトを護衛するが、いつしか二人はお互いに強く心惹かれていく。一方、数名にしぼられた容疑者は、次々と殺しの擬式の犠牲に…。
憤怒と憎悪が渦巻く荒廃した街、ブロンクス。その一角にあるラガーディア中学校で、黒人刑事による黒人生徒射殺事件が発生した。すでに死亡していた少女とともにトレーニングルームに立てこもっていた少年の動機は?刑事の正当性を主張する警察と、事なかれ主義を決め込む市当局を横目に、教え子を眼前で殺された教師ヒリヤーは真相糾明に立ち上がる。社会派小説の巨編、登場。
射殺された生徒が遺した詩にこめられたメッセージとは何か?そして死んでいた少女はなぜ下着を着けていなかったのか?必死に真相を探る教師ヒリヤーに、射殺した当人であるフランクス刑事も力を貸す。緊迫の度を加える中学校ではまたも生徒が殺害され、同級生たちが次々と拘引されていく。激情の塊となった生徒たちと警官隊が衝突するなか、ヒリヤーは真実に向かって疾走する。
幼い時から悪戯にかけては天才的。14歳で出奔。芝・増上寺で勉学に励み先輩僧たちを驚嘆させるが、学寮に女を連れ込んで破門。放浪の後京都北郊、金谷山極楽寺の住職となる。その後も愚行蛮行はとどまることなく…。その坊さん・横井金谷が晩年に筆をとった。題して『金谷道人御一代記』。-痛快無類の自叙伝をもとに、聖者と無頼の間を突っ走った天衣無縫の僧の生涯を再現する。
15年前、わずか一年で結婚生活に失敗して以来、ずっと独り身を続けてきた47歳の女性弁護士撩子。大学時代の友人に連れられていったホスト・クラブの化粧室で、撩子は、突然、唇を奪われた。相手は爽やかな笑顔の青年宮島ヒデジ。彼女は、ヒデの境遇を聞くうちに麻疹にかかったように、彼に一目惚れをしていた…。表題作を初め、大人の愛のかたちを描く5編を収める短編集。
フィリップ・フレッチャーは売れない中年俳優。ひょんなことから旧知の大スター、ゴードン・ワイルドと再会した彼は、仕事の口利きを頼む。ところがゴードンは悪罵の限りを尽くし、激情に駆られたフィリップは彼を殺害してしまう。警察の追及をかわす彼のもとには次々に仕事が舞い込み始めるが、昔馴染みも続々と彼の怒りを買う羽目になってー。元俳優が描く愉快な殺人回り舞台。
世界のダイヤ取引を支配する〈システム〉は、窮地に陥った。南アからの仕入れが滞り、在庫が底をついた時、救い主が現れた。シベリア産ダイヤだ。品質は一級、値段も一級。ロシア側交渉官のニコライは、卸し値引上げを通告したところだ。が、実は彼の心はヴィヴィアンで一杯、二人の出会いは衝撃的だった。彼女は贅沢が大好き、彼はお金には無縁…。いや、でも、ダイヤなら…。
猛吹雪の夜の21時15分、若き天才外科医シェリー・ライニッシュが、危篤状態でユニバーシティ病院に運びこまれた。意識はなく刺激反応なし。死因はアスピリン中毒による心肺機能不全。22時25分死亡。検屍は自殺。同僚のイブが、記憶の中の時計の針を逆にしてシェリーのすべてを思い出す。彼女が自殺する理由はない。そして、死の謎を追うイブに忍び寄る恐怖の影…。サスペンスロマン。
一度めは暗い船底に詰め込まれ、半死半生で連行された。二度めは日本人の女と夜陰に紛れて密航した。そして三度め-九州から釜山に届いた一通の手紙が、老境の男に朝鮮海峡を越えさせた。数十年を経ても拭い去れぬ痛恨の思いとは何なのか。朝鮮半島の側から、日本人の手で描かれた、限りなく熱い復讐物語。『モンテ・クリスト伯』に比すべき大巨編。血沸き肉躍る大河小説千枚。ナショナリズムの耐えられない軽さに悩む日本人に捧ぐ-。