出版社 : 新潮社
メキシコに到着したジャック・ライアン大統領。彼を乗せた大型リムジンの車列が、建設中の駐車場ビルにさしかかった瞬間、耳をつんざく凄まじい爆発音が轟き、濃い灰色の煙が、全てを包み込んだー。折しも、アメリカの情報機関は北朝鮮のある重要人物が、中国への亡命を望んでいることを知る。潜入していたCIA工作員が、その人物と接触するが。国際インテリジェンス巨編、完結!
反戦のシンボルにして20世紀を代表する絵画、ピカソの“ゲルニカ”。国連本部のロビーに飾られていたこの名画のタペストリーが、2003年のある日、忽然と姿を消した…。大戦前夜のパリと現代のNY、スペインが交錯する、華麗でスリリングな美術小説。
札幌から北京そして東京へー。物語の語り手は、一家で飼われてきた歴代十三匹の犬たち。戦前の明るい空気の札幌、戦争中から敗戦後の混乱の中での北京、引揚げ後の米軍の占領に始まる戦後から平成までの東京を舞台に、誰からも愛される犬、臆病な犬、高貴な犬、澄んだ目の犬、縄抜け名人の犬、猫と仲良しの犬、生涯の伴侶犬など、様々な犬たちが描き出す、その犬の一生と家族の歴史。
100年程前、夫となる人の写真だけを頼りにアメリカに嫁いでいった日本の娘たち。失望とともに結婚生活をはじめ、厳しい労働を強いられながら、子を産み育て、あるいは喪い、懸命に働いて、ようやく築いた平穏な暮らしも、日米開戦とともにすべてが潰え、砂漠のなかの日系人収容所へー。「わたしたち」という主語を用いて、女たち一人ひとりの小さなエピソードがつぎつぎと語られるうち、その小さなささやきが圧倒的な声となってたちあがる、痛ましくも美しい中篇小説。
傷一つない死体の顔に、なぜ犯人は包帯を巻いたのか?警視庁捜査一課七係「特捜7」が動き出す。イケメンで心配性のエース岬怜司を補佐するのは、超楽天家で人間の顔に異常な興味を示す里中宏美。事件発生と同時に、被害者の息子が誘拐され、誘拐犯は「父親を電話に出せ」と要求してきた。二つの事件が奇妙にもつれ合い、またしても異様な死体が…。先の読めない展開と刑事たちの個性が冴える、警察小説の進化形。
偉大すぎる父・北斎、兄弟子・渓斎英泉への叶わぬ恋、北斎の名を利用し悪事を重ねる甥ー人生にまつわる面倒ごとも、ひとたび筆を握れば全て消え去る。北斎の右腕として風景画から春画までをこなす一方、自分だけの光と色を終生追い続けた女絵師・応為。自問自答する二十代から、傑作「吉原格子先之図」に到る六十代までを、圧倒的リアリティで描き出す。
「春待岬」に建つ洋館。そこに住む少女に、ぼくは一目惚れした。でも、そのときは知らなかった。会えるのが、桜の咲いている間だけだなんて。もちろん、歳をとるのがぼくだけで、彼女が永遠に、少女であり続けることもー“時の檻”に囚われた彼女を、なんとしても救い出す!そのためには、“クロノス”をー気がつけば、愛する人よりも大人になっている。そんなとき、あなたは、どうしますか?そして“ぼく”の選択を、どう思いますか?
震災後の苦難に満ちた日々の中で、珠玉の小説が生まれた…地震・津波の記憶が鮮烈に蘇る「蟋蟀」「小太郎の義憤」、原発事故後の放射能や除染を背景にした「アメンボ」「拝み虫」、深い情感にみちた「東天紅」、厳粛さとユーモア、不思議な輝きに包まれる表題作「光の山」。福島在住の僧侶作家が、生と死の現実を凝視しながら描いた祈りと鎮魂の作品集。芸術選奨文部科学大臣賞受賞。
静岡の寸又峡で、地元テレビ局の記者・久保が殺された。彼は記者仲間の伴島に謎の言葉を残していた。次の被害者は、秋田の大曲で資産家老女を殺し指名手配中だった。かつて大曲の通信部にいた伴島は、事件の手掛かりを掴み、秋田へと急行するが、やがて姿を消した。その報せを受け、浅見光彦も現地へ向かった。事件の鍵を握るのは大曲の資産家一族。光彦は事件の謎に迫れるのか。
父親らしき男とともに、なにかを探し求めて鳴子温泉を訪ね歩いていた若い女性。その死体が、一つの川の流れを日本海と太平洋に分かつ分水嶺の傍らで発見された。東京下町の名曲喫茶に勤める彼女には、六年前に殺人事件を起こし、逮捕されるという暗い過去があった。そして、喫茶店の同僚にも魔の手がー十津川警部が分水嶺に見た運命の分かれ道とは?迫真のトラベルミステリー。
虫けら同然の人生で、初めて落ちた本気の恋。それは俺に心からの幸福と、地獄を招いたー。大手外食企業役員と店長が誘拐された。練馬署強行犯係の魚住久江は、一課時代の腐れ縁・金本らと捜査に召集される。だが身代金受渡しは失敗、切断された体の一部が送りつけられる。やがて捜査線上に浮かんだのは、一人の中国人女性。一課復帰を拒み所轄を生きる女刑事が事件の真相を追う!
ふとしたきっかけでメンバー不足の自転車部に入部した正樹。たちまちロードレースの楽しさに目覚め、頭角を現す。しかし、チームの勝利を意識しはじめ、エース櫻井と衝突、中学時代の辛い記憶が蘇る。二度と誰かを傷つけるスポーツはしたくなかったのにー走る喜びに突き動かされ、祈りをペダルにこめる。自分のため、そして、助けられなかったアイツのために。感動の青春長編。
衆議院議員が行方不明になっている伊丹刑事部長にそう告げられた。牛丸真造は与党の実力者である。やがて、大森署管内で運転手の他殺体が発見され、牛丸を誘拐したと警察に入電が。発信地が神奈川県内という理由で、警視庁・神奈川県警に合同捜査が決定。指揮を命じられたのは一介の署長に過ぎぬ竜崎伸也だった。反目する二組織、難航する筋読み。解決の成否は竜崎に委ねられた!
昭和9年春、函館の潜水夫・泊敬介は、時化る海と吹き荒れる風に妙な胸騒ぎを感じていた。予感は的中し猛火が街を襲う。妻子と母を探し歩く敬介だったが。さらに昭和20年の空襲、昭和29年の洞爺丸沈没。立ち直ろうともがく敬介に、運命は非情な仕打ちを繰り返す…。仙台在住の著者が震災から半年後、悩み迷いながら筆をとった、再生と希望の長編小説。
「帝国政府は爾後国民政府を対手とせず」。日本は中国との交渉の道を自ら鎖した。徐州、武漢での作戦を成功させたものの、「事変」は泥沼化の一途を辿るー。敷島太郎は愛人の身体に溺れ、次郎は柳絮のごとく彷徨い続ける。三郎は復讐に身を焦がし、四郎は陰謀の犠牲者を茫然と見つめた。そして、満蒙国家ノモンハンで旧ソ両軍が激突する。大陸に凱歌と悲鳴が轟く。混沌の第六巻。
「お父さんの子どもの頃って、どんな時代だったの?」15歳の娘の問いを機に、父は自分が育ってきた時代の「歴史」を振り返ることに。あの頃、テレビが家庭の中心だった。親たちは「勉強すれば幸せになれる」と教えていた。宇宙や科学に憧れ、明るい未来を信じて全力疾走していた…。そして、父が出した答えとは。明日へ歩み出す子どもたちへ、切なる願いが込められた希望の物語。
かつての恋人の故郷でその不在を想うキャリア・ウーマン。寒い土地への転居を境に狂い出す「じゃぱゆきさん」。整形して若い男と結婚し、離別した娘を従妹として引き取ろうとする母。夫の子を産むと決めた女のもとを訪ねる妻。次々と夫が死ぬ魔性の女。彼女たちはさまざまに熟れていく。女性の心理描写が際立つ短編を精選し、単行本未収録作品を追加したベスト・オブ・ベスト第二弾。
鷹司高校で起きたカンニング事件。剣峰成と太刀杜からんは、疑惑をかけられた少女、時巻暦の調査を開始する。だが、事件を解決したと思ったのも束の間、カンニングの新たな証拠が見つかり、真偽は生徒会裁判“将覧仕合”へと委ねられることに。激突する論理と論理。反転し、眼前で姿を変える真実。そして、伝説の名探偵・金田一が参戦し…。青春×本格ミステリの新機軸、第2弾。