出版社 : 早川書房
フランスの田舎町でゲストハウスを営んでいるアレックス。あるとき、宿泊客としてやってきたゴンクール賞作家のシャルル・ベリエに襲われ、彼を殺してしまう。彼女は夫にも事情を隠してパリへ行き、殺人の隠ぺい工作を始める……スピード感あふれるサスペンス
薬物蔓延で荒廃するケンジントンのパトロール警官ミッキーは線路脇でドラッグ中毒者の遺体が発見されたとの報せに現場へ赴く。妹のケイシーだろうか?かつて厳しい祖母の下で支えあって生きてきた姉妹。今は何年も話さず、売春の客引きや麻薬取引をする妹に姉が手錠をかけるくらいが接点だ。だがしばらく路上にケイシーの姿はない。遺体は彼女ではなかったが絞殺痕があり、さらに似たような事件が相次ぐ。ミッキーは憑かれたように犯人と妹を捜すが…姉妹の絆と孤独を抉る、アメリカの今を映した新しい警察小説。
未知のアンドロメダ病原体によるパンデミックを封じ込め、人類絶滅の危機を乗り越えた5日間から50年。その再来を監視する永続的な警戒システムは、アマゾンの密林奥に異常を検出した……人類は再び未曾有の脅威に立ち向かう! 著者の遺族公認の公式続篇
ロボット工学者ジェイムズ・ストーン、材料科学・ナノテクロノジーの専門家ニディ・ヴェーダラら「ワイルドファイア計画V2」のメンバー4人と護衛部隊は、国際宇宙ステーションの宇宙飛行士ソフィー・クラインによる上空からのサポートを受けつつ、ブラジルのアマゾン奥地を目指した。無数のホエザルの死体を検分し、未接触部族の襲撃から逃れた調査隊のメンバーは、ついに怪現象の発見現場に到達する。そこにあったのは、見たこともない形状と性質を持つ漆黒の大構造物だった!アマゾンの密林から、正体不明の構造物の深部へ、そして宇宙へと話は導かれていく。そして、謎の「病原体」はかつてより進化し、人類を恐怖に陥れる…。『アンドロメダ病原体』原書刊行50周年企画、遂に登場!
少年ダビードはシモンとイネスの庇護のもと、言葉を学び、友を作った。犬のボリバルも健在だ。やがて少年は七歳になり、バレエスクールへ入学する。ダンスシューズを履いた彼は、徐々に大人の世界の裏を知るーー成長とは? 親とは? クッツェーの新境地!
ユミは学園星ユングに暮らす普通の女の子。女性はこの時代、国を守るために子供を産むことを使命づけられている。ただし妊娠には、地球に暮らしている男たちを文字通り「食べる」ことが求められていたーー早川書房noteで閲覧数1位の衝撃作、ついに書籍化
不眠症に悩まされるイーデンは星空の鑑賞で有名なダークスカイ・パークを訪れる。死んだ夫が生前、結婚記念日に予約していたのだ。だがゲストハウスには別のグループも宿泊することに。そしてその夜、殺人が……ディーヴァー&クリーヴス絶賛のフーダニット!
工場の同僚に恋をし、デートに出かけた女性と、その家族の悲劇「セヘル」。刑務所の屋根に巣をかけた雀の妻の勇ましさと夫の情けなさをコミカルに描いた「我々の内なる男」。スポーツカーが大好きな掃除婦が通勤中にデモに出くわす「掃除婦ナっち」。一冊の傑作小説を通して、都会で暮らす娘が疎遠になっていた父の秘密に触れる「歴史の如き孤独」。中東の伝統的価値観や情勢に翻弄されながらも日々の生活を営み、夢や思い出を抱きつづける人びとの美しさを、政治犯として勾留中の著者が紡ぎだす短篇集。
『三体』著者、劉慈欣による表題作ほか、現代の北京でSNS産業のエリートのひとりとして生きる主人公の狂乱を描いた、『荒潮』著者の陳楸帆による「開光」など、14作家16篇を収録。最先端の現代中国SFを収録した、ケン・リュウ編によるアンソロジー第2弾
19世紀英国。作家兼医者のコナン・ドイルは〈名探偵シャーロック・ホームズ〉シリーズ第1作『緋色の研究』が思ったように売れず落ち込んでいた。そこにホームズのモデルにしたベル博士が、巷を騒がす連続殺人鬼の事件を一緒に調査しないかと誘ってきて……
ノースカロライナ州の湿地で村の青年チェイスの死体が発見された。人々は真っ先に、「湿地の少女」と呼ばれているカイアを疑う。6歳のときからたったひとりで生き延びてきたカイアは、果たして犯人なのか? 不気味な殺人事件の顚末と少女の成長が絡み合う長篇
私は二度結婚した。そして、夫は二人とも死んでしまった──。故郷アメリカを離れ、ローマで暮らす若手女優とその兄。彼らは名門出身の政治家と有名女優の夫妻に惹かれて近づくが……。ルネサンス期の戯曲をもとに、エドガー賞受賞作家が描きだす傑作ノワール
アカプルコで書店を営むリディアの幸せな日々は、カルテルのボスの差し金で家族16人を殺され、崩壊した。彼女は、生き残った幼い息子ルカを連れ、メキシコを縦断してアメリカを目指すことを決意する──過酷な運命の中で、明日を信じて進み続ける人々を描く。
富にも人望にも性交能力にも恵まれず、チャイコフスキーを友とし鬱蒼たる公園の管理人として生きる、誰からも羨まれることなき50歳の“わたし”は、ロッカーからまろび出てきた見知らぬ遺体の投棄に失敗し、その冷凍保存に踏み出す。解き放たれた心的外傷が次々に姿を成して管理所を訪れ、恥辱の記憶は踊り、煩悩の連鎖は矮小な舞台を無限の煌めきへと砕き尽くす。著者が20世紀に遺した、文学史上有数に奇妙で、物悲しく、諧謔に満ちた理想宮。