出版社 : 集英社
朱色の槍を振りまわし、敵陣に一人斬り込む! 豪胆ないくさ人(びと)にして、当代一流の風流人。戦国の世を自由奔放に駆けぬけた前田慶次の一代記。第2回柴田錬三郎賞受賞作。(解説・縄田一男)
夢に現れた無意識の世界を綴る「夢十夜」。美しい春の日、青年画家と謎の美女との出会いを描く「草枕」。漱石の東洋的ロマンティシズムの世界を伝える名作。(解説・平岡敏夫/鑑賞・大林宣彦)
フランス王家の財宝はどこに!?隠し場所が書かれた謎の紙片をめぐって暗躍するルパンに天才少年探偵ボートルレが対決!スリリングに描く痛快冒険小説。(解説・浜田知明/鑑賞・大沢在昌)
若君が透明人間にされてしまった結城家のお家騒動。首謀者は後見人の座を狙う磯貝若狭かと思われていたが、その裏には、どうやら結城家のとり潰しを願う本家、羽山家の陰謀があるらしい。企みを暴こうとする透十郎、あやめ、お孝の3人。だが時すでに遅く、事は将軍立ち会いの評定へと持ち込まれる。若君は依然として透明のまま。とり潰しは間違いない。羽山のまわし者、強敵月橋愁雲のあざけりのなか、3人はある一つの策に最後の望みをかけ、決死の覚悟で評定の場に臨むのだった。
西暦2861年、ここは惑星フォードー。場末に事務所を構える私立探偵“MARIA”の美女3人組。暇をもてあます彼女たちの前にひさびさのお客、謎めいた女性ムヒカが現れる。盗まれた懐中時計を捜すという簡単な仕事のわりには、多額の礼金を支払うという。何か裏があるのでは、と疑いながらも、3人はこの儲け話にとびつく。だが案の定、事件には宇宙を破壊するほどの恐ろしいエネルギーがからんでいた。宇宙連合警察も介入し、惑星間を飛び回る激しい戦闘が繰り広げられる…。
豪商ガストーネ家の後継ぎレオナールは、ある夜の宴で高名なジプシーの女占い師ミュカレから思わぬ言葉を告げられる。『世界を左右する運命の持ち主』だと。すなわち、太陽が死ぬ…。熱を失い二度と天に昇らない。それを食い止めるためには、レオナールと二つの宝“双頭の蛇の剣”“太陽の涙”が必要なのだ。この変事に関わるミュカレの弟子アローラとリュート弾きのアデスはレオナールに選択を迫る。半信半疑ながらレオナールは退廃した貴族社会を捨て、宝を求めジプシー達と共に旅立つ。
兄・朱雀院のたっての願いで光源氏の許へ女三の宮が降嫁してから理想的に見えた六条院に波風が立ちはじめる。年よりも万事に幼い宮に、源氏は困惑し、改めて紫上の素晴らしさを知る。内大臣の息子柏木は以前からの恋心が募りとうとう女三の宮と密通してしまう。源氏はその事実を知り苦悩するが、柏木は罪の意識から病に倒れ、死を迎える。やがて源氏の愛を一身に集めた紫上も惜しまれ世を去った。
53歳の男との安らぎある関係に満たされながらも、19歳の青年に心ひかれていく省子。二人の男を隔てる歳月の切なさに揺れる少女のような想いを描く表題作「かそけき音の」。見合いを薦めながら週の半分は部屋にやって来る独身主義者の男を保護者のように受け入れてしまう亜由子、「合鍵」。はぐれ、寄り添い、憎みあう男と女の、どこかあやうくて微妙な8つのラブストーリー。
放蕩無頼の夫に虐げられ、苦難の道を歩み続けた千代は、突然、激しい殺意につき動かされたー。明治維新前の緊迫した世相を背景に、薄幸の美女の生と死を哀切に描いた表題作をはじめ、板垣退介襲撃事件の犯人の動機に迫る「刺客心中」など、幕末、明治を舞台に展開する短篇6篇。
クリスチーナ・ヴァン・ベル。雑誌『ワールド』の発行人、そしてフォトグラファー。「セックスこそ最良のエクササイズ」を信条に自由奔放に生きる女性。そんな彼女が雑誌のインタビューで知り合ったロマノフ王朝の生き残り・皇女リャプノフに、皇女の甥の亡命と彼が持つ宝石をアメリカに持ち込む計画への協力を依頼された。自慢の体を武器にモスクワに乗り込むクリスチーナだが…。大胆な性描写で綴るセクシー・アドベンチャー。
ポーラ・ホープは家族を亡くし、22歳のとき故郷のフロリダを離れ、たった一人で憧れのビバリーヒルズにやって来た。男に裏切られ、辛いことばかりだった今までの人生。金もなく、将来のあてもなかったが、いつか素敵な男性と出会い、愛し合い、そして仕事でも成功して有名人になりたい、という夢を抱いていた…。ぼんやりと街角に立ちつくしていた彼女は、偶然アメリカでトップのインテリアデザイナーと知り合い、ひと目で隠れていた才能を見出され、彼の下で働くことになった。人生がいきなり、大きく動き出したポーラの前に、“運命の男”が現れた。映画俳優のロバート・ハートフォードだ。思いがけない出会いをきっかけに、二人は恋におちていく。欲望と虚飾が渦まくこの街で、ポーラはデザイナーとして成長していき、そして二人の愛は…。
草木も眼る丑三つ刻。飲んべえのお孝は、いつもながらに千鳥足のいい気分で、一人夜道を行く。暗闇に浮かぶ桜並木の向こう、ぼおっと白い光が見えた、と思うや、突然、何者かがぶつかってきたー。それが事の始まり。お孝は顔見知りの闇医者桃玄こと東方透十郎や、彼の友人で女形の橘あやめと共に、思いもかけぬ結城家のお家騒動に巻き込まれていく。透明人間が現れるわ、命が狙われるわと、もうたいへん。さあさ、うるわし、あやしの歌舞伎調大活劇、はじまり、はじまりぃーっ。
人々の欲望と苦痛を呑みこんだ街ケルベロス。この魔都で、ドレス・ガンを知らぬ者などいない。稲妻馬に跨がり、青銀の光と化して、他人の生体エネルギーを奪う美少女。だが、彼女の前に、黄金のオーラを纒った美しき魔人ベルリン・ハウザーが現れた。噂によれば、彼は黄金の精を放つという。ドレスは、ベルリンの生体エネルギーを奪うべく、彼の棲み家を急襲するが…。一方、毒を食らい、他の肉体を借りて生きる魔導師ハインドが、ドレスの魔力に目をつけ、その魔手を伸ばしていた。
刑事となった良文は、抜群の検挙率をあげた。ある夜、連続殺人事件の捜査で、少年時代の親友・幸太に会い、彼が事件に関係していることを知った。いつものように走り、獲物を追う。その結果手に入れた真実の味は?昭和35年、高度成長前夜の東京。27歳の『老いぼれ犬』高樹良文は悲しみで一杯の獣だった。