出版社 : 風詠社
小説を“家”に喩えれば、この物語は家を美術作品で飾った“文学の家”です。ある経緯から花にされたマキカは惑星で井戸の管理人・ヒーローの世話を受けますが、突然ヒーローが旅に出てしまい、花は枯れ、花のチリは宇宙空間を漂い、地球に到達して花として蘇り、一本脚のマキカはインドをスリービートで跳ねて歩き、つらい旅路で心も体も揺れながら不思議な声に導かれて旅を続け、煙の中から人間マキカが現われ、戦争の砲火と軍靴の音の中から英雄が生れたように、マキカには救世主の期待がかかります。マキカはヒーローの正体を見破り天国から幸せのしずくを地上に落としてくれるようにねだります。この物語は地獄のような戦場やつらい社会の上にヒーローが落としてくれた幸せのしずくかもしれません。花通信によってバスルームに描いた絵で綴った物語全十五話。
小倉藩の根底を揺るがした「白黒騒動」。その首謀者として処断された上原与市は本当に反逆の大罪人だったのか?事実を調査し、歴史を繙き、そして明らかになる事件の顛末とはー日本最大級の御家騒動の真実に迫る、入魂のノンフィクション歴史小説!
レジ係の頼子、トラック運転手の孝夫、ギョーザ屋の敏明、ストッキング工場の義男、犬のコタロー。“おばんざい屋くるくる”を訪れるお客さん達が出くわした人生ギリギリの「事件」とは?ハラハラドキドキに季節の味も合わせて楽しめる極上のグルメ&オムニバス小説。
中学三年生、西澤浩志の心の中には、幼い頃から「ゼル」という小生意気な悪魔が棲んでいた。いじめられっ子の西澤はゼルにそそのかされ、学校中で人気のある美少年の同級生、北城翔一に対して魂交換の儀式を行うが…。果たして、本当に魂は入れ替わったのか?やがて起こる凄惨な事件。異世界に棲息し、人の意識に寄生するゼルの正体を追う催眠療法士黒川美希と新聞記者瀧口勇介の壮絶な末路は?最新の脳科学で、魂の存在や意識の正体を極限まで突き詰めた衝撃のホラー小説。この本を読み終えた時、あなたは自分のアイデンティティを保っていられるだろうか?そして最後には、あなたの予想を裏切る結末が待っている。
「人は、正しさの中でしか生きられない」古き教えが揺らぎ虚無の蔓延る古代インド。生きることの苦を悟り人々の救済を目指したガウタマ・シッダールタ=仏陀の大願と挫折を誕生から入滅まで描く長編歴史小説。
昭和の戦争が終わって5年。時代に呑まれて零落した川舟屋「大洲屋」から新興の造り酒屋「相垣」へ嫁いだのは幼い頃から「井筒」と言われた人への想いをいまだに断ち切れない柚子だった。母から子、そして娘へと続く火宅の日々それでも前を向いて生きる柚子の姿を描く半生記。
先生はなぜ、自分を慕う一人の青年に遺書を託したのかー同郷の友人が思いを寄せていた女性を妻にしたこと、その友人が自殺してしまったこと、自身の内面を妻に打ち明けられずにいたこと…。己の運命に苦しめられた男の「こころ」を、登場人物たちの関係性から読み解いていく。
大学院生で文学志望の私は、夏休みには小説の執筆等で白馬村の宿に滞在していた。宿で美しい人妻と出会って、年に一度この宿で再会する約束を交わす。恋情の募った3年目の夏、私が訪れる直前にあの人は何故か宿から消えて…。「学生村」が盛んだった昭和40年代、清流の流れる風光明媚な村を舞台に、互いに己を律しながら展開する香り高い愛の物語。
「硬派」、と呼ばれている若造りの専業主婦「彼女(寿)」、その夫で、なめくじ呼ばわりされている中年の貧相な病理医「彼」、ふたりの間の息子で、小学校を「平等の牢獄」と呼び、あえて塾でのハードな勉強に逃避して、そこに友情を見出す多感でシニカルな「少年」。この、すこしねじれた一家とそれを取り囲む人々を色々な角度から見つめたお話。(音楽+虐殺)。「ジャズの研究」「美しい娘たち」「告白的暗殺論」「音楽+虐殺」=4編収録。
垂仁天皇の秘密、神功皇后はLGBT?倭の五王はナゼ中国に行ったか?「論語」の伝来はいつ?仁徳天皇は大国主命の子孫?古事記・日本書紀と口承の視点が新しい小説。