1987年11月発売
マンハッタンの一角に建つ老朽アパートに、取り壊しの危機が迫っていた。立ち退きを要求する地上げ屋の脅迫に、1人また1人と去っていく住民たち。だが、もうこれまでかと思われたとき、強力な助っ人があらわれた。屋上の鳩小屋に住みつき、アパートの壊れたところをかたっぱしから直してくれる小さな修理屋さんーそれは、お皿くらいのサイズしかない空飛ぶ円盤の夫婦だった!
医家の次男で法律を学びフェンシング部に所属する青年は、五年前に母親を失う。今や若い義母が家に君臨している。青年は彼女のいちいちの言動や振舞いに言い難い疼きをおぼえる。やがて義母と通じたことが父に知られ、対決の時がおとずれる。青年は自らの出生の秘密を訴えて父を詰り、緑が氾濫する早朝に家出を敢行する。青春期の真只中にいる若者を行動に駆りたてるものは何なのか?一青年の内面と行為を活写する!
フィッツジェラルド、その神話の中に僕たちはいた。-主人公デスリフとモールトンは輝きと栄光に満ちたスコットとゼルダの、1920年代のスタイルを信じて青春の日々を送った。夏の別荘、素敵なパーティ、美しい娘アリスとの恋、そして結婚…。現代版『偉大なるギャツビイ』とも言える物語を魅力的な文体で翻訳した、お酒落で哀しい長編恋愛小説。
女真人来り去る明末清初。激動期の様々な人間の運命。野蛮の勃興こそ歴史の跳躍台である。文明が衰退した明とそれに挑戦する女真との間に山海関の激しい攻防が始まる。世界史を切り開く動乱に翻弄される女真の公女(ひめ)と平戸武士の愛の流転の物語。
それがおかしな父娘でして、娘は父ばなれしようと、父は娘ばなれしようと結婚レースがはじまったのです。新春より放送のNHKテレビドラマ「とっておきの青春」の原作小説です。
オックスフォードの〈ホーアス・ホテル〉別館3号室で殺された男は、大晦日の晩に催された仮装コンテストの優勝者だった。元日早々捜査に駆りだされたモース主任警部は、現場の状況と従業員の証言から、容疑者は別館の泊り客にしぼれると判断した。だが捜査は難航しそうだった。被害者と同室に泊った妻らしき女、そして残りの2組の夫婦が事件後そろって姿を消していたのだ。しかも、彼らが使った名前はどうやら偽名らしい。モースは不倫の匂いをかいだ。もしそうだとしたら、消えた客がわざわざ自分から名乗りでる可能性は少ない。手掛りは何ひとつなく、死体の身許さえわからない-八方塞がりに見えた事件だったが、やがて、ルイス巡査部長の地道な捜査が一筋の光明を投げかけた!
ラカルとトロナル・ウールヴァは、テレポートのタコ・カクタらとともにふたたび過去へのジャンプを敢行した。もう一度カハロに潜入し、今度こそ時間エージェントのフラスブールを生け捕りにするのだ。だが、彼らは空時転送機に捕えられ、精神と肉体を切り離されてしまった。精神だけの存在となり、なすすべもなく大宇宙の虚空を漂流する3人の運命は…?
グンダリヌはいま〈世界の果て〉にいた。行方不明となった二人の兄を捜すために。愚かな行動によって、家族の領地、財産、階級、すべてを失った二人の兄は、一攫千金を夢みて〈世界の果て〉へ行き、そのまま消息を絶ったのである。惑星ティアマットを離れ、新たな任地ナンバー・フォーで〈主導世界警察〉の警視として職務を遂行していたグンダリヌは、休暇をとり〈世界の果て〉へとやってきたのだ。だがそこで彼を待ち受けていたのは、想像を絶する怖るべき試練の数々であった!俊英ジョーン・ヴィンジが、流麗な筆致で見事に描きあげたファン待望の『雪の女王』の続篇!
マーフィーは死んだ、凶悪な犯罪者グループによって銃弾を体じゅうに射ちこまれて…。だが、優秀な警官であるかれを、オムニ社はそのままにしておかなかった。超合金製の肉体、高速反射能力、底知れぬ戦闘能力を持つサイボーグ警官ーロボコップとして、かれをよみがえらせたのだ。デトロイトの街を、怖るべき悪から守るために!超話題映画、待望の原作!
ある高名な映画音楽作曲家の指示にしたがって、深夜の1時にマイケル少年は40年も人が住みついていない屋敷へ侵入した。ところが、彼を待ち受けていたのは不気味な人影。マイケルは死にもの狂いで屋敷を飛び出し、路地の石壁にあった門を通りぬけた。だが実は、その門こそ、妖精と人間、そしてその混血がバランスをとって暮らす異世界への入口だった!戸惑うマイケルの前に現われた3人の老婆は、彼に魔法の訓練らしきものを強要するが…。『ブラッド・ミュージック』や『永劫』で著名な80年代SFの旗頭ブアが描くモダン・ファンタジィ。
「ぼくは、ゲルニカっていう本を読んだんだよ。その中に、ちょっと、おもしろい…というか、気にひっかかることがあったんだ」TVディレクターの安田修平は、ふとしたことから、日本がすでに戦争状態にあるのではないかという疑惑にとらわれた。しかし、妻も同僚も一笑に付して相手にしようとはしない。心を閉ざし、何かにおびえ、見えざる影に追われる修平。「戦争ははじまってるんだ…いまは戦時下なんだ。…皆、見ないふりをしてごまかしてる…そうなんだろう?」おそるべき感性で、見えざる恐怖を鮮やかに描き出した問題長篇!
自然を愛するあまり違法な狩猟者を射殺し、獄中生活を余儀なくされた男ダン・マーフィ。彼が住みなれたアラスカへ舞い戻ってきたのは、事件から5年後の冬のことだった。目的はアイディタロット1800キロ犬橇レース。毎年、数十組の参加者が争う危険きわまりないレースだ。ダンはあえて死を賭けた苛酷なレースに挑むことによって、もう一度生きる証を立てようとしていたのだ。激しい雪嵐、ライバルの妨害、飢えー数々の闘いが待ちうける雪原へ、彼は犬たちを駆る!仏暗黒小説の名手が厳寒の地アラスカを舞台に謳いあげる鮮烈な男のドラマ!
純白のヴェールにおおわれた花嫁の喉元に、花婿ブラッドウイン少尉のサーベルが突き刺さり、血のしたたる切先が後頭部からのぞく。返す刀で参列者たちに切りつけたブラッドウインは、自らサーベルを呑み、身を投げて果てた!第2次世界大戦下のアメリカ陸軍士官学校で起きたこの陰惨な事件は、単なる前触れに過ぎなかった。やがて、ブラッドウイン一族の身の上に奇怪な事件が続発しはじめる。アフリカ奥地に伝わる淫蕩な蛇神の呪いが、生贄を求めて甦ったのだ!
名だたるIRAの闘士ショーン・ロウガンは、服役中の刑務所からの脱獄に成功した。脱獄の手引きをしたのは、IRAの大物コラム・オモア。やがてオモアの隠れ家にたどり着いたロウガンは、そこで重大な仕事を依頼される。組織の資金調達のため、現金輸送車を襲撃してほしいというのだ。敬愛するオモアのため、ロウガンは仕事を引き受けた。ロンドン警視庁の追跡の手が伸びる中、彼は綿密に練り上げた襲撃計画を実行に移すが…。雄大な自然が残るイングランド北部の湖水地方を舞台に、哀愁を帯びた筆致で描く冒険アクション!文庫オリジナル。
ロスでも有数の美術品店を経営する老婦人マリア・アタベリーが殺された。難病で余命いくばくもない彼女が、巨額の財産の行方を決する遺言書を書きかえたという噂が出た直後の惨劇だった…。『殺人詩篇』の事件の後、新婚旅行を楽しんでいたクリフ・ダンバーは、マリアの肖像画を描いていたため事件に巻き込まれた妹の頼みで、急遽ロスへ戻ってくる。だが、事件の解明に乗り出した彼の背後にも、狡猾な犯人の魔手が迫る。風光明媚なカリフォルニアを舞台に、軽快な冒険アクションの筆致で、ヴェトナム帰りのもと大学教授の活躍を描く第二弾。
発端は、2人の英国人が写っている1枚の古びた写真だった。1人は若き日のイァン・フレミング。だがもう1人の、黒髪でたくましそうな少年は…。彼の名前に驚いた私は、さっそく調査を始める。やがて、英国秘密情報部が意外な申し出をしてきた。私は彼の伝記を執筆することになり、彼に紹介されたのだ。「ようこそ、こちらがボンド中佐」-007号ジェイムズ・ボンドが、謎に包まれた波瀾の人生を自ら語る!数々の危険な任務、苦い失敗、愛し愛された女たち…。007への愛をこめて、ジェイムズ・ボンドのすべてを描く、007ファン必読書!
日曜と重なったある非番の日、私は横須賀へ出向いた。そこで署長は意外な話を持ちかけてきた。高級クラブに勤める女が挙銃で殺され、米軍基地内の桟橋で、パリから来た男が同じ挙銃で自殺した。事件は公安部の扱いだが、不自然な状況にもかかわらず彼らは自殺説で片づけようとしている。だから、独自に捜査をしてくれないかというのだ。公安部がもみ消しをはかる事件の本当の姿とは何なのか。-日本の新しいハードボイルド小説の担い手が、その鮮烈な感性を凝縮して神奈川県警二村永爾刑事の苦闘を描く傑作。他に「陽のあたる大通り」を収録。