1988年11月発売
「新しい第一級の作家の出現」とガルシンに激賞され、颯爽と文壇にデビューしたチェーホフの短篇から、「あるがままの生活を描く」という手法で書かれた前期の傑作「ともしび」、当時のロシアを閉塞した精神病棟になぞらえた問題作「六号室」、崇高な愛と凡俗な生活との間で揺れ惑う男女を描いた「犬を連れた奥さん」など6篇を収録。
愛をあげよう、ポケットの中の愛を。そうたんとはあげられないが、心が渇いたときは思い出してくれ、先生のポケットの中の愛を-。息ぐるしい中3の秋を、今日も金八先生は、生徒たちといっしょに歩いていく-。
「竹千代さまを、ご立派にお育て申さねば、なき権言さまに申し訳けがたたぬ…」“反逆者の娘”という烙印を胸の痛みとしながらも、完璧な乳母として竹千代(家光)の成長を願い、気丈な女として大奥取締り・朝廷と幕府との確執に心を砕き、徳川家安泰を肝に命じて華やかに生きた春日局(お福)の、波瀾の生涯を描く書下ろし歴史長編!
制服を着てのデイトに応じてくれた彼女は、肘を張って彼を押しのける仕種をした。しかし、激しく抵抗するという感じではない。体臭が匂う。酸っぱいような刺激的な匂いだ…。ユニフォーム会社の営業部員である志木明は、仕事と遊びに奮闘。今日も制服の美女を求めて、充実のアフター・ファイブを。
ウェルティーの全作品を系統的に論じた、わが国最初の書。現代のミシシッピー州ーこの狭小な時と場所に生きる名もなき人々を通して、人類の歴史と宇宙の星々にまで及ぶ、壮大なイメージを展開させるウェルティー文学の真髄に迫る。
女性週刊誌記者樺山葉子、シンガーソングライター花岡月子、大手商社OL北井澄子は横浜山手の、港の見える町を故郷に持つ幼なじみであった。三人は経済的にも恵まれたキャリアウーマンであり、自由で華やかな生活を楽しんでいた。彼女たちは、結婚は魅力ある女性の天敵と考え、否婚の人生を歩もうと誓い合う。結婚は否定するが、恋とセックスは充分楽しむというのが否婚女性のモットーであった。年下の恋人、銀髪のパトロン、不倫…奔放な愛が、独り生きる女の夜を妖しく彩ってゆく。だが、時に、彼女たちをとらえる、この深い淋しさはいったい何であろうか。結婚に背を向けて生きる女の青春と哀感を通して、愛とは何か、結婚とは何か、性とは何かを問う新都会派小説-。
もえ、こがれ、そして…自らの求めのまま、ひとを恋し愛し、墜ちながらなお輝きつづける女・羽季子。許されぬ恋にはしる一人の女の、性のものぐるおしさと切実な生き方を、玄海灘の波よせる壱岐の四季の中に描く問題の恋愛小説。同情、共感、そして…あなたの中の“もう一人のあなた”とめぐりあう。
「私」は40半ばすぎの中年私立探偵。自室で酒を呑みながらテレビを見て過ごす元新聞記者だ。別れた妻や、元女優で今は銀座のバーのママの美女なんかが独身の部屋を訪ねてくる。そんなある日、さる高名な画家の筆になる秘画が盗まれるという事件が持ち込まれた。春画に描かれた13人の美女を追う「私」と、次々訪れてくる不思議な女たち。秘画の行方を追う官能バイオレンスロマンの長篇。
納屋浩ー城南大学2年。酒に強く真赤なM・Gを乗り回すニヒリストで度胸抜群。松村俊夫ー浩の親友。大牧場主の息子で勉強以外なら天才的ヒラメキがある。綾小路和正ー伯爵家の4代目。殿様と仇名される程応揚な性格。女性にめがない。野間健太郎ー浩たちを教える城南大の俊才。型破りの性格でリーダー格。ほかに毒子こと悳子、新子を加えた面々は、財界の重鎮佐倉一郎のメモをめぐって奇怪な事件に巻き込まれたー。痛快な青春冒険小説。
城南大学2年の納屋浩は、ふとしたことから、大金持の娘の誘拐事件に巻き込まれてしまう。親友の綾小路和正、松村俊夫たちと、軟禁されているその娘を助けたがー。その後、娘の父・加納豪太郎が何者かに殺される。加納は戦中から悪辣な事業をやっており、麻薬密輸にも関わっていたようだった。個性豊かな若い男女が、事件解決に乗り出す、痛快青春小説。
1年以上もセックスを拒んだまま、妻は死んだ。妻の面影を追い続ける男は、たまらない孤独をふり払うために旅立った。そして、カプリ、夢に見た、妻そっくりの黒マントの女に出会った。妻との初めてのセックスを思い描きながら、男はその夜、女を待った…。現代最高の作家モラヴィアが描く究極の性の深淵。世界をスキャンダラスな話題に巻き込んだ期待の短篇集。
たった一枚の貼り紙が、死人をよみがえらせ、この小さな町オーカラに奇怪な事件を引き起こすことになった。「シー・バックルズは生きている」-おれの家の玄関に貼りつけられていた一行の文字はいったい何を意味しているのだろうか。おれは、ガース・ライランド。私立探偵じゃないが、この事件にクビを突っこむことになってしまった。
クリスマスイヴだというのに、全寮制の女子校に用心棒としてやってきた三毛猫ホームズ一行。ここで警備員をやっている、片山刑事の親友久保が1週間ほど旅に出るというので、仕方なく留守を引き受けたのだ。美人女子高生に囲まれて女性恐怖症の片山は緊張ぎみだが、石津刑事はシチューに旺盛な食欲を発揮してご満悦。ところがまたまた事件発生、久保が死体で発見されたのだ。さあ、3人と1匹がクリスマスプレゼントを片手に大活躍、全5編収録、ほんとうに忙しい一行です。