1988年3月発売
妻の裏切りに心を狂わせたシャハリヤール王は、一夜に一人の処女をはべらせたあげく殺していた。これに心痛めたシャハラザードは、みずから王のそばに上る。聡明な彼女の語る話のおもしろさに王は殺すことも忘れて聞き入り、ついに千一夜にたっしたときには、王の心は温く溶けていたのであった。あらゆる物語のなかで最も多くの驚きと不思議にみちた大ロマン。定評あるマルドリュス版からの名訳に適切な注を付す。
ママはパパと別れるし、彼女はふいにいなくなっちまうし、ついでに犬も死んでしまった。僕の人生、さいきんちょっと暗いぜ。新鋭ピーター・キャメロン、本邦初登場。ミドルクラスの明るい〈悲劇〉を描く80年代のサリンジャー。
女性ミステリ作家としてすでに確固とした地位を築いたジェシカのもとへ、その知らせはある日、青天の霹靂のようにもたらされた。往年の大歌手であるいとこが、不慮の自動車事故で死亡したというものだ。仰天したジェシカは、とるものもとりあえず、現地ロンドンへと飛んだが…。凋落したミュージック・ホールを舞台に展開する「ミュージック・ホールのジェシカ」、落ち目のテレビドラマをめぐって、俳優、脚本家、ディレクターが虚々実々の駆け引きを繰りひげる殺人劇「ジェシカ、台本を書く」の二篇をおさめた、おなじみのシリーズ第四弾!
あとをつけまわす仮面の男。身に覚えのない脅迫電話。血まみれのベツドから消え失せた娘。そして、不気味なヴードゥー人形は血を滴らせて。憂さ晴らしに、ジャズの街ニューオリンズのカーニヴァル見物にきた中年カメラマン。その仮装パレードの狂騒のさなか、男は除々に追いつめられていく。だが、本当の恐怖はまだ始まってすらいなかった。
季節はずれの奇妙な嵐がヘラーズを揺るがし、雷鳴が不気味に轟く夜、ひとりの赤ん坊が産声をあげた。名はドリリス、アルダラン卿ミカイルのひとり娘である。ドリリスは父の愛を一身に集め、美しく成長する。が、彼女は雷を自由に操る、おそるべきラランの持ち主だったのだ。読者の要望に応え、ついに書き上げた、〈混沌の時代〉のエピソード。
〈塔〉の〈監督者〉レナータの厳しい指導のもと、ドリリスは次第に〈ちから〉をコントロールする術を身につけていった。だが、アルダラン城の平和な日々にも、やがて暗雲がきざしはじめる。やがて、マトリクス技術と超能力のかぎりをつくした、凄絶な戦いの火蓋が切って落とされた。ブラッドリー入魂の力作巨編、いま悲劇のクライマックスへ。
マーベルランドの平和を守る大時計の鍵が何者かの手で抜かれてしまった。たちまち悪の化身ゾウナがよみがえり、マーベルランドのあちこちに手下の魔物どもを解き放つ。救いを求める人々の声を耳にした女神戦士ワルキューレは、ゾウナを倒し時の鍵を取り戻すべく行動を開始した。さあ行け、勇者の卵よ!ワルキューレといっしょにゾウナを倒すのだ。スーパーアドベンチャーゲーム。
エルフの血をひくシアと義兄弟フリックの前に現れた、不思議な男アラノン。そして2人の少年は、思いがけない冒険と闘いの渦にまきこまれていった。欧米のヤングに大評判の傑作ファンタジー。
春宮真弓には悲しい過去がある。湘南地方の富豪医師の父にツッ張って、家を出た。生きるために彼女は六本木で金持ちの政財界人に肉を売ったのである。名はランラン、飛びきりのグラマー美人だった。その彼女が目を覚まして父のもとに戻った。父は涙を流し、娘を援助、ここに「探偵局」が開設されたのだ。しかも恋人・高山警部のはからいで、あろうことか「特別捜査官」なるお墨付きを、あの警視庁から拝領した!仲間はもう1人、吉本ルリ子。高校時代の親友で、2人ともアガサクリスティの全作品を読破したミステリーマニア。この3人が、もてる力を出しきって難事件の解決に乗り出した。-「翔んでる警視」の作者の見事なミステリー大傑作。
いぬ語ねこ語を理解する犬猫先生こと大苗吾郎は、鎌光学園の教え子・モッペルこと小山田基夫の家に同居している。9月8日の満月の夜、月見のすすきを取りに源氏山に行ったモッペルは、UFOを目撃してしまった。その報告を受けた犬猫先生とモッペルが、現場に戻ると竹薮の中に美少女が座っていた。手に持っているハンカチーフから、彼女の名は佐々友良里と推測されたが、困ったことに彼女は言葉を喋ることができなかった。男所帯の犬猫先生の手許に若い娘を置いておくわけにもいかず、友良里を預かってもらった先々で、彼女を奪回に来たと思われる怪しい人物が出現した。そして遂にはモッペルが誘拐されてしまった。彼女の正体解明、モッペル誘拐事件の解決に、犬猫先生の推理が冴える!-“犬猫先生シリーズ”の最新作!
広告代理店に勤める夏美は、仕事の関係で、高校時代に肉体関係を持った浅見と偶然、再会した。にがい思い出が、彼女の胸によみがえる。しかし、その浅見が当時のもう1人の親友、山添に会わせてやるといった。夏美は迷った。この2人の男性には、懐しさとともに、過去の傷をも昨日のことのように思い出させられるからだ。が、彼女は会わずにいられなかった。夏美と山添との過去のいきさつが次第に解消されて、新たな愛の軌跡がー。
日本ではまだ数少ない、国際的な、為替の女性ディーラーとして、アメリカで修業してきた明美は、帰国して間もなく、何年ぶりかで門馬と会った。門馬は銀行での元同僚だが、2人の間には良からぬいきさつが、過去にあった。それは、誤解から生じた確執であった。明美はそれには気づいていない。が、門馬はなぜか過去にはこだわらず、一方的ともいえる行動力で、明美の中に踏みこんできた。それが門馬流の愛のかたちであったー。
江戸時代、長崎の遊廓丸山では、御禁制の宗旨である耶蘇教を封じるため、遊女たちにもキリストの聖像銅牌を踏ませる儀式が毎年正月に行なわれていた。17歳で処女の身を蘭館の老甲比丹に俸げ、耶蘇教に入信した花魁小桜は、絵踏の当日、美しい可愛らしい足を。(『花魁小桜の足』)。表題作の他、様々な性のかたちを謳う異色の官能ロマン8編収録。
元祖・愛人バンク『宵待族』のオーナー墨麻衣子は某商社役員を父に持った、さるミッション系女子大卒の令嬢というふれこみであった。週刊誌に載っていた彼女の写真を見て、私は麻衣子に食指を動かした。小柄で色白骨細の丸顔は、私の好みだったからだ。ベッドの上で麻衣子は。(『私版愛人バンク1』)現代の性風俗をショッキングに綴る問題作。
ナムコスターズに解散の危機!親会社が倒産しちゃった。で、あまりの弱体ぶりに引き受け手なし!エース兼監督のぴぴ以下全選手、路頭に迷うのか!?いやいや捨てる神あれば拾う神あり。なんと、新オーナー出現!ただし、メジャーリーガーズと対戦し、これに勝てば、という条件つきだ。さあ〜て実力差は巨像とアリンコ、どうする?バッカ野郎、やるっきゃないぜっ!!ぴぴは必勝を期し試合に挑む。さあ、ぴっかり球場は興奮絶頂。
精霊の神オセロが、5千年ぶりに地上に降りたった。平和な人間の世界を創造した神、オセロは、邪悪な妖気に包まれたおぞましい世界に絶句した。天空に浮遊する暗黒要塞には、魔族の総支配者ガルディアンが君臨していたのだ。地上は荒れ果て、裸邪族が占領し、海は腐海と化し、鬼面族によって支配されてしまった…。人々の平和をとりもどすため、暗黒要塞へと向かうヤルセイヤ。果たして、ヤルセイヤはガルディアンを倒すことができるのだろうか!
夜中にふと見をさましたロバータは総毛立った。窓辺に女が立っている。全身に妖気を漂わせ、腕に赤ん坊を抱いて。と、女と赤ん坊の顔は共に崩れ、骸と化していった。翌朝、生後まもないローバタの息子が奇怪にも息絶えていた。果たして彼女たちの古びた住まいは呪われているのか?また、屋根裏で発見された女の肖像画を自室で祀る12歳の養女エアリエルに潜む秘密とは?密やかに忍び寄る戦慄と狂気。鬼才の異色ホラー。