1988年8月発売
パセリは麻布十番の洋食屋『ホームラン軒』の娘。男まさりで腕力には自信あり!でもスケ番にケンカを売られ、投げとばしたために、柔道部をクビになっちゃって…、幼なじみの達夫の誘いで文芸部に入部したのはいいけれど、書いていった詩をバカにされ、大激怒。でも、ひょんなことからその詩が雑誌広告に採用されることになって…。元気少女・パセリのパワフル・コメディー。
学校の行き帰りに通りかかるお店でみつけたアンチック・ドール。里沙は、なぜか心ひかれるその人形に「リサ」と名をつけた。リサを自分のものにしたいーそう人形に語りかける里沙の心の中に、ある日リサの答えがきこえてきた。リサと、声にならない会話をかわす里沙だが、不思議な予言の言葉が、心に響くようになり。-『里沙の日記』から。表題作ほか傑作SF短編5編を収録。
わたくし、宮さま主催の懇親会へご招待いただいたのに、大阪支社へ出張をいいわたされてしまったのです。支社で、秋本さんという明石家さんまさんにソックリな方と一緒にロック歌手・耶馬人の取材に行ったことから、殺人事件にまき込まれてしまったのです。どんなですって?わたくし、誘拐されたのです。殺されたのは、大阪に来る車内で見かけた女性。-お嬢さま記者・遥シリーズ第2作。
兄の綜太郎の勧めで郁生は兄と一緒に、小学生のためのサマースクールに学生リーダーとして参加することになった。夏休みのその時期、郁生は暇だったし、リーダーになるとバイト料が出る。4日間拘束だが、涼しい高原のキャンプはなかなか魅力的だ。顔合わせ後のミーティングは気楽なムードだし、スタッフのメンバーもみな気さくだったが、特に子供好きでもない郁生には少々不安が残った。
さとみは夏樹とフィギュア・スケートのペアを組んで4年目。気持ちはぴったりでも、さとみの体重増が悩みだ。そこへ現れたのが小柄でかわいい由加。彼女、どうやら夏樹とペアを組みたがっているらしい…。ヤキモチもあって自転車レースへ転向宣言をするハメになったさとみ。家業が自転車工場だからパパは大賛成だけど、わたし、自転車に乗れたっけ?女の子の意地をかけて、猛練習が始まった。
今日は、あたし(大谷リン)の高校の入学式。朝、バス停からその高校までのキャベツ畑のなかの道で、あたしはチョウチョの群れに襲われてしまった。「やだーっ!あっち行ってよぉ!」鞄をふり回し、必死で追い払っていると、突然横からプシューッとなにかがまかれた。見ると、ウェットスーツに身を包んだ男の人が、殺虫剤を片手に、右半分を泥だらけにして笑っていた。な、なんだ、この人?
本書に収めた五作は、「奇妙な味」を主題としている。推理小説の一つの分野となっている奇妙な味は、まずストーリーの意外性と、非日常性を身上とする。非日常と言っても荒唐無稽なお伽話とは異なる。それは日常の中にぱっくりと口を開いた非日常の世界である。
“キープ・オン・ローリング”-転がるのをやめたら、それでお終いなんだ。転がっている間は、どんなバンドも可能性のかたまりさ。自由を求める若者の、爆発するエネルギーとクールで繊細な生態を描いた、初の本格ロック小説。いま、小説から音が飛び出してきた。巻末には、「著者へのインタヴュー」を附す。
マンハッタンを舞台に、一方には都市の再活性化を計ろうとする市当局、その手先になっている新興マフィアがいる。他方には見捨てられた街に暮らす黒人やヒスパニツク、アジア系の若者たちがいる。両者の抗争の間に日本人建築家が飛び込んで、恋人と共にひとつの計画を練りあげる。摩天楼のアウトロウを舞台に繰りひろげられる、反文明のサスペンス長篇小説。
ケイと裕一のこと「六本木の悲劇」って言うのよ…。ジャズスポット『A列車』で毎夜演奏する木島裕一トリオ。恋人を交通事故で失なったヴォーカルのケイは、悲しみのため酒におぼれて声が出ずうまく歌えない。ジャズピアニストの父が失踪して20余年、裕一は結婚生活に破れて今はひたすらピアノを弾き、傷心のケイを励ます…。ジャズに魅せられた青春の光と影を奏でる愛情物語。
〈男はわたしをもてあましながら少しずつ手放そうとしている…こっちから別れてもいいのだ〉恋人を捨てる「マリコの選択」。結婚式の前日ひとりヨットに乗り込み結婚を拒絶した男や、花嫁の過去を知りぬいて披露宴で道化を演じる若い夫の心理を描く「結婚式」。他にハネムーンで倦怠期になる新妻など「結婚」の前後にいる男と女の愛と欲望のくい違いを軽妙に描く短編7編を収録。
僕たち結婚しよう。二人で新しい生活を始めるんだ…。お互いに家庭のあるジェリーとサリーは、人目をしのんで愛しあい、ついにそう決意する。それぞれの妻や夫との確執や対立を乗り越えて、彼らは晴れて夫婦になれることになるのだが…。アメリカ東海岸のロング・アイランド海峡に面した美しい町を舞台に、二組の若い夫婦がくりひろげる長い夏の日のラブ・ストーリー。
モスクワの発電機工場主任技師クズネツォフ、本名マルムードフ。第二次大戦でドイツ軍の補虜となる。祖国での帰国捕虜処刑の噂から、アメリカ側偽造の身元証明を携えスパイとして祖国に潜入。彼が目にしたのは再婚した妻と、初めて見る娘の幸せそうな姿だった。ソ連の革命から現在まで、そしてアメリカの情報戦略の非情さをバックに緻密な筆で綴った、ある名もないスパイの生涯。
幼しくて母を亡くしたジャニュアリーは,米演劇界の大物プロデューサーとして知られる父マイク・ウェインを本当の恋人のように愛していた。高校を卒業した彼女は、父と二人きりの休暇を過ごす為にローマへ赴くが、その地で事故に遭い重傷を負ってしまう。3年に及ぶスイスでの療養生活を終えて、父の許に帰ったジャニュアリーを待っていたのは、父の破産・再婚という現実だったー。
父マイクの破産・再婚のショックを紛らわすかのように、ジャニュアリーは雑誌記者の仕事に情熱を注いでいた。インタヴュアーとして彼女は初老の作家トム・コルトと出会う。年齢の差を越え恋におちた二人。だが、幸福な日々も長くは続かなかった。そして最愛の父マイクと継母の死。巨額の遺産と共にジャニュアリーは独り取残された。華麗で哀しい愛の物語の意外な結末はー?
警察の保安顧問を務めるリーランドは、クリスマスの夜、ロスの石油企業で働く娘のもとを訪ねた。が、契約成功を祝うパーティのさなか娘の会社をテロリスト・グループが占拠する。偶然、彼らの目を逃れたリーランドは、最初の人質が射殺される現場を目撃。人質の命を守るため、彼はたったひとりで、テロリストたちに戦いを挑んだ。高層ビルでの死闘を描くノンストップ・アクション。
みずから望んで、砂漠化の進む中央アフリカの奥地に赴任した医師マロリーは、憑かれたように潅漑計画にとりくんでいた。が、そんな彼を嘲笑うかのように、突如、サハラ砂漠に巨大な川が出現する。マロリー川と名づけられたその大河を殺すべく、彼はあやしげなテレビ・プロデューサーとともに、水源を目指す奇妙な旅に出発した…。『太陽の帝国』のバラードが放つ話題の最新長編。