1989年発売
ぼくは、ピエロの人形だ。人形だから、動けない、何も喋れない。殺人者は安心して、ぼくの前で凶行を繰り返す。もしそのぼくが、読者のあなたにだけ見たことを語れるとしたら…。しかもドンデン返しがあって、真犯人がいる!-未曽有の仕掛けで推理ファンに挑戦する乱歩賞作家の、本格推理シリーズ驚愕の第一弾。
中国易姓革命の火の手はいよいよ熾烈に燃えさかる。仙界人界入り乱れての大混戦に飛び交うおびただしい宝貝(秘密兵器)。数知れぬ武将の魂魄が次々と封神台へ飛ぶ。紂王打倒の西岐軍はついに四伯侯会盟の地孟津に達した。そのまま一気に都朝歌に迫り、やんぬるかな紂王は摘星楼に自焚する。-中国三大奇書を超える大伝奇ロマン大団円。全3巻。
競馬レースの最中、しかも大観衆のど真中で、1人の男が殺された!しかもこれが合図かのように、奇妙極まりない殺人事件が続発。特殊犯罪捜査課のベテラン&新米の名物刑事コンビが、乗り出して、右往左往の末に解明した事件の驚くべき全貌。緻密なトリックと軽妙な語り口。新境地を拓く鬼才の傑作長編。
ずっと考えて来ていたことは…誇らかに花咲かせたい…咲く君のそばにいたい…芭蕉布を勉強するために沖縄に来ていた緋紗代の前に現れた事業家武富とホテルの支配人伊集院。珊瑚礁の美しい徳之島を舞台に、2人の間を揺れ動く女ごころを描く「夜光貝岬」ほか「沖ノ蔵千畳敷」「薩摩ずべい釣り」を収録。
“ブラックスワンは死んだ”著者初の本格長編推理!白昼テニス・コートでの美女焼死事件。その謎は、18年前の女子大学生失踪につながる。悲愴に奏でられる失われた青春への挽歌…。推理特別書下ろし。
横浜・桜木町近くの運河で、フリーライター・向井正明の水死体が発見された。殺人の疑いが濃く、五月刑事は向井の愛人・紺野カオルを北海道のスキー場まで追う。しかし、彼女もまた何者かに殺されてしまう。「ノトジマ」「サツジン」の言葉を遺して…。能登島に隠されたその真相とは?現地に飛んだ五月の前に、警視庁の美人警部補・錦由多加が現れて…。
南十字星の島タヒチの海に、死体がひとつ、またひとつ。ツアー参加に端を発した数々のミステリーの奥にある残酷な人生の発端とはナニ?幼女期の無惨な体験を抱えた添乗員兼団長・高木久美子の運命とは?息のつまりそうな都会の生活に疲れ、且つ殺伐とした人殺し小説に飽きた読者にうってつけのサスペンスが誕生。名付けて“トロピカル・ミステリー”。推理界の気鋭の新星、期待の書下し長篇。
かつて父と兄が殺された真相を求めて若きカメラマン、高井和彦は日本を飛び立った。ドイツで彼の遭遇したものは死の謎を結びつけるヨーロッパ各地に張りめぐらされた地下道であった。それはナチ総統ヒトラーの謀略に通ずるものであった。真相を追う和彦の前に立ちはだかる様ざまな組織。ドギモを抜くスケールで描く冒険推理小説の絶品。
第二次大戦中V2ロケット開発に携わっていたフォン・ブラウン博士は、アメリカ陸軍の手引きで亡命を決意した。ドイツで生まれた技術がアメリカに移しかえられ、やがて月面着陸のアポロ計画、スペースシャトルとなって花開くのだ。人類の宇宙への夢を実現しようと苦闘する男たちの群像を、壮大なスケールで描く感動ノンフィクション・ノヴェル。
〈サントリー魂〉は、いかにして醸成されたか。“やってみなはれ”と、前進また前進を続けた創業者鳥井信治郎。“やらせてみなはれ”と、新しい事業展開に挑む後継者佐治敬三。洋酒から生活文化事業へ、男たちの果てしなき挑戦の物語。
13年前、新宿裏通りで殺人事件が起きた。犯人とされた男は有罪判決を受け、無実を訴えたまま獄中で病死した。この事件は、他の大きな事件の陰で忘れられたかに見えたがー。ある日、汚名をそそぐ機会も与えられなかった父の無念をはらしたいと、若い女性が水木弁護士を訪れた。正義感に燃える水木は、困難な調査を開始した。先入観と焦燥感に歪められた警察捜査の本質を暴く処女長編。
人を殺めて逃亡した男は、友人の名を使って14年もの間ひっそりと生きてきた。しかし時効目前にして、同じ職場の部下に過去を嗅ぎつけられそうになる。追い詰められた男は自分を守ために再び殺人を犯してしまうのだが……。表題作「偽名」をはじめ、都会の片隅で何かしら暗い影を背負って生きる人間を描いた7編のミステリー短編集。
第1回移民から21年たった昭和4年、未開の大地アマゾンへの入植が始まった。人間の必死の営みを呑みこもうとする大自然の底知れぬ力に苦しめられる移民たち。しかし彼らの苦闘は実り、ジュートの栽培に成功し、入植は軌道にのった。一方、サンパウロ地方では植民地も整備され、成功者も出はじめていた…。南米移民たちの夢と希望、挫折と再生のドラマを描く二部大作の昭和篇。
ながい苦闘のすえ、移民たちの生活を安定してきていたその矢先、太平洋戦争が勃発した。日本とブラジルの国交は断絶し、日本からの情報は閉ざされ、邦字新聞の発行も禁止された。敵国人として地球の裏側に孤立した移民たちの焦燥と困苦。こうした異常な状況は、「勝組」「負組」の対立を戦後に生むことになる。移民たちがブラジルの広大な大地にかけた夢の行方を描く二部大作の完結篇。
香港の一流ホテルの空室で、スラブ系の西洋人が殺された。被害者はバンコクのソ連大使館員で、腕ききのKGB謀報官であったことが判明する。しかも使用された毒物は漢方系の極めて特殊なもの。「私」と中垣は、共通の知人で、しばらく消息を絶っている薬学者クリコフの仕業だと睨むがー。網の目のように張りめぐらされた伏線が読者を推理の陥穽に陥れる表題作などミステリー8編。