1989年3月1日発売
3月初めの寒い日、ボストンの街は異常な連続殺人の話題でもちきりだった。これまで3人殺されていたが、いずれも40代の黒人女性で、みな両股の間を拳銃で撃ち抜かれ、みな乳房の間に赤いバラが1本おかれていた。被害者の職業も売春婦、ウェイトレス、ストリッパーと、どこか共通点がありそうだった。しかもマスコミから赤バラ殺人鬼と呼ばれはじめた犯人が、クワーク警部補あての手紙で、自分は警察官であると言ってきた。そこで警部補は、警察関係者でないスペンサーに協力を求め、ベルソン部長刑事と共に独自の調査グループを作った。そんな矢先、4人目の被害者が出た。悪魔のような殺人をくりかえす犯人は一体どういう人物で、狙いは何なのか?ボストンの街を凍えさせる赤バラ殺人鬼に立ち向かう私立探偵スペンサー!新展開をみせる人気シリーズ第15作。
高貴なる血を受け継ぐディアナ。白い花の館で、狂気の中で生きるディアナ。彼女の息子である、将軍リュドーサ-ムール5世-が戦死した。カトゥサ、26歳の時であった。彼もまた、父こそ違うがディアナの子。出生の秘密ゆえに王への道ではなく、大神官への道を選んでいた。しかし、運命の血は、それを許さなかった。将軍カトゥサ-ムール6世-。〈運命〉は流れ出したのだ。王となるための…。数奇な運命を歩んだディアナ、ムール帝国の始祖、カトゥサ・ディア・ムール。その若き日の苦悩と悲劇を描く壮大な物語。
「あなたの子供ヨ」平沢美樹の目の前に、15歳の香織とその父、ちょんまげ頭の哲哉、そして3カ月になる赤ん坊が。1年前、美樹が大学4年のことである。おかげで就職は失敗、義父、哲哉の探偵事務所を手伝う羽目に…。今日は、親友の蕪木に頼まれたスージーの子守りのため、エミリントン夫人宅にいる。そこへ突然!スージーは連れ去られ、ムスクの香りがあとに残った。翌朝、エミリントン夫人は死体に、さらに蕪木は行方不明。美樹は、彼女がメンバーだったという秘密クラブに女装して潜入した。そこでは、信じられない光景が!
永田町・首相官邸。20W電球の下で火鉢を囲み、密談を交わす老人二人。何を隠そう、エネルギー危機に策もなく、米国にもアラブにも見放された首相と官房長官なのだ。藁にも縋りたい二人は、ついに久留田博士のおならエネルギー開発に縋ってしまった。久留田理論とは?へ理屈ではない!これぞ、ヨコジュンの妄想が紡ぐ魔訶不思議の異郷だ…表題作他、究極のSF世界を展く空前絶後の7篇を収録。
大人の玩具の新製品開発に没頭する初老の男、その実験台になってやる30過ぎた踊り子、出稼ぎに来てバーの女と失踪した父親、親元に子供を預け、パートで貯めた大金を芝居一座の花形に入れ揚げた母親。通天閣を見上げる猥雑の街では、ネオンが溢れ、安アパートがひしめき、騒音と塵芥の渦の底で、人生の長い影を引きずる男と女が、陽だまりに群れている…。ほろ苦くも物哀しい男と女の物語7篇。
海原投資研究会の主幹・海原大介には、かつて業界最大手・大田黒証券に在職中、K電機とY建設株の暴落から顧客に恨みを買い、妻子を焼殺された辛い過去があった。事件後、退職した海原は自棄の生活を送っていたが、ふと飲み屋で手にした証券新聞でその二つの株の値上がりを知り、自分の読みの正しさを確信、再び“現代最高の戦場”兜町へと勇躍、戦いを挑むのだった。株式投機の裏面を活写する長篇経済小説。
サンディエゴで開かれた大会に全米の探偵たちが大集合。“名無し”も、彼を父親のように慕う女探偵シャロン・マコーンも参加したが、何と会場となったホテルで墜死事件が発生した。目撃した“名無し”はシャロンとコンビを組んでさっそく事件の究明に乗りだした。だが、新たな事件が次々と起こり、危険な罠が二人を待ち受けていた。危機一髪の窮地を脱せるか…。新コンビによるミステリー・サスペンス長篇。
夢と現実、太古と現代の境いを超えて、幽冥の宇宙をただよいさ迷う女と男…。寄る返ない悲しみを抱えながら、いまを生きる女の半生の性を「古事記」「老子」の世界を通して、生きとし生けるものの根源的な寂寥に重ね映す著者の代表作。
ロサンジェルスにやってきた、流れ者のジェリー・ケルズは、ある組織のボスに呼ばれ、賭博船の用心棒になってくれと頼まれる…。“不況と混乱の時代”、“ギャング・エイジ”と呼ばれる30年代のロサンジェルスで、政界とつながる組織の陰謀にまきこまれる主人公は、したたかにハードに、反撃にでる。チャンドラーが“超ハードボイルド”と評し、ビル・プロンジーニやジョー・ゴアズも“『裏切りの街』はまさにハードボイルドだ”と絶賛した極めつきの名作。ポール・ケイン唯一の長篇。
宝石店に押し入った二人組強盗が若い女店員をレイプ!十年後、フィリピンへ買春旅行に出かたけた宝石商を待ち受けていたものは?レッド・ウイドウ相談室カウンセラーの赤垣美晴は実は特捜刑事。助けを請う“ジャパゆきさん”を糸口に、見事な肢体と頭脳で事件の謎に挑戦!-好評官能ミステリーシリーズ、書下ろし第3弾。
高井沢文雄は神保貞介殺害のため、神保家の別荘の床下にダイナマイトを仕掛けた。ところが、床下から出たところで、何者かに襲われ、気が付いたときには手足を縛られ、自らがセットしたダイナマイトの近くに横たわっていた…!主人公が犯人であり、被害者であり、探偵役でもあるという、画期的な設定で書き分けた問題作。
四十半ばを過ぎた鵜ノ木は、年に二回欠かさず山に登る。彼が横尾山荘で知り合った青年安西は、北アルプスの経験は浅かった。鵜ノ木は、連れを欲しがっている彼と蝶ガ岳を目指すことになった。天候の急変とともに二人の間には異様な空気が…!〈光文社・「小説宝石」エンタテインメント小説大賞受賞作「九月の渓」で〉傑作山岳ミステリー七編収録。
世界最大の豪華客船クイーン・エリザベス2世号(QE2)。地中海をゆっくりと周航する船内で、カメラマンの星五郎は、各国の美女を相手に情事の限りをつくしていた。が、その背後では、出航前に偶然撮影した一本のフィルムを狙って、正体不明の一味の影が…。時代小説作家として知られる著者が放つ、異色の長編サスペンス。
つにい十番目の勇士望月六郎もそろい、十勇士の大活躍が始まった。密命を帯びて薩摩へ向かう猿飛佐助の行く手をさえぎる甲賀流忍者群。一方、家康は方広寺の鐘銘を種に、豊臣方に圧力をかける。物語白熱。
ーロジャー・コリンガムは世界に名だたる“ロイズ”の筆頭引受人。その弟レオは、ふとしたことから、兄の手がける海上保険がギリシャ人の悪徳船主たちに狙われていることを知る。ホルムズ海峡に化学毒物を積載したタンカーを沈め、12隻もの大型タンカーを足止めして莫大な保険金をせしめようというのだ。しかもそこには、石油利権に絡むソ連の影もちらついて…。-陰謀渦巻くペルシャ湾を舞台に展開するサスペンス快作。