1990年11月発売
蒼茫と暮れゆく海上,その薄暗い水面にふっと現れてはまた消える細長いもの…。不審に思った釣客が舟をよせるとー。ほかに「骨董」「魔法修行者」など、晩年の傑作5篇をあつめた。
いまかいまかと怯えながら、来るべきものがいつまでも現われないために、気配のみが極度に濃密に尖鋭化してゆくー。生の不安と無気味な幻想におおわれた夢幻の世界を描きだした珠玉の短篇集。
故郷小田原の風土に古代ギリシアやヨーロッパ中世のイメージを重ね合わせ、夢と現実を交錯させた牧野信一の幻想的作品群。表題作の他に「鬼涙村」「天狗洞食客記」等の短篇8篇と「文学的自叙伝」等のエッセイ3篇を収める。
世界の終末に向う現実と虚構の2つの世界。「世界の終り」(=現実)と「ハードボイルド・ワンダーランド」(=虚構)が交互に描かれ、それぞれが終末へと向かっていく。谷崎潤一郎賞受賞の長篇傑作。
千谷エーガ精機社長の千谷大伍は、高校生の愛娘奈美子を誘拐され、1億円を要求された。大伍は、娘が普段から慎重なこと、脅迫電話での機転を利かした応答から、犯人が自分の異母弟東吾と看破した。東吾は素行の悪さと浪費癖で、千谷家を追放されていた。大伍は、この骨肉の醜聞を避けるべく、極秘裡に事態収拾へと動いた。だが、家族の苦悩をよそに、同家の嫌われ者である長女志津江のみが冷酷な反応を見せていた。やがて救出された奈美子は、暴行を受けてはいたが婚約者も決まり、千谷家は平和を取り戻したかに見えたのだが…。推理文壇の重鎮が、著作3百冊突破を記念して読者に贈る渾身の推理傑作。
創嵐剣ディカイオシュネーの力によって堕天使ドゥーファーを倒した戦士ガルディスはレイと別れ、永遠の生命を求める吟遊の村の長エラトスと新たなる旅に出る。旅のなか、ふたりはペンティシオンの人々を無気力におとしいれる謎の吟遊詩人の存在を知り、美貌の女魔道士マハーヴィラとともに後を追う。謎の吟遊詩人の真の目的とは…?そして、謎の吟遊詩人の操る呪歌と対決する三人の運命は…。ますます好調の放浪王ガルディスシリーズ第2弾。