1992年11月発売
ポーラ・ホープは家族を亡くし、22歳のとき故郷のフロリダを離れ、たった一人で憧れのビバリーヒルズにやって来た。男に裏切られ、辛いことばかりだった今までの人生。金もなく、将来のあてもなかったが、いつか素敵な男性と出会い、愛し合い、そして仕事でも成功して有名人になりたい、という夢を抱いていた…。ぼんやりと街角に立ちつくしていた彼女は、偶然アメリカでトップのインテリアデザイナーと知り合い、ひと目で隠れていた才能を見出され、彼の下で働くことになった。人生がいきなり、大きく動き出したポーラの前に、“運命の男”が現れた。映画俳優のロバート・ハートフォードだ。思いがけない出会いをきっかけに、二人は恋におちていく。欲望と虚飾が渦まくこの街で、ポーラはデザイナーとして成長していき、そして二人の愛は…。
浅野はなぜ吉良に切りつけたのか?〈松ノ廊下の刃傷〉も、発端からして摩訶不思議。「君父の讐はともに天をいただかず」とはいうけれど、〈討入り〉だって〈虐殺またはスラップスティック〉。伝説と虚構の厚化粧を落としてみれば、なんともグロテスクな赤穂浪士事件。両家をめぐる人びとが、おかしくも愚かしく燃えた時代は元禄。滑稽舞台の幕が開き、鳴るはパンクな陣太鼓。
僕は今十九歳で、あと数週間で二十歳になるー。父が借金を作った。ガールフレンドにはフラれた。せめて帰省の電車賃だけでも稼ごうとバイトを探したが、見つかったのはエロ本専門の出版社だった。岡山から東京に出てきて暮らす大学生、山崎の十代最後の夏は実にさえない夏だった。大人の入口で父の挫折を目にし、とまどう青年の宙ぶらりんで曖昧な時を描く青春小説。
1865年、アメリカ南軍の甲鉄鑑が、バージニアの川霧の彼方へと姿を消したー。1931年、オーストラリアの女性飛行家の愛機は、サハラ砂漠の南西部に不時着したー。そして1996年、サファリに赴いたイギリスの一行がマリで殺戮の洗礼を受ける。おりしもサハラの南、大西洋では巨大な赤潮が発生していたー。ダーク・ピットが歴史の謎と人類の危機に挑む全米No.1の話題作。
果てしなく増殖してゆく赤潮。マリの将軍と結託して事業の拡大に腐心するフランスの悪徳実業家。そして彼らに捕らえられ、強制労働を科せられる科学者たち。死神だけが待つ広大な砂漠の脱出行こそがピットの宿命となった。合衆国大統領が動き、国連事務総長も動く。援軍とともに引き返したピットは、旧外人部隊の砦に立てこもる。数千名に及ぶマリ軍との苛烈な闘いが火蓋を切るー。
若く才能溢れる女性フォトグラファ、ジャズ。三人の仲間と設立したスタジオ“ダズル”を根城に業界を席巻していた。が、有名なフォト・ジャーナリスト、ゲイブをダズルに迎えるという提案がもたらされ、ジャズの心は激しく揺れる。脳裏に甦るゲイブとの甘い日々と思いがけない破局。そして一方では、俳優のサム・バトラーにも激しく心ひかれていた。ジャズの華麗なる愛の序章。
ロサンジェルスとサンディエゴにまたがる広大な牧場を経営するジャズの父マイク。ここにも開発の波が押し寄せていた。昔ながらのランチを守ろうとする父と莫大な財産の相続に目の色を変える継母と姉たち。そして突然訪れた大きな衝撃。その時、崩れそうなジャズを支えたのは…。真実の愛を手に入れたジャズは、姉たちとの葛藤を乗り越え、新しい未来を掴む。
今を時めく美貌のスーパースター、レイチェル・マロンは、何者かに命を狙われていた。彼女のボディガードを依頼されたのは、元シークレット・サービスのフランク・ファーマー。二人は仲違いしつつも、互いに魅かれるものを感じていく。しかし、黒い魔の手はひたひたと忍び寄り、アカデミー賞発表の晴れ舞台でまさに彼女に襲いかからんとしていたー。息詰まる展開のラブ・サスペンス。
長年住みなれた家と土地を離れてしまった漂泊感。父が死してのち、以前にもまして強く迫ってくる親子の絆。漠然とした不安と焦燥を感じる日々…。しかしふと気づけば、時がさまざまなものを穏やかにおし流してゆく。子のない中年夫婦の間にひそむ危うい生活感情をにじませ、円熟の境地に達した4つの連作短篇。
愛する江戸の町を焼いちゃいけねぇ-。薩長軍の足音聞こえる神田鍛冶町・下駄新道の長屋で、千の言語に三つの真実(せんみつ)の上を行く、口にする言葉はすべて嘘の茂平次と、彼を取り巻く町娘、百姓の伜、芸術、下級武士たちが繰り広げる人間模様。激動期江戸の庶民群像を愛情こめて刻みあげた傑作連作長編小説。
ヘッセの生涯は幸せ一途のものでは決してなかった。結婚生活は破綻し、ナチスの支配する祖国ドイツからは売国奴呼ばわりされ、亡命先のスイスで貧窮の日々をおくる。そうした中で生み出された作品は、殺伐とした現代にあって、ますます不滅の輝きを放っている。その波瀾の生涯をたどる国際列車の旅に出発しよう。
播磨の悪党の首魁には大きすぎる夢だった。大望を抱いて時を待ち、遂に兵を挙げた。寡兵を率いて敗北を知らず、建武擾乱の行方を決めた男-赤松円心則村。大塔宮、正成、尊氏が征く。大義に生きた英傑に伍して、悪党として、おのがために闘い続けた赤松一族を通して描く、北方太平記京畿の巻。
身に覚えのない罪で刑務所入りした主人公が復讐を誓い、出所後に自分を罠にかけた人物をつきとめようとする-。弱小出版社の社長の机のうえに忽然とあらわれた原稿は、ベストセラー間違いなしの傑作だった。だが、原稿には肝心の結末が欠けており、著者の正体も不明だった。私立探偵ジョン・タナーは出版社の社長から、著者をさがしだして残りの原稿を手に入れてくれと依頼された。原稿に目をとおしてみると、たしかに圧倒的な迫力があった。もしかすると、これは著者の実体験をつづったノンフィクションではないのか。そう考えたタナーは、原稿の記述を手がかりに調査をはじめた。過去に実際起きた事件を描いたものならば、主人公をはめた犯人は、いったい誰なのか?出版界を舞台に、知性派探偵ジョン・タナーが現実と虚構のはざまから真実を探りだす異色ハードボイルド。
ジャングル惑星に不時着したローダンと《クレスト4》の乗員は帰郷の希望を捨てずに苦闘をつづけていた。一方、ヴィヴィアー・ボンテイナー率いる巡洋戦艦《オリノコ》は銀河中枢部を遊弋中だった。時間警察の生体宇宙船ドランを狩りたて、破壊するために。その《オリノコ》がハイパー衝撃前線をキャッチした。衝撃前線はドランの出現に特有の現象である。ボンテイナーはドランを求め、名もない恒星に急行したが…!?