1992年2月1日発売
町の創立以来これといったできごともなかったキングダムで、旅回りのストリップ劇団に拾われてやって来た少女が、何者かに惨殺されるという事件が起きました。犯人として逮捕されたのはアンドリュース牧師。弁護士で「ぼく」の兄のチャーリーが、牧師の無実の罪を晴らすべく立ち上がりましたー。自然に恵まれた牧歌的な田舎町を舞台に、人々の寛容と偏見が共に描き出されていく。
一滴の血も流すことなく〈正義〉を貫くことは可能か?アンタミア標準暦4759年、一隻の星間連絡船が無人の惑星に漂着したことからドラマは始まった。銀河宇宙を舞台に絶対非暴力主義の行方を問う。第3回日本ファンタジーノベル大賞最終候補作。
ある日突然、放浪の相場師と呼ばれた男から母に五億円が遺贈され、一家はばらばらに。僕の生まれは…、男の意図は…。家族の絆を取り戻すためサッカー少年の僕は真相を探りに乗り出した-。さわやかな長篇ミステリー。
銀河暦6303年、〈調査局〉に勤めるロハスのもとに最後のマサイ族マンダカが訪れた。三千年以上、所在不明になっているキリマンジャロ・エレファントの象牙を見つけてほしいという依頼だった。調査を始めたロハスは、悠久の歴史の中でこの史上最大の象牙がたどった数奇な運命と、象牙にかかわった人々の織りなす多様なドラマを垣間見ることになる…。アメリカSF界で人気絶頂のレズニックが満を持してはなつ銀河叙事詩。
五十万年前に太陽系を訪れ、なにに使うかもわからない奇妙な物や不思議な建造物を残したまま、いずこかへ消え去った謎の異星人ヒーチー。金星の地下都市スピンドルに住むウォルサーズは、そのヒーチーの残したトンネルに観光客を案内して生計をたてている。めったに来ない大金持ちの観光客をつかまえたウォルサーズの命がけのトンネル・ガイドを描く「金星の商人」ほかの連作を収録する巨匠ポールの人気シリーズ番外篇。
魔法の力は人を狂気に導くーケイス王国ではだれもがそう信じて魔法を恐れ、魔力を持つ者を抹殺する儀式が定着していた。ケイスの王女アサーヤも、やはり魔法を恐れるひとりだった。そんなアサーヤに、ある日、魔法が野放しになっていることで悪名高い隣国レイカにおもむけという父の勅命が下った。いやいやレイカへと旅立ったアサーヤを待ち受けていたのは、想像を絶する恐ろしい運命だった…。新人の力作シリーズ登場。
錠前破りのプロ〈ブレイカー〉が警視庁の依頼を受け、国家機密を守るため困難な錠前破りに挑戦する「ブレイキング・ゲーム」、禁煙条令の施行により、喫煙が犯罪とみなされる社会で、タバコを喫う男たちの秘密結社が体制に立ち向かっていく「スモーキング・ゲーム」、ある日突然、巨大な迷路世界に投げ込まれてしまった男の困惑を描く「メイズィング・ゲーム」などさまざまな人生ゲームの虜となった男たちの物語り。
深い闇に包まれた夜の森の中で、忌わしき惨劇に見舞われた美しい少女ディー。それ以来、彼女の幼い心は、夜ごと訪れる悪夢に苛まれ続けていた。どこからか聞こえてくる“声”が「父親を殺せ」と囁くのだ。愛する娘の異変に気づいたブリーマーは、彼女の精神を支配しようとする邪悪な力と対決すべく、ついに銃を握ったが…。P・K・ディックの絶賛を浴びて登場した鬼才が、圧倒的な筆力で描破する恐怖と異常世界。
射殺した被害者の死体を、鋭利なナイフで十文字に切り裂く連続殺人犯。ラスヴェガスを恐怖に陥れた狡猾な殺人鬼は、元ニューヨーク市警の精神異常犯罪捜査官スタインに、不可解なメッセージを送りつけてきたー。「おまえが使命を果たすためにラスヴェガスへ来ないのなら、誘拐した少女の指を一本ずつ切断する」というのだ。さらなる凶行を阻止すべく、スタインは狂気に支配された多重人格の犯罪者との心理戦を開始した。
うますぎる話には罠がある。アパートに忍び込み、小箱を盗み出すだけで5千ドルの報酬をくれるという。だが、家捜しを始めたとたん、パトロール警官の二人組に踏み込まれた。その上、寝室からは死体が見つかり、私は当然殺人犯として追われるはめに。容疑を晴らし、再びプロの泥棒としての仕事をするためにも、自分の手で事件を解決しなくてはならない。マンハッタンの泥棒探偵バーニイ・ローデンバー、小粋に文庫初登場。
麻薬取引の現場を押さえようとした警官が殺された。一人はショットガンで、もう一人はパトカーごと谷底に突き落とされ無残な骸をさらしていた。警官たちは誰しも憤りで体が震えた。こんな田舎町にまで麻薬組織が手をのばしているとは。組織を陰で操る大物密売人を暴き出すため、検事事務所のピンチョン捜査官は捨身のおとり捜査を決意した。退職願望を持つ中年捜査官が難事件に立ち上がる姿を描く注目のシリーズ第三弾。
二人で過ごしたあの夜。思い出すたび胸がしめつけられる。朝になると彼女はいなかった…。恋人が去って以来、元ミュージシャンのクリックはアイダホで失意の日々を送っていた。バードウォッチングや釣りに心の安らぎを求めながら。ところが飛行機の墜落事故が田舎町の静寂を破り、クリックを再び錯綜した事件の渦中に巻き込んでいった。大自然を背景に失踪人捜しのプロの弧独な闘いを描くセンチメンタル・ハードボイルド。
臨時雇いとして、影でCIAの仕事に携わりつづけた一人の男が死んだ。彼の名はステディ・ヘインズ。ひっそりと生きた彼は、ひっそりと死んだ。アーリントン国立墓地で行われた葬儀に出席した会葬者は、政府からのまわし者をのぞけば、故人の息子と愛人と旧友のたった三人だけだった。だがステディの遺産は、その目立たない人生とは裏腹にCIAを震撼させた。彼は自分の関わった仕事の内容を暴露した回想録の原稿を息子に残していたのだ。CIAは回想録を握りつぶそうと動きはじめる。しかし、それを狙っているのはCIAだけではなかった。ステディの葬儀に出席した三人が馴染みの〈マックの店〉で旧交を温めた直後から、何者かが彼らの命を狙いはじめたのだ。ステディの息子で殺人課の元刑事グラニー・ヘインズは、殺人者への反撃を決意する。彼は〈マックの店〉を根拠地に仲間を集め、回想録の原稿を餌に復讐の罠を張るが…。予断を許さぬ巧みなストーリーテリングと粋な会話で並ぶ者なきロス・トーマスの、“巨匠屈指の傑作”と評された最新作。
愛するものを失うことはつらい。ましてそれが、聡明で思いやり深く、誰からも愛される15歳の少年ならなおさら。ベストセラー作家のデイヴィッドは、ある日、息子のマットが庭で苦しんでいる姿を目撃する。マットの体は病魔に冒されていた。病名はユーイング肉腫。珍しい種類の癌だ。何度も襲う苦痛に耐えながら、マットは最新の治療法に身を委ねる。だが、闘病むなしく、命の炎はわずか半年で燃えつきた。その翌晩、父デイヴィッドは不思議な現象を体験する。悲しみにくれる彼の部屋を無数の蛍が飛びかっていたのだ…。「ランボー・シリーズ」で有名なベストセラー作家が、みずからの体験をもとに親子の強い絆を描く感動作。