1994年5月発売
ビートニクのヒーロー、ケルアックの言葉の魔術と、黄金の永遠と無為を求める詩的高揚感。ケルアックの最高の要素が結実した傑作。待望の刊行。カナダ国境山上での孤独と瞑想の日々。そしてサンフランシスコでの乱痴気騒ぎ。ケルアックが無作為の文体で描く…。宇宙的ヴィジョンと’50年代ビート・ジェネレーションの至福の世界。
アレン・ギンズバーグ、ニール・キャサディー、グレゴリー・コーソ…。ビートニクたちとサンフランシスコからニューヨークまで車で大陸横断、モロッコのバロウズをモデルとした人物を訪ね、メキシコへとおもむく、世界を縦横に巡りながら、狂乱の中でクールな熱情をもって描く青春群像。
警察庁鉄道警察隊の江戸川匡太郎警部の恋人・小夜香が過激派セクトに誘拐された。自ら囮となった江戸川のもとに「グッドバイ」という小夜香の謎の暗号文が届く。しばらくして、小夜香は突然、不可解に解放された。しかし、それが殺人事件の発端となった!江戸川警部の眼前で、恋人の誘拐犯が何者かに殺されたのだ。
空海、弁慶、猿飛佐助。歴史や小説を彩った日本のヒーロー達が、時代と空間を飛び越えて、唐代の中国を舞台に妖鬼封じの探索行へ!現代の女子大生高梨葉子も混じえた4人が目指すのは、伝説の「懸珠」があるという幻の地、ガンダーラ!あのタケカワユキヒデが満を持しておくる平成の西遊記。
恋人との休暇旅行を直前に控えた刑事フィオーナを現場に引きもどしたのは、妊娠中絶反対の立場をとる女性下院議員フランキーの死。状況は“自殺”を指し示す。ところが、フィオーナの上司エッグプラントの第六感は“他殺”を主張する。捜査を進めるうち、関係者の意外な実像が見えてくる。解剖の結果、フランキーは妊娠していたことが判明。形だけの夫婦となっていた夫からは、離婚を迫られていた。影のように付き従っていた第一秘書は、どうやらゲイらしい。政都ワシントンにうごめく人々の虚と実。愛と背信。フィオーナ自身も背信を秘めたまま、事件捜査にあたる。はたしてフランキーの恋人は誰だったのか?胎児の父親を探せば…犯人がわかる。
トランス状態で小説を書く大学教授ランドル・エリオットは、いまや話題の作家。次期ピューリツァー賞候補との呼び声も高い。しかし、本人すら知らないことだが、彼の著作はどれも妻メアリが書いたものだった。メアリは四児の母で専業主婦。影の作家に撤して二十数年、精神障害を持つ夫にかわって家族の暮らしを支えてきたものの、自分の名前で堂々と本を発表したいという思いはつのるばかり。そんなある日、ランドルが事故死。メアリに転機が訪れる。そして、ランドルに心酔する年下の学者ポールとの恋。すべてが順調に運ぶかに思えたが…。『愛がこわれるとき』の作者ナンシー・プライスが、ひとりの主婦の苦悩と自立を描いたサスペンス長篇。
テキサス州の高地砂漠地帯にあるグアダルーペ山脈国立公園。初夏のある日、女性レンジャーのシェイラ・ドゥルアリーが、悲惨な遺体となって奥地で発見された。発見者はピューマの生態調査をしていた同僚のアンナ・ピジョン。遺体には、動物の爪跡と噛み跡が、現場周辺の地面には大型獣の足跡が残っていた。警察と公園管理局はピューマのしわざと断定し、狩猟チームを編成した。だが、アンナは不自然な足跡に疑問を抱き、犯人はピューマではないと主張する。手を下したのは人間だ。独自に捜査を進めるアンナは何者かに命を狙われた。なぜシェイラは死ななければならなかったのか。アンナは公園に隠された邪な真実にたどりつく。ピューマと自然と動物を愛する女性レンジャーが、雄大な国立公園を舞台に繰り広げる自然派ハードボイルド。
百戦練磨のソープ嬢たちがほめちぎる欲棒を持つ加賀が始めたAV製作会社。主演に超人気のAV女優を狙った加賀は、自慢の業物を奮い立たせて絶頂攻撃。女体の濃密な香りとあふれ出る蜜液に酔う加賀と、恍惚の境地に到達し全身を激しく震わせる女。二人がクライマックスに達した時、AV女優との契約は結ばれた。だが加賀にはまだまだ欲棒を使った商談が…。
祖国が分断され、まだ多くある差別の中で、若い青春を、本当の生きかたとは何か、を真摯に問いながら生きる群像。李恢成の初期中篇「われら青春の途上にて」「青丘の宿」ほか父親の死を契機に、対立し、相反する二つの組織が手を結ぶ僅かに残された“黄金風景”を描く「死者の遺したもの」収録。
元チアリーダーの過激派で「筋肉のあるモナリザ」のサラ、ナイスガイのラファティー、200ポンドのティナに爆弾狂のオリー、そしてシェルターを掘り続ける「僕」…’60年代の夢と挫折を背負いつつ、核の時代をサヴァイヴする、激しく哀しい青春群像。かれらはどこへいくのか?フルパワーで描き尽くされた「魂の総合小説」。
唾液にまみれぬらぬらと光る肉根が唇の間から抜き出され、ひくつきを打ちつつ、女の頬のわきで揺らぐ。半びらきの唇が咥えなおすように棍棒のようなそれになすりつけられる。「バックから男に嵌められるのが好きなのだろう、ん。」大手電装メーカー「アヒサ」の紛失した極秘リストを見つけるよう業務命令を受けた総務課長の梶谷弘一は、リストと共に姿を消した犯人らしき女を探し出すため、自慢の肉体を武器に社内の美女たちを次々と征服してゆくが…。長篇官能小説。
一人の銀行員がマンションの一室でゴリラに刺し殺された。血の海となった惨劇の現場には、書きかけの日記が。しかし、被害者の自筆による日記は、その日に限って横書きで記されていた。渋谷署のベテラン巡査部長夏目邦雄は、その謎にこだわった。被害者は、なぜ日記を横書きにしたのか。やがて、犯人から新たな殺人を示唆する奇妙なクロスワードパズルが送り届けられた。本文のレイアウトそのものが事件を解くヒントになっている、前代未聞の横書きミステリー登場。
アメリカでの不毛な生活を脱し、タンジールへやって来たダイアーと、モロッコ人タミ、レズビアンのユーニスらはいかなる運命に翻弄されたか。人間存在の言い知れぬ不安と恐怖、闇の中を手探りで進むように一寸先に待ちうけるどんでん返し、読む度ごとに発見がある伏線につぐ伏線。メイラー、カポーティと並ぶ第二次大戦後を代表する作家であり、スタイン、オーデンらと邂逅し、テネシー・ウィリアムズ、カポーティ、ブライオン・ガイシン、バロウズ、ケルアック、ティモシー・リアリーらから敬愛され、ジェインの夫であった、あのポール・ボウルズの傑作長篇。
様々な方面に手を伸ばし、結局大成しなかった山田美妙は、歴史小説にその本領を発揮したと言ってよい。本書では、初期の『武蔵野』『蝴蝶』及び後期の『四郎高綱』『二郎経高』を採り上げた。いずれも初出により、『武蔵野』以外は初の注釈の試みである。付録として、「山田美妙歴史小説一覧」を掲載。50作品の初出が一覧できる。