1997年4月発売
書下ろし長篇近未来パニック小説。我々は、日本国政府に対し、宣戦布告する。家族の絆を守るために、斎藤家の家長・総一郎は、核弾頭を手に立ち上がる-。「国家主義カースト制」によって、超管理国家となった2075年、日本国・東京。長年、住み慣れた家を政府の策略により追われた斎藤家は、毒ガスに汚染された危険な地域・ナリタニュータウンへの移住を強制される。政府の勧告を無視し、転居を拒む住民たちに対して国家権力は数々の嫌がらせや追い立てを画策する。政府の汚いやり方に怒り心頭に発した斎藤家の家長・総一郎は、住民のリーダーとして抵抗運動を展開するが-。
元興信所の冴えない調査員だった相葉潔は女とカネでしくじり、ささやかな探偵事務所を開き細々と生計を立てていたが、ある夜何者かの襲撃をうけて一時的な記憶喪失(逆行性健忘)に陥る。相葉は彼の担当医となった型破りな美人女医・木村瑤子の協力を得ながら欲にまみれた“怪事件”の核心へ一歩一歩近づいて行く。
俺にとって殺意を実行に移し、完全犯罪とすることは簡単だ。ロサンジェルスにいる妻を、日本にいる俺が殺したなどとは誰も思わないだろう。だって俺は、「テレポーテーション」が使えるのだ!だがこの超能力の欠点が様々な事件を巻き起こし…。トリックの可能性を極限まで追求する西沢保彦の新たな挑戦作。
操縦不能に陥った機が、「制御系の再構成システム」で生還!?巨大航空資本の罠かもしれないフライトにパイロットは挑んだ!!「驚くほどひ弱な超ハイテク航空機」の未来を問う書き下ろし。
詩人の「わたし」と恋人の「S・B」と猫の「ヘンリー4世」が営む超現実的な愛の生活を独創的な文体で描く。発表時、吉本隆明が「現在までのところポップ文学の最高の作品だと思う。村上春樹があり糸井重里があり、村上龍があり、それ以前には筒井康隆があり栗本薫がありというような優れた達成が無意識に踏まえられてはじめて出てきたものだ」と絶賛した高橋源一郎のデビュー作。
19世紀末より今世紀にかけ戯曲、小説等多彩な作品を書いたホフマンスタールは、ユダヤ人、イタリヤ人、ドイツ人の混った血統と伝統の都ウィーンの文化に育まれた。「チャンドス卿の手紙」は17世紀イギリスの貴族チャンドス卿が友人にあてた手紙という形式をとり、表現とその根底にある認識を追求した作品で、「アンドレアス」と並んで現代小説の出発点である。
知性とセックスは両立するのか?ブンタイって一体何なんだろう?なぜ女は「いく」「死ぬ」なんて口走るのか?奔放きわまる文章と、繊細緻密な思考によって日本語と日本ブンガクの現状を笑いのめす。はたして小説は肉体の快楽にどこまで迫れるか。深遠かつ軽妙、そして抱腹絶倒のクリティーク小説集。
幸子は死ぬために「踊り子号」に乗った。彼女は人生に疲れ切ってしまったのだ。唯一楽しい思い出のある下田の海を見て死にたいと思った。ところが、終点に近づいたところで電車が転覆してしまった。電車で横に坐っていた男の両親が看病をしてくれた。どうやら息子の婚約者と勘違いをしているらしいー。表題作ほか四本を収録した傑作短編集。
ポルシェ911Sに乗る唐木は、途方もない計画をもっていた。狙いは東京競馬場で行なわれるダービーの売上げ金20億円だ。唐木は仲間を一人ずつ集め、男五人女二人の七人が揃った。カメラマン、ヘリコプター操縦士、馬券売場で働いている女、爆弾を作る男などが、周到な計画にしたがって動きはじめた。七人の若者が挑んだ冒険の結末は…。
髪はいくらか白いけどスマートで若々しいエリート西崎敦夫は四十歳。結婚歴有、しかも十八歳の息子もいるのに佐々本家三女、珠美十五歳にひと目惚れ。でもベンツでの送り迎えに珠美もまんざらではなさそう。ところが妙な連続殺人事件にまきこまれてしまう二人。シリーズ11作目を迎え三姉妹はますます元気。
1898年。英国はライバル各国に先駆け、膨大な利益を生む東アフリカのツァボ川に架ける橋の建設に乗り出す。現地に派遣された建設技術者パターソン大佐は、3000人もの作業員と共に作業を開始する。しかし希望に溢れる彼を待ち受けていたものは、獰猛な2頭の人食いライオン“ゴースト”と“ダークネス”との戦いであった…。アフリカ全土に伝説として伝えられる驚愕の事実が、100年の時を超え、今蘇る。
女探偵・朝岡彩子は白人青年・ポールから大手電機会社会長一族の身元調査を依頼された。だが数日後、その一家は惨殺されてしまった。依頼人ポールと恋に落ちた彩子は、彼とともにテキサスへ旅立ったが、ポールは何者かに銃殺され、しかも彩子が容疑者として法廷に立たされることとなった…。米国陪審制度を綿密な取材で描く長篇本格推理シリーズ第3弾。
妻子ある建築家・伊織は、部下の笙子を愛する一方で、美貌の人妻・霞にも惹かれていく。いったい自分はどちらを本当に愛しているのか、ふたりの女性のはざまで思い悩む伊織だが…。秘めやかな官能の世界に耽溺する男女の姿を通して、現代の愛の形を描いた名作。