1998年発売
聖徳太子はガン死だったー時代作家・大和田博が、妻の歴史学者・伸子の研究からヒントを得て書いた小説「聖徳太子の謎」は衝撃的なテーマで大反響を呼んだ。しかし、大学内で伸子と対立する実力者・桃井は新聞に批判文を発表、伸子の左遷を図る。その矢先、桃井が高原の別荘で惨殺された。そこには「天ばつ」の血文字が…。作中作、多重構成のプロットなど、ふんだんに趣向を凝らした、快作ミステリー。
ポートモレスビー占領の成功によって、オーストラリアからの南方資源地帯への空爆の恐れがなくなる-日米戦争は転機を迎えた。そして、残るはインド洋だ。闘将有馬正文率いる機動部隊が、コロンボ襲撃に成功する。しかし、大英帝国の威信を背負ったイギリス東洋艦隊が、その行く手を待ち受けていた。昭和21年7月、朝焼けのインド洋で、日英双方とも相手の艦隊を発見。日本側から、180機の編隊が飛び立つ。その10分後、イギリスの攻撃隊170機も飛び立った。高空での接触を皮切りに、戦いの火ぶたは切られた!日英両艦隊の運命、そして、世界の運命は。
ある夜、大学生の翔はゆきずりの美女に一目惚れした。なんとか近づきたいと尾行した翔は青山霊園で美女を見失う。さらに彼女が名乗った名前のOLは既に自殺して青山霊園に葬られていることが判明した。やがて、夜だけその美女が翔の前に現れるようになると同時に不可思議な事が…。そしてついには隣人が殺された!名探偵貴船があやかしの謎に挑む書下ろしミステリー。
徳川八代将軍をめぐり、御三家、尾張家と紀州家との間で繰り広げられた暗闘の数々。尾張藩は雑賀一族の再興を取り引き条件に、狙撃術に卓越した雑賀孫四郎を、吉宗の暗殺者に仕立てる。芝・増上寺で吉宗の命を狙う孫四郎の背後に忍び寄る影の正体は…。徳川家の血と血の争い、その中に否応なく巻き込まれた暗殺者に迫りくる父子宿命の闘い。
霊能者の祖母が遺した予言通りに、インドから来た青年「ハチ」と巡り会った私は、彼の「最後の恋人」になった…。運命に導かれて出会い、別れの予感の中で過ごす二人だけの時間ー求め合う魂の邂逅を描く愛の物語。
若き天才情報工学者、島津圭助は、神戸市で調査中の遺跡、花崗岩石室内壁に、ある『文字』を見せられる。十三重に入り組んだ関係代名詞と、二つの論理記号のみの文字。論理では解くことのできないその世界の言葉を執拗に追うある組織は、島津の卓越した頭脳に、この文字を通じて『神』の実在を証明することを強要する。-語りえぬことについては、沈黙しなくてはならない。ヴィトゲンシュタインの哲学に反く行いに幕を開ける、SF小説の金字塔。
帝国暦955年、幻炎作戦によって圧倒的勝利をおさめた「アーヴによる人類帝国」は、残存する「人類統合体」の艦隊を制圧すべく、新たに艦隊を再編し、狩人作戦を開始した。いっぽう、狩人第四艦隊に所属する「バースロイル」艦長ラフィールは、艦隊司令長官ビボース提督によってまたも領主代行を命じられ、ジントとともに惑星ロブナス2へと向かった。だがまさかその惑星が…新時代のスペース・オペラ待望の第2巻登場。
数々の恐怖と苦労の試練のはてに、子蓉のもとにたどりついた顔回。生命力を蝕む冥界からの一刻も早い脱出が必要だ!冥界の掟に反した、三人そろっての帰還にあくまで固執する顔回に、子蓉は黄泉を欺くための奇想天外な方策を提案する。…。中島敦記念賞受賞。
この世の良識と教養を嗤い、血をわけた子を子と思わぬ、わが父、織田信長-。かくも大きな父に認められかくも大きな存在を越えようと、次男、信雄はひとり煩悶し、ひそかに伊賀忍びに戦いを挑み、初めて心を許せる大人に出会った。その名は明智光秀-。父と子であることの狂気と病、血と血が斬り結ぶ、相剋のドラマ。
希望をもって生きてれば、仕事も恋もなんとかなるさ。明日は明日の風が吹く!夢と不安に揺れながら、目指すはコピーライター。がむしゃら地方出身者、温子の熱い青春。
北海道の小さな町に移住したイラストレーター夫妻が、隠遁した謎の農場主に出会った時、何かが動き始めた。退廃と官能の嵐のなかで暴力と死が姿を現わす。森のむこうから死滅したはずの娘の叫びが聞こえてくる。満月の夜にいったい何が起こったのか。二重視点で描く斬新な長篇ミステリ。
「どうぞ私をおそばに置いて下さい」報われぬと知りながら、名門貴族の子息レイモンドへの恋に身を焦がすエドワード。想いを隠し、主人に忠実な執事、そして家族のような幼なじみとして彼に仕えるが…。感動の嵐を巻き起こした「上海」に全編大幅加筆、激動のロマンスがついに登場!香港でのエドワードを描く「歌姫」も収録。