1999年10月発売
両親から遠くはなれて、海辺の町に住んでみたいというおもいから、佐伯雄二は豊橋の近くにある大学へ進学。合格祝いにと父からカメラを贈られたのをきっかけに、雄二の生活は写真を中心に廻りはじめるー。中国歴史小説の旗手が爽やかに描く、青春時代の友情と恋の物語。
ジャンヌ・ダルクと共に戦った英雄にして幼児虐殺の半獣神『青ひげ』ジル・ド・レの真実。悪の深淵に魅せられ、極限の祈りを追求する魂の彷徨!十五世紀のフランス。富裕な大貴族であり稀代の快楽殺人者だったジル・ド・レ。究極の悪を犯すため彼に近づいていった若き錬金術師。神と、己の心が欲するものとをひたすら求めた罪深き人間たちが最後に見たものは。構想二十年-今も変わらぬ無限の苦悩と救済を描き尽くした著者渾身の一作。
演出家のルークは、祖母コンスタンスの遺品にあった手紙に心を奪われていた。それは、舞台女優の祖母が愛弟子として慈しみ育てた、ジェシカの24年間にわたる親交の手紙だった。スターの道を歩む34歳のジェシカを襲った6年前の列車事故。彼女の人生は暗転した。ルークは、ジェシカが住むロペス島に飛んだが、かいま見た彼女の容貌にショックを受け、心痛の思いでその場を立ち去る…。
夫が肺癌で死んだのは、長年の喫煙が原因だー未亡人はタバコ会社を相手どって訴訟を起こした。結果いかんでは同様の訴訟が頻発する恐れもある。かくして、原告・被告双方の陪審コンサルタントによる各陪審員へのアプローチが開始された。そんななか、選任手続きを巧みにすり抜け、陪審団に入り込んだ一人の青年がいた…知られざる陪審制度の実態を暴く法廷サスペンスの白眉。
熾烈な陪審員買収工作が水面下で進行するなか、被告側陪審コンサルタントの親玉フィッチに近づいた謎の美女マーリー。彼女は、友人である陪審員ニコラスが評決の鍵を握っているという。はたしてマーリーの目的は何なのか?そして、勝利の女神は原告・被告どちらに微笑むのか…全米の一大産業に挑んだ一組の男女の孤独な闘い。その裏に隠された真の思惑が、いま明らかになる。
植民地の喪失、内戦、フランコ独裁、近代化…19〜20世紀スペインの波瀾万丈の近・現代をカタルーニャの片隅でひっそりと生きた村人の、ユーモアとペーソスとエロスに満ちた物語として描く、現代の語り部、ジェズス・ムンカダの代表作。
山梨で女性の変死体が発見される。同じ頃、湯布院、河口湖でも男たちの変死体が発見された。無関係の事件として捜査が始まるが、岡山で轢き逃げされた女が消えた事から一連の事件が連続殺人事件である事が判明する。東京では会社員伊村がホステス圭子に誘われ自宅に行く。だが彼女は何者かに殺害されていた。伊村はアリバイを偽証するが敢えなく逮捕された。無実の罪に喘ぐ伊村の夢に現れる紫の蛇。新なる殺人が発生し完璧なアリバイのある人物が全ての殺人を自供した事で事件は暗礁に乗り上げた…。
江戸初期、北関東でひとつの村が地上から消えた。「サンリン」と呼ばれる聖なる空間で発見された老人から赤子までの骸は三百余。ここで何が起きたのか。歴史の闇に葬られた謎の“大事件”を甦らせて、高い評価をえた暗黒と戦慄の巨篇。
執拗に侵攻を重ねる匈奴を駆逐し、前漢の全盛期を築きあげた青年将軍・霍去病…彼を巡る皇帝から無名の庶民たちにいたる、赤裸々な老若男女の群像。超大型新鋭が見事に織りあげた面白さ無類の大河歴史ロマン。
僅か24歳で夭逝した天才将軍・霍去病の出生の秘密と死の謎。絶頂期を迎えた前漢七代・武帝の治世の、風俗生態、世相人情、そして想像を絶する権謀術策を二千百年の時空を超えて鮮やかに現代に甦らせた、サスペンスと詩心あふれる長篇歴史傑作。
その少年の肌は、あの碗の青貝のようで妙に照るんです…雨夜に哉を抱いたのは幽霊か?美しい教師に愛された少年は本当は誰なのか?雨にけむる生と死のあわいで揺れ動く魂の交流を描き絶賛された珠玉作。
中国山西省の山村で、樹齢数千年の「神樹」が突然開花した。神樹がよみがえらせた親、子、兄弟や八路軍の亡霊たちは、過去を再現し、語りはじめる。抗日村長を斬り殺した日本軍、神樹に守られた八路軍、土地改革で虐殺された地主、国家規模の“大躍進”・製鉄運動のために餓死し、あるいは生き延びた村人、文革時に失脚した村の書記、宗教結社弾圧に巻き込まれ処刑される娘…、神樹は歴史のすべてを見てきたのだ。開花の奇蹟に御利益を求め人々が押し寄せたため、共産党政府は危機感を覚え、迷信を根絶すると称し、神樹伐採に中央から戦車の大部隊を出動させる。神樹を守るため、村人は亡霊の八路軍に加勢し、戦車隊に立ち向うが…。
事故以来、人間嫌いになったジェシカは孤独な殻の中に逃避、ロペス島に犬と暮らしている。ルークの脳裡には、いつもジェシカがいる。このジェシカへの想いは何なのか?もう一度ロペス島に飛んだルークは、逃げる彼女に真実をぶつけた。二人に一週間の時間が流れ、ジェシカに愛の歓びと生きる力が蘇った。だが彼女は、ルークに黙ってシドニーへと旅立つ。大人の愛の行方は…。
四元素王国のパワーバランスを保つうえで不可欠な存在だと考えられていた“魔道機”こそ、世界を歪める張本人なのだ。そう考えるオルガは、争いや差別のない平和な世界が来ることを願って、“魔道機”を産みだす源泉“魔道機神殿”の破壊を決意する。各国国王の思惑をよそに、風・水・火・地すべての魔道を身につけた伝説の少女オルガは、禁断の聖地を目指し不帰の旅に出た。しかし、そこで彼女を待ち受けていたものは…。秋津透ワールドの決定版『反機星オルガ』シリーズ堂々の完結編。
謎の少年ー九角に惹かれ、その子を宿した那智真璃子。歓喜と至福の刻に包まれた彼女だったが、その宿った幼き命が世に出る事はなかった。まだ見ぬ我が子を失ったショックから、次第に狂気へと侵される真璃子。そんな中、彼女は、ふとしたはずみから、古びた一冊の本に出遭う。そこに記された文字は、真璃子を禁断の世界へと誘うのだった。那智姉弟の出生の謎に迫る龍紀。“鬼道”と呼ばれる“人ならざる業”に翻訳される若者たちの運命は。東京魔人学園双龍変シリーズ、第伍巻、ここに登場。
なんだろう。壊してしまうとなんとなく安心するの-要するにわたしはまだ、子供なのかしら。ことばや約束事を重ねることで築き上げてきた関係。気鋭が挑む、邪悪な恋愛小説。