1999年8月発売
パラダイン男爵家を脅かす怪現象の数々-ポルターガイスト、うろつく尼僧の亡霊、外から鍵をかけた部屋で夜ごとひとりでに曲を奏でるハープ。さらに悪いことに、客人が幽霊に襲われた!騒動を鎮めるため駆けつけた心霊探偵ヒーロー氏の活躍やいかに?『スノーグース』などで知られる心やさしきストーリーテラー、ギャリコ唯一の長編本格ミステリ、本邦初訳。
地方営業に呼ばれたフォークシンガー、七十四歳の女流詩人と結婚した七十六歳の文学者、新聞の勧誘に北欧までやってきた黒眼鏡のヨレヨレ男、開いてるのか閉まってるのか分からない中華屋の親父…。21篇の短篇小説がおりなす、人生模様カタログ。
戦国の世に豊後領主の子として生まれながら、父や既成の権威に反発していた青年・大友義鎮(宗麟)の心をとらえたのは宣教師ザビエルだった…。九州に覇を唱えた乱世の雄である一方、芸術家肌で、常に進取の精神を失わなかったキリシタン大名・宗麟の多面的な魅力と波瀾の生涯に迫る。
ピスケンが恋をした。お相手は、「血まみれのマリア」こと阿部まりあ。泣く子も黙る救急救命センターの看護婦長で、今まさに息絶えんとする重体患者を救うこと数知れず、の奇跡を呼ぶ女だ。あまりに意外な組み合わせに、驚きのあまり絶句する軍曹とヒデさん。一途で不器用なピスケンは、マリアのもとに通いつめるが…。悪漢小説の金字塔、佳境の第2幕。
「いろんなドラマがあるよ」人事部長を継ぐ田島は前任者からそのファイルを渡されるとき、こう言われた。住宅建材を扱う東亜建材産業株式会社。社史をさかのぼれば、じつにさまざまな事件があった。ファイルは、公式には記されていない事実に満ちていた…。人事マンは、あなたをどう評価しているのか?ユーモア、ミステリー、ホラーに彩られた傑作ビジネス小説。
嘉永六(1853)年六月、ペリー率いるアメリカ艦隊が伊豆下田沖に現れ、日本政府との面談を要求した。老中阿部正弘をはじめとする幕府側は親書を受け取ったが、水戸斉昭ら攘夷派の動きも活発になった。再び来日したペリー軍は上陸を敢行し、日米決戦の戦端が開かれた-。
表紙に惹かれて手にした『ななつのこ』にぞっこん惚れ込んだ駒子は、ファンレターを書こうと思い立つ。わが町のトピック「スイカジュース事件」をそこはかとなく綴ったところ、意外にも作家本人から返事が。しかも、例の事件に客観的な光を当て、ものの見事に実像を浮かび上がらせる内容だったー。こうして始まった手紙の往復が、駒子の賑わしい毎日に新たな彩りを添えていく。第3回鮎川哲也賞受賞作。
「俺だけを愛してくれる恋人が欲しい-」観光客とのゆきずりの恋愛に疲れ、誠実な愛を求めるトレイス。だが酒場で彼の心を奪ったブルーの瞳…ロジャーの正体はギャンブル界のキングだった!愛するには危険すぎる男。でも想いは燃え上がり!?フロリダを舞台に松岡なつきが贈る熱帯夜ロマンス、濃密なひとときをアナタに。
剣をもって修羅を生きよ!アヘン戦争前後の香港、ロンドン、幕末の日本を舞台に、大国の陰謀に独り立ち向う海賊“東海の青龍”。歴史の激流が渦巻く海で、命を賭して剽悍に生きた男を描く、壮大なロマン。
愛の欠如のなかに生きる孤独な人間の生と死、相つぐ奇想天外な事件、奇態な人々の神話的物語世界-マコンド村の創設から百年、はじめて愛によって生を授かった者が出現したとき、メルキアデスの羊皮紙の謎が解読され、ブエンディア一族の波瀾に満ちた歴史が終る。世界的ベストセラーとなった傑作長篇の改訳。ノーベル文学賞受賞。
強引な生徒集めで急成長を遂げた進学塾に通う女子中学生が、帰宅途中に惨殺される。その直後より塾経営者・木暮彰の自宅に、嫌がらせ電話がかかりはじめ、やがて木暮の一人娘・由香が誘拐されてしまう。身代金を要求する犯人に警察は周到な布陣で臨むのだが、家族の不可解な行動により、事件は複雑な様相を呈しはじめる…。誘拐事件に潜む陥穽を多重構造で描く本格長編ミステリー。
小沢艦隊に撃破され漂流している米空母エセックス、ラングレー2を拿捕すべく急行する日本戦艦隊。待ち受ける米第七戦艦隊の精鋭。距離3万5000メートルでの壮絶な砲撃戦。最新鋭戦艦のアイオワが一斉射撃を開始する。負けじと大和の46センチ砲九門が火を噴く。見敵必戦を信条とする日本の闘将、宇垣とリーは一歩も退かない。弾撃つ響きは時には高く、時には低くマリアナ沖に鳴りわたる。史上最大の戦艦同士の激突戦は、その後一時間あまり続いた。日本戦艦隊はからくもアイオワ、サウスダコタを撃破するが、多数の命中弾を食らった大和は戦闘不能となり、戦線を離脱していく。日本の明日をかけた若鷲たちの最終決戦の行く方は?シリーズ完結篇。
新宿に北の国から謎の男が現れる。獣のような野性的な肉体は、特別な訓練を積んだことを物語っていた。男は歌舞伎町で十年以上も前に潰れた暴力団のことを聞き回る。一体何を企んでいるというのか。不穏な気配を感じた新宿署の刑事・佐江は、その男をマークするのだが…。新宿にもう一人のヒーローを誕生させた会心のハードボイルド長編小説。
ついに、北の国から来た男の正体と目的が分かった。その瞬間、新宿署の刑事だけでなく暴力団の幹部までもが息を呑んだ。「あの時の…」彼は十二年前に葬られた、ある出来事の関係者だったのだ。過去の秘密が次々に明かされていく。やがて彼は「獲物」を仕とめようと最後の賭けに出る。だがそこには予想だにしていない悲しい結末が待っていた。