1999年発売
愛するおじいさんが残してくれたのは、一束の自伝『成功の秘密』だけだった…。ロバ1頭から始まる旅。この物語を読み進むうちに孫は学ぶ。「本当の富とは何なのか」「自分にとっての成功とは何なのか」。アメリカンドリームを実現した起業家が、メキシコを舞台にしてその成功哲学を寓話化。受難の時代を積極的に生きるためのもうひとつのバイブル。
娘の千とせとともに、実家の本陣・汐見家で恋しい清次郎と結ばれる日を待つお美也だが、清次郎は藩主の口添えで他家の養子となり、二人の縁は遠のいていく。たとえ生涯結ばれることがなくても、清次郎を信じて生きていくと心に誓うお美也…。運命の荒波に抗い、幸福を模索する女の人生を細やかな筆致で描く会心作。
楚漢戦争とよばれた項羽と劉邦のたたかいは混乱をきわめ、臣下は主にそむき自らの利に奔ってなお不名誉とされなかった。貴族の血胤たる項羽にたいし平民出身の劉邦。しかし帝位は天が命ずるものである。本書は、覇をあらそうふたりの英傑のすがたを、友、臣、敵の眼に映ずるまま、詩情ゆたかに描いた名篇集。
文化三年の大火で孤児となった爽太が芝露月町の鰻屋「十三川」に引き取られてはや十三年。おふくとの間に二人の娘をもうけ、幸せに暮らす身だ。が、爽太には若主人の顔とは別に、同心朝田主馬から十手を預かる岡っ引きの顔があった。表題作ほか「おろくの恋」「残り火」など江戸下町情緒溢れる連作短篇七篇。
学生時代の恋人が自殺する瞬間迄弾いていたバッハのカノン。そのテープを手にした夜から、音楽教師・瑞穂の周りで奇怪な事件がくり返し起こり、日常生活が軋み始める。失われた二十年の歳月を超えて託された彼の死のメッセージとは?幻の旋律は瑞穂を何処へ導くのか。「音」が紡ぎ出す異色ホラー長篇。
つきあうって、もっと好きになってもいいっていうことなんだよね。きっと…。“気の強い、わがままな女”美樹との運命的な再会をした祐樹。20代の揺れ動く心情を、素直な気持ちで花ことばとつづった1年間。
イラストレーター森田康一は、共同事務所『鮮酔館』の発起人であり、いまや中心人物でもある。そこではフリーランスのデザイナーやカメラマンが、昼夜の別なく精力的に仕事をこなしている。フリーには文字通り自由がある反面、様々な限界もある。クレジットカード一枚作るのも、住宅ローンを組むのもたいへんだし、大きな仕事も取りにくい。何より、病気やスランプで無収入になったらどうするか…。『鮮酔館』を会社組織にしよう。そう決意したときから、森田の人生は大きく変わっていった。
佐々本家にかかってきた謎の電話。それは次女・夕里子を恋人にする、という不気味な宣言だった。謎の男は夕里子の恋人・国友刑事を卑劣な罠にかけ、長女・綾子を異様な病院に閉じこめ、三女の珠美も誘拐、監禁してしまう。やむをえず夕里子は犯人の待つホテルへ向かうがー。大ピンチの三姉妹は果して。
心をこの世に残しつつ死の際に立った男が愛する女と交るーと、一ヵ月後にその女胎を裂いて男が再誕する。妖異凄絶の忍法「魔界転生」。血風の中に甦る大剣鬼は天草四郎を筆頭に、宮本武蔵、荒木又右衛門、柳生但馬守…。背後で操る森宗意軒と由比正雪。紀伊大納言頼宣をそそのかして天下を大乱に導くか。
将軍家病篤し、の報に紀伊大納言は今や藩をあげて命運を賭すべく、魔界より甦った怪異の剣豪を供に江戸へ向ったー魔人たちの大陰謀は大詰めに!この天下覆滅の奸計に立ちはだかる柳生十兵衛。柳生谷に伊勢船島に…隻眼まなじりを決し、孤剣を抱いて馳せ向う。壮絶無比の大死闘はいよいよ最高潮に。
人類滅亡まで、あと20593日!21世紀、世界の国々は互いに争い、あるいは自滅の道を歩んでいた。地球環境は破壊しつくされ、行き過ぎた科学技術やコンピュータ文明は人間から人間らしさを奪っていた。このままでは、世界は破滅する-立ち上がった40人の男たちは、人類再生の戦いを挑むが…。人類の未来を鮮やかに予見した、混迷の世紀末の必読書。
神経衰弱の気鬱を逃れ、森の深奥を彷徨う真拆は、僧に蛇毒から救われ、山寺に逗留する。俗世から隔絶された奇妙な時空の中、真拆は現実と夢幻の境をいつしか踏み越え、一人の女と出逢った。その運命の奇跡、そして悲劇を古典的風格さえ漂う端麗な筆致で描く。待望のデビュー第二作。
連合赤軍が浅間山荘事件を起こし、日本国中を震撼させた1972年冬。当時学生だった矢野布美子は、大学助教授の片瀬信太郎と妻の雛子の優雅で奔放な魅力に心奪われ、彼ら二人との倒錯した恋にのめりこんでいた。だが幸福な三角関係も崩壊する時が訪れ、嫉妬と激情の果てに恐るべき事件が!?香りたつ官能、美しき異端、乾いた虚無感。比類なき美と官能に彩られた小池文学の最高峰!ジャンルを越えて絶賛された直木賞受賞作。
24歳の平凡な娘ホリーは、ある日突然、莫大な遺産の相続人となった。だが、彼女が訪れた壮大な屋敷には、叔父夫婦のほかに謎めいた老人や敷地内をさまよう女性がおり、不気味な雰囲気が漂っていた。やがて、ホリーが亡き生母の人となりを探るうち、恐るべき事実が明らかに…『崖の家』の実力派が放つ、二転三転の展開、衝撃の結末のゴシック・サスペンス。
刑務所を出たプロの犯罪者マクリンは、塀の中で面白い話を聞き込んでいた。パラダイス港に浮かぶ小島、スタイルズ島のことだ。島には金持ちの高級住宅と銀行があり、一本の橋で本土とつながっている。警備は民間の警備会社のみ。この島を襲い、すべての金品を丸ごと強奪してやろうというのだ。自信満々のマクリンは恋人のフェイに、こう言い放った。「世紀の強盗になるぞ」着々と準備を進めるマクリンは、資金を調達し、凄腕の仲間を揃える。殺し屋のクロウ、爆破屋のフラン、エレクトロニクスの専門家JD、水路に詳しい船主のコスタ。町へ下見に来たマクリンはパラダイス警察の署長ジェッシイ・ストーンを訪れる。たかが田舎町の警察と侮っていたマクリンだが、応対に出た相手にただならぬものを感じた。いっぽう百戦錬磨のストーンも、多忙な日常業務をこなしながら、密かにマクリンに探りをいれはじめる。平和な町に忍び寄る影-二人の対決の日は、目前に迫っていた。ニュー・ヒーロー、警察署長ジェッシイ・ストーンに、強敵が迫る。巨匠パーカーが贈る、男気満載のアクション巨篇。
工場汚水から毒ガスが発生し、幼児が中毒死した。自分の不注意を責めた母親は、その後を追って自殺する。妻と子供を失った芭蕉研究家の大学講師・三浦八郎は廃水を流した化学工場の工場長・田辺に激しい憎悪を燃やす。間もなく相模湖畔で絞殺死体となって発見される田辺。その直後、最有力容疑者の三浦が遺書を残して自殺する。事件は解決したと思われたが、三浦には鉄壁のアリバイが…!?傑作長篇推理。
ヴァンパイアに襲われた臨月の母親から生まれたブレイドは、超人的な力と人間の心を持つヴァンパイア・ハンターとしてヴァンパイア抹殺に闘志を燃やす。一方、世界征服を企む宿敵フロストは、密かに古代予言書「マルガの君臨」を解読し巨大な力を得ようとしていた。人類のため、そして自らの忌まわしい宿命に立ち向かうべく、ブレイドは最後の闘いに挑む…。新世紀に贈るアクション・スリラー超大作。