2002年発売
自首。証拠充分。 だが被疑者は頑なに何かを隠している。 実直な警官が病苦の妻を扼殺。捜査官、検察官、裁判官…6人の男たちは事件の“余白”に迫っていった。 警察小説の旗手、初の長篇 「人間50年」-- 請われて妻を殺した警察官は、死を覚悟していた。 全面的に容疑を認めているが、犯行後2日間の空白については口を割らない「半落ち」状態。 男が命より大切に守ろうとするものとは何なのか。 感涙の犯罪ミステリー。
姉の理美が死んだ。家族とは絶縁状態にあった姉が、妹の友美の住所を書いたメモを残して息を引きとったのだ。友美は後始末のために、姉のマンションを訪れた。姉はどんな生活をしていたのだろう。どんな人間関係があったのだろう。姉の死を知らせる必要のある人がいるのだろうか。だが、大都会で、たった一人で生きてきた姉の部屋で、友美は姉の隠された部分を発見してしまった。それは段ボール箱に入れられた幼児の白骨だった…。
いま、最も注目を集めているポルトガルを代表するノーベル賞作家サラマーゴが、詩人フェルナンド・ペソアの「異名」リカルド・レイスを主人公に、句点の少ない独特の文体で、暗い歴史の転換点ーーリスボンの1936年を描く問題の歴史心理小説!/「数あるサラマーゴの作品のうちでも特にこの小説に心惹かれたのは、リスボンへのサウダーデによるのかもしれません。小説や文献を読むときには地図を片手にという長年の習慣から、私にとっては、リスボンの町がふるさとのようになつかしいものになってしまっているようです。『リカルド・レイスの死の年』は、政治小説とも恋物語とも、いろいろな読み方が可能ですが、リスボンという町なしには成り立ち得なかったであろう小説と言えましょう。」(訳者あとがき)
クリスマス間近のアイソラでショッキングな事件が発生。動物園でライオンに食いちぎられた女性の死体が発見されたのだ。87分署のキャレラと88分署のファット・オリーは被害者が空軍の元パイロットで麻薬の運び屋をして大金を稼いでいたことをつかむ。どうやら背後には国際的な紙幣偽造団が暗躍しているらしい。さらに、けちな空き巣、シークレット・サービス、テロリストまで絡んできて、事件は複雑怪奇な様相を…。金と欲に目がくらんだ悪党どもが繰り広げる狂想曲。国際謀略ものの面白さを加味してスケールアップした87分署シリーズ第51作。
ビッグバンを凌駕する鳥玄坊の宇宙とは? 細菌に侵された瀕死の日本で、少年義円は自らの力に覚醒する! O(オー)157の新種SH70が突如猛威をふるい、子供たちが狙い撃ちされた。犠牲者一千万。世界から封鎖、隔離される日本。海溝の三重交点ではUM(ウルトラモササウルス)がついに動き出す。 底知れぬ能力を持つ少年義円(ぎえん)は覚醒し、この世の真理を求め鳥玄坊と対峙。瀕死の日本を救うのは? 見よ、空想の極限に挑む超絶ミステリの結末を!
「パパー!パパー!」有能な会社幹部デーヴィッドを襲う夜ごとの悪夢。幼少時に何かあったのか。彼は催眠療法を受け過去をたぐり寄せてゆく。そして、その果てに立ち現われたヒトラーの顔…これが本当の記憶?では、自分はいったい何者なんだ?喪われた時を求めて男の探索行が始まった。だが同時に、戦後五十年ものあいだ封印されていた謀略もまた甦ろうとしていた。
公司の情報を得るため、レジスタンスの拠点に立ち寄った留美奈たちは地下世界革命戦線『夏の子どもたち』のリーダー・ユウキと出会う。ユウキは、恋人・ジェイや多くの仲間を収容所から救い出す計画を立てていた。留美奈、銀之助、チェルシーも共に立ちあがるが…。
不況にあえぐ鉄工所社長の川谷は、近隣との軋轢(あつれき)や、取引先の無理な頼みに頭を抱えていた。銀行員のみどりは、家庭の問題やセクハラに悩んでいた。和也は、トルエンを巡ってヤクザに弱みを握られた。無縁だった3人の人生が交差した時、運命は加速度をつけて転がり始める。比類なき犯罪小説、待望の文庫化! (講談社文庫) お先まっ暗、出口なし それでも続く人生か 小さなつまずきが地獄の入り口。転がりおちる男女の行きつく先は? 不況にあえぐ鉄工所社長の川谷は、近隣との軋轢(あつれき)や、取引先の無理な頼みに頭を抱えていた。銀行員のみどりは、家庭の問題やセクハラに悩んでいた。和也は、トルエンを巡ってヤクザに弱みを握られた。 無縁だった3人の人生が交差した時、運命は加速度をつけて転がり始める。 比類なき犯罪小説、待望の文庫化!
19歳の冬、我らが桜井京介と栗山深春は「輝額荘」という古い木造下宿で運命的(?)な出会いをとげた。家族的で青春の楽園のように思われた「輝額荘」。しかし住人の一人・カツが裏庭で変死したことから、若者たちの「砦」に暗い翳が忍び寄る。続いて起こる殺人事件。その背後には天才建築家・ライトの謎が。
入学して一ヶ月、うちの予備校の隣にラブホが建った。以来あたしは屋上からのぞきちゃんな日々。ゆるしてちょうだい、だってあたし18さい。発情期なんでございます…。明るい顔して泣きそな気持ちがせつない、三つのストーリー。第1回女による女のためのR-18文学賞読者賞受賞作。
1945年4月30日、アドルフ・ヒトラーは総統官邸の地下室で自殺した。空からはアメリカ軍、地上からはソ連軍の猛攻を受けて第三帝国の都ベルリンは崩壊、長く続いたヨーロッパの戦争は終わりを告げた。数々の戦争報道で勇名を馳せたアメリカのジャーナリスト、ジェイク・ガイスマーは、特派員としてベルリンに帰ってきた。戦前にはCBSの駐在員としてベルリンで生活していたジェイクだったが、戦火に破壊され尽くした街は、まるで別世界のように見えた。建物は瓦礫と化し、回収されていない死体が腐臭を放ち、人々は生気を失っている。百戦錬磨のジャーナリストたちも言葉を失うような光景だった。ジェイクの目的は取材だけではなかった。この街のどこかに、彼女がいるはずだ。かつて愛したレーナが…高名な数学者エーミール・ブラントの妻だったレーナとジェイクは、戦前のベルリンで不倫関係を続けていた。だが、戦火が迫るころ、ジェイクは夫を捨てられないレーナを残し、ベルリンを去っていたのだ。戦争が終わった今なら、彼女を取り戻せるかもしれない。だが、ジェイクが発見したのはレーナではなかった。歴史的なポツダム会談の取材に赴いた彼は、そこで謎めいた米軍兵士の死体と遭遇する。事件の背景に興味を抱いたジェイクだが、行く手には占領下のベルリンの不気味な闇が広がっていた…。
ついにジェイクはレーナと再会した。だが、戦争の爪痕はレーナを傷つけていた。戦火で子供を失い、ソ連兵にレイプされ、中絶手術まで経験したのだ。夫エーミールも行方不明だった。そんな彼女も、かつてと変わらぬ愛情を注ぐジェイクの援助で、立ち直りはじめる。一方、米軍兵士の死体の謎は、深まるばかりだった。死体は、なぜか大量の紙幣を身につけ、本来なら立ち入ることの出来ないソ連軍占領地区で発見された。しかも、事件を追及すべきアメリカ占領軍上層部は沈黙している。事件の裏には、何かがある。記者魂を燃やすジェイクは、元ベルリン警察の刑事と共に闇市場の探索を始める。やがて彼が真相に肉迫したとき、事件はその様相を一変し、巨大な歴史の歯車が回りはじめる…アメリカ探偵作家クラブ賞に輝いた著者が、綿密な取材と圧倒的な筆力で描く大型歴史ドラマ。映画化も決定した、話題作登場。
耽美派小説の巨匠、重松時子が薬物死を遂げてから、四年。時子に縁の深い女たちが今年もうぐいす館に集まり、彼女を偲ぶ宴が催された。ライター絵里子、流行作家尚美、純文学作家つかさ、編集者えい子、出版プロダクション経営の静子。なごやかな会話は、謎のメッセージをきっかけに、いつしか告発と告白の嵐に飲み込まれてしまう。はたして時子は、自殺か、他殺かー?気鋭が贈る、長篇心理ミステリー。