2003年7月発売
青墨色の闇の中、“邪宝剣”八支刀三柄剣が十賊色に輝き、殺戮と焼尽の幕が切って落とされた-。終わらない旱天に流行病、続発する民衆の暴動。時は正長元年、南朝復興を叫ぶ伊勢国司・北畠満雅は、伊勢裡宮に伝わる秘法により次代の帝・彦仁王の魂魄を抜き取った!彦仁王の魂は、“器”と定められた虚丸の肉体に憑依する。放浪の僧・一休宗純は二人の少年を救うべく、伊勢裡宮へと旅立つ。“黒衣の宰相”三宝院満斎、北畠満雅、“旧司等”の神々を祀る裡宮の血族…。それぞれの陰謀と一休の戦いを壮大なスケールで描く、シリーズ最高傑作ここに誕生。
元広域窃盗犯にして寺男の有馬次郎と、穏やかな相貌と鋭い観察眼をあわせもつ住職の二人が、みやこ新聞の自称「エース記者」折原けいや、京都府警の碇屋警部と共に、難事件の謎に迫る!京の風情と人情と、密やかな悪意と。傑作本格推理。
自殺した母は、なぜブラジルの工作員・山崎と連絡を取り合っていたのか。ジャーナリスト・高見沢幸平は、母親の死の真相を探るため、ソウルへ、そしてブラジルに飛ぶ。ひたすら緻密に任務を遂行してきた工作員・山崎の歯車は、「人種の溶鉱炉」ブラジルの熱気の中で狂い始める。夜毎に襲われる悪夢。平壌に残した妹の面影。必死に探し求める「将軍様の文書」。過去と現在の悲劇が絡み合ったとき、ついに衝撃の真実が明らかになる。
蘇我臣馬子との戦いに敗れた物部本宗家は、朝廷から絶縁され滅びたが、中立の立場を守った石上物部の血筋をひく物部連麻呂(後の石上朝臣麻呂)は許され、冠位は最下級の刑官に属する囚獄吏の長となる。やがて大友皇子の武術師範になるが、壬申の乱で大海人皇子に敗北。しかしこの負の来歴も麻呂にはひとつの転機であった。遣新羅大使としての働きなどで天武天皇の信を得るが、天武亡きあと藤原朝臣不比等が頭角を現し権力を集中する中で、麻呂の選択は?歴史の暗部を生きた男の謎が明かされる。黒岩重吾の絶筆。
第二次大戦が終わった夜、原爆が生まれた砂漠の町で一人の男が殺され、混沌は始まった。狂気、野望、嫉妬、憐憫…天才物理学者たちが集う神の座は欲望にまみれた狂者の遊技場だったのか。そしてヒロシマ、ナガサキと二つの都市を消滅させた男・オッペンハイマーが残した謎の遺稿の中で、世界はねじれて悲鳴を上げる。
除草剤でも枯れないコーンや大豆。カレイの遺伝子を持つジャガイモ。しかし、それはほんの「序曲」に過ぎなかった-。“神の手”を自在に操る巨大企業とワインビジネスの闇、優雅なるセレブたちの光と翳、北米アナポリスの放火殺人と南米ボリヴィアの奥地。すべての仄かな点と線が結びついた時、醜悪なる「真実」が現れる。
ノー・モアGMOの声など、一顧だにしない米国企業の戦略。日本のイネまでも標的にした新たな経済戦争。先端技術が生み出す巨万の富。資本は一極集中し、弱き人びとは永遠に収奪される…。ボリヴィアで展開される密やかな開発、農民たちの反乱、暗躍する「組織」。圧倒的なスケールで、「現代のパワーゲーム」を描く国際サスペンス小説。
太平洋戦争の最中、仏領インドシナの「南洋学院」へ向かう一団があった。敵潜水艦の魚雷攻撃で南シナ海を迷走する輸送船団。次々と僚船が波間に消えてゆく“死のバシー海峡”。ようやくたどり着いた国際都市サイゴンでは南国の眩しい自然と異国情緒の新鮮な暮らしが待っていた。やがて学徒入隊してラオスのジャングルに分け入るが…。戦乱の南方アジアを10000キロも遍歴する少年の目を通して、激動の時代と心の成長を描いた物語。
エレンは14歳。天才肌の兄・リンクと、リンクの美しい親友ジェームズを愛しているが、あるとき同級生の女の子から、ふたりは愛し合っているんじゃないかと聞かれて動揺する。秘密の多すぎる友情、ものごとの本当の見方、詮索と裏切り、真実とハッピーエンドの関係。ちょっと奇抜な三角関係をめぐり、愛について、愛する人について、自分を好きになる方法について、エレンは探しはじめた…。全米で大絶賛。マイケル・プリンツ賞受賞作、待望の翻訳!自分を好きになる方法を探しはじめたすべての人へ贈る物語。
母の急逝で天涯孤独の身の上になってしまった高校生の華南に、3人のそれぞれ母親の違う兄がいることが判明。しかも半年前に亡くなった父親の莫大な遺産を相続する権利があるという。ところがその遺言状には、なんと「華南が2番目の兄、惣司と結婚すれば」という条件が…!?そんなこととも知らずに兄たちの暮す小松原家へやってきた華南は、イジワルえっちな洗礼を受けることに…。
ぽわぽわオツムの高校1年生、倫太はじつはなにを隠そう狼男だった!といっても、幼稚園時代にたった一度、変身したことがあるだけだが…。ところがある晩、突然またまたチビ狼に大変身。嬉しくなってふらふら夜道をお散歩中に、無愛想で超コワそうと皆から怖れられているクラスメイトの高久に出くわしてしまい…。意外にも優しい高久の一面に、なんだかドキドキバクバク。
「どうして、にんげんは死ぬの?」 舌足らずなおまえの声が言う「にんげん」は、漢字の「人間」とも片仮名の「ニンゲン」とも違って、 とてもやわらかだった。そのくせ「死ぬ」は輪郭がくっきりとして、おとなが言う「死ぬ」のような照れやごまかしなどいっさいなく、 まっすぐに、耳なのか胸なのか、とにかくまっすぐに、奥深くまで、届くーー。 想像を絶する孤独のなか、ただ、他人とつながりたい……それだけを胸に煉獄の道のりを懸命に走りつづけた一人の少年。 現代日本に出現した奇跡の衝撃作!