2004年2月発売
「悪夢を見るなら今のうちだよ」と誰かがおれの耳元でささやいたー。「悪魔の館」と呼ばれる家に入り浸るジャンキーたち。アルコールをはじめ、睡眠薬、咳止めシロップなどの中毒者たちが引きおこす悲喜劇を濃密に描いた衝撃作。そして、今夜も言葉のイメージが怒涛のように、混濁した脳裡に押し寄せてくる。
名探偵ポアロが出会った美女ニックは、古びた邸の所有者であった。彼女は「三度も命を狙われた」ことを告白するが、まさにその最中、ポアロの目の前で彼女の帽子が撃ち抜かれた!ポアロは真相を探るべく邸に赴くが、手がかりはまったくつかめない。不安が支配する中、邸でパーティが催されることになるが…。
一時間で一億円の大博打。映像ディレクター小峰が誘われたのは、池袋最大のカジノ売上金強奪の狂言強盗。ところが、その金を横取りされた。どん底から這い上がる男たち…。逆転の確率は二分の一。赤か黒。人生の全てをその一瞬に賭ける。
ゴールデンウィーク間近の京都の旅館で、ギャンブル好きの中年女性が殺された!殺害現場のふすまには墨字で大きく「陰陽」の文字が書かれていた。さらに彼女の博打仲間の三人のうちの一人が東京の自宅で同じ凶器らしきもので殺され、寝室の壁にはまたもや「陰陽」の文字がー。十津川はその寝室にあった写真パネルに注目する。そこにはラスベガスで笑う博打仲間四人が写っていた。犯人はこの四人に恨みを抱いている、と推理した十津川は、捜査を進めるうちに、鎌倉・流鏑馬神事と四人の関連に気づく。やがて浮かびあがる容疑者。しかし彼には鉄壁のアリバイがあった!全国の祭りを舞台にして十津川が大活躍する「十津川警部・祭りシリーズ」待望の第4弾。
アイルランド、そしてダブリンに生涯こだわり続けたジョイス(一八八二ー一九四一)。「細心卑小な文体」を用いて、閉塞的なダブリンの市民階層の麻痺的な生態を描いた十五篇。『ユリシーズ』等につながる、ジョイス文学の展開の端緒をなす初期短篇集。
あるもンしかねエんだ。進歩も進化も関係ねエのよ。エレベーターはなくても階段はあった。階段があっても梯子はあった。それもなければ二階屋がねエよ。そう言うことだ、わかるか?人類の進歩じゃアねエのさ。飛行船ってのがいっとき流行ったなァ。空を飛んだらどうだッて言うんだ。飛ばなくたッて人間は生きていける。それがあるのはどうしてだ。理由なんてねエよ。ただあるのさ。なくていいものでもあるからあるんだ。だから大事なのは、それをだれが造っただとか人間の業だ叡智だかが素晴らしいとか、そんなことじゃアねエ。そこにあるそれはなんなのか、ッてことだ。ないものをあるように見せかけるのは馬鹿げてやがる。だがあるものをねエッていうのはもっと馬鹿げてる。わかるか?(本文より)。超新星登場!驚愕仰天のデビュー作。
組織再編の大波に揉まれながらも、職務をまっとうし、道半ばで斃れた銀行員。彼を冷たく使い捨て、労災認定を渋る役員たち。“戦死”した者の誇りを守るため、経済界の一匹狼・勇次が立ち上がる!(「名誉ある死」)。娘が自殺した背景を追及する表題作、中小企業の復活を描く「家業再興」等、会心のハードボイルド経済小説集。
「ホームズはなぜ、切り裂きジャックについてまったく言及していないのか?」-ホームズ物語の中でも最大級の疑問に、ひとつの解釈を与えたホームズ・パロディ界の名著、待望の邦訳。英推理作家協会賞を受賞したイギリスを代表する現役人気作家が、ホームズ研究者や批評家の間に強烈な反応を引き起こした問題作。
JRと道路公団に届いた脅迫状。それは四億円を支払わなければ、クリスマスに大清水、関越両トンネルを爆破するという犯行予告だった。折しも同一犯の手によって、天城峠と湯沢で爆破事件が起きたばかりであった。一連の事件解明のため、十津川警部が越後湯沢に駆け付ける。巧妙な手口で捜査陣を翻弄する犯人たち。果たして十津川は、怜悧狡猾な犯人を捕らえることができるのか?雪の越後を舞台に繰り広げられる、傑作長編ミステリー。
盛岡で古書店を営む結城恒一郎の姪・怜の意識の中には、交通事故をきっかけに甦った江戸時代の天才人形師・泉目吉が棲んでいる。恒一郎は怜はお化け屋敷で本物の死骸を発見。外に出た二人は、盛岡に移住するという進藤とその息子・正也を紹介された。帰り際、二人はまたも切断された人間の手首を発見。続いて紙袋に入った犬の生首に出くわすのだが…。意想外の着想から生み出された稀代の人気キャラクター・泉目吉が対峙する連続猟奇殺人事件。シリーズ最高のホラー・サスペンス。
かけがえのない、高校生だった日々を共に過ごした四人の男女。テストにやきもきしたり、文化祭に全力投球したり、ほのかな恋心を抱いたりー。卒業してからも、ときにすれ違い、行き違い、手さぐりで距離をはかりながら、お互いのことをずっと気にかけていた。卒業から20年のあいだに交わされた、あるいは出されることのなかった手紙、葉書、FAX、メモetc.で全編を綴る。ごく普通の人々が生きる、それぞれの切実な青春が、行間から見事に浮かび上がるー。姫野文学の隠れた名作。