2004年2月発売
無信仰な僕が、一生の間に経験した宗教的現象を次々に想い起すと、これらが単なる偶然な経験ではなくて偉大な神のはからいによって経験させられたのであろうかと、自然に考えるようになったー人生九十年、心に求めて得られなかった神が、不思議な声となって、いま私に語りかける…。芹沢文学の集大成、九十歳から年ごとに書下ろした生命の物語“神”シリーズ、待望の文庫版。
民主党より上院選への出馬を要請された辣腕弁護士、クリストファ・パジェット。恋人のテリは、夫リッチーとの離婚を決意。が、リッチーが流した陰湿なゴシップが二人の未来に影を落とす。そこへ、リッチーの突然の死。それを密かに願っていた人間は少なくはない。しかし警察が逮捕したのは、なんとクリストファだった。本当に彼はクロなのか?それは読者にも分からない…。
自殺か?他殺か?検察は後者と見た。辣腕弁護士・クリストファが逮捕され、弁護に乗り出したのはあのキャロライン・マスターズだ。群がるマスコミ。息子カーロやテリにも芽生える不信。深まる孤独。証言は次々と覆され、陪審員の心証は日々入れ代わる。そして、息詰まる公判がすべて終わったあとに待っていた、真実とは?すべての法廷スリラーを越えた、圧倒的サスペンス。
落雷にあったような運命の逆転。舞い降りた不幸の中でさがす慰め。絶好調のはずの勝ち組にもやがて命運つきる時が来て…。好事魔多いベンチャーキャピタルを食い物にするエリート男女。翻弄される善良な夫婦の行く末は…。七転び八起きでつかむ50点人生に幸あれ。
落雷にあったような運命の逆転。舞い降りた不幸の中でさがす慰め。絶好調のはずの勝ち組にもやがて命運つきる時が来て…。好事魔多いベンチャーキャピタルを食い物にするエリート男女。翻弄される善良な夫婦の行く末は…。七転び八起きでつかむ50点人生に幸あれ。
「零崎一賊」-それは“殺し名”の第三位に列せられる殺人鬼の一族。その長兄にして切り込み隊長、“二十人目の地獄”にして奇怪な大鋏“自殺志願”の使い手、零崎双識が赴いた行方不明の弟さがしの旅は、未曾有の闘争劇の幕開けだった!息をもつかせぬ波乱の向こう側に双識を待つものは…!?新青春エンタの最前線がここにある。
小学校6年生のマイケルは、思いどおりにならない現実に絶望して、こんな生活から抜け出したいと思っていた。そんなある日、彼は交通事故に遭ってしまい生死の境をさまよう。しかし彼は、夢の中で一人の天使に出会い、“本当の自分”が実現できる場所に戻るために生き返る。そして、7人の天使に会うべく、不思議な世界へと旅立つ-。
孤独な日々を送る老武士はふとした縁で知り合った孤児の美少女の絵を描くことに生きる縁を得る。絵は江戸で評判となるが、ある晩、少女は無惨な屍体となって見つかった。市中を荒しまわる若者集団、辻小僧に輪姦されたのだ。薄幸な娘の敵をとるため、余生をかけて老骨の武士は立ち上がる(敗者の武士道)。他八篇収録の完結篇。
明治43年、政府は明治天皇の暗殺を企てたとして大量の社会主義者を検挙、翌年1月には幸徳秋水を含む12名の処刑を断行した。反政府活動とそれに対する国家の徹底した弾圧という、近代日本の暗部を象徴した「大逆事件」。新資料を駆使、小説の形式で事件の全貌と関わった人間たちの真の姿に肉薄しようとした労作。
生まれ故郷にみずから墓を作り、苦しまずに死ぬことを願う末期癌患者。家族との妥協を拒み、患者本人との契約によって、初めて尊厳死に臨もうとする医者。その葛藤を克明に描いた表題作と、難民医療団に加わって過酷な日々を送る人々の、束の間の休日に起こった出来事を、安吾の『堕落論』に仮託して描いた中篇とを収める。
身を潜めていた修道院を抜け出し、長崎・五島列島に向かった朧とアスピラントの教子。島に残る隠れキリシタンの痕跡を巡る旅の中、朧は“殺人者の横貌”を垣間見せる。そして教子は自分が心身ともに朧に囚われてゆくことを確信した。『ゲルマニウムの夜』に始まる『王国記』シリーズ第三弾は、『汀にて』と『月の光』の二編を収録。
みなもとのよしつねーその名はつねに悲劇的な響きで語られる。源氏の棟梁の子に生まれながら、鞍馬山に預けられ、その後、関東奥羽を転々とした暗い少年時代…幾多の輝かしい武功をたて、突如英雄の座に駆け昇りはしたものの兄の頼朝に逐われて非業の最期を迎えてしまう。数奇なその生涯を生々と描き出した傑作長篇小説。
義経は華やかに歴史に登場する。木曽義仲を京から駆逐し、続いて平家を相手に転戦し、一ノ谷で、屋島で、壇ノ浦で潰滅させる…その得意の絶頂期に、既に破滅が忍びよっていた。彼は軍事的には天才であったが、あわれなほど政治感覚がないため、鎌倉幕府の運営に苦慮する頼朝にとって毒物以外の何物でもなくなっていた。
国際生花シンポジウム開催中の京都で、雑誌記者が殺された。仕事を引き継いだ浅見光彦だが、目の前で第二の殺人が。五百年の伝統を持つ華道家元の封印された秘密とは。十五歳の娘・奈緒をめぐる後継争い、異端の天才華道家との確執も絡む華麗なる連続殺人に、浅見は挑む。記念すべき傑作長篇。第100作。
「なんとなく」という感覚に支えられた違和と理解。そんな人とのつながりはあるのだろうか。フランス滞在中、旧友ヤンを田舎に訪ねた私が出会ったのは、友につらなるユダヤ人の歴史と経験、そして家主の女性と目の見えない幼い息子だった。芥川賞受賞の表題作をはじめ、人生の真実を静かに照らしだす作品集。